上 下
138 / 310
ラカトリア学園 高等部

137 上位アンデッド 2

しおりを挟む
 リッチやバンパイアはもっと後半に出る魔物で、レイスに比べ数倍は強い。お姉さんは、それはもうお姉さんである。その姿が間近で見れるというのならありがたい話でもあるが……。

 とはいえ……隣にミーアとパメラが居たら発狂物だろうけど。

 痴女の話はともかくとして、ここの魔物がいくら強いとはいえ、スォークランのボスと比べると遥かに弱い。
 一番は霊体でなければ、索敵によって、風魔法による斬撃も骨や不死体に、現状効いているのだからいつもの攻撃が出来る。

「だけど、見えないから闇雲に撃つだけ無駄なんだよな」

 ダンジョン内は見える範囲が限られている。バーストロンドを使えば、レイスだって倒せると思うが、見えない敵の数に対してそれは有効なのかという話が残る。考えただけでも効率が悪そうだ。
 今の所は目視でしか倒せない。背後ともなれば、いつの間にか居るのではっきり言って鬱陶しいの言葉に尽きる。

「そうだ! あの魔法はどうだろうか?」

 火球を身にまとわせ、カウンターとしてその火球を当てる。
 うまくいくかどうかは、実験していくしか無いな。
 あの頃みたいで、楽しいとは思うけど……楽を知ってしまった以上今のやり方が結構面倒になっていたりもする。

 使い慣れているというのもあるが、それだけ風球が優秀だった。連撃を増やせば、どの魔法よりも攻撃力は高いし、斬撃による攻撃は小規模の範囲にもなる。
 ま……全く効かなければ意味はないとは、思いもよらなかったけどな。。

「シールド。セルフバーニング」

 熱風による熱を防ぐためにシールドを張り、その外側にある火球はカウンター用の障壁に触れると相手に向かって攻撃をする。
 さて、これを上手く発動する条件を構築しておけば、また別の魔法も応用できる可能性があるかもしれない。
 しかし……攻撃を食らう前提というのが少し気に入らないな。

「さあ来い!」

 レイスの攻撃はシールドによって弾かれる。霊体なのに、攻撃は物理なのかよ……カウンターによる障壁からは、レイスに向かって火球が放たれる。

「むりむり……これは酷いな」

 用意していた火球は五つ。
 俺の考えでは、一回に一発。だけど実際には、一回の攻撃に対して全ての火球が放たれる。
 しかも、俺を攻撃しているという時点で、相手は超近距離に居る。カウンターによる火球はレイスを目掛けて飛んでいき、俺の周辺は火球の炎に飲み込まれる。

 火球は飛ばすのではなく、飛んで行くのだから発動後の制御はできない。
 効果は一度きり、数体同時に現れるならともかく、こんな魔法で待っているよりもこちらから攻撃した方が効果的だな。
 なにより、この魔法は俺の周りに火球が舞っているのも邪魔だったし、一人だけならともかく、誰かがいると絶対に使用はできそうにもない。

「やっぱり、こいつらウザイ!」

 レイスに対してあれこれ考えるよりも、階層によって魔物が変わる所まで進んでいたほうが、楽な気がしてきた。
 霊体系はそれほど多くはないし、近くにいたとしてもさっきのようにシールドが弾くのなら、常時シールドで攻撃を防ぎ、魔法を撃つだけで良かった。

「三階層辺りか? まだまだレイスは居るのか……」

 文句を言いつつ、魔物たちを一掃してから下へ降りていく。階層が変わってもレイスが居たことでげんなりする。
 四階層にまで降りると出現する魔物の種類が変わり、同時にレイスは居なくなった。

 ワイト、スケルトンナイト、ネクロマンサー。

 ワイトはかなり気持ちの悪い魔物だったが、見なくても倒せるから問題はない。
 ネクロマンサーは、ゾンビ系の魔物を召喚するが、索敵からして勝手にそれを実行している様子はない。

