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強者討伐 失われた武器
208 頼み事なら何でも 1
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ヘーバイン公爵家の屋敷へ連行された俺は、一人応接室で待たされていた。
久しぶりに味わうまともな食事を頂きながら。
贅沢を言えば、ちまちましたものではなく豪快に持ってきてくれると嬉しいのだけどな。
バセルトンのような濃いめの味付けではなかったが、それでも十分美味い。
とはいえ、三回目のおかわりで侍女からはストップがかかり、お茶を飲みながら寛いでいる所だ。
「すみませんが、父上は……いえ、何でも無いです」
父上のことを聞こうかと思ったら、澄ましていた侍女は急に俺を軽蔑の眼差しで見てくるので、聞くのを止めた……流石におかわりをしすぎたようだな。
あんな目をされたのは、姉上の所にいた侍女のことが思い浮かぶ。
今のはきっと、黙って待っていろということなんだろう。
あまり変な報告をされていないといいのだけど……。
魔力の大きさからして、この上にいるのがヘーバイン公爵なのか?
ラティファと同じく魔法に優れた家って設定だったはず。
悪役令嬢の母親か……一体どんな人なんだろう。
「お、話はそろそろ終わったのか」
「は? 何かございましたか?」
「いえ、ただの独り言です」
つい口から出てしまっていた。
ただこうやって待っているのが、暇で魔力感知で人の動きを観察するしかやることがない。
それにしても、あの反応は多分父上だよな?
宿で待っているはずじゃなかったのか?
「お待たせしてしまって申し訳ないですわね」
なんというか、こいつが本当にラティファの母親なのか?
見た目からして姉と言われても十分通用しそうだよな。ラティファと同じ銀髪をしているが、母親の戦闘力からして娘には遺伝が作用していないらしいな。
「いえいえ、お会いできて嬉しく思います。ローバン公爵家次男のアレスです」
「私としては初めてではないのですか。大きくなりましたね」
子供の頃から比べて色んな意味で大きくなっているから、どっちの意味なのか両方なのか判断に困るな。
それにしても、この魔力量。ラティファが見せていたあの時の強さからして、この人が魔法に関して色々と教えていたのだろうか?
俺にもこんな人がいれば、今よりももっと魔法に関して強くなれていたのか?
「いまいち分からないのですが……あのダンジョンには一体何が? 父上からは要請があったとか、そんな事を聞かされました」
「そうね。それは貴方のご……お父上を交えて話をしましょうか?」
なんだろうか……後の続きは何なんだ?
ご? ごから始まる父親に対しての言い回しなんてあるのか?
それと、一瞬すごく嫌な顔をした用に見えたけど。すぐに扇子で隠されたから分からなかった。
ローバン家とヘーバイン家の間に一体何があったと言うんだ?
「まずは、あのお父上の所へと向かいましょうか」
「はい」
あのお父上? 一体全体、何がどうなっているのかさっぱりだな。
別の部屋に案内される。
入口の扉は木ではなく鉄で作られており、厳重に何個もの鍵によって施錠されている。
それだけではなく、左右には大きな二本の角材によって中からは開かないようにされている。
これだとまるで隔離だな……。
重々しい扉が開くと、椅子に項垂れていた。
俺と目が合うと、驚いた表情を浮かべている。
窓も鉄格子だし……何なんだここは?
「アレス!? お、おかえり」
「なんだかここ数日で、窶れていないか?」
「聞いてくれアレス……」
何かが飛んできたので、瞬時にシールドを張り、弾き飛ばされた何かが天井に突き刺さる。
この感じ……魔力糸か?
ヘーバイン公爵もこれを使うことが出来るとはな……。だけどいきなり攻撃してくるとは、どういうことなんだ?
