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強者討伐 失われた武器
266 超広範囲魔法 1
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俺の周囲はエクスプロードの高熱と爆風に晒されている。
範囲魔法は、一度発動すれば術者ですらその魔法に関与ができない。
相殺を試みようにも、防御シールドと熱に対してもエアシールドが無ければ俺自身が自滅する。
度重なる魔物との戦闘により、かなりレベルアップした俺の魔法。
込めすぎた膨大な魔力によって発動したエクスプロードの爆発や熱量に、展開している防御シールドが一枚、また一枚とその威力に耐えきれず砕かれていく。
ミーアが使う最強の魔法。
それは、ゲームであればこの魔法はかなり有力だけど……現実ではそうはいかない。
魔法というものに、魔物だけ全体攻撃なんて有りはしない。これだけの広範囲であれば、見方も巻き込まれる。
「学園でなぜ範囲魔法を教えないか、その理由がよく分かるってものだ!」
範囲魔法の最大の欠点。自分や仲間だろうと関係なしに平然と巻き込む。
それでいて、これだけの近距離で超範囲魔法を耐えきれると思うやつはそうそういるものじゃない。
こんな事をしないで済むのなら、俺だって二度とやりたくない。
シールドが壊される度に、再展開を繰り返す、張れるシールドの数は全部で四つ。
普段使っているよりも、限界まで強化した防御シールドが三枚。
燃費よりも効果優先。一枚一枚に使われる魔力消費は高く、俺はこの魔法に対してただ耐えるほかない。
爆発の状況からして、まだ半分にも満たない。
今の俺にできることは、収束による最後の大爆発が終わるまでひたすらシールドを展開し続ける。
「これでも無傷なら、さすがに打つ手が無くなるぞ……」
アスモの本体がわからないため、この空洞内全域を攻撃できるのがこの魔法だ。
これまでに強者に対して最も有効だったドゥームブレイド。
それが当たらないかも知れない相手。
ダンジョンの最下層全域に広がる、幾度もの巨大な爆発から放出される高熱によるこの攻撃を、俺のようにシールドを使いかろうじて防ぐのならともかく、さっきまでのように回避するには難しい。と、言うより不可能だと思いたい。
ゲームとしては鬼畜仕様だった。
だけど、最上の魔法をポンポン使用できていたゲームが、どれだけ優遇されていたか……今更になって思い知らされる。
「それにしても、頭がおかしい魔法だ……こんな魔法を使う時点で、パーティーは全滅だな」
ゲームの設定上はバーストロンド十五倍。後半にもなればダメージのインフレは進み、万ダメージになってくる。発動は一ターン後という欠点はあったものの、一回発動するだけで、ラスボスに与えられるダメージはハルトが攻撃するダメージの約七倍。
だからといって、ポンポンとこんな物を撃っていたミーアが、今となっては怖い話だ。
「か、加減を間違えたのか?」
一向に終わりが見えないこの魔法に、頭の中ではダークリッチに使用したサンダーストーム・レイジングのことを思い返していた。あの魔法は、元々の魔法に改良を加えたものだ。
だからあれだけの時間が持続されていたのだと思うのだが……できることなら、この魔法はそうではないと願うしかない。
とはいえ、結界が使えるのなら一番いいが……今はそんな余裕はない。
何もかもが、後の祭りでしか無い。実験をしないで実行する今の状況が何ともバカバカしい。
あの結界を展開しつつ戦えるのなら、こんな苦労はないのだろうけど。
「どういうことなんだ?」
ちょっとまて……おかしいぞ?
索敵を使いアスモの魔力反応を確認するのだが……ものすごい速度でアチラコチラと反応が移動を繰り返していた。
バーストロンドを回避して俺の所まで来ていたのは、アイツはとんでもない速さで動いていたというのか?
しかし、逃げ回っていたのは確認していたのだが……現在エクスプロードは大暴れ中で終わってもいない。
それにも拘らず、アスモの魔力反応は突然消える。
倒したと言うよりも、逃げられたと考えたほうが良さそうだな……ここまで来て逃げられるのかよ。ベルフェゴルのように、ダンジョン内を移動したということか?