 ここには霊体が居ないそれだけで、小躍りできるほど快適だった。
 索敵による魔物の把握はバッチリ、風魔法による風球を使い一網打尽。

「はっははは。どうした? 耐えれるものなら、耐えてみろよ!!」

 これだよ、やっと爽快だ。
 レイスでの苛立ちを発散させつつ、下層を目指して進む。
 攻略が目的のため、マップの隅々まで確認しておく必要があるのだが……まずは、殲滅を先にしておこうか?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

王女に婚約破棄され実家の公爵家からは追放同然に辺境に追いやられたけれど、農業スキルで幸せに暮らしています。

克全
ファンタジー
ゆるふわの設定。戦術系スキルを得られなかったロディーは、王太女との婚約を破棄されただけでなく公爵家からも追放されてしまった。だが転生者であったロディーはいざという時に備えて着々と準備を整えていた。魔獣が何時現れてもおかしくない、とても危険な辺境に追いやられたロディーであったが、農民スキルをと前世の知識を使って無双していくのであった。

不遇幼女とハートフルなもふもふスローライフを目指します! ~転生前の【努力値】で異世界無双~

epina
ファンタジー
彼方高志(カナタ タカシ)は異世界に転生した直後に女の子の悲鳴を聞く。 助け出した幼女から事情を聴くと、家族に奴隷として売られてしまって、帰る場所がないという。 タカシは転生して得た力で、幼女の保護者になると決意する。 おいしいものをいっしょに食べたり、きれいな服を買ってあげたり。 やがてふたりはいろんな試練を乗り越えて、さまざまなもふもふたちに囲まれながら、のんびり旅をするようになる。 これはAIサポートによって異世界転生した男が、世界で一番不幸な幼女を、世界で一番幸せにするまでの物語。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

よい異世界召喚に巻き込まれましたが、殺された後でした。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。  猫屋敷翔平は鍼灸整骨院を自営していたが、身勝手な母と弟と伯母に騙されて借金を肩代わりさせられた上に、陰で悪い評判を流されて鍼灸整骨院を廃業した。人間不信となり破産宣告をして田舎を捨てて地方都市に移住し、大政党を支配下に置く新興宗教組織に入信して政党と新興宗教の会費を払い、政党新聞と新興宗教新聞を購入する事、更には新興宗教幹部が経営するワンルームマンションに入居する事を条件に、生活保護申請を政党地方議員に代行してもらう。  人間不信の対人恐怖症となり、保護猫サクラと引き籠り生活をしていたが、老猫サクラが衰弱したので、急いで動物病院に行こうとしたところを反社に脅迫されていたところ、愛猫サクラが主人を助けようと爪を立てた。  ケガさせられた反社は激高してサクラを蹴り殺し、猫屋敷翔平にも殴りけるの暴行を繰り返していたところを、古武術の大会のために長野県から出てきていた四人の学生が助けている所に異世界召喚される。  勇気ある学生達は魔物被害に苦しんでいた異世界に召喚され、猫屋敷とサクラも一緒に召喚された。  学生達は異世界召喚特典で強くなるが、死んで身体と幽体が分離していた猫屋敷とサクラはとんでもない特典を手に入れていた。  だが人間不信で対人恐怖症になっている猫屋敷は、それを隠して安全な場所での隠棲を希望する。  人のいい学生達と国王は、罪滅ぼしに魔物は出ないが生活するのが苦しい極寒の北方に領地と支援を与えて移住させてくれるが、サクラの暴走と慈愛、孤児院の子供達を見捨てられない母性によって人助けを始める。  特に自滅願望の古代氷竜アリステアに、猫屋敷とサクラが同時に憑依した事で、魂が猫の自由人気質に染まり、た人間嫌いと対人恐怖症が改善され、陰から恩人の学生徒達と孤児達、更には難民まで助けるようになる。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。

黒ハット
ファンタジー
 前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。

処理中です...