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勇者パーティーの悪行

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 俺は男を倒した後ギルドの中に入るとギルドはすでに宴状態だった。

「おらおらー!てめぇらー飲め飲めー!この勇者オサム様の奢りだぜ!」

「さすが勇者様ー」「勇者様最高ー!」とギルドないでオサムを称賛する声が響く。

「今日は俺が人喰いウルフを倒し、王様よりいただいた金でおまえら全員に奢ってやるからよぅ。飲んで食べて叫ぼうぜ!ぎゃははは!」

 げびた笑いギルドに響く。何だこれは。なぜオサムが人喰いウルフを倒したことになっている。なぜだ?

「勇者様!待ってください!」

 宴で皆騒いでいる中、カムはオサムに向かって叫ぶ。

「あ?何だその汚い女は?そんなやつ俺の宴に呼んだおぼえはないぞ。ガキは早くかえんな!ぎゃははは!」

 ギルド内の男や女はカムに向かって「そうだそうだー!」「しらけるからはやく帰りなさいよこのバカ女!」とか叫ぶがカムは怯まずにオサムに言う。

「本当に勇者様が人喰いウルフを倒したのですか?」

「無論だとも?何だ?私は勇者だぞ?勇者の言うことは絶対。だよなぁ。テテスア」

 オサムは隣に座っていたテテスアに言う。

「ええ。ええ。そうですとも。勇者様の言うことは絶対。嘘などではないのですよ。そこの小娘。勇者様にはむかうならそれ相応の罰を与えますよ?」

「勇者様が絶対?は!そんなのくそくらえよ!本当はあなた勇者なんかじゃないんじゃない?手柄だけ横取りするクソ野郎なんじゃないかしら?」

 カムがオサムに言うとオサムは

「てめぇ。調子にのるなよ。今のは聞かなかったことにしてやる。だから今すぐギルドから出ていけ」

「残念ながら私達が人喰いウルフを倒したと報告しにきたのですよ。だから騒ぐならどこか別の場所で騒いでください。勇者様」

「人喰いウルフを倒した?誰がだよ?まさかお前如きひ弱な剣士が人喰いウルフを?人喰いウルフは冒険者5人がかりでも倒せないようなやつをお前のような小娘が1人でか?」

「いいえ」とカムは言うと俺を指差し

「私ではなくザンサクが人喰いウルフを倒しました」

 カムがオサムにに言うと少しシーンっと静まった後、またギルドにいた男、女達、そしてオサム、テテスア、バステア、アルムスは腹を抱えながら笑う。

「ぎゃははは!笑わせないでくれよ!ぎゃははは!あー。腹が痛いよ。ザンサクが人喰いウルフを倒した?荷物持ちでしか使えないようなやつがか?そんな奴が人喰いウルフを倒せるわけがない。夢でもみていたんじゃないか?小娘」

「そんなわけない!ザンサクは倒したって言ったもの!ザンサクは嘘はつかない!」

「しらねぇよ!俺たちは今宴で忙しいんだザンサク!さっさとガキを連れて出ていけ!この雑魚荷物持ち!」

 立ち尽くしていた俺にまたコップを投げつけてくるオサム。
 カムは「ザンサクは」と言うが俺は

「もういいよカム。行こう」

 俺はカムの手を掴んでギルドから出た。
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