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強者討伐 失われた武器

289 守るために・・・ 1

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 アムドシアスが居たまでならいいものを……地上に出てくるなんて予想外すぎるぞ。
 魔法陣からの攻撃から逃げるために、上空へ飛び一気に距離を開ける。
 一体何をするつもりなんだ?

「無駄なことを」

 アムドシアスは、顔だけを俺に向けると魔法陣も照準を合わせる。
 シールドを展開して、どんな攻撃なのかが分からない。シールドを複数展開するが、できることなら逃げたい。

「戦うとしてもせめて、後五時間ぐらい休憩させてくれよな」

 魔法陣からは、青白い球体が発射される。
 しかし、その軌道は俺がいる所よりもかなり手前を上空へ放たれる。
 それを目を追っていくと、その光が弾け周囲は閃光が広がる。その光と同時に頭上からは夥しい量の雷撃が降り注いでいた。

 一撃二撃とか、生易しいものではない。
 何百にもよる無数の雷撃が延々と地上に向けて降り注ぐ。
 展開しているシールドはその雷撃を防ぐものの、草原だった地表は面影がなくなり荒野へと姿を変えていく。

 なんてやつだ……さっきのは攻撃をしたのじゃなくて魔法陣そのものを空に打ち上げていたのか?
 頭上から、降り注ぐ雷撃の中心にさっきの魔法陣がはっきりと見えている。

「これが邪魔なのか?」

 雷撃を気にし過ぎていたため後ろから聞こえる声に、反応が遅れていた。
 背後にいたアムドシアスは、その大きな爪で俺を攻撃しようと振り上げている。
 雷撃とその攻撃によって三枚のシールドは貫かれる。

「まじかよ」

 既の所で攻撃をかわせたが、あのままだと間違いなく最後のシールドが破られていた。
 距離を取ることが出来たが、この距離を一瞬で近づかれるのかよ。
 一枚でもシールドがなければ雷撃によって攻撃される。

 逃げる俺に対して、この中を掻い潜ることもなく、雷撃が避けると言った様子もない。すなわちアムドシアスにとっては絶好の領域。
 上空からの雷撃はアイツに効かないということか。

「これなら……ふざけるなよ!?」

 近づいてくるアムドシアスに対して、攻撃を繰り出そうにも風球を出現させるが雷撃によって、斬撃を発動させることもなく消滅する。
 バーストロンドを放つも、その爆風に対しても動じる様子もなくこちらへ向かってくる。

「風球を作り出しても、雷撃によって防がれるのか」

 雷撃から距離をとっても、魔法陣は俺の上を維持している。
 アレが無いだけでも少しはマシになるのか?
 攻撃するにしても、常時攻撃をされているようなものだから、シールドは必要になるもののそれを壊そうとアムドシアスは俺に向かってきている。

「滅べ」

「またか」

 クリムゾンブレイドを具現化し、アムドシアスの攻撃を剣で受け止めるが、その反動によって後ろへ大きく吹き飛ばされる。
 なんて力をしてやがる。吹き飛ばされた俺を、アムドシアスは雷撃が降り注ぐ中追撃に向けてやってくる。

「これなら、どうだ!」

 左手に氷の大剣を作り出し、こちらから攻撃を仕掛けるも軽々と剣を掴まれて止められる。
 そのまま力を込める様子もなく容易く大剣は握り潰される。

 至近距離での攻撃も、あのドラゴンの腕によってあまり効果がない。
 上空のある魔法陣も、普通の魔法ならいつかは効力を無くす。
 それが何時になるか分からない……そもそも、魔法陣を使った魔法を見るのはこれが始めてだ。

「これが最強の強者なのかよ……一体何が有効なんだ?」 

 風球のような魔法を使えば、あの雷撃で無効化にされるし、近接だとしてもあの腕で防がれる。
 だとするのなら……ドゥームブレイドにかけるしか無いのか?

 ラストダンジョンで、バーストロンドを散々撃った挙げ句にエクスプロードも使用した。
 索敵による不調もあって、今の魔力量で何分維持できる?
 そもそも、あんな化け物に対して有効なのか?

「今度は、何をするつもりだ?」

 アムドシアスは右手を上げている。
 上にあるのは魔法陣。そこに魔力を送っているというのか?
 これが維持されるのなら、攻撃できない現状が続くだけだ。

「先に壊すのは、あの魔法陣か!」

 俺が近づけば、離れていくものの俺の速度よりか魔法陣の動きがはるかに遅い。
 上手くいくかわからないが、今となってはドゥームブレイドにかけるしか無い。
 シールドを重ね、雷撃が降り注ぐ中、魔法陣に向かって上昇していく。

「愚かな」

 後数十メートルという所で、突然魔法陣は消え失せていた。
 上昇しすぎて消えたというのか?

「何をやったのかわからないが、これで魔法が使えるだろ」

 無数の風球を作り出し、アムドシアスに向けて突進していく。
 近接から見を守るために右手にクリムゾンブレイドを展開して風球を放つ。

「またしても、愚かだな」

 アムドシアスに放った風球によって無数の傷をつけていた。かなりの耐性があるのか、あの斬撃でも大きな傷をつけることがない。
 無数に浴びせられる攻撃、微かに傷だけどいダメージは蓄積してはず。そんな状況だと言うのに、アイツは全ての攻撃を防ぐこともなく体で受け止めていた。痛みというものを感じないのか眉を動かすこともなく、その視線は俺だけを捉えていた。

 弱い攻撃だったとしても、この攻撃が効くというのならひたすら斬り刻むまでだ。

「これならどうだ!」

 左手に特大の風球を作り出し、投げつけようとした瞬間。
 青い閃光が一瞬だけ見えた気がした。

 アムドシアスは目を細め、右の口角を上げて笑っている。

「ぐああぁぁぁ」

 左腕に強烈な痛みが体中を駆け巡っていた。
 何でこんな事になったのか分からなかった。
 シールドが貫かれることもなく攻撃できるのか?

「実に愚かだ。さあ……滅べ」
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