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強者討伐 失われた武器

285 ダンジョン攻略者 2

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 ベールの目には異質な物が見えていた。それは、アルルの腹から鋭く尖ったものがあった。
 それは、リザードマンロードが手にしている剣が、ベールではなくアルルを突き刺していた。

「おっちゃん!」

 刺さったままの剣が薙ぎ払われ、アルルは声を上げることもなく壁に叩きつけられた。
 スミアが慌てて駆け寄るったが、地面から出てきた黒い何かによってアルルの体は包まれていきそのまま姿を消した。

「あれは一体?」

 リザードマンロードがゲラゲラと笑うかのような声を上げた。
 その声によって、この場にいる全員が戦いに戻されていた。
 ベールは傷つきながらも、剣を掴み立ち上がる。

「ベール、回復をするわ」

 スミアが回復魔法を発動するが、ベールはゆっくりとリザードマンロードに近付く。
 その表情は怒りに満ちており、ベールにしがみつきながらスミアが回復魔法を掛けているが、じっとしていなければその効果を発揮することが出来ない。

「アルルさん……バーストロンド、撃てます」

 キッと睨みつけ、歯をむき出しにして噛みしめるパメラの言葉に、レフリアは剣を強く握りしめる。

「ロイ、ベールを抑えて。パメラが魔法を発動させたら、一気に畳み掛けるわよ!」

 パメラがリザードマンロードの顔を目掛けてバーストロンドを発動させる、メアリの思惑どおり一時的に視界を遮った。
 レフリアとハルトはブレイブオーラを発動させて、ハルトはベールが攻撃した右足をレフリアは左足を狙い体勢を崩そうとする。

 ミーアは尻尾による攻撃を止めるために、その長い尻尾にエストックを突き刺してバーストの魔法を打ち込んだ。
 しかし、その威力はパメラには及ばず尻尾を切断できなかった。ある程度のダメージは与えたものの、尻尾は暴れるように振り回され続けた

「これなら!」

 メアリによって吹き飛ばされたパメラは、ウロボロスを太ももに深く突き刺しバーストを発動させた。
 リザードマンロードの体勢はぐらりと崩れ、膝をついて動きが止まっていた。
 パメラはウロボロスに付いた斧を使い、尻尾を両断した。

「グギァァ」

 膝をついたことで射程内となった右目を目掛けてランはロンギヌスを投げつけていた。
 右目に深く突き刺さったが、繋いでいた魔力糸を使い自分の手に槍を戻した。
 もう一度、投げつけたが振り回される巨大な剣に弾き飛ばされた。
 当たりはしなかったものの、振り回された武器の風圧によって体の軽いランは吹き飛ばされてしまった。

「ラン!」

 ハルトはその腕を止めようとして斬りかかり、リザードマンロードが持っていた巨大な剣が手から離れる
 剣を持っていないとは言え、その腕から繰り出された攻撃にハルトが吹き飛ばされる。
 ブレイブオーラで強化したとは言え、シールドもなしに喰らえばただでは済まない。

「がはっ」

 壁に打ち付けられて、ハルトは血を吐いて地面に落下した。
 ハルトはその場でピクリとも動くことはなかった。

「ハルト!」

 ミーアは急いで、ハルトの元へ向かい、回復魔法を発動させる。
 激昂したレフリアは、何度も斬りかかったが、繰り出された剣は乱暴そのものであり、致命的なダメージを与えることは出来なかった。

「あっ」

 右目は失っていたものの、リザードマンロードは左目でレフリアを捉えていた。
 パメラはとっさにレフリアの後ろへ回り、手を掴んで放り投げて逃した。
 右手からの攻撃を、パメラが受けることになった。ウロボロスの柄で防いだがあまり軽減することができずに飛ばされた。
 壁に叩きつけられなかったものの、槍を持つ右手に力を込めフラフラと立ち上がるものの、左手には激痛が走り、力が入らなくなった。

 リザードマンロードは、フシュー、フシューと呼吸を整えていく。
 攻撃する者がいないことで、攻撃をすることはなかったがこれまで付けてきた傷がゆっくりと塞がり始めていた。

「嘘でしょ?」

 レフリアは、その光景を前に愕然としていた。
 目の前にいる魔物は、何もしてこないが……受けていた傷の回復を始めていた。まるで、回復魔法のように、何十倍というスピードで傷が無くなっていく。

「ブレイブオーラ!」

 ここで見ているわけには行かなかった。
 ここでとどめを刺さないと……全滅する。
 その一心で、レフリアは攻撃を始めていた。深く、より深くへと……。

 守りに入ったリザードマンロードは腕で顔を隠し、鱗が固くなっていく。
 しかし、エクスカリバーの前にはその程度の防御は何の役にも立たない。

「これで!」

 剣を振り上げたレフリアは、顔を庇っていたはずの右腕によって攻撃をまともに食らってしまった。
 リザードマンロードは弱っていたが、レフリアは数メートル飛ばされて地面に叩きつけられ、持っていた剣が床に落とされる。

「はぁはぁ……ハルト」

 レフリアの目には、倒れたハルトの姿。
 体を動かすこともなく、視線だけをハルトに向けるレフリアは立つこともままならないほどのダメージを受けていた。

 それを見ていたミーアは、どうすれば良いのか悩んでいた。
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