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強者討伐 失われた武器
237 婚約者はアレスよりも強い 1
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三人に連れられ、別室にある長椅子に座らされる。
パメラとメアリは隣へ座り、腕を力強く掴まれ離すつもりはないようだ。
ミーアは俺の前に立つが、何かをするわけもなくただ見下ろしている。
右へ左へと顔を動かしていると、隣りにいる二人に両頬を手で押さえられて上を向かせようとする。
「お、おい……」
ミーアは相変わらず無表情の俺を見ていた。
確かにそう褒められたことではなかったにしろ、それでも子供たちを助けたことに変わりはないだろ?
どういうことなんだ?
「ミーア? メアリにパメラも……何なんだよ」
俺の問いかけに何も答えるつもりはないのか返答が返って来ない。
ここで俺が怒るのは筋違いなんだろう。
それとも一緒にダンジョンに行けないことなのか?
その他にもなにか理由が……と、思い返しても何も思いつくことはない。
「そうだ、パメラ! 婚約受け入れてくれて嬉しかったぞ」
話題を変えようとしてみたが、パメラが腕を掴む手に力が入るだけで答えようともしない。
なんなんだよ、お前ら何時打ち合わせをしていたんだ?
「め、メアリは、さっきの魔法もすごかったが、上手く使えるようになったみたいだな」
なんて言っていたら、頬を抓られてしまう。パメラも同じように頬を抓られてしまい、これは選択ミスということなのか?
目の前に立っているのがミーアで、二人は顔を伏せている。
「ミーア……ええっと。その、会いたかったぞ?」
ミーアは少しだけ顎を引くだけだった。
お世辞か? 可愛いとか綺麗とかそういうのを言えば良いのか?
ここで失敗をすれば二人から、多分殴られかねない。
「もちろん、パメラやメアリもだぞ」
これでもだめなのか?
だいたい何をそんなに怒っていると言うんだ?
あれか……アスタロトでの戦いで結構な怪我をしていることか?
「本当に訳がわからないんだが、それとも、きょ……魔人との戦いで怪我をしていることが原因か?」
「魔人? 魔人と戦ったのですか?」
ミーアは、制服のボタンを外していき、包帯で巻かれている体をみて涙を流し始めた。
パメラが上着を取り、メアリは部屋から出て行った。
俺の体は回復魔法の光りに包まれると、少しだけ痛みが引いていく。
「ありがとうな。ミーア」
パメラは上着を細かく凝視をしている。
何をやっているんだ?
さっぱり分けが分からん。
「いかがでしょうか?」
「少しは楽になっているよ。わざわざ悪いな」
「私にはこの程度しかできませんから……一つお聞きしてもいいですか?」
隣に座り、頭を胸に預けている。
それだけで鼓動は当然早くなり、あの時の夜が思い返される。
「何をだ?」
「この包帯どなたが?」
「包帯? ああ、多分宿屋の人か、それとも拾ってくれたあのおっさんか?」
そう言えば誰が手当をしてくれたのかはわからない。お金も置いてきたことだし、それで納得してもらうしか無いだろう。
「ああ!! やっぱり! ほら、ここの所。直してある!」
そう言って、パメラはミーアを見せつけている。何をやっているのかと思えば、破れていたところを探していたのかよ。
そのぐらいサービスなんじゃないのか?
「アレス様、正直にお答えください」
「な、何をだ?」
「その助けて頂いた方と、宿の方以外に交流を持たれたような方は居られますか?」
交流?
ミーアの言葉の意図は何なんだ?
あの冒険者たちのこと? ビキニアーマーのおっさんか?
いや、それ以外ってことだから……。
「ああ。それなら、あの子供たちだな。たまたま立ち寄ったダンジョンで知り合ったって。さっき聞いただろ?」
「パメラはどう思われますか?」
「うん。大丈夫だと思う」
何が?
どういう事を聞きたかったと言うんだ?
魔人との怪我も特に何も聞かれない。かなり治っているから、それほど問題はないだろ?
