沢田くんはおしゃべり２

第２章 沢田くんとサバイバル

沢田くんとなぞなぞ

　それはさておき。


　パンはパンでも食べられないパン？
　普通に考えたらフライパンとか、ジャパンとか、ピーターパンとかかなあ。
　頭にパンがついていいなら、パンダとかもあり？
　いろいろありすぎて逆に悩んでいると、
　

「なーんだ、こんななぞなぞ簡単じゃねえか！」
　
　小野田くんが自信たっぷりにそう言い放った。

「俺はこう見えても子供の頃からひらめきと直感力が鋭くて、みんなからはなぞなぞ博士って呼ばれていたんだぜ！【って、過去があったらいいな～(*´Д｀*)】」


　願望かい！！


【嘘だ。こんな、頭が金色の人がなぞなぞ博士なわけない】

　沢田くんには見破られているよ、小野田くん！


「俺も……なぞなぞは得意【もしも地球が悪い宇宙人に乗っ取られそうになっても、なぞなぞで撃退するくらい得意！　……だったらいいな～(*´Д｀*)】」


　沢田くんも願望かい！！
　本当にこの二人、心の中だけは仲良いな。


「ええい、悩んでても仕方ねえ。俺が行くぞ！【沢田のことは親友マブダチの俺が守る！！】」
「頑張ってね、小野田くん！」

　なんだかイキってる小野田くんが一人で看板の前に立った。私と沢田くんは罠の巻き添えを食らわないよう、こっそりと離れる。


「行くぜ！　パンはパンでも食べられないパン──それは、シナモンロールとレーズンパン！！【俺、シナモンもレーズンも大嫌いだから食べられない！(；ω；)】」
　

　小野田くんはビシッと看板を指差して堂々と答えた。
　
　えっ？　と思った瞬間、ブッブー！　とどこかでブザーが鳴り、小野田くんの頭上にペンキが降ってきた。


「なんじゃあこりゃあああああ～～！！【なぜ！！((((；ﾟДﾟ)))))))】」


　なぜじゃないだろ。


【何言ってんの、この人((((；ﾟДﾟ)))))))それ、普通のパンだろ！　なんの捻りもない！　なさすぎて逆に怖い。なんであんなに自信満々だったの？　やっぱり人間じゃない｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡】

　小野田くんは沢田くんをますますビビらせた。


「チクショー！　せっかく川で綺麗になったのに！！」

　また血まみれみたいになった小野田くんに代わって、今度は沢田くんがスッと前に出た。


「さ、沢田くん⁉︎　大丈夫⁉︎　私が先に行こうか？」
「佐藤さん……【大丈夫だよ。佐藤さんだけは俺が守る！！(๑• ̀д•́ )✧ｷﾘｯ】」

　心配して声をかけた私を振り向いて、沢田くんは無表情でうなずいた。


【あの人みたいな恥ずかしい失敗は絶対にしないぞ！　陸くんからの挑戦状は俺が受けて立つ！！】


　王子様のように颯爽と看板の前に進み出た沢田くんは、静かにメラメラと闘志を燃やして言った。


「パンはパンでも食べられないパン──それは、賞味期限が切れて二週間経っちゃってるパンだ！【固くて食べられないよね｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡】」


　あっ、それもパンだけど⁉︎


「なるほど！！　ナイスだ沢田！！【これは勝ったヽ(*＾ω＾*)ﾉ】」


　ブッブー！
　ガンッ。


　頭上から中身の入っていないペンキ缶が落ちてきて、沢田くんの頭に直撃した。


【なぜ！！((((；ﾟДﾟ)))))))】


　いや、なぜじゃない。