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第3章 沢田くんと炎のドッジボール
沢田くんと壁ドン2
しおりを挟む廊下が一瞬静まり返ったあと、あちこちからざわめきが湧き上がった。
【キャーッ、沢田くん、かっこいい♡】
【やば、萌える!】
【森島くんより沢田くんの方が素敵かも!】
【森×沢もいいけど沢×森もアリだな】
森島ガールズ全員の目がハート形になって沢田くんに向けられる。
っていうかこの中に誰か一人腐女子がいない⁉︎
【は、恥ずかしい!!:;(∩´﹏`∩);: 佐藤さん、行こう!】
沢田くんはその場に居たたまれなくなったのか、私を促すようにチラ見した。
私もすぐにうなずき、沢田くんと同時に廊下を小走りで逃げ出す。
(注意:廊下を走ってはいけません。良い子のみんなは真似しないでね!)
【くそっ……迫力負けして何も言い返せなかった……!】
悔しそうに壁を叩く森島くんの声が、遠くでかすかに聞こえた。
「……ごめん、佐藤さん」
近くに誰もいなくなるまで移動した後、目線を外したまま沢田くんが言った。相変わらず無表情に見えるけど、内心は少し緊張しているようだった。
「何のこと?」
「さっきの、デートの話……【俺と行くって、佐藤さんに聞かないで勝手に言っちゃってごめん。゚(゚´ω`゚)゚。】」
なんだ、そんなことか。私はにっこりと笑った。
「嬉しかったよ、沢田くん。ありがとう」
【ああああああああああヽ(;▽;)ノ!!!】
沢田くんは静かに目を閉じてフルフルと感動に打ち震えている。
本当に可愛いなあ、もう。
「どこ行こっか?」
「佐藤さん……【の好きなところならどこでも……(੭ु ›ω‹ )੭ु⁾⁾♡】」
「私が決めていい? じゃあ──」
映画館と遊園地ぐらいしか思いつかないけど、どっちにしようかな?
映画館でずっと沢田くんの脳内コメンタリーを聞きながら映画を楽しむのも面白そうだけど、ここはやっぱりハプニングが起きそうでいろいろ期待できそうな遊園地にしようかな。
もしかしたら沢田くんとの関係が進むかも……なんて思ったり。
「遊園地に行こうよ、沢田くん。ジェットコースターとお化け屋敷と観覧車はマストで乗りたい!」
沢田くんはちょっとびっくりしたように目を開けた。
【遊園地か……! 俺、一度も行ったことない。ジェットコースターってやっぱ怖いのか⁉︎((((;゚Д゚)))))))どうしよう、変な叫び声をあげて佐藤さんに呆れられたら──!】
もちろん、それも期待のうちだよ沢田くん。
沢田くんのポーカーフェイスがどこまで崩れるか見てみたい。
「ねえ、行こうよ! 絶対楽しい!」
「……うん【佐藤さんがこんなに行きたがっているなら……!】」
沢田くんはキラキラした瞳でうなずいた。その眩しさに私のハートがドキンと跳ねる。
ああ、やば。
私の方がなんだか緊張してきたよ。
沢田くんと二人きりで遊園地デートだなんて、どうしよう……!!
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