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強者討伐 失われた武器
228 幼い冒険者 1
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皆が寝静まり、索敵を展開し周囲の状況を確認する。
両隣に分かれて俺を監視しているのか……随分と厳重なことだな。
支払いとしてテーブルには五枚の金貨を置いて行くことにした。
窓を開けると冷たい風が室内に入ってくる。
「まだ、少し寒いな」
夜だから当たり前で、外から窓を締めゆっくりと上昇する。
ある程度上昇した所でエアシールドを展開する。流石にかなり冷えてくるのでこれがないと辛い。
ローバンに向けて一気に加速する。
ロンギヌスを持っているから、デメリットが発動するかと思ったが、ここがダンジョンではないからだろうか?
この武器の効果は、相手の防御無視で素早さがゼロになるというものだ。
今更だが、これを体内に取り込んでいたアスタロトの攻撃が防げなかった理由だろうか?
ちょうどダンジョンが有ったので、俺はロンギヌスの性能を試すことにした。
「本当にダンジョンの多い世界だ」
ダンジョンに入って数分でここに来たことを後悔していた。
ロンギヌスのテストのためにやってきたのだが……ここにいる魔物は虫系だったのだ。
そして、索敵を展開すると、見てしまったものはしょうがないし、何もしないままだと後味が悪い。
不格好に槍を振り回し、魔物に攻撃を繰り出すが当たりはするが、トドメにはならない。
エアスラッシュを放つと魔物は次々と塵となって消えていく。
特にデメリットはないような気がする……剣が使えるのなら剣を装備する。槍を使ったこともない俺が、これを装備していると言えるのだろうか?
それにしても、こんな時間だと言うのに……何でこういうのに遭遇するんだろうな。
「よう、応援は必要か?」
「「は?」」
前で戦っていた二人は、俺を不思議そうに見て気の抜けた声を出していた。
ここで横槍を入れてしまえば報酬は俺のものになってしまう。緊急時でないのであれば、手を出さないのが冒険者としてのマナーだ。
その話をここにいる連中に適応できるのか、分からないのだけど、な。
「いやこの状況を見れば分かるだろ?」
「ええっと……」
奥には一人が倒れていて、懸命に回復魔法をかけている。
前衛の二人はまだまだ大丈夫なのか?
俺ならこの程度は問題はないし……だからと言ってこのままというわけには行かないよな。
「ああ、なるほど。んじゃ、頑張れよ!」
「何でだよ! いいから手伝え! 怪我人がいるんだよ! 見りゃ分かんだろ!」
「了解だ」
「お願いします」
二人の前に割って入り、俺はロンギヌスを左手に持ち、刀身が折れている剣を抜いた。
さっきからやかましい冒険者は「あほか!」とすかさずツッコミを入れてきた。
「そんなに声を出していると、ワラワラと寄ってくるぞ?」
口を今更手で塞いでも仕方ないだろう?
槍を振り回し、攻撃を繰り出すものの無駄に扱いづらい。
ハルバードのように斧でも付いているのなら、薙ぎ払えるがコイツは本当に突くだけに特化しているのか?
斬りつけようにも刃先がかなり短い。
「な、何やっているんだよ?」
確かに……まあ、デメリットは無さそうだから、これぐらいでいいか。
折れた剣に、氷の大剣を作り出し虫を両断する。
奥からやってきている魔物も同様に倒していく。
「な、何だよそれ」
「あれは、氷魔法の付与ですよ」
「じゃあ何で槍を持っているんだよ!」
「使ったことがなかったからな。それで、どんなのかな……と思っただけです」
皆同年代のようだし、同じ街の出身のようだな。
戦っていた二人は剣を鞘に戻すこともなくそのまま座り込み、よほど疲れていたのか、一人は仰向けになっていた。
「ありがとうございました」
「いえいえ。どうぞ、これを使ってください」
収納から小瓶を取り出す。
両隣に分かれて俺を監視しているのか……随分と厳重なことだな。
支払いとしてテーブルには五枚の金貨を置いて行くことにした。
窓を開けると冷たい風が室内に入ってくる。
「まだ、少し寒いな」
夜だから当たり前で、外から窓を締めゆっくりと上昇する。
ある程度上昇した所でエアシールドを展開する。流石にかなり冷えてくるのでこれがないと辛い。
ローバンに向けて一気に加速する。
ロンギヌスを持っているから、デメリットが発動するかと思ったが、ここがダンジョンではないからだろうか?
この武器の効果は、相手の防御無視で素早さがゼロになるというものだ。
今更だが、これを体内に取り込んでいたアスタロトの攻撃が防げなかった理由だろうか?
ちょうどダンジョンが有ったので、俺はロンギヌスの性能を試すことにした。
「本当にダンジョンの多い世界だ」
ダンジョンに入って数分でここに来たことを後悔していた。
ロンギヌスのテストのためにやってきたのだが……ここにいる魔物は虫系だったのだ。
そして、索敵を展開すると、見てしまったものはしょうがないし、何もしないままだと後味が悪い。
不格好に槍を振り回し、魔物に攻撃を繰り出すが当たりはするが、トドメにはならない。
エアスラッシュを放つと魔物は次々と塵となって消えていく。
特にデメリットはないような気がする……剣が使えるのなら剣を装備する。槍を使ったこともない俺が、これを装備していると言えるのだろうか?
それにしても、こんな時間だと言うのに……何でこういうのに遭遇するんだろうな。
「よう、応援は必要か?」
「「は?」」
前で戦っていた二人は、俺を不思議そうに見て気の抜けた声を出していた。
ここで横槍を入れてしまえば報酬は俺のものになってしまう。緊急時でないのであれば、手を出さないのが冒険者としてのマナーだ。
その話をここにいる連中に適応できるのか、分からないのだけど、な。
「いやこの状況を見れば分かるだろ?」
「ええっと……」
奥には一人が倒れていて、懸命に回復魔法をかけている。
前衛の二人はまだまだ大丈夫なのか?
俺ならこの程度は問題はないし……だからと言ってこのままというわけには行かないよな。
「ああ、なるほど。んじゃ、頑張れよ!」
「何でだよ! いいから手伝え! 怪我人がいるんだよ! 見りゃ分かんだろ!」
「了解だ」
「お願いします」
二人の前に割って入り、俺はロンギヌスを左手に持ち、刀身が折れている剣を抜いた。
さっきからやかましい冒険者は「あほか!」とすかさずツッコミを入れてきた。
「そんなに声を出していると、ワラワラと寄ってくるぞ?」
口を今更手で塞いでも仕方ないだろう?
槍を振り回し、攻撃を繰り出すものの無駄に扱いづらい。
ハルバードのように斧でも付いているのなら、薙ぎ払えるがコイツは本当に突くだけに特化しているのか?
斬りつけようにも刃先がかなり短い。
「な、何やっているんだよ?」
確かに……まあ、デメリットは無さそうだから、これぐらいでいいか。
折れた剣に、氷の大剣を作り出し虫を両断する。
奥からやってきている魔物も同様に倒していく。
「な、何だよそれ」
「あれは、氷魔法の付与ですよ」
「じゃあ何で槍を持っているんだよ!」
「使ったことがなかったからな。それで、どんなのかな……と思っただけです」
皆同年代のようだし、同じ街の出身のようだな。
戦っていた二人は剣を鞘に戻すこともなくそのまま座り込み、よほど疲れていたのか、一人は仰向けになっていた。
「ありがとうございました」
「いえいえ。どうぞ、これを使ってください」
収納から小瓶を取り出す。
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