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強者討伐 失われた武器
294 迫る危険 2
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一体何が起こっているんだ?
この数ヵ月の間に、ローバン家で何があったんだ?
それとも、俺が怪我をしたということが要因なのか?
母上に手招きをされ、兄上に背中を押されて隣に座らされる。
悲しそうな顔をして左腕に手を置いていた。
やはりこれが原因なんだろうな。
「心配をおかけして申し訳ありません。母上」
俺の言葉に誰もが、首を横に振る。
皆は俺に何を思っているんだ?
索敵を展開し、ここに居る家族が別の何かにしか思えなかった。
だからと言って、何かしらの魔法にかかっているという感じにも思えない。だからといって、あの頃とは違い、嬉しさよりも戸惑ってしまう。
父上なら、俺の勝手な行動を静かに諌める。母上も、それに同調する。
兄夫婦は、剣を抜いて重圧を掛けてくる。そして、あの首輪を何度ちらつかせていたか。
それが今までよくあった俺に対しての対応だった。
「み……レフリア達は今は何を?」
「君が集めた武器の能力もあってか、ダンジョンを二つほど攻略して今は少し離れたところに行っている」
離れた所?
それにしても、ダンジョンを攻略できたのか。だとするのなら、あのパーティーはかなり優秀なんだろうな。
あの武器が揃っていたら、並の魔物なら大した問題にならないだろうな。
「では……今は何処に行っているのですか?」
「それを聞いて君ならどうするんだ?」
どうと言われても……別にうまくやっているというのならそれでいい話なんだが。
「ミーカトのダンジョンに赤く染まった魔物が、現れた」
赤い魔物。その言葉を聞いて俺が立ち上がると、途端に父上の目つきが変わる。
母上に腕を掴まれて座るように促される。しかし、こんな事をしている間にもミーアにどれだけの危険が及んでいるのかわからない。
「アレス、彼女たちは今では君と同じくダンジョン攻略者なんだよ? たった一人でよくここまで頑張ってきたけど、そろそろ仲間を信用してもいいと思わないのかい?」
何を悠長なことを言っているんだ?
いくら攻略者とは言え、俺と比べれば大した数じゃないことぐらいは理解しているはずだろ?
父上達は、ミーアたちに任せておけって言うつもりなのか?
「ミーアたちに魔人を倒せる強さはない。アレを倒せるのは俺だけだ」
「その腕で、本当に戦えるというのか?」
「バセルトンから出てからもずっと、俺はダンジョンに潜って、魔人を倒すために何個ものコアを破壊してきました。残る武器もあと一つ、ようやくなんです……邪魔をしないでもらえますか?」
母上の手を振りほどき、シールドを展開する。
ここで争うというのなら、それも仕方のないことで何も知らない皆には、黙ってことの成り行きを見て貰う他無い。
「アレス。行きなさい、皆を守るために」
母上が、俺を背にして両手を広げていた。兄上は、握り拳を作り必死に堪えているかのようだった。
セドラは頭を下げ見送る姿勢をとっていた。
「君ならそういうと、最初から分かっていたよ。いいかい? 必ずここに戻ってくるんだよ?」
そう言って、あの頃のような笑顔を見せていた。
もう、小さな子供ではない。だけど、父上や母上からしてみれば、俺がいくつになったところで結局は子供でしか無い。
「はい、必ず」
残る強者はそれほど強くもないだろう。
アムドシアスに勝てた……コアも何個も破壊をしている。
だから負けるという気は全く感じられない。
「行ってきます」
窓を開け、外に飛び立つ。
ミーカトのダンジョンなら、まだある程度なら覚えている。
だけど、強者がいるところにミーアたちが居る。
「ベリアル。動くんじゃねえぞ」
エアシールドに切り替えミーカトに向けて全速力で空を駆け抜ける。
いくらあの武器があっても、強者相手にまともな戦いというものは通用しない。
頼むから、無事でいてくれ。
この数ヵ月の間に、ローバン家で何があったんだ?
