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ラカトリア学園 高等部
116 浮気の予感? 2
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「父上にゆっくりしてろと言われていたからさ。ついぼっーとしていた。食事を済ませてから着替えることにするよ」
「はい、かしこまりました。少し不安でしたが、よかったです。アレス様がいてくれて」
俺はベッドに腰を下ろし、用意されたパンと、シチューを頂いていた。
この組み合わせも中々いけるな。
「さっきの、俺が居てよかったというのはどういうことだ?」
「先程ローバン公爵様に、アレス様のお姿がなければ至急報告するようにと言われておりましたので」
「え? 俺が勝手に何処かへと行くと思っていたのかな?」
「そのようなことを仰ってましたから。私としては、アレス様はそのようなお方ではないと信じておりました」
俺からは乾いた笑いしか出なかった。
持っていたパンが、シチューの中へと沈んでいく。
父上は俺が出かける可能性を想定していたが、きっとそれはこれ以上問題を大きくさせないためのことであって、好き勝手にと言うのは論外なのだろう。
魔法が使えなかったことで、出ていく気にはなれなかったが……出ていった場合俺はどうなっていたことやら。考えただけで背筋が凍りつく。
「入るわよ」
ドアが空いているから、ズカズカと入ってくるレフリアは俺を見るなり、深い溜め息をついていた。
ハルトは居ないようだけど……アイツのことだから、父上たちの手伝いでもしているんだろうな。考え込むよりも、体を動かしている方が何かと気が紛れるしな。
「レフリアか、どうした?」
「様子を見に来ただけよ。あれがずっと寝ていたから、少し心配していただけよ」
何だこの嬉しくもないデレは……あのレフリアに心配されるとはな。
どうせやるのなら、額をくっつけるぐらいしろ。まあ、ハルトに何を言われるか分からないから嫌だけど。
アイツは手が早いからな。
「ミーリア、美味かったよ。ありがとうな」
シチューをかきこみ、落ちていたパンを最後に頬張る。
中々に悪くはないけど……染み込みすぎるというのも問題だな。
皿を渡すが、ミーリアはぼーっとしているだけだった。
「どうかしたか?」
「は、はい。ありがとうございます」
どういう返事なんだ?
お礼を言うのなら俺の方だよな?
レフリアに意見を求めようと視線を送るが……何がすごく嫌そうな顔をしている。
ミーリアは皿を片付けるために、何故か慌てて部屋から出ていった。
「あーあ。なんでまぁ……」
「何かあったのか?」
レフリアは壁にもたれ、腕を組みあえて俺を見下ろすかのような目つきをしていた。
何かを考えているのか、右手の人差指で腕を叩いている。
お? 今思えば……ミーリアってことは、今ハルトがいたらリアって呼ぶと、ミーリアが反応して修羅場勃発か?
いや、絶対にそうはならないか。
それにしても……こいつは意外と普通なんだな。
「なんて顔をしているのよ。ミーアとパメラに言いつけるわよ?」
「何だそれは? あの二人の話が出ることってなんだ?」
「親友の婚約者様が、こんな所で浮気寸前のことをしているのよ?」
浮気?
俺とレフリアが?
ええ……なにそれすっごく嫌なんだけど。
「何でお前と俺が浮気をする必要があるんだよ!! 馬鹿か!?」
「何で私とアンタなのよ! 死んでもごめんだわ!」
何で俺たちは怒鳴り合っているんだ?