「一体さっきのは何だったんだ?」
「あの子達が仲睦まじくてよかったですよ」
「そうですね。あの子達で本当に良かったです」
パメラとメアリは隣へ座り、腕を力強く掴まれ離すつもりはないようだ。
ミーアは俺の前に立つが、何かをするわけもなくただ見下ろしている。
右へ左へと顔を動かしていると、隣りにいる二人に両頬を手で押さえられて上を向かせようとする。
「お、おい……」
ミーアは相変わらず無表情の俺を見ていた。
確かにそう褒められたことではなかったにしろ、それでも子供たちを助けたことに変わりはないだろ?
どういうことなんだ?
「ミーア? メアリにパメラも……何なんだよ」
俺の問いかけに何も答えるつもりはないのか返答が返って来ない。
ここで俺が怒るのは筋違いなんだろう。
それとも一緒にダンジョンに行けないことなのか?
その他にもなにか理由が……と、思い返しても何も思いつくことはない。
「そうだ、パメラ! 婚約受け入れてくれて嬉しかったぞ」
話題を変えようとしてみたが、パメラが腕を掴む手に力が入るだけで答えようともしない。
なんなんだよ、お前ら何時打ち合わせをしていたんだ?
「め、メアリは、さっきの魔法もすごかったが、上手く使えるようになったみたいだな」
なんて言っていたら、頬を抓られてしまう。パメラも同じように頬を抓られてしまい、これは選択ミスということなのか?
目の前に立っているのがミーアで、二人は顔を伏せている。
「ミーア……ええっと。その、会いたかったぞ?」
ミーアは少しだけ顎を引くだけだった。
お世辞か? 可愛いとか綺麗とかそういうのを言えば良いのか?
ここで失敗をすれば二人から、多分殴られかねない。
「もちろん、パメラやメアリもだぞ」
これでもだめなのか?
だいたい何をそんなに怒っていると言うんだ?
あれか……アスタロトでの戦いで結構な怪我をしていることか?
「本当に訳がわからないんだが、それとも、きょ……魔人との戦いで怪我をしていることが原因か?」
「魔人? 魔人と戦ったのですか?」
ミーアは、制服のボタンを外していき、包帯で巻かれている体をみて涙を流し始めた。
パメラが上着を取り、メアリは部屋から出て行った。
俺の体は回復魔法の光りに包まれると、少しだけ痛みが引いていく。
「ありがとうな。ミーア」
パメラは上着を細かく凝視をしている。
何をやっているんだ?
さっぱり分けが分からん。
「いかがでしょうか?」
「少しは楽になっているよ。わざわざ悪いな」
「私にはこの程度しかできませんから……一つお聞きしてもいいですか?」
隣に座り、頭を胸に預けている。
それだけで鼓動は当然早くなり、あの時の夜が思い返される。
「何をだ?」
「この包帯どなたが?」
「包帯? ああ、多分宿屋の人か、それとも拾ってくれたあのおっさんか?」
そう言えば誰が手当をしてくれたのかはわからない。お金も置いてきたことだし、それで納得してもらうしか無いだろう。
「ああ!! やっぱり! ほら、ここの所。直してある!」
そう言って、パメラはミーアを見せつけている。何をやっているのかと思えば、破れていたところを探していたのかよ。
そのぐらいサービスなんじゃないのか?
「アレス様、正直にお答えください」
「な、何をだ?」
「その助けて頂いた方と、宿の方以外に交流を持たれたような方は居られますか?」
交流?
ミーアの言葉の意図は何なんだ?
あの冒険者たちのこと? ビキニアーマーのおっさんか?
いや、それ以外ってことだから……。
「ああ。それなら、あの子供たちだな。たまたま立ち寄ったダンジョンで知り合ったって。さっき聞いただろ?」
「パメラはどう思われますか?」
「うん。大丈夫だと思う」
何が?
どういう事を聞きたかったと言うんだ?
魔人との怪我も特に何も聞かれない。かなり治っているから、それほど問題はないだろ?
「一体さっきのは何だったんだ?」
「あの子達が仲睦まじくてよかったですよ」
「そうですね。あの子達で本当に良かったです」
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