26 / 160
第1章 沢田くんと恋の予感
沢田くんと森島くん
しおりを挟むまあ、そんなわけで沢田くんの中ではいろいろあったけど、注文は無事にタブレットで済ませることができた。
「ドリンクバーの飲み物取ってくるね。沢田くんは何にする? ついでに持ってきてあげる」
私が立ち上がると、沢田くんもすぐに立ち上がった。
「いや……【その役目は俺が!! 佐藤さんは座ってて】」
「えっ?」
びっくりして沢田くんの顔を見たら、凛々しい目と目が合った。
「あ……えっと……俺が行く」
「う、うん……ありがとう」
私はドキッとしてそっと腰を下ろした。
「どれ……?【飲み物何がいい? 佐藤さん】」
「じゃあ私はアイスティーで!」
沢田くんは了解というようにうなずいた。
【やったー! ちゃんと言えたぞ、俺スゲエええええ!! 見てた? おじさん! あ、学校に置いてきたんだった】
そんなことを思っているなんて全く分からないカッコよさで沢田くんはドリンクを取りに行く。
沢田くん、一応私のことを女子だって意識してくれているのかな?
もしもそうなら、すごく嬉しいけど。
ヘラヘラしそうになる頬を両手で押さえ、何気なくドリンクバーの様子を見た時だった。
「あれ? 沢田じゃね?」
ドリンクバーで、沢田くんがまさかの人物と遭遇していた。
【あっ……森島くん】
学校帰りでフラフラしてる同級生、イケメン白王子こと森島くんだ。
そういえばこの二人が話してるの、初めて見た。
「なんだ、沢田もこんなとこ来たりするんだ? え、今ヒマ? あっちに女の子いるけど、一緒に来ない?【こいつがいるとムカつくけど女子が喜ぶかも】」
森島くんが指したテーブル席には、見知らぬ女子が二人で森島くんの方を向いて手を振っていた。制服は私と同じだから他のクラスの子かな? 一年の時の知り合いなのかも。森島くんは交友関係が広いから繋がりが分からない。
沢田くん、なんて答えるんだろう⁉︎
私はドキドキしながら、耳に全神経を集中させて彼の小さい声を拾おうとする。
「……いい。【知らない人と話すの、無理!!!((((;゚Д゚)))))))】
うん。だろうね。とは思った。
「遠慮すんなって。結構可愛い子たちだよ? 沢田のタイプかも。【どうせこいつは置物みたいに何もしゃべんないだろうから俺のトークの引き立て役にちょうどいいや】」
もう、森島くん最悪。何もしゃべらない沢田くんを使って自分がモテようとするなんて小狡いな!
さあ、どうする沢田くん! 相手は沢田くんを道具として利用するつもりだよ! ガツンと言ってやって!!
って言っても、沢田くんだからガツンと言うのは無理だよね……。
沢田くん、押しに弱いから連れていかれちゃうかも──なんて最悪の場面を思い描いてフライング落ち込みした時だった。
沢田くんがキリッとした顔で、森島くんを睨み返しながら言った。
「行かない。俺には佐藤さんがいるから」
0
お気に入りに追加
159
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-
半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。
優秀賞受賞作【スプリンターズ】少女達の駆ける理由
棚丘えりん
青春
(2022/8/31)アルファポリス・第13回ドリーム小説大賞で優秀賞受賞、読者投票2位。
(2022/7/28)エブリスタ新作セレクション(編集部からオススメ作品をご紹介!)に掲載。
女子短距離界に突如として現れた、孤独な天才スプリンター瑠那。
彼女への大敗を切っ掛けに陸上競技を捨てた陽子。
高校入学により偶然再会した二人を中心に、物語は動き出す。
「一人で走るのは寂しいな」
「本気で走るから。本気で追いかけるからさ。勝負しよう」
孤独な中学時代を過ごし、仲間とリレーを知らない瑠那のため。
そして儚くも美しい瑠那の走りを間近で感じるため。
陽子は挫折を乗り越え、再び心を燃やして走り出す。
待ち受けるのは個性豊かなスプリンターズ(短距離選手達)。
彼女達にもまた『駆ける理由』がある。
想いと想いをスピードの世界でぶつけ合う、女子高生達のリレーを中心とした陸上競技の物語。
陸上部って結構メジャーな部活だし(プロスポーツとしてはマイナーだけど)昔やってたよ~って人も多そうですよね。
それなのに何故! どうして!
陸上部、特に短距離を舞台にした小説はこんなにも少ないんでしょうか!
というか少ないどころじゃなく有名作は『一瞬の風になれ』しかないような状況。
嘘だろ~全国の陸上ファンは何を読めばいいんだ。うわーん。
ということで、書き始めました。
陸上競技って、なかなか結構、面白いんですよ。ということが伝われば嬉しいですね。
表紙は荒野羊仔先生(https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/520209117)が描いてくれました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる