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第4章 沢田くんと夢の遊園地
沢田くんと観覧車
しおりを挟む夕方になってきて肌寒い風が吹くようになる頃、私たちの足は自然とそこに向かっていた。
園の中で一際目立つ、巨大な円を描く観覧車。
最後の乗り物はこれにしようって、初めから決めていたんだよね。
「いこっか、沢田くん」
「うん【これで最後か……(;ω;)楽しかった出来事が走馬灯のように蘇るよ!】」
私も同じ気持ちだよ、沢田くん。これで終わりだなんて、本当に寂しい。
無言で順番を待って、茜色が煌めくワゴンに私たちは乗り込んだ。
【はあ~~。これが観覧車か。意外と早く終わっちゃいそう】
一周約10分だってパンフレットには載っていた。確かに、早く終わっちゃいそう。
終わる前に、沢田くんに今日のお礼を言わなくちゃ。
あと、もう一個だけ、伝えたいことがあるんだけど……。
向かい合って座る沢田くんは落ち着かない様子で外の景色を見ている。
【な、なんか言えよ俺! このままダンマリしたまま一周終える気かっ? バカ!(((((;`Д´)≡⊃)`Д)、;'.・俺の意気地なしっ! 本当は佐藤さんに言いたいことがあるんだろっ? 早く言えーーっ!!】
沢田くんも何か言いたいことがあるらしい……。
何だろう。期待しちゃうな。
とにかく、黙っていたら時間がもったいない。
あと9分。
「あの……」
「あの……」
二人で同時に声をかけてしまった。
「な、何? 沢田くん」
「佐藤さんから……どうぞ【うおおおおお~~~!!((((;゚Д゚)))))))ドキドキしたああああ!!!】」
沢田くんはかしこまって膝に手を乗せている。その膝がちょっとブルブル震えている。
顔はクールでカッコいいのに、やっぱりこのギャップが好きだなと思う。
「今日、すごく楽しかったよ」
「うん【俺も(*´Д`*)】」
沈黙ができてしまった。頭が真っ白になっちゃって、次に続ける言葉が出てこない。すると──。
【佐藤さん、可愛い(*´Д`*) どうしよう、ドキドキが止まらない!! ああああ~貧乏ゆすりも止まらない!! このままじゃ、俺の震えで観覧車が破壊されてしまうかもしれない!! この高さから落ちたら二人とも助からないよっ!! 俺は死んでもいいけど、佐藤さんだけは守らなければ……!! 落ち着け、俺の膝~!!:(;゙゚'ω゚'): そ、そうだ。こういう時は、手のひらに人という文字を3回書いて飲み込むんだ!!】
沢田くんは膝の上の手をさりげなく動かし、文字を書く手の動きを私に見せないように片手で隠しながら文字を書く。
【人……人……入……。あっ!? 三文字目が「入る」って文字になっちゃったかもしれない! だめだ、「入る」じゃ緊張が取れない!! もう一度……! 人、人……あああああ~~手が震えてそもそも字が書けない。゚(゚´Д`゚)゚。】
沢田くんの手が尋常じゃなく震えている。
もう、一生見つめていたいくらい可愛いよ!!
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