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強者討伐 失われた武器
233 子供たちとアレス 2
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少し重すぎたのか、二人は肩を擦っている。
初日にしては少しハードだったか?
今のうちに鍛えておいて損はないと思うけどな。
果物を並べ、コップに入れていた水を凍らせる。
その二つを風魔法を使いミキサーのように細かくして、果物の絞り汁をコップへ入れてから砕いた氷と、少し水を入れる。
「すごい……」
「それは何なんだ?」
「味の保証はないが、飲んでみてくれ」
試しに飲んでみるのだが……やっぱり薄い。そりゃ水を足しているからこうなるのは当然だ。 こういうのってどうやって作るんだ?
炭酸でもあれば良いのか?
俺と比べて、子供たちにはなかなか好評だな。
少し寒いとは言え、あれだけの事をしていたら冷たいものが欲しいよな。
「うめー。おかわり」
「ちょっと、ベール。アレス様に失礼だよ」
「ロイ、別にそんな事は気にしない。それとも……作るのは一つで良いのか?」
正直でよろしい。
二杯目を作り終えて、食事を済ませると皆はウトウトし始めていた。
「そのままだと風邪を引くから、寝袋を持ってテントに入れ」
目をこすりながら、テントの中へ素直に入っていく。
こういう時だけはアイツは素直だよな。
「こういうのも悪くはないな」
三時間ほどが経過するも、誰も起きてくる様子はない。
よほど疲れたみたいだな。
夜になればかなり冷える。それに今日は月明かりがないから、このまま進むよりは寝かせておけば良いだろう。
「あれ? 真っ暗じゃん」
「そうだな。あ、晩飯はもう終わったから」
「はぁぁぁああ!?」
ベールはテントから勢いよく飛び出してきた。
使い終わった食器を、水魔法を使いながらランが洗っている。
スミアは木にもたれて、お腹を擦っている。
ロイは食後のお茶を飲んでいて、皆は既に食事を終えている。
「なぁ、アレス様……嘘だよな? ロイ?」
ロイは視線を反らし、同様にスミアもランも視線を落としていた。
「そんな所に突っ立っていないで、こっちに来いよ」
手招きに従うがその足取りはかなり重い。
まあ、コイツの反応は本当に面白いな。
「ほれ、お前の分だ。ちゃんと食えよ?」
「何だよ! もう、何なんだよ!」
文句を言いつつも、泣きながら用意していた食事を食べていた。
ロイは、「程々にしてくださいよ」と言われ、スミアからは無言の眼差し。
誰もベールの分は無いとは言っていないだろ?
俺のいたずらはランから散々に怒られ、その後ろには俺を挑発するベール。
当然それをランが叱り飛ばしていた。
「そうだ。ラン、スミア。ちょっとこっちに来い」
「なんですか?」
はっきり言ってこの歳の子供たちが、何に興味があるのかは知らない。
ただ、露店にあった物を二人が見ていたというだけ。
「こっちはスミア、こっちはランだ」
「え? あ、あの……」
「スミア、お礼お礼。ありがとうございます」
「はい、ありがとうございます」
ただの髪留め。
花がついているだけの、安物だ。やっぱり女の子というだけあってか、こういう物には目が行ってしまうのだろう。
「おーい、少年たちよ。どうだ?」
「何がだよ?」
「何か御用ですか?」
お前たちは本当に期待というものを裏切らない。
さっきまで女子二人は、渡した髪留めをお互いにに付け合ったりして楽しそうにしていたが、男連中は何が楽しいのか理解できない。
俺も人のことを言えた義理じゃないが……。
「ランさんとスミアさんや。この二人にはどんな罰がいいかのぅ?」
そう言って、二人に意見を求めるのだが……二人共俺の方を向き、スミアが左、ランが右の頬を抓っている。
まてまて、何で俺なんだ?
「ぉ、おい」
なんか二人が怒っている?
さっきまで楽しそうにしていたよね?
何が気に入らないんだ!?
女の子ってやっぱり複雑なんだな。
それからは、体をほぐすためにストレッチをして、腕立てやスクワットと言った筋トレを少しだけやってから寝ることにした。
朝になり、太陽の光で目を覚ます。
俺はかごの中に入れていた石を減らしていく。
さすがにこの重さはやりすぎだよな。
「それじゃそろそろ行くか」
「おう。これぐらい楽勝だぜ」
半分まで減ったかごを見て、ベールはかなり喜んでいた。
ロイもかごを背負い重さを確かめている。
「これだとさっきより軽くて丁度いいね」
「何やっているんだ? そのかごは、ランとスミアだ。昨日の逆だぞ?」
二人は顔を見合わせている。
歩くペースが早くなったと勘違いをしていたようだけど、誰がそんな事をさせるかよ。
この程度で音を上げるようじゃ、これから先が思いやられるぞ……少しのんびりしすぎているが、この時間を楽しんでいたかったのかもしれない。
五日ほどが過ぎ、ようやくローバン家に戻ってくることが出来た。
初日にしては少しハードだったか?
