298 / 310
強者討伐 失われた武器
297 強者の武器 1
しおりを挟む
風球を使い、氷の壁を切り裂いた後、かなり大きめの氷の槍を前方に向けて、何十という数を撃ち込んでいく。
さすがに、あの硬い体を貫くことは出来ないか……。
「グゥオオオ」
さっきから見ているが、その程度の炎が効かないってことぐらい分かれよ。
ドラゴンブレスのように口の前に作られた火球が放たれ、辺り一面を燃え盛る炎の渦が飲み込んでいく。
俺は右手をかざし、同様に魔力を収束させていく。
「フレア!」
ベリアルによって作り出された炎は、俺の周囲から前方に発射された炎によってかき消されていった。
フレアは敵味方を全体を巻き込んだ攻撃。
ゲームであれば、装備品の効果で火属性が吸収出来るようになるものが在る。
それを装備することでミーアが使う魔法の中で、このフレアが攻撃と回復それを同時に行なうことが出来る。
あのエクスプロードは敵全体への攻撃。そのため、火属性を吸収できる状態ならエクスプロードよりもダメージは劣るものの、回復手段にも使えるという点は大きい。
しかし、この世界において、そういう識別も無ければ、属性魔法を吸収するようなアイテムもない。
そんな装備が無くても、俺のシールドは何重にも重ねればエクスプロードですら耐えられる。 だから、このフレアも俺に被害がないのは経験済みだ。
「アムドシアスと戦ってからも、俺はずっとダンジョンのコアを破壊してきた。その結果がこれなんだな」
ベリアルと対峙してこれまでの強者のように、圧倒的な威圧感を感じない。
それを思わせないほど、この俺が強くなっているという何よりの証拠だ。
「コロス」
「出来もしないことを言うなよ。今の俺にとって、お前程度相手にならないのを理解しろ」
ベリアルは、二番目の強者。
ベルフェゴルよりも少しだけ強い程度でしか無い。アスタロトのように分体ということも無さそうだし、アスモのように攻撃が当たらないということもない。
ベレスと同様に、相手になっていないんだよ。
結界の効果は俺の放つフレアですら余裕で耐えている。
だからと言ってこれ以上戦いを長引かせる必要もない。
右手に黒い瘴気が集まり、漆黒の剣が具現化を始める。
今となっては強者を倒すために作られたようなものだが、これほど有効な武器はこの世界にはないだろう。
「お前がどんな能力があるのか知らないが、この剣を防げるというのなら防いでみろ!」
両手に作られていた火球は、薙ぎ払ったドゥームブレイドによって消滅する。
ベリアルの巨体からすれば、ただのロングソード並の刀身で両断するのは不可能だが、上部から地面まで漆黒の剣は容赦なく深い傷跡を残す。
風魔法を使い速度を上げて攻撃を繰り出す。
ドゥームブレイドが消滅する前に、ベリアルの体は塵となって消えていく。
最後の武器。
邪剣グラム、コレが最初の武器でなかったのがレフリアたちにとっては良かったのかもな。
どう見てもデザイン的に、呪われた武器そのものだな。
剣を手にすると、白い光に包まれる。
『マキョウシャを倒すものよ』
「主様を守ってくれっていうんだろ? いい加減聞き飽きた」
『主を……勇者を救ってくれ』
勇者? このゲームにそんな設定のやつはいないよな?
もしかすると……。
『失われし武器を集めて、ラカトリアにある神具を開放せよ』
ラカトリア、それって学園のことだよな?
神の道具とは、製作者は一体何を考えていたんだか。
「さすがの俺もこの武器だけは遠慮したいな」
柄にも、剣身の腹にも異質なドクロがあり、邪剣の邪って文字は邪神なのかも知れないな。
どう考えても、呪われそうでしか無いな。
グラムを持って、ミーアの所へ向かい、結界を解く。
「アレス様」
結界が解けると、ミーアが俺の懐に飛び込んでくる。
そんな彼女に対して左腕でしっかりと抱きしめていた。
「ミーア、レフリアの容態はどうなんだ?」
「まだ時間はかかるとは思いますが……」
「リアはきっと大丈夫。こんな所で死ぬはずはない」
レフリアの手を取り、意識が朦朧としているはずなのに、しっかりとハルトの手を握り返していた。
しばらくすれば、少しは良くなりそうだな。
「少し借りるぞ……」
魔力糸を使い、皆が持っている強者の武器を集める。
失われた武器。そして、ラカトリア。
ラカトリアは学園の名前……だとするのならあのダンジョンに?
