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ラカトリア学園 高等部
80 アレスの強さが分からない 1
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「二人共待たせたか?」
「そりゃ待っていたわよ。どっかの馬鹿が謹慎なんてしていたから」
開口一番酷い言われようである。
事実だからあえて何も言わないが……というよりも反論をすればきっと、さらに酷いことを言われそうだ。
「おはようございます、レフリア様」
「おはようー」
パメラはやっぱり朝が弱いみたいだな。
今日は朝から移動だと言うのに、ミーアに布団を剥ぎ取られるまで寝ていたのだからな。
「ハルト。どうだ?」
「どうって何が? ああ、剣のことかい?」
「何って、レフリアとの仲のことだと思ったのか? そんなの俺が……くぶっ、なんでも無いから、それを仕舞ってくれないか?」
俺がそういうと、耳まで真っ赤にしたハルトから腹に一発貰ってしまう。
何で殴られるんだよ……前から思っていたけど、お前って意外と手が出るタイプだな。
何も言わず、あのでかい剣をブンブン振り回して大丈夫だとでも言っているのか? それともただの照れ隠しのつもりか?
この二人は俺に対して手が出るのが早すぎないか?
「ハルト、少し落ち着け。危ないからそんな物を振り回すな。まあ、それを振り回せる事を言いたいのか? そういうことなのか?」
「アレス様。もどかしいのは私も重々承知しておりますが、そのような事を軽々しく言うものではありませんわ。ね?」
そう言うミーアは、レフリアに視線を向ける。逞しくなったな、以前ならこういった話は避けてきたはずなのに……俺達の視線に気がついたレフリアも顔を赤くしている。
ハルトは未だに遠くでクレイモアを振り回していた。
「今は関係ないでしょ? と、とにかく、私達はアンタの強さをまだ知らないんだし。とりあえず実力を見せてよ」
「それは構わないが……何処に行くつもりなんだ?」
「ミーカトよ」
分かってはいたがやっぱりそうなるよな。ミーカトダンジョンもあの日以来になるんだな。今頃、ラティファは何処まで行っているのだろうか?
初級ではやたらと騒いでいたあの王子にも会ってないな。
王子という待遇もあるのだから、無茶なことにはなっていないだろう。
「あの馬車で向かうのだけど、そろそろ出発だから離れないようにしてね」
見た所乗り合いの馬車のようだな。
ゲームでもそれなりの日数がかかっていたが、こういうもので移動しているんだよな。
俺一人だけなら飛んで行けなくもないけど……今は付き合うしか無いよな。
「ハルト、お前のことだから馬車に乗らず走ってくるものだと思っていたぞ」
「何で僕がそんな事をしないといけないのさ」
「腕だけじゃなくて、足も鍛えれば大剣の反動も制御できるかもしれないだろ?」
なんて冗談を言ってみたのだが……本当に走っているぞアイツ。
どれだけ元気なんだよ。
「アイスブロック」
まだまだ余裕を見せるハルトに、俺はあえて足に重りになるように氷の魔法をかける。
「アレス! これはいくら何でもきついよ」
「何だったら、手にも重りを付けるか?」
息も絶え絶えなハルトを見て笑っていたのだが、俺は背中を蹴られてしまい馬車から転がり落ちる。
走り去っていく馬車には、俺の見下すレフリアの姿が見えていた。
いきなり何をするんだ!
「アーーレス!!」
「まっ、待て。ハルト! こっちに来るな!」
俺は落とされたことで、ハルトからの奇襲を受けていた。
捕まれば何をされるかわからないので、追いかけてくるのなら走って逃げるしか無い。
「追いついたよ、アレス」
「げっ、何でその重りをつけているのに……捕まってたまるか、ブレイブオーラ」
強化魔法を使い、馬車へと一気に走り込む。
縁を掴み、座っていた所へと戻る。
「レフリア、怪我したらどうするつもりなんだよ」
「アンタのことだから怪我すると思ってもなかったわよ」
馬の休憩中に戻ってきたハルトは、仕返しのつもりか殴られるもののかなり弱々しくなっていた。
氷の重りを砕き、用意してあった水を冷やしてから何杯もがぶ飲みし、馬車の中でぐったりとしていた。
ただでさえ重い鎧を着ているというのに、よくここまでできるな。
流石にこれ以上白い目を向けられたくもないので、大人しくしていたほうが良さそうだな。
ミーカトについたのは午後八時。
馬車に乗っていたが、それなのに疲れもあったので、明日になってからギルド会館に行くことになった。
一応挨拶も兼ねて、俺は一人でギルドへと向かっていた。
「あああ、あなたは!」
「この前振りです。ギルド長は居ますか?」
「え、あの……少しお待ち下さい!!」
やってきたギルド長は、俺を見るなり怪訝そうな顔をしている。
あんな事があったのだから当然俺のことを警戒するよな。
「きょ、今日はどうした?」
「少しお願いがあってですね」
俺は、奥の部屋に案内され明日登録に来る生徒の話と、少しばかり無茶なお願いをするものの快く引き受けてくれた。
四人がギルド登録を済ませている間に、俺は少し買い物へと出かけていた。
もちろん二人には反対されたが、約束を破ったら何でも言うことを聞いてやると言ったら、すんなりと送り出してくれた。
「そりゃ待っていたわよ。どっかの馬鹿が謹慎なんてしていたから」
開口一番酷い言われようである。
事実だからあえて何も言わないが……というよりも反論をすればきっと、さらに酷いことを言われそうだ。
「おはようございます、レフリア様」
「おはようー」
パメラはやっぱり朝が弱いみたいだな。
今日は朝から移動だと言うのに、ミーアに布団を剥ぎ取られるまで寝ていたのだからな。
「ハルト。どうだ?」
「どうって何が? ああ、剣のことかい?」
「何って、レフリアとの仲のことだと思ったのか? そんなの俺が……くぶっ、なんでも無いから、それを仕舞ってくれないか?」
俺がそういうと、耳まで真っ赤にしたハルトから腹に一発貰ってしまう。
何で殴られるんだよ……前から思っていたけど、お前って意外と手が出るタイプだな。
何も言わず、あのでかい剣をブンブン振り回して大丈夫だとでも言っているのか? それともただの照れ隠しのつもりか?
