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第2章 沢田くんとサバイバル
沢田くんとラスボス降臨
しおりを挟む沢田くんの手が私の腰を掴んでドアの横に引き寄せた。
次の瞬間、バズーカー砲から大量の水が放たれ、私の後ろにいた小野田くんに直撃する。
「うぎゃあああああっ!!【_( _*ω*)_ペショ】」
放水によってペンキが小野田くんごと吹っ飛ばされた。
今日は水浸しになってばかりだなあ、小野田くん。
「だ、誰だ! いきなり放水しやがって!!」
バズーカー砲を持った人物に向かって、ひっくり返った姿勢のまま小野田くんが叫ぶ。
するとその人物はバズーカー砲を肩からおろし、クールに小野田くんを睨みつけて言った。
「お前こそ、汚い体でうちの別荘に入り込んでくんじゃねえよ、バーカ」
それは、沢田くんを茶髪にして自信に満ち溢れさせたらこうなるだろうなって思うほど沢田くんによく似たイケメン君だった。
「陸くん……【あわわわ、ついにラスボス登場!((((;゚Д゚)))))))】
この人が、陸くん⁉︎
っていうか、この劇団員みたいにカッコいい声……どこかで聞き覚えがあるんだけど……?
それにもう一つ、重要案件が発生中。
沢田くんの手が、私を後ろから抱きしめたままなんだよねっ!!
きゃあああああっ~~どうしよ、どうしよう!!
「空。元気だったか?」
何事もなかったかのように陸くんの唇の端が吊り上がった。
感情を押し殺しているのか、心の声が聞こえない。
「よく今まで俺の罠に引っかからずに来れたな。大したもんだ」
「……俺一人だったらきっとたどり着けなかった」
沢田くんは真面目に返す。きっとキリッと引き締まったカッコいい顔をしているんだろうけど、振り向いたらハグが解けちゃうんだろうなあ。ここはじっと我慢……。
こんな時に限って沢田くんはカッコいいことばかり言う。
「みんなのおかげで……ここまで来れたんだ」
「沢田……【お前ってやつは……!。゚(゚´ω`゚)゚。】」
小野田くんが感動に咽び泣く。
でもその時沢田くんは、こんなことを思っていた。
【怖い顔の人が運よく俺より先にいっぱい罠にかかってたから助かった。ラッキー!(・Д・)】
小野田くんの自己犠牲の愛、沢田くんに伝わらず。
【あと、佐藤さんは天使だからいてくれるだけで精神的に助かった。佐藤さんがいなかったら俺はきっともっと早い段階で叔父さんの救出を諦めていたことだろう……(・Д・)】
叔父さん、見捨てられるところだったよ! 危なかったね!
っていうか、私はすっかり忘れてました。ごめんなさい。
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