それとも、俺が怪我をしたということが要因なのか?
母上に手招きをされ、兄上に背中を押されて隣に座らされる。
悲しそうな顔をして左腕に手を置いていた。
やはりこれが原因なんだろうな。
「心配をおかけして申し訳ありません。母上」
俺の言葉に誰もが、首を横に振る。
皆は俺に何を思っているんだ?
索敵を展開し、ここに居る家族が別の何かにしか思えなかった。
だからと言って、何かしらの魔法にかかっているという感じにも思えない。だからといって、あの頃とは違い、嬉しさよりも戸惑ってしまう。
父上なら、俺の勝手な行動を静かに諌める。母上も、それに同調する。
兄夫婦は、剣を抜いて重圧を掛けてくる。そして、あの首輪を何度ちらつかせていたか。
それが今までよくあった俺に対しての対応だった。
「み……レフリア達は今は何を?」
「君が集めた武器の能力もあってか、ダンジョンを二つほど攻略して今は少し離れたところに行っている」
離れた所?
それにしても、ダンジョンを攻略できたのか。だとするのなら、あのパーティーはかなり優秀なんだろうな。
あの武器が揃っていたら、並の魔物なら大した問題にならないだろうな。
「では……今は何処に行っているのですか?」
「それを聞いて君ならどうするんだ?」
どうと言われても……別にうまくやっているというのならそれでいい話なんだが。
「ミーカトのダンジョンに赤く染まった魔物が、現れた」
赤い魔物。その言葉を聞いて俺が立ち上がると、途端に父上の目つきが変わる。
母上に腕を掴まれて座るように促される。しかし、こんな事をしている間にもミーアにどれだけの危険が及んでいるのかわからない。
「アレス、彼女たちは今では君と同じくダンジョン攻略者なんだよ? たった一人でよくここまで頑張ってきたけど、そろそろ仲間を信用してもいいと思わないのかい?」
何を悠長なことを言っているんだ?
いくら攻略者とは言え、俺と比べれば大した数じゃないことぐらいは理解しているはずだろ?
父上達は、ミーアたちに任せておけって言うつもりなのか?
「ミーアたちに魔人を倒せる強さはない。アレを倒せるのは俺だけだ」
「その腕で、本当に戦えるというのか?」
「バセルトンから出てからもずっと、俺はダンジョンに潜って、魔人を倒すために何個ものコアを破壊してきました。残る武器もあと一つ、ようやくなんです……邪魔をしないでもらえますか?」
母上の手を振りほどき、シールドを展開する。
ここで争うというのなら、それも仕方のないことで何も知らない皆には、黙ってことの成り行きを見て貰う他無い。
「アレス。行きなさい、皆を守るために」
母上が、俺を背にして両手を広げていた。兄上は、握り拳を作り必死に堪えているかのようだった。
セドラは頭を下げ見送る姿勢をとっていた。
「君ならそういうと、最初から分かっていたよ。いいかい? 必ずここに戻ってくるんだよ?」
そう言って、あの頃のような笑顔を見せていた。
もう、小さな子供ではない。だけど、父上や母上からしてみれば、俺がいくつになったところで結局は子供でしか無い。
「はい、必ず」
残る強者はそれほど強くもないだろう。
アムドシアスに勝てた……コアも何個も破壊をしている。
だから負けるという気は全く感じられない。
「行ってきます」
窓を開け、外に飛び立つ。
ミーカトのダンジョンなら、まだある程度なら覚えている。
だけど、強者がいるところにミーアたちが居る。
「ベリアル。動くんじゃねえぞ」
エアシールドに切り替えミーカトに向けて全速力で空を駆け抜ける。
いくらあの武器があっても、強者相手にまともな戦いというものは通用しない。
頼むから、無事でいてくれ。
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