レフリアが握っていたエクスカリバーは、ハルトによって手から離された。
魔力糸を使い全ての武器を俺の所まで運ぶと、俺の周りに集まったことで、勝手に武器が突き刺さり地面から光が放たれる。
「ミーア、離れろ!」
さすがに、あの硬い体を貫くことは出来ないか……。
「グゥオオオ」
さっきから見ているが、その程度の炎が効かないってことぐらい分かれよ。
ドラゴンブレスのように口の前に作られた火球が放たれ、辺り一面を燃え盛る炎の渦が飲み込んでいく。
俺は右手をかざし、同様に魔力を収束させていく。
「フレア!」
ベリアルによって作り出された炎は、俺の周囲から前方に発射された炎によってかき消されていった。
フレアは敵味方を全体を巻き込んだ攻撃。
ゲームであれば、装備品の効果で火属性が吸収出来るようになるものが在る。
それを装備することでミーアが使う魔法の中で、このフレアが攻撃と回復それを同時に行なうことが出来る。
あのエクスプロードは敵全体への攻撃。そのため、火属性を吸収できる状態ならエクスプロードよりもダメージは劣るものの、回復手段にも使えるという点は大きい。
しかし、この世界において、そういう識別も無ければ、属性魔法を吸収するようなアイテムもない。
そんな装備が無くても、俺のシールドは何重にも重ねればエクスプロードですら耐えられる。 だから、このフレアも俺に被害がないのは経験済みだ。
「アムドシアスと戦ってからも、俺はずっとダンジョンのコアを破壊してきた。その結果がこれなんだな」
ベリアルと対峙してこれまでの強者のように、圧倒的な威圧感を感じない。
それを思わせないほど、この俺が強くなっているという何よりの証拠だ。
「コロス」
「出来もしないことを言うなよ。今の俺にとって、お前程度相手にならないのを理解しろ」
ベリアルは、二番目の強者。
ベルフェゴルよりも少しだけ強い程度でしか無い。アスタロトのように分体ということも無さそうだし、アスモのように攻撃が当たらないということもない。
ベレスと同様に、相手になっていないんだよ。
結界の効果は俺の放つフレアですら余裕で耐えている。
だからと言ってこれ以上戦いを長引かせる必要もない。
右手に黒い瘴気が集まり、漆黒の剣が具現化を始める。
今となっては強者を倒すために作られたようなものだが、これほど有効な武器はこの世界にはないだろう。
「お前がどんな能力があるのか知らないが、この剣を防げるというのなら防いでみろ!」
両手に作られていた火球は、薙ぎ払ったドゥームブレイドによって消滅する。
ベリアルの巨体からすれば、ただのロングソード並の刀身で両断するのは不可能だが、上部から地面まで漆黒の剣は容赦なく深い傷跡を残す。
風魔法を使い速度を上げて攻撃を繰り出す。
ドゥームブレイドが消滅する前に、ベリアルの体は塵となって消えていく。
最後の武器。
邪剣グラム、コレが最初の武器でなかったのがレフリアたちにとっては良かったのかもな。
どう見てもデザイン的に、呪われた武器そのものだな。
剣を手にすると、白い光に包まれる。
『マキョウシャを倒すものよ』
「主様を守ってくれっていうんだろ? いい加減聞き飽きた」
『主を……勇者を救ってくれ』
勇者? このゲームにそんな設定のやつはいないよな?
もしかすると……。
『失われし武器を集めて、ラカトリアにある神具を開放せよ』
ラカトリア、それって学園のことだよな?
神の道具とは、製作者は一体何を考えていたんだか。
「さすがの俺もこの武器だけは遠慮したいな」
柄にも、剣身の腹にも異質なドクロがあり、邪剣の邪って文字は邪神なのかも知れないな。
どう考えても、呪われそうでしか無いな。
グラムを持って、ミーアの所へ向かい、結界を解く。
「アレス様」
結界が解けると、ミーアが俺の懐に飛び込んでくる。
そんな彼女に対して左腕でしっかりと抱きしめていた。
「ミーア、レフリアの容態はどうなんだ?」
「まだ時間はかかるとは思いますが……」
「リアはきっと大丈夫。こんな所で死ぬはずはない」
レフリアの手を取り、意識が朦朧としているはずなのに、しっかりとハルトの手を握り返していた。
しばらくすれば、少しは良くなりそうだな。
「少し借りるぞ……」
魔力糸を使い、皆が持っている強者の武器を集める。
失われた武器。そして、ラカトリア。
ラカトリアは学園の名前……だとするのならあのダンジョンに?
レフリアが握っていたエクスカリバーは、ハルトによって手から離された。
魔力糸を使い全ての武器を俺の所まで運ぶと、俺の周りに集まったことで、勝手に武器が突き刺さり地面から光が放たれる。
「ミーア、離れろ!」
0
お気に入りに追加
555
あなたにおすすめの小説
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる