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第2章 沢田くんとお友達から
沢田くんと告白タイム2
しおりを挟む「沢田っ……俺、お前にどうしても言いたいことがあるんだけど──」
沢田くんをお姫様抱っこしたまま小野田くんが切り出す。
下ろせばいいのに。
沢田くんはそんな小野田くんを不愉快そうに睨み返しているけど、
【何? 殺されるの俺? 死ぬの? ちょっ、待っ、嫌ああーーーっ!!! 逃げらんないんだけどーーー!!((((;゚Д゚)))))))】
多分恐怖で顔がこわばっているだけ。
心の中はもう失禁寸前のチワワみたいな状態だ。
【照れるぜ。でももう後には退けねえ! 言ってやる!! 俺の思いを全部ぶちまけてやる!!】
そう決意している小野田くんはまるで丸っこい宇宙船で地球にやってきた肩パットのでかい宇宙人みたいだ。
地球くらい、気合だけで破壊しそうな雰囲気がある。
息を吸い込み、眉間にシワを刻ませ、恐ろしい凶悪顔で小野田くんは言う。
「沢田あああ!! 俺と友達に──!!!」
「ごめん」
沢田くんは間髪を入れずに断った。いや、ただ怖くて謝りたくなっただけだろうと思う。
【命だけは助けて!!。゚(゚´ω`゚)゚。】
……うん。まあそうなるよね。沢田くんの気持ちはめちゃくちゃ分かる。
【ガーンΣ(゚д゚lll)なんでっ……?】
ショックを受ける小野田くん。まあ、その気持ちも分からないわけではない。
「てめえ、コラ沢田!! 何で断るんだよオラア!!【どうして、どうして? 俺の悪いところがあるなら直すから教えてーっ!!。゚(゚´Д`゚)゚。】」
小野田くんはやや乱暴に沢田くんをベッドに乗せると、勢い余って彼を押し倒してしまった。
「!」
ドキッとしたようにベッドの上で見つめ合う二人。
えっ、これBLタグついてたっけ? 過激表現ありだっけ?
私もうっかりそんな勘違いを起こしそうな体勢だ。
でもご安心ください。これはコメディーです。
「……!」
不機嫌な顔をした沢田くんが、すぐに小野田くんを突き飛ばしてベッドから落とす。
クールな眼差しでめちゃくちゃカッコいいんだが。
【ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい、知らない人!! うっかり手が当たっちゃいました!!:(;゙゚'ω゚'): だって急に怖い顔が迫ってきて怖かったんですぅ~~!! 死ぬかと思ったんですぅ~~!! お願いだからもう許してください、訳のわからないインネンつけて来るのはやめてくださーい!! 街のどこかであなたの肩にぶつかったりしたことがあったのかもしれないですけど覚えてないんです、ごめんなさいごめんなさいごめんなさーい!!_((( _*ω*)))⁾⁾_ペショ】
沢田くんは心の中で全力の五体投地。手は偶然当たっただけで、クールな表情は恐怖で顔が固まっちゃっているのだと私だけが理解。
「沢田……【俺、沢田に睨まれてる。嫌われてる⁉︎ うっ……うっ……(;ω;)やっぱり俺みたいなハグレもんとは友達になりたくないってことか……】」
小野田くんは傷ついた様子で、フランケンシュタインのように立ち上がった。
「……俺は帰る【あばよ、沢田……。早く元気になれよ……。゚(゚´ω`゚)゚。】」
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