勇者パーティーから追放された荷物持ちの冒険者

紫 ヤタガラス

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スキル

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 ガルダラスの森に入ってから人喰いウルフを探しながら俺はカムに聞く。

「カム。君は職業は剣士だったね。スキルは何を選んだの」

「そうですね。普通はスキルをばらすとかそんなことはしませんけど。ザンサクには教えといても大丈夫だと思うので言いますね。私のスキルは心眼です」

「心眼、ね。それは強いのか?」

 俺はカムに聞くとカムは

「そうですね。心眼は敵の弱点が見えるスキルです。後目潰しや目眩しをくらおうとも半径1メートルいないなら敵の位置が分かります。この心眼の欠点はこの半径1メートルにいる人が味方かどうかわからないことなんですよね」

 カムは俺に心眼について説明する。なるほど使い方によれば使いやすいし弱点がわかるならとてもいいスキルじゃないか。

「でも私これを選んだ理由が少し恥ずかしいんですよね」

「ほう。恥ずかしいとは何でだ?まさか中二病的なやつでかっこいいから選んだとか?」

 俺はカムに言うとカムは「違いますよ」と答える。

「いやはやお恥ずかしながら私このスキルがないと攻撃が当たらなくて。いつも空振りなんですよ」

 ・・・え?

「今何と?俺の聞き違いじゃなきゃスキル使ってないと攻撃が当たらないと聞こえたんだが」

「そうですよ。スキル使っでないと私攻撃が当たらないんですよ。これも私が前のパーティーから追い出された理由ですね。最終的には空振りのカムと呼ばれていました」

 えー。マイナスなあだ名じゃないかそれ

「大丈夫ですよ!スキルさえ使っていれば攻撃は当たりますし、それに本当にたまーになんですけど当たる時がありますから」

 カムは俺に親指を立てながら言う。いやそんな親指立てて言うことではないぞ。だがまぁいいか。スキルさえ使っていれば当たるんだろうし。それに今回の人喰いウルフと呼ばれている魔物はそこまで強くないだろう。なんせウルフはスライムの次に強い魔物。群れてしか行動しないからな。あいつらは
 俺とカムは数時間、人喰いウルフを探しながら道中、スライムがいればスライムを狩ったりして素材を取ったり薬草を摘んだりなどとしながら数時間、スライムと出会いを10匹目を倒した頃に俺とカムの前に禍々しいオーラ?かわからないが黒いオーラをまとうウルフが俺たちの前に現れた。

「オマエラ、ニンゲン、オレノ、ゴハン」

「ザンサク!あのウルフ言葉を喋りますよ!魔物は言葉を喋らないんじゃないんですか?」

 カムは俺に聞いてくる。確かに俺も冒険者をしていて喋るウルフに会うのは初めてだ。

「オレ、ニンゲン、タベタ。ソノニンゲンノ、アタマヲタベテ、コトバ、オボエタ」

「ほう。そんな魔物がいたのか。カム!やるぞ」

 俺は後方に下がり、カムは前方に出て人喰いウルフ討伐を始めた。
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