俺としても、これを耐えきったとしても残った魔力はかなり少ない。しかし、ここから逃げようにも、上の階層はあの広大な迷路だ。
正直どうすれば良いか分からないけど、残された魔力で数十秒のドゥームブレイドにかけるしか残された方法はない。
「はぁはぁ。お、終わった……」
最後の収束による大爆発が始まり完全に魔法が終わる。
今シールドを解除すると、周囲に残った高温に焼かれそうだな。
範囲魔法は、一度発動すれば術者ですらその魔法に関与ができない。
相殺を試みようにも、防御シールドと熱に対してもエアシールドが無ければ俺自身が自滅する。
度重なる魔物との戦闘により、かなりレベルアップした俺の魔法。
込めすぎた膨大な魔力によって発動したエクスプロードの爆発や熱量に、展開している防御シールドが一枚、また一枚とその威力に耐えきれず砕かれていく。
ミーアが使う最強の魔法。
それは、ゲームであればこの魔法はかなり有力だけど……現実ではそうはいかない。
魔法というものに、魔物だけ全体攻撃なんて有りはしない。これだけの広範囲であれば、見方も巻き込まれる。
「学園でなぜ範囲魔法を教えないか、その理由がよく分かるってものだ!」
範囲魔法の最大の欠点。自分や仲間だろうと関係なしに平然と巻き込む。
それでいて、これだけの近距離で超範囲魔法を耐えきれると思うやつはそうそういるものじゃない。
こんな事をしないで済むのなら、俺だって二度とやりたくない。
シールドが壊される度に、再展開を繰り返す、張れるシールドの数は全部で四つ。
普段使っているよりも、限界まで強化した防御シールドが三枚。
燃費よりも効果優先。一枚一枚に使われる魔力消費は高く、俺はこの魔法に対してただ耐えるほかない。
爆発の状況からして、まだ半分にも満たない。
今の俺にできることは、収束による最後の大爆発が終わるまでひたすらシールドを展開し続ける。
「これでも無傷なら、さすがに打つ手が無くなるぞ……」
アスモの本体がわからないため、この空洞内全域を攻撃できるのがこの魔法だ。
これまでに強者に対して最も有効だったドゥームブレイド。
それが当たらないかも知れない相手。
ダンジョンの最下層全域に広がる、幾度もの巨大な爆発から放出される高熱によるこの攻撃を、俺のようにシールドを使いかろうじて防ぐのならともかく、さっきまでのように回避するには難しい。と、言うより不可能だと思いたい。
ゲームとしては鬼畜仕様だった。
だけど、最上の魔法をポンポン使用できていたゲームが、どれだけ優遇されていたか……今更になって思い知らされる。
「それにしても、頭がおかしい魔法だ……こんな魔法を使う時点で、パーティーは全滅だな」
ゲームの設定上はバーストロンド十五倍。後半にもなればダメージのインフレは進み、万ダメージになってくる。発動は一ターン後という欠点はあったものの、一回発動するだけで、ラスボスに与えられるダメージはハルトが攻撃するダメージの約七倍。
だからといって、ポンポンとこんな物を撃っていたミーアが、今となっては怖い話だ。
「か、加減を間違えたのか?」
一向に終わりが見えないこの魔法に、頭の中ではダークリッチに使用したサンダーストーム・レイジングのことを思い返していた。あの魔法は、元々の魔法に改良を加えたものだ。
だからあれだけの時間が持続されていたのだと思うのだが……できることなら、この魔法はそうではないと願うしかない。
とはいえ、結界が使えるのなら一番いいが……今はそんな余裕はない。
何もかもが、後の祭りでしか無い。実験をしないで実行する今の状況が何ともバカバカしい。
あの結界を展開しつつ戦えるのなら、こんな苦労はないのだろうけど。
「どういうことなんだ?」
ちょっとまて……おかしいぞ?
索敵を使いアスモの魔力反応を確認するのだが……ものすごい速度でアチラコチラと反応が移動を繰り返していた。
バーストロンドを回避して俺の所まで来ていたのは、アイツはとんでもない速さで動いていたというのか?
しかし、逃げ回っていたのは確認していたのだが……現在エクスプロードは大暴れ中で終わってもいない。
それにも拘らず、アスモの魔力反応は突然消える。
倒したと言うよりも、逃げられたと考えたほうが良さそうだな……ここまで来て逃げられるのかよ。ベルフェゴルのように、ダンジョン内を移動したということか?
俺としても、これを耐えきったとしても残った魔力はかなり少ない。しかし、ここから逃げようにも、上の階層はあの広大な迷路だ。
正直どうすれば良いか分からないけど、残された魔力で数十秒のドゥームブレイドにかけるしか残された方法はない。
「はぁはぁ。お、終わった……」
最後の収束による大爆発が始まり完全に魔法が終わる。
今シールドを解除すると、周囲に残った高温に焼かれそうだな。
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