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ラカトリア学園 高等部
113 馬は大切にしよう 1
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「そんな事……ありえないじゃない」
レフリアがそういうのも最もだ。
だけど……この二人からすればその程度でしか無い。
「どうやらまだ寝ているようだね」
「レフリア。あまり口を出さないほうがいい……死ぬぞ」
ニコニコと笑う二人を前に、余計なことを言えば本当にどうなるか分かったものじゃない。
まさに善人の皮を被った極悪人でしかない。
「なにを、考えているのかな?」
「い、いえ……ローバン公爵の関与、時間稼ぎでの隠蔽工作。ロンダリア伯爵からの進言で、バセルトンが出てくる?」
考えがまとまらない……あと何がある?
「父上。アレスには少々難しいようなので。厳罰の引き上げを要請します」
「却下します」
「そうだね。検討しようか」
なんなんだよ……お前ら絶対に黙っていろよ。
はぁ、俺ってこれから何をさせられるんだ?
「いいかい? 最悪を考えるんだ、ダンジョンを放置するということ。そこから繋がるのはアレス・ローバンによる。各町の壊滅」
「確かに……本当に最悪ですね」
「ダンジョンの暴走で、何かを目論んでいたのだろうけど君が現れたことで何かしらの計画が頓挫したのだから、その火の粉は君に降りかかるだろうね」
しかし、あの街を消すことで誰が得をする?
魔物に立ち向かえるのは貴族や冒険者だ。一体何の得が生まれる?
「まさか……な」
「いいよ、言ってごらん」
「暴走こそが証拠の隠滅になるのではと……度重なる重税、その後にあった徴収という強奪。それをダンジョンの暴走で隠蔽させる。兄上が仰った俺が街を壊滅させたというのはこのことですね?」
「うん。正解だ。これからどうすれば分かるかい?」
「今はまだなんとも……」
兄上の手が剣の柄を握っている……俺は二人と違ってこういうことは苦手なんだよ。
だけど、二人の言葉にばそれなりの信憑性も感じてしまう。
「申し訳ございません」
兄上の考えている通りであれば、俺一人だけで済む話にはならないだろう。
あれだけの惨状なら、それほど難しいことではない。
今の俺に何が出来る?
「考えはまとまったかい?」
「いえ、何も……」
「なら仕方がない。君への処罰を遂行して貰うよ」
「まっ、待ってください。仮にお父様がそのようなことに関与していたとしても、アレスが処罰を受けるというのは……」
「大丈夫だよ。あの子、殺そうとしてもすぐには死なないから。君達はここでゆっくりと過ごしてくれているだけでいいからね」
それは一体、どういう意味なんでしょうか?
死ぬ気で何かをさせられるってレベルなの?
二人に関しては、父上がそういうのなら二人の身柄は大丈夫だろう。
そんなことよりも俺はどうなってもいいの?
「二人共、悪かったな。俺の勝手な行動でこんな事に……すまなかった」
「君は何も悪いことなんてしていないよ。僕に出来ることがあれば、アレスの処罰を軽くしてください。お願いします」
「私からもお願いします」
「そう、そこまで言われると僕も折れるしか無いね」
あ、これ絶対に嘘だ。あ……はい、黙ってます。
二人がそういうのを見越しているよ絶対に。
腹黒いのは相変わらず健在なんだな……あ、はい。兄上、剣から手を離しませんか?
「さて、アレス。君の罰は僕が良いと言うまで寝ないこと。良いね?」
「何をさせるつもりですか?」
「君はこの木箱を担いでここまで飛んできたらしいね」
「そうですが?」
「ハルトくんちょっといいかな?」
「はい」
庭へと出ると、父上が用意していたコテージの中に入れられ、そのコテージを移動させるように命じてきた。
そのコテージは俺が持っていたものよりも大きい。
まさか……俺が運ぶのか?
