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第4章 沢田くんと夢の遊園地
沢田くんとお化け屋敷3
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係員さんの声かけに、私と沢田くんが同時にドキーン! と背筋を伸ばした。
「い、行くよ、沢田くん」
「……うん【あわわわわ、いよいよ佐藤さんの手を……!(;´д`)】」
見つめあって、どちらからともなく指が近づき、手を握る。
きゃあああああああああ~~!!
【はああああああああああ~~~!!!(*´Д`*)】
私の絶叫と同時に、沢田くんからもそのまま昇天してしまいそうな声が聞こえてきた。
沢田くんの手は想像通りおっきくて温かくて包み込むような優しさで……もうとにかく最高!! とか思っていると沢田くんも。
【佐藤さんの手、なんでこんなにちっちゃくて柔らかくて可愛いの⁉︎ この世のものとは思えない!! これが女の子の手、いや、天使の手か!!Σ(゚д゚)尊すぎて前が見えない!!】
前が見えないのは、真っ暗なお化け屋敷に突入したせいだと思うけど。
いきなり照明が足元だけになる中、怪しげな水音のSE、不気味に吹いてくる風などが私と沢田くんの恐怖を煽ろうとする。
でも今の私たちはそれどころじゃない。
【どうしよう、もし手汗が半端なく出ちゃってたら──佐藤さんが不快に思ってしまう……!】
沢田くんの頭は手汗の心配にいっぱいいっぱいで、突然の音や光にもまるで動じない。心の声さえ聞こえていなければ、なんて頼もしい人なんだろうと思うところだ。
かくいう私も永遠にこの時間が続きますようにと祈っていて、目の前に首吊り死体が落ちてきても悲鳴ひとつ上げなかったけどね。
すると突然、誰かの心の声が耳に入った。
【なんだよ、またカップルか。お化け屋敷で手なんか繋ぎやがって、イチャイチャしに来てんじゃねえよ! しかも高校生か? こちとら大学二浪で彼女いない歴=年齢の安月給バイトだっていうのによ! ムカついた、思いっきり驚かせてやる!!】
……ああ、おばけ役の人の声か。
忘れてたわ、自分の能力。
こんなの聞こえちゃったら、怖がる方が難しいよ……。
【早く来い、来い、来い! よし、今!!】
「ポオオオオオオオオ~~~!!」
曲がり角でいきなり飛び出してきたゾンビに、私はもちろん怯えなかった。
タイミングとか心の声でバレバレの上、なんか声裏返ってるし。気合が裏目に出たね、バイトさん……。
と、思った時だ。
【うわああああああああ~~!!((((;゚Д゚)))))))】
ギュッと沢田くんが私の手を強く握った。
そうか、沢田くんには心の声が聞こえないから、ゾンビが出てきて素直に驚いたんだ。
【ああっ、どさくさに紛れて佐藤さんの手をギュッとしちゃった(*´Д`*)♡ ありがとう、ゾンビの人】
でもやっぱり私との手つなぎの方が威力が上だったみたいです。
ごめんなさい、ゾンビの人。
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