この内装は普通の客室だが、ここからは何も出来ないように隔離されている。
「驚いたわ、アレを回避できるだなんて」
父上の盾になり、クリムゾンブレイドを具現化する。
いくら公爵家とは言え、こんな事は到底許せるものではない。
久しぶりに味わうまともな食事を頂きながら。
贅沢を言えば、ちまちましたものではなく豪快に持ってきてくれると嬉しいのだけどな。
バセルトンのような濃いめの味付けではなかったが、それでも十分美味い。
とはいえ、三回目のおかわりで侍女からはストップがかかり、お茶を飲みながら寛いでいる所だ。
「すみませんが、父上は……いえ、何でも無いです」
父上のことを聞こうかと思ったら、澄ましていた侍女は急に俺を軽蔑の眼差しで見てくるので、聞くのを止めた……流石におかわりをしすぎたようだな。
あんな目をされたのは、姉上の所にいた侍女のことが思い浮かぶ。
今のはきっと、黙って待っていろということなんだろう。
あまり変な報告をされていないといいのだけど……。
魔力の大きさからして、この上にいるのがヘーバイン公爵なのか?
ラティファと同じく魔法に優れた家って設定だったはず。
悪役令嬢の母親か……一体どんな人なんだろう。
「お、話はそろそろ終わったのか」
「は? 何かございましたか?」
「いえ、ただの独り言です」
つい口から出てしまっていた。
ただこうやって待っているのが、暇で魔力感知で人の動きを観察するしかやることがない。
それにしても、あの反応は多分父上だよな?
宿で待っているはずじゃなかったのか?
「お待たせしてしまって申し訳ないですわね」
なんというか、こいつが本当にラティファの母親なのか?
見た目からして姉と言われても十分通用しそうだよな。ラティファと同じ銀髪をしているが、母親の戦闘力からして娘には遺伝が作用していないらしいな。
「いえいえ、お会いできて嬉しく思います。ローバン公爵家次男のアレスです」
「私としては初めてではないのですか。大きくなりましたね」
子供の頃から比べて色んな意味で大きくなっているから、どっちの意味なのか両方なのか判断に困るな。
それにしても、この魔力量。ラティファが見せていたあの時の強さからして、この人が魔法に関して色々と教えていたのだろうか?
俺にもこんな人がいれば、今よりももっと魔法に関して強くなれていたのか?
「いまいち分からないのですが……あのダンジョンには一体何が? 父上からは要請があったとか、そんな事を聞かされました」
「そうね。それは貴方のご……お父上を交えて話をしましょうか?」
なんだろうか……後の続きは何なんだ?
ご? ごから始まる父親に対しての言い回しなんてあるのか?
それと、一瞬すごく嫌な顔をした用に見えたけど。すぐに扇子で隠されたから分からなかった。
ローバン家とヘーバイン家の間に一体何があったと言うんだ?
「まずは、あのお父上の所へと向かいましょうか」
「はい」
あのお父上? 一体全体、何がどうなっているのかさっぱりだな。
別の部屋に案内される。
入口の扉は木ではなく鉄で作られており、厳重に何個もの鍵によって施錠されている。
それだけではなく、左右には大きな二本の角材によって中からは開かないようにされている。
これだとまるで隔離だな……。
重々しい扉が開くと、椅子に項垂れていた。
俺と目が合うと、驚いた表情を浮かべている。
窓も鉄格子だし……何なんだここは?
「アレス!? お、おかえり」
「なんだかここ数日で、窶れていないか?」
「聞いてくれアレス……」
何かが飛んできたので、瞬時にシールドを張り、弾き飛ばされた何かが天井に突き刺さる。
この感じ……魔力糸か?
ヘーバイン公爵もこれを使うことが出来るとはな……。だけどいきなり攻撃してくるとは、どういうことなんだ?
この内装は普通の客室だが、ここからは何も出来ないように隔離されている。
「驚いたわ、アレを回避できるだなんて」
父上の盾になり、クリムゾンブレイドを具現化する。
いくら公爵家とは言え、こんな事は到底許せるものではない。
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