「上手く行けば良いのだけど……」
なんだこれ、俺が持っているコテージなんかよりも何倍も重いぞ。
レフリアがそういうのも最もだ。
だけど……この二人からすればその程度でしか無い。
「どうやらまだ寝ているようだね」
「レフリア。あまり口を出さないほうがいい……死ぬぞ」
ニコニコと笑う二人を前に、余計なことを言えば本当にどうなるか分かったものじゃない。
まさに善人の皮を被った極悪人でしかない。
「なにを、考えているのかな?」
「い、いえ……ローバン公爵の関与、時間稼ぎでの隠蔽工作。ロンダリア伯爵からの進言で、バセルトンが出てくる?」
考えがまとまらない……あと何がある?
「父上。アレスには少々難しいようなので。厳罰の引き上げを要請します」
「却下します」
「そうだね。検討しようか」
なんなんだよ……お前ら絶対に黙っていろよ。
はぁ、俺ってこれから何をさせられるんだ?
「いいかい? 最悪を考えるんだ、ダンジョンを放置するということ。そこから繋がるのはアレス・ローバンによる。各町の壊滅」
「確かに……本当に最悪ですね」
「ダンジョンの暴走で、何かを目論んでいたのだろうけど君が現れたことで何かしらの計画が頓挫したのだから、その火の粉は君に降りかかるだろうね」
しかし、あの街を消すことで誰が得をする?
魔物に立ち向かえるのは貴族や冒険者だ。一体何の得が生まれる?
「まさか……な」
「いいよ、言ってごらん」
「暴走こそが証拠の隠滅になるのではと……度重なる重税、その後にあった徴収という強奪。それをダンジョンの暴走で隠蔽させる。兄上が仰った俺が街を壊滅させたというのはこのことですね?」
「うん。正解だ。これからどうすれば分かるかい?」
「今はまだなんとも……」
兄上の手が剣の柄を握っている……俺は二人と違ってこういうことは苦手なんだよ。
だけど、二人の言葉にばそれなりの信憑性も感じてしまう。
「申し訳ございません」
兄上の考えている通りであれば、俺一人だけで済む話にはならないだろう。
あれだけの惨状なら、それほど難しいことではない。
今の俺に何が出来る?
「考えはまとまったかい?」
「いえ、何も……」
「なら仕方がない。君への処罰を遂行して貰うよ」
「まっ、待ってください。仮にお父様がそのようなことに関与していたとしても、アレスが処罰を受けるというのは……」
「大丈夫だよ。あの子、殺そうとしてもすぐには死なないから。君達はここでゆっくりと過ごしてくれているだけでいいからね」
それは一体、どういう意味なんでしょうか?
死ぬ気で何かをさせられるってレベルなの?
二人に関しては、父上がそういうのなら二人の身柄は大丈夫だろう。
そんなことよりも俺はどうなってもいいの?
「二人共、悪かったな。俺の勝手な行動でこんな事に……すまなかった」
「君は何も悪いことなんてしていないよ。僕に出来ることがあれば、アレスの処罰を軽くしてください。お願いします」
「私からもお願いします」
「そう、そこまで言われると僕も折れるしか無いね」
あ、これ絶対に嘘だ。あ……はい、黙ってます。
二人がそういうのを見越しているよ絶対に。
腹黒いのは相変わらず健在なんだな……あ、はい。兄上、剣から手を離しませんか?
「さて、アレス。君の罰は僕が良いと言うまで寝ないこと。良いね?」
「何をさせるつもりですか?」
「君はこの木箱を担いでここまで飛んできたらしいね」
「そうですが?」
「ハルトくんちょっといいかな?」
「はい」
庭へと出ると、父上が用意していたコテージの中に入れられ、そのコテージを移動させるように命じてきた。
そのコテージは俺が持っていたものよりも大きい。
まさか……俺が運ぶのか?
「上手く行けば良いのだけど……」
なんだこれ、俺が持っているコテージなんかよりも何倍も重いぞ。
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