今のうちに鍛えておいて損はないと思うけどな。
果物を並べ、コップに入れていた水を凍らせる。
その二つを風魔法を使いミキサーのように細かくして、果物の絞り汁をコップへ入れてから砕いた氷と、少し水を入れる。
「すごい……」
「それは何なんだ?」
「味の保証はないが、飲んでみてくれ」
試しに飲んでみるのだが……やっぱり薄い。そりゃ水を足しているからこうなるのは当然だ。 こういうのってどうやって作るんだ?
炭酸でもあれば良いのか?
俺と比べて、子供たちにはなかなか好評だな。
少し寒いとは言え、あれだけの事をしていたら冷たいものが欲しいよな。
「うめー。おかわり」
「ちょっと、ベール。アレス様に失礼だよ」
「ロイ、別にそんな事は気にしない。それとも……作るのは一つで良いのか?」
正直でよろしい。
二杯目を作り終えて、食事を済ませると皆はウトウトし始めていた。
「そのままだと風邪を引くから、寝袋を持ってテントに入れ」
目をこすりながら、テントの中へ素直に入っていく。
こういう時だけはアイツは素直だよな。
「こういうのも悪くはないな」
三時間ほどが経過するも、誰も起きてくる様子はない。
よほど疲れたみたいだな。
夜になればかなり冷える。それに今日は月明かりがないから、このまま進むよりは寝かせておけば良いだろう。
「あれ? 真っ暗じゃん」
「そうだな。あ、晩飯はもう終わったから」
「はぁぁぁああ!?」
ベールはテントから勢いよく飛び出してきた。
使い終わった食器を、水魔法を使いながらランが洗っている。
スミアは木にもたれて、お腹を擦っている。
ロイは食後のお茶を飲んでいて、皆は既に食事を終えている。
「なぁ、アレス様……嘘だよな? ロイ?」
ロイは視線を反らし、同様にスミアもランも視線を落としていた。
「そんな所に突っ立っていないで、こっちに来いよ」
手招きに従うがその足取りはかなり重い。
まあ、コイツの反応は本当に面白いな。
「ほれ、お前の分だ。ちゃんと食えよ?」
「何だよ! もう、何なんだよ!」
文句を言いつつも、泣きながら用意していた食事を食べていた。
ロイは、「程々にしてくださいよ」と言われ、スミアからは無言の眼差し。
誰もベールの分は無いとは言っていないだろ?
俺のいたずらはランから散々に怒られ、その後ろには俺を挑発するベール。
当然それをランが叱り飛ばしていた。
「そうだ。ラン、スミア。ちょっとこっちに来い」
「なんですか?」
はっきり言ってこの歳の子供たちが、何に興味があるのかは知らない。
ただ、露店にあった物を二人が見ていたというだけ。
「こっちはスミア、こっちはランだ」
「え? あ、あの……」
「スミア、お礼お礼。ありがとうございます」
「はい、ありがとうございます」
ただの髪留め。
花がついているだけの、安物だ。やっぱり女の子というだけあってか、こういう物には目が行ってしまうのだろう。
「おーい、少年たちよ。どうだ?」
「何がだよ?」
「何か御用ですか?」
お前たちは本当に期待というものを裏切らない。
さっきまで女子二人は、渡した髪留めをお互いにに付け合ったりして楽しそうにしていたが、男連中は何が楽しいのか理解できない。
俺も人のことを言えた義理じゃないが……。
「ランさんとスミアさんや。この二人にはどんな罰がいいかのぅ?」
そう言って、二人に意見を求めるのだが……二人共俺の方を向き、スミアが左、ランが右の頬を抓っている。
まてまて、何で俺なんだ?
「ぉ、おい」
なんか二人が怒っている?
さっきまで楽しそうにしていたよね?
何が気に入らないんだ!?
女の子ってやっぱり複雑なんだな。
それからは、体をほぐすためにストレッチをして、腕立てやスクワットと言った筋トレを少しだけやってから寝ることにした。
朝になり、太陽の光で目を覚ます。
俺はかごの中に入れていた石を減らしていく。
さすがにこの重さはやりすぎだよな。
「それじゃそろそろ行くか」
「おう。これぐらい楽勝だぜ」
半分まで減ったかごを見て、ベールはかなり喜んでいた。
ロイもかごを背負い重さを確かめている。
「これだとさっきより軽くて丁度いいね」
「何やっているんだ? そのかごは、ランとスミアだ。昨日の逆だぞ?」
二人は顔を見合わせている。
歩くペースが早くなったと勘違いをしていたようだけど、誰がそんな事をさせるかよ。
この程度で音を上げるようじゃ、これから先が思いやられるぞ……少しのんびりしすぎているが、この時間を楽しんでいたかったのかもしれない。
五日ほどが過ぎ、ようやくローバン家に戻ってくることが出来た。
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