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強者討伐 失われた武器
234 アレスの悪行 1
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門を通り、見慣れた屋敷へと向かう。
四人はキョロキョロと辺りを見渡している。貴族の屋敷に来るなんてまず無いだろうから、気になるのも当然だよな。
仮に走り回ったとしても別にいいのだが……いくら子供とは言え、そういうのに遠慮してしまうのだろうな。
「あら? アレス君?」
俺はその声に、体が自然と強張る。
庭の花壇から顔を覗かせている。以前と同じように姉上様が花を見ているようだった。
げっ、と言いそうになったのをなんとか飲み込む。
「姉上様……えっと、父上は?」
「まずはただいまでしょ?」
子供たちは揃いも揃って、俺の後ろに隠れている。お前達にも分かるんだな、あの笑顔の裏にある邪悪なものを……。
「ただいま姉上様。それで? 父上は?」
「はぁ。おかえりなさい。お父様でしたら執務室にいらっしゃいますよ。そんなことよりも、その子達は?」
四人のことを軽く紹介して、中へ入るが珍しくホールには誰の姿もなかった。
どういう事だ? 索敵を展開していくとミーアたちだけでなく兄上も居ないようだった。
父上は執務室だけど……それに、こんなにも使用人が居ないんだ?
普段であればもっといるはずなのに、何かあったのだろうか?
気になりつつも、執務室の扉をノックする。
「アレスです」
「いいよ。入りなさい」
あれ?
なんだかすごく嫌な笑い方をしているのだけど……今思えばかなりおかしいぞ?
ヘーバイン公爵が来ているというのなら、魔力量の大きさからしてすぐに存在は分かるようなものだよな?
分かっていたことだけどここには父上だけしか居ない。
だとするのなら、町にでも行っているということなのか?
そんなことよりも、俺がここに来るとしても問題はないはず。それなのに、あの父上の様子からして、多分怒っているようにも見える。
この子達と一緒だから……ってわけでもないか、最初からああだったし。
俺の体の大きさからして、子供たちの姿は見えにくい。それなのに、父上は俺に対して普段見せない顔をしていた。
「お前ら……俺の父上、アーク・ローバンだ。挨拶をしてくれ」
「おや、その子達は?」
子供たちを中へ入れると、父上の表情は一変する。あのベールですら背筋を伸ばしている。相当緊張しているようだな。
父上の表情は柔らかく、子供たちの言葉にちゃんと受け答えをしていた。
さっきのは気のせいだろうか?
「うん、元気があっていいね。でも、少し汚れているようだね。ちょっとだけ、待っててくれるかな」
ベルを鳴らし、やってきたメイドに子供たちを預け、部屋から出て行ったところで父上は俺の両肩をがっしりと掴まれた。
その場で座れと言わんばかりに、下へと力を込められる。
やっぱりかと、俺は抵抗することもなく正座をした。
しかしだ、俺には秘訣があるのだから、父上だってそう簡単に怒ることはないだろう。
「アレス。なぜ君がここにいて、あの子達は一体どうしたのかな?」
これまでの経緯を説明していくのだけど、父上も本棚にある辞書を取り出し、俺の頭の上でポンポンと軽く叩いていた。
「ほら、続けるんだ」
もはや父上が持っているのは、本ではなく打撃系の武器だ。俺はそう確信をして、あの宿屋の一件もかなり誤魔化しつつ話していると、鋭い衝撃がゴンと音を立てて脳天を直撃する。
本の背で殴りつけるとか、何を考えているんだよ!
痛みに頭を抑えながらのたうち回る。
馬鹿じゃねぇの……少しぐらい加減してくれよ。
「ほら、早く続きを言いなさい」
転がる俺を踏みつけ、父上は手に持っている本を高々に上げている。
痛みに耐えつつ、姿勢を正す。
「ううっ。理不尽すぎる」
父上は顔色一つ変えずに、あの極悪な辞書を手放さない。
あんなので叩かれて平然としていられるはずないだろう?
