122 / 160
第6章 沢田くんと夏の恋花火
沢田くんとカップル大作戦
しおりを挟む「杏里ちゃんはどうする? 行く?」
森島くんが気になっているみたいだから、私も気になって聞いてみた。
「どうしようかな【浴衣をわざわざ着ていかなきゃいけないのはめんどいな】」
心の声を聞く限り、杏里ちゃんの方は森島くんのことを何とも思っていないみたいだ。けど。
【どうしようかなってどっちなんだよ!! 行くのか行かねえのかはっきりしろよーー!!o(`ω´ )o 1対1のデートだったら絶対断られると思ってクラス中を巻き込んだのに、おまえだけ来ないなんてオチだったら最悪すぎるわ!!】
森島くんの方はだいぶヤキモキしているみたい。
そうだったんだ、森島くん!!
杏里ちゃんをデートに誘いたくてこんなことを⁉︎
席替えの日に杏里ちゃんから胸ぐらを掴まれて、恋心まで掴まれちゃったって感じ?
でも素直に言えなくて──とか?
うわあ、なんだかキュンキュンするなあ。
どうしよう。この二人のこと応援したくなってきちゃった。
でも……花火まつりのクラス参加を応援したら、沢田くんとの二人きりのデートはますます絶望的になるわけで……。
悶々と悩んでいると、杏里ちゃんと目が合った。
【この子、本当は沢田と二人で行きたいんだろうな】
杏里ちゃんにはしっかりバレている。さすがだなあと感心した時だ。
【仕方ない。あたしも祭りに参加して、この子と沢田が二人きりになるチャンスを作ってやるか】
おおおおおおっ⁉︎
杏里ちゃんがなんか協力してくれそうな雰囲気だよ⁉︎
みんながいるけど、沢田くんと二人きりになれるかも!
そういうことなら、私も杏里ちゃんと森島くんカップルをくっつけるために全力で一肌脱ごうじゃないの!
「せっかくだから、行こうか」
「うん!」
杏里ちゃんとうなずきあうと、森島くんが【よっしゃああああああ!】と心の中で叫んだ。
問題は沢田くんだ。
どういう反応するかな?
「私、ちょっと用事を思い出したから行くね」
お弁当を片付けて、私は沢田くんがいる屋上へと猛ダッシュした。
春のうちは快適だった屋上だけど、もうすぐ七月というこの時期は地獄の一丁目一番地くらいの暑さがにじり寄っている。
カップルたちも消えた楽園にひとり取り残された沢田くんは、給水タンクの日陰でひっそりと弱っていた。
【あ゛づ い゛よ゛ーーーっ。゚(゚´Д`゚)゚。食欲が出ないよーーっ!!】
教室で食べればいいのに、なんでいつも屋上なんだろう。
私はそっと近づいて、ほとんど手のつけられていない沢田くんのお弁当を見てみた。
そこには小豆たっぷりのおはぎがぎっしりと詰め込まれていた。
……ちょ、沢田くんのお母さん!!
息子さんが恥ずかしがって教室で食べられないお弁当、なんとかしてあげて⁉︎
おはぎだけって、絶対からかわれちゃうよ!
【お彼岸にはまだ早いのに、季節外れで恥ずかしいなあ(*´Д`*)】
って、恥ずかしポイント、そこ⁉︎
0
お気に入りに追加
161
あなたにおすすめの小説
『 ゆりかご 』 ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。
設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。
最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで
くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。
古い作品ですが、有難いことです。😇
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。


結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる