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第3章 沢田くんと炎のドッジボール
沢田くんと奥義炸裂
しおりを挟む「死ねええええ! 沢田ーーーっ!!!」
小野田くんがボールを振りかぶって叫ぶ。
でも、その時、彼の動作が突然止まった。
どうしたんだろう。
【さ、沢田はどこだっ? どこ行った~~??】
小野田くんの声に辺りを見回して私も驚いた。
沢田くんがいない。
あれ? えっ、どこ?? よそ見している場合じゃないけど、キョロキョロしちゃう。
すると、私の右隣から【佐藤さん、危ないよ~。゚(゚´ω`゚)゚。集中して!】と沢田くんの声がした。
そこには、完全に気配を消した沢田くんがいた。目を凝らして見ないと分からないくらい気配がない。
なにこのステルス機能。沢田くん、こんなことできるの⁉︎
【またぼっちボール奥義、『おんみつ』が発動しちゃった。昔からなぜか誰も俺を狙わない。完全スルーされる。気がつけばいつもぼっち。ゲームにすら参加させてもらえない、悲しい奥義……(´;ω;`)】
いやいやいやいや、すごいよっ!!
こんだけ気配消せるなんて、10年以上修行したベテラン忍者みたいだよ⁉︎
「ハッ。そこか!【やっと見つけた!!】」
小野田くんが今度こそボールを放つ。喧嘩に明け暮れ(?)鍛え上げられた腕の筋肉から放たれるシュートは、土煙をあげ、黄金の軌跡を残像としながら高速回転で沢田くんへと向かってくる!
【ぼっちボール奥義……『かげろう』】
沢田くんはユラッとした陽炎のように柔軟かつ儚い動きでそれを華麗にかわした!
沢田くんの後ろにいたBチームのメンバーが悲鳴を上げながら3人犠牲になったけど、沢田くんは無傷だ。
す、すごい……! 沢田くんにこんな才能があったなんて!!
「沢田くん、攻撃ターンだよ!」
転がっていたボールを彼に渡すと、沢田くんは普通に受け取り、普通に相手のチームとのラインに近づき、普通に近くに立っていた相手チームの人の背中にポスッと当てた。
えええええええ~~~!!! なんですか今のは!!
【『おんみつ』で近づくと誰も気づかないから当て放題。でも痛くすると可哀想だからそっと当てる……ぼっちボール奥義『ぶしのなさけ』】
ぼっちボール、どんだけ奥義があんのーーー⁉︎
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