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強者討伐 失われた武器
259 英気を養う? 1
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実家というだけでこんなにも寛げるのがいいよな。
季節は、夏。俺にとっては最悪の季節だ。
ただ居ると言うだけで汗は吹き出し、動くのがとても嫌になる時期だ。
しかし、ここは俺の実家だ。
あのムカつくダンジョンを攻略して帰ってきたが、父上も母上も兄夫婦すら居ない。まさに天国。
つまり、俺のやることにとやかく文句を言ってくる人間は少ない。
ベルを鳴らせば何時でも、俺の好きな物を持って来てくれる。
「ぷはっ。美味い」
夏にはやっぱりキンキンに冷えた飲み物だよな。
そして、氷魔法を使い部屋の温度を下げ、とても快適に過ごせている。
こんなに大々的にやった所で、俺のことは皆知っているから特に咎められることもない。
しかしまあ……体感温度の違いか、部屋に入ってきた使用人達は『寒い』と言うんだよな。
「しかし、こうも外が暑いと、ダンジョン生活のほうが絶対に楽だよな」
ダンジョンの中は意外と、寒くも暑くもない。
ジメジメとした感じもなくかなり過ごしやすい。
だけど今は、八月がもうすぐ終わる。
今から行ったとしても、またすぐに帰ってくる羽目になるから、かれこれ三日程こんな生活をしていた。
外に出る時は、エアシールドを使い空気熱は遮断できていたが、日光は別の物でしか遮ることは出来ない。そんな面倒なこともしたくはないので、晴れていると言うだけで、外には出ない。
誰かが帰ってくるまでの束の間のバカンスだ。
「アレス!」
兄上が部屋に入ってくると、窓を全開にしムワッとした空気が流れ込んでくる。
「あ、兄上。どうしました……」
俺は服を捕まれ、窓へ放り出された。
猛烈な熱が俺の体へとまとわり付いてくる。
「なんなんだ? うをっ」
「何時までこんな所で、のんびりしているのかな?」
空中で静止していると、突然置いてあった花瓶を投げつけられる。
あのですね、物は大切にしましょうか……花瓶だってただじゃないのですから。
窓に足をかけ、兄上は剣を抜いていた。
「あっつい。というか、一体何なんだよ」
「ちっ、外したか!」
エアシールドを展開し熱と兄上の剣撃を防ぐ。
地面に降り立った兄上は空中にいる俺に対して手招きをしている。
行きたくはないが……ここで放置すると後々面倒にもなる。最近居なかったのに……明日帰ってくるんじゃなかったのか?
「さて、アレス。君は何をしていたのかな?」
「きゅ、休憩ですかね?」
「君の休憩とは随分と長いね。知らなかったよ……それとも僕が居ないのを良いことに、あのような自堕落な生活をしていたというのかな?」
ええ、まあ……仰るとおりにございます。
というかですね、炎天下なわけですので……そろそろ中に入りませんか?
兄上も汗をかいてますよ?
ほら、暑いじゃないですか?
「さて、これだけ英気が養われているのなら、僕達の相手ぐらい何の問題もないよね?」
「問題有り有りですよ。何でこんなくっそ熱い最中に、剣の訓練をする必要があるんですか?」
「もちろん、アレス君の剣を見るためですよ」
姉上様に背後を取られ、兄上と同じく剣を向けられていた。
この似た者夫婦め……とはいえ、ミーア達がそろそろ帰ってくる頃だ。ここで逃げ出せば、あとで何を言われるのかもわからない。
俺自身ですら忘れているようなことをネチネチと……というかね、いい加減にその首輪を捨ててくれませんかね?
