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第3章 沢田くんと炎のドッジボール
沢田くんとくじ引き結果
しおりを挟むついにスポーツフェスティバルという名の大ドッジボール大会が幕を開けた。
この大会では一年生6クラス、二年生6クラス、三年生6クラスが参加し、それぞれAとBのチームに分かれて全部で36チームが戦うことになる。
それをAからDまでの予選ブロックに振り分け、勝ち上がったベスト4で決勝トーナメントを行う仕組みだ。
予選トーナメントで3回、決勝トーナメントで2回。
全部勝ち上がるまでに5回も戦わなくてはならない。ちょっと面倒くさい。
私たち2年F組はくじ引きでトーナメントのDブロックの一番端っこになってしまった。
そのくじはリーダーである沢田くんが引いたので、予想していた通りではある。
【くじを引いても最下層_(┐「ε:)_】
くじのあとでフラッといなくなった沢田くんを探しに来てみると、沢田くんは校庭のサッカーゴールの裏で膝を抱えた体育座りの姿勢で落ち込んでいた。
もう、可愛いから許すしかない。
「沢田くん、トーナメントの端っこになったからって条件同じだから、誰も怒ってないし大丈夫だよ? みんなのところに帰ろ」
「あ……【佐藤さんっ……! こんなどうしようもない俺を迎えに来てくれるなんて、天使かっ!! っていうか今日も可愛いんですけど、マジその髪型似合ってるね。ってどうして初めて見た日に言えなかったんだろう死ねよクズ】うん」
言わなくても伝わってるから大丈夫だよ、沢田くん。
嬉しくて口元が緩みそうになるのを必死で堪える。
「森島くんのAチームも同じDブロックの端だから、対戦できるのはDブロックの決勝だね」
今日、人一倍頑張って森島くん率いるAチームに勝ったら、沢田くんと手繋ぎでデートできるってこと、沢田くんはまだよく分かっていないみたいだ。
「……【そういえば森島くん、俺には絶対負けないって言ってた……。俺、森島くんになんか嫌われるようなことをしたのかな(´;ω;`)うっ。まあ、だいたいの人は俺のことなんか嫌いなんだろうけど】」
沢田くんは憂鬱そうにため息をつく。
【やだな……。誰とも争いたくないのに、なんでみんな俺と勝負したがるんだろう】
それは沢田くんが魅力的だからだよ。
沢田くんが誰よりも目立って、光り輝いているからだって私は思う。
「がんばろうね、沢田くん。勝って森島くんのことギャフンと言わせちゃおうよ」
「佐藤さん……」
沢田くんが顔を上げてキラキラした瞳で私を見つめた。
【負けてギャフンって言う人、見たことない。逆に『ギャフンと言わせてやろうぜ!(๑• ̀д•́ )✧』って言う人の口からしかギャフンって聞いたことがない。矛盾してるよなっていつも思う。でも佐藤さんのギャフンめっちゃ可愛かったから心のメモリーに刻んでおこう。ギャフン_( _´ω`)_】
やめてやめてやめてやめて。なんか恥ずかしい!!
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