結局説教は、子供たちが湯浴みを済ませ、そして食事を終えるまで続いていた。
たった一撃だったが、未だ頭が痛い……。
「それで? あの子達はどうするつもりなんだい?」
一度こっちに戻ってきた子供たちは、今は姉上様が面倒を見てくれている。
余計なことを教えていないといいのだけど……。
四人はキョロキョロと辺りを見渡している。貴族の屋敷に来るなんてまず無いだろうから、気になるのも当然だよな。
仮に走り回ったとしても別にいいのだが……いくら子供とは言え、そういうのに遠慮してしまうのだろうな。
「あら? アレス君?」
俺はその声に、体が自然と強張る。
庭の花壇から顔を覗かせている。以前と同じように姉上様が花を見ているようだった。
げっ、と言いそうになったのをなんとか飲み込む。
「姉上様……えっと、父上は?」
「まずはただいまでしょ?」
子供たちは揃いも揃って、俺の後ろに隠れている。お前達にも分かるんだな、あの笑顔の裏にある邪悪なものを……。
「ただいま姉上様。それで? 父上は?」
「はぁ。おかえりなさい。お父様でしたら執務室にいらっしゃいますよ。そんなことよりも、その子達は?」
四人のことを軽く紹介して、中へ入るが珍しくホールには誰の姿もなかった。
どういう事だ? 索敵を展開していくとミーアたちだけでなく兄上も居ないようだった。
父上は執務室だけど……それに、こんなにも使用人が居ないんだ?
普段であればもっといるはずなのに、何かあったのだろうか?
気になりつつも、執務室の扉をノックする。
「アレスです」
「いいよ。入りなさい」
あれ?
なんだかすごく嫌な笑い方をしているのだけど……今思えばかなりおかしいぞ?
ヘーバイン公爵が来ているというのなら、魔力量の大きさからしてすぐに存在は分かるようなものだよな?
分かっていたことだけどここには父上だけしか居ない。
だとするのなら、町にでも行っているということなのか?
そんなことよりも、俺がここに来るとしても問題はないはず。それなのに、あの父上の様子からして、多分怒っているようにも見える。
この子達と一緒だから……ってわけでもないか、最初からああだったし。
俺の体の大きさからして、子供たちの姿は見えにくい。それなのに、父上は俺に対して普段見せない顔をしていた。
「お前ら……俺の父上、アーク・ローバンだ。挨拶をしてくれ」
「おや、その子達は?」
子供たちを中へ入れると、父上の表情は一変する。あのベールですら背筋を伸ばしている。相当緊張しているようだな。
父上の表情は柔らかく、子供たちの言葉にちゃんと受け答えをしていた。
さっきのは気のせいだろうか?
「うん、元気があっていいね。でも、少し汚れているようだね。ちょっとだけ、待っててくれるかな」
ベルを鳴らし、やってきたメイドに子供たちを預け、部屋から出て行ったところで父上は俺の両肩をがっしりと掴まれた。
その場で座れと言わんばかりに、下へと力を込められる。
やっぱりかと、俺は抵抗することもなく正座をした。
しかしだ、俺には秘訣があるのだから、父上だってそう簡単に怒ることはないだろう。
「アレス。なぜ君がここにいて、あの子達は一体どうしたのかな?」
これまでの経緯を説明していくのだけど、父上も本棚にある辞書を取り出し、俺の頭の上でポンポンと軽く叩いていた。
「ほら、続けるんだ」
もはや父上が持っているのは、本ではなく打撃系の武器だ。俺はそう確信をして、あの宿屋の一件もかなり誤魔化しつつ話していると、鋭い衝撃がゴンと音を立てて脳天を直撃する。
本の背で殴りつけるとか、何を考えているんだよ!
痛みに頭を抑えながらのたうち回る。
馬鹿じゃねぇの……少しぐらい加減してくれよ。
「ほら、早く続きを言いなさい」
転がる俺を踏みつけ、父上は手に持っている本を高々に上げている。
痛みに耐えつつ、姿勢を正す。
「ううっ。理不尽すぎる」
父上は顔色一つ変えずに、あの極悪な辞書を手放さない。
あんなので叩かれて平然としていられるはずないだろう?
結局説教は、子供たちが湯浴みを済ませ、そして食事を終えるまで続いていた。
たった一撃だったが、未だ頭が痛い……。
「それで? あの子達はどうするつもりなんだい?」
一度こっちに戻ってきた子供たちは、今は姉上様が面倒を見てくれている。
余計なことを教えていないといいのだけど……。
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