この二人は俺に対して手が出るのが早すぎないか?
「ハルト、少し落ち着け。危ないからそんな物を振り回すな。まあ、それを振り回せる事を言いたいのか? そういうことなのか?」
「アレス様。もどかしいのは私も重々承知しておりますが、そのような事を軽々しく言うものではありませんわ。ね?」
そう言うミーアは、レフリアに視線を向ける。逞しくなったな、以前ならこういった話は避けてきたはずなのに……俺達の視線に気がついたレフリアも顔を赤くしている。
ハルトは未だに遠くでクレイモアを振り回していた。
「今は関係ないでしょ? と、とにかく、私達はアンタの強さをまだ知らないんだし。とりあえず実力を見せてよ」
「それは構わないが……何処に行くつもりなんだ?」
「ミーカトよ」
分かってはいたがやっぱりそうなるよな。ミーカトダンジョンもあの日以来になるんだな。今頃、ラティファは何処まで行っているのだろうか?
初級ではやたらと騒いでいたあの王子にも会ってないな。
王子という待遇もあるのだから、無茶なことにはなっていないだろう。
「あの馬車で向かうのだけど、そろそろ出発だから離れないようにしてね」
見た所乗り合いの馬車のようだな。
ゲームでもそれなりの日数がかかっていたが、こういうもので移動しているんだよな。
俺一人だけなら飛んで行けなくもないけど……今は付き合うしか無いよな。
「ハルト、お前のことだから馬車に乗らず走ってくるものだと思っていたぞ」
「何で僕がそんな事をしないといけないのさ」
「腕だけじゃなくて、足も鍛えれば大剣の反動も制御できるかもしれないだろ?」
なんて冗談を言ってみたのだが……本当に走っているぞアイツ。
どれだけ元気なんだよ。
「アイスブロック」
まだまだ余裕を見せるハルトに、俺はあえて足に重りになるように氷の魔法をかける。
「アレス! これはいくら何でもきついよ」
「何だったら、手にも重りを付けるか?」
息も絶え絶えなハルトを見て笑っていたのだが、俺は背中を蹴られてしまい馬車から転がり落ちる。
走り去っていく馬車には、俺の見下すレフリアの姿が見えていた。
いきなり何をするんだ!
「アーーレス!!」
「まっ、待て。ハルト! こっちに来るな!」
俺は落とされたことで、ハルトからの奇襲を受けていた。
捕まれば何をされるかわからないので、追いかけてくるのなら走って逃げるしか無い。
「追いついたよ、アレス」
「げっ、何でその重りをつけているのに……捕まってたまるか、ブレイブオーラ」
強化魔法を使い、馬車へと一気に走り込む。
縁を掴み、座っていた所へと戻る。
「レフリア、怪我したらどうするつもりなんだよ」
「アンタのことだから怪我すると思ってもなかったわよ」
馬の休憩中に戻ってきたハルトは、仕返しのつもりか殴られるもののかなり弱々しくなっていた。
氷の重りを砕き、用意してあった水を冷やしてから何杯もがぶ飲みし、馬車の中でぐったりとしていた。
ただでさえ重い鎧を着ているというのに、よくここまでできるな。
流石にこれ以上白い目を向けられたくもないので、大人しくしていたほうが良さそうだな。
ミーカトについたのは午後八時。
馬車に乗っていたが、それなのに疲れもあったので、明日になってからギルド会館に行くことになった。
一応挨拶も兼ねて、俺は一人でギルドへと向かっていた。
「あああ、あなたは!」
「この前振りです。ギルド長は居ますか?」
「え、あの……少しお待ち下さい!!」
やってきたギルド長は、俺を見るなり怪訝そうな顔をしている。
あんな事があったのだから当然俺のことを警戒するよな。
「きょ、今日はどうした?」
「少しお願いがあってですね」
俺は、奥の部屋に案内され明日登録に来る生徒の話と、少しばかり無茶なお願いをするものの快く引き受けてくれた。
四人がギルド登録を済ませている間に、俺は少し買い物へと出かけていた。
もちろん二人には反対されたが、約束を破ったら何でも言うことを聞いてやると言ったら、すんなりと送り出してくれた。
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