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第1章 沢田くんと絶海の孤島
沢田くんと鬼連打
しおりを挟む「うちのクラスのみんなと今度海に行こうという話になりまして、みんなで泊まれるところを探していたら、沢田くんのおうちが別荘をお持ちでいらっしゃると聞いて……。そこにみんなを招待していただけないでしょうかとお願いに来ました」
「まあ! うちのオンボロ別荘に⁉︎」
沢田くんのお母さんは口をぽっかりと開けた。
沢田くんも私を羨望の眼差しで見る。
【さ、佐藤さん!! すごい!! 俺が一週間ずっと切り出せなかった言葉をいとも簡単に!!Σ(゚д゚lll) そこにシビれる、あこがれるゥ~!!】
こんなこと一週間も言えない方がどうかしてるよ、沢田くん!
すると沢田くんのお母さんは困ったように自分の両頬を触った。
「あらあら、どうしましょう。クラスのみんなを招待だなんて! うちの島は沢田のお義父様の所有地ですけれど、別荘なんて本当にちっちゃくて、たかが客室50室しかないんですのよ?」
「50室⁉︎ じゅ、十分です!」
「お風呂も天然温泉の源泉かけ流しの大浴場と露天風呂が二つがあるだけですし」
「源泉かけ流し! す、すごいじゃないですか!」
「お料理も地元で採れた新鮮な野菜と新鮮なお魚の活け造りぐらいしかお出しできませんし」
「ちょっと、最高すぎるんですが!」
「あとはプライベートビーチでサーフィンやシュノーケリングぐらいしかやることもない、本当にこじんまりとした別荘なんですのよ?」
「最高すぎてだんだん腹が立ってきました」
「えっ? 何か?」
「いえ、何でもありません!」
沢田くんのお母さんがかつて「女王」と呼ばれていたと聞いたことはあったけど、沢田くんのお祖父さんまでそんなにすごい別荘を持っていたなんて。
私がすごいすごいと連発していると、お母さんは上機嫌におほほほ、と笑った。
「まあ、そんな別荘で良かったらどうぞお使いくださいな」
「本当ですかっ⁉︎ ありがとうございます!!」
「……!【あっさりと承諾したーーっ!!Σ(゚д゚lll)】」
沢田くんはお母さんの顔を二度見した。
いったい何をビビっていたんだろうと思うくらいのスピード認可だった。
「よかったね、沢田くん!」
「あ、ありが……とう【佐藤さんのおかげだよ~!!。゚(゚´ω`゚)゚。】」
沢田くんと喜び合っていると、お母さんがニコニコしたまま言った。
「ところで、いつ行くの?」
「あっ、みんなの都合で明後日に」
ピクッとお母さんのこめかみに血管が浮き出た。
「明後日? おほほほ……空、ちょっとこっちにいらっしゃい」
【あ、あわわわわ……((((;゚Д゚)))))))】
何やら突然不穏な空気になり、沢田くんが廊下へ連れ出された。
その直後。
「明後日うちバイト入ってもうてるやんけなんでもっとはよう言わへんねんこのボケ!!」
(((((; `Д´)_W(°ω°)スパパパパパパパパーン!!!
【ひでぶーーっ!!!_( _*ω*)_】
何やら恐ろしい連打の音がした……ような気がした。
やっぱりこうなっちゃったね、沢田くん……。
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