「おやおや、何やら楽しそうなことをしているようだね?」
「ち、父上!?」
このタイミングでかよ……振り返る時にはすでに遅く、一撃が放たれていた。
相変わらずの攻撃速度に、シールドがあってもヒヤヒヤするぞ。
氷の剣を作り出し、防いでいる剣を薙ぎ払うも、当たり前のように回避される。
何でこんな事を……なんて思っていると、今度は頭上から攻撃をされていた。
「これはこれは旦那様。お早いお帰り何よりでございます」
「ただいま、セドラ」
「まてまて、なんでお前まで俺に攻撃をしてくるんだよ!」
季節は、夏。俺にとっては最悪の季節だ。
ただ居ると言うだけで汗は吹き出し、動くのがとても嫌になる時期だ。
しかし、ここは俺の実家だ。
あのムカつくダンジョンを攻略して帰ってきたが、父上も母上も兄夫婦すら居ない。まさに天国。
つまり、俺のやることにとやかく文句を言ってくる人間は少ない。
ベルを鳴らせば何時でも、俺の好きな物を持って来てくれる。
「ぷはっ。美味い」
夏にはやっぱりキンキンに冷えた飲み物だよな。
そして、氷魔法を使い部屋の温度を下げ、とても快適に過ごせている。
こんなに大々的にやった所で、俺のことは皆知っているから特に咎められることもない。
しかしまあ……体感温度の違いか、部屋に入ってきた使用人達は『寒い』と言うんだよな。
「しかし、こうも外が暑いと、ダンジョン生活のほうが絶対に楽だよな」
ダンジョンの中は意外と、寒くも暑くもない。
ジメジメとした感じもなくかなり過ごしやすい。
だけど今は、八月がもうすぐ終わる。
今から行ったとしても、またすぐに帰ってくる羽目になるから、かれこれ三日程こんな生活をしていた。
外に出る時は、エアシールドを使い空気熱は遮断できていたが、日光は別の物でしか遮ることは出来ない。そんな面倒なこともしたくはないので、晴れていると言うだけで、外には出ない。
誰かが帰ってくるまでの束の間のバカンスだ。
「アレス!」
兄上が部屋に入ってくると、窓を全開にしムワッとした空気が流れ込んでくる。
「あ、兄上。どうしました……」
俺は服を捕まれ、窓へ放り出された。
猛烈な熱が俺の体へとまとわり付いてくる。
「なんなんだ? うをっ」
「何時までこんな所で、のんびりしているのかな?」
空中で静止していると、突然置いてあった花瓶を投げつけられる。
あのですね、物は大切にしましょうか……花瓶だってただじゃないのですから。
窓に足をかけ、兄上は剣を抜いていた。
「あっつい。というか、一体何なんだよ」
「ちっ、外したか!」
エアシールドを展開し熱と兄上の剣撃を防ぐ。
地面に降り立った兄上は空中にいる俺に対して手招きをしている。
行きたくはないが……ここで放置すると後々面倒にもなる。最近居なかったのに……明日帰ってくるんじゃなかったのか?
「さて、アレス。君は何をしていたのかな?」
「きゅ、休憩ですかね?」
「君の休憩とは随分と長いね。知らなかったよ……それとも僕が居ないのを良いことに、あのような自堕落な生活をしていたというのかな?」
ええ、まあ……仰るとおりにございます。
というかですね、炎天下なわけですので……そろそろ中に入りませんか?
兄上も汗をかいてますよ?
ほら、暑いじゃないですか?
「さて、これだけ英気が養われているのなら、僕達の相手ぐらい何の問題もないよね?」
「問題有り有りですよ。何でこんなくっそ熱い最中に、剣の訓練をする必要があるんですか?」
「もちろん、アレス君の剣を見るためですよ」
姉上様に背後を取られ、兄上と同じく剣を向けられていた。
この似た者夫婦め……とはいえ、ミーア達がそろそろ帰ってくる頃だ。ここで逃げ出せば、あとで何を言われるのかもわからない。
俺自身ですら忘れているようなことをネチネチと……というかね、いい加減にその首輪を捨ててくれませんかね?
「おやおや、何やら楽しそうなことをしているようだね?」
「ち、父上!?」
このタイミングでかよ……振り返る時にはすでに遅く、一撃が放たれていた。
相変わらずの攻撃速度に、シールドがあってもヒヤヒヤするぞ。
氷の剣を作り出し、防いでいる剣を薙ぎ払うも、当たり前のように回避される。
何でこんな事を……なんて思っていると、今度は頭上から攻撃をされていた。
「これはこれは旦那様。お早いお帰り何よりでございます」
「ただいま、セドラ」
「まてまて、なんでお前まで俺に攻撃をしてくるんだよ!」
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