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ラカトリア学園 高等部

124 ダンジョンで出会った美女 2

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 言葉使いや、所作に至るまで、恐らく貴族から冒険者になった人なんだろう。
 仮に今年学園を卒業している人だと考えても、この程度の魔物に苦戦をするのか?
 なら、平民の出だとしても、武器に盾、そして胸当てとそれだけ装備が買えるのなら、こんな弱い相手に対してそこまでの事ができるだろうか?

「あの。有難うございました。この御恩はいずれ別の……いえ、申し訳ありません。返す当てもなく余計なことを申しましたわ」

 考えるまでもなく貴族の出になるよな。
 そういえば……父親がどうの言っていたな?
 しかも、お父様となれば、貴族と思っていたほうが良さそうだが、どう考えても訳ありでしか無い。

「気にしなくていいさ。ダンジョンで困っていたら助け合い。義理や恩なんて気にするよりも、これから生きることを考えないか?」

 助かった割にはあまり嬉しそうにしていないんだよな。仲間は殺されたのか、帰れない事情でもあるのか?
 それでも、冒険者を辞めて民として暮らしてもいいだろう。
 そんな人が居てもおかしくはないと思う。

「これからですか……貴方はなぜお父様に?」

「さっき言った通りだよ。父上の命令でここともう一つのダンジョンを攻略するためだ」

 もう既に一つは攻略済みだけど。予定はもう一個あるがこれは言う必要はないな。
 彼女は俺の言葉を聞きぽかんと口を開けていた。
 しばらくそのまま固まっているかと思えば、肩を震わせ声を出さないように笑っていた。

「志が高いのですわね」

「まあ、もう、それでいいよ」

 一人でこの有様からして、俺のことも少し強い程度にしか思えないだろうな。
 ダンジョン攻略者は現在、居たとしてもかなり少数だろう。
 こんな俺の身なりからして、ありえないと思っているんだな。
 だけど、助けて貰った手前、余計なことは言えないからな。

「ダンジョンの攻略ですか……そのお話に、わたくしも同行させて頂いてもよろしいですか?」

「はいはい。いいよいいよ別に……ちょっと待て、同行?」

 どう考えたらそうなると言うんだ?

「はい、だめでしょうか?」

「いや、あの。君、俺、一緒? ダンジョン?」

「あの、何を仰っているのか分かりませんわ。貴方にお供させて貰えればと、やはりだめなのでしょうか?」

 駄目も何も、危険だとは思わないのか?
 貴方のバディ、かなり、危険。
 その胸当てからも分かるほど、セクシーダイナ……いかんいかん、つい余計な所に目が行ってしまった。
 と、とりあえず、頬を染めているのは俺の視線にどうやら感づかれたらしい……そんな事も踏まえて、一体何を考えているんだ?

「戻るつもりは?」

「帰る場所がないですわ」

「街まで送るけど?」

「私といるのがそんなにお嫌でしょうか?」

 何だこの既視感は……パメラと同じ状態だというのか?
 つまりだ、放っておくとまた無茶をしてか?
 どいつもこいつも面倒な奴らだ。

「わかった。俺の言うことは絶対に守ってもらう。守れないのなら強制的に街に放り出すからな」

「ふふっ。その場ではなくて、敢えて街なのですわね」

「こんな所で放置するぐらいなら、最初から助けるわけないだろ。とりあえず名前を教えてくれ」

 最初の頃に比べて、少し笑っているところを見ると落ち着きを取り戻しているようだな。

「私の名前は、メアルーンと申しますわ。今は家名はございません、どうぞよろしくお願いしますわ。アレス・ローバン様」

「メアルーンさんね」

「どうぞ呼び捨てにしてください。よろしければ、その、メアリと呼んで頂いても」

 あれ?
 おかしいな、愛称なんて親しい人だけが呼ぶものじゃないのか?
 俺なんかに言ってくるぐらいだから、誰にでも言ってることなんだろう。勘違いも甚だしい……。

「んじゃ、メアリね。とりあえずもう少し休憩してからだな」

「私はアレス様とお呼びしても?」

「好きにしてくれ、呼び捨てでも、君でもさんでも」

「かしこまりました。アレス様」

 いつメアリに名前を教えた?
 俺が彼女のことをど忘れしているだけか?

 それにしても、貴族のご令嬢……家名を剥奪されたのか、追放でもされたということか?
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