ただでさえ体がだるいというのに、こいつのせいで余計に疲れてきたぞ。
「とりあえず様子を見たんだろ。俺は着替えるつもりだけど。見たいのか?」
「誰が!!」
レフリアは顔を背け部屋から出ていったが……自分の家なら兎も角として、ドアは静かに閉めような。
あの怒った態度がいつも通りで、少し助かっている。
「あの様子からして、気に病んでいなくてよかったな」
アレだけの事をしたのだ、今までのような対応はないと思っていた。
レアリアもハルトも、これまでと何も変わらず接してくれたのが、嬉しいと思えるのなら二人は俺にとってやはり友人なのだろう。
レフリアに剣を向け、恐怖さえ植え付けたようなものだ。
今回のことがあの二人にバレると少し気が滅入ってくる。
「はい、かしこまりました。少し不安でしたが、よかったです。アレス様がいてくれて」
俺はベッドに腰を下ろし、用意されたパンと、シチューを頂いていた。
この組み合わせも中々いけるな。
「さっきの、俺が居てよかったというのはどういうことだ?」
「先程ローバン公爵様に、アレス様のお姿がなければ至急報告するようにと言われておりましたので」
「え? 俺が勝手に何処かへと行くと思っていたのかな?」
「そのようなことを仰ってましたから。私としては、アレス様はそのようなお方ではないと信じておりました」
俺からは乾いた笑いしか出なかった。
持っていたパンが、シチューの中へと沈んでいく。
父上は俺が出かける可能性を想定していたが、きっとそれはこれ以上問題を大きくさせないためのことであって、好き勝手にと言うのは論外なのだろう。
魔法が使えなかったことで、出ていく気にはなれなかったが……出ていった場合俺はどうなっていたことやら。考えただけで背筋が凍りつく。
「入るわよ」
ドアが空いているから、ズカズカと入ってくるレフリアは俺を見るなり、深い溜め息をついていた。
ハルトは居ないようだけど……アイツのことだから、父上たちの手伝いでもしているんだろうな。考え込むよりも、体を動かしている方が何かと気が紛れるしな。
「レフリアか、どうした?」
「様子を見に来ただけよ。あれがずっと寝ていたから、少し心配していただけよ」
何だこの嬉しくもないデレは……あのレフリアに心配されるとはな。
どうせやるのなら、額をくっつけるぐらいしろ。まあ、ハルトに何を言われるか分からないから嫌だけど。
アイツは手が早いからな。
「ミーリア、美味かったよ。ありがとうな」
シチューをかきこみ、落ちていたパンを最後に頬張る。
中々に悪くはないけど……染み込みすぎるというのも問題だな。
皿を渡すが、ミーリアはぼーっとしているだけだった。
「どうかしたか?」
「は、はい。ありがとうございます」
どういう返事なんだ?
お礼を言うのなら俺の方だよな?
レフリアに意見を求めようと視線を送るが……何がすごく嫌そうな顔をしている。
ミーリアは皿を片付けるために、何故か慌てて部屋から出ていった。
「あーあ。なんでまぁ……」
「何かあったのか?」
レフリアは壁にもたれ、腕を組みあえて俺を見下ろすかのような目つきをしていた。
何かを考えているのか、右手の人差指で腕を叩いている。
お? 今思えば……ミーリアってことは、今ハルトがいたらリアって呼ぶと、ミーリアが反応して修羅場勃発か?
いや、絶対にそうはならないか。
それにしても……こいつは意外と普通なんだな。
「なんて顔をしているのよ。ミーアとパメラに言いつけるわよ?」
「何だそれは? あの二人の話が出ることってなんだ?」
「親友の婚約者様が、こんな所で浮気寸前のことをしているのよ?」
浮気?
俺とレフリアが?
ええ……なにそれすっごく嫌なんだけど。
「何でお前と俺が浮気をする必要があるんだよ!! 馬鹿か!?」
「何で私とアンタなのよ! 死んでもごめんだわ!」
何で俺たちは怒鳴り合っているんだ?
ただでさえ体がだるいというのに、こいつのせいで余計に疲れてきたぞ。
「とりあえず様子を見たんだろ。俺は着替えるつもりだけど。見たいのか?」
「誰が!!」
レフリアは顔を背け部屋から出ていったが……自分の家なら兎も角として、ドアは静かに閉めような。
あの怒った態度がいつも通りで、少し助かっている。
「あの様子からして、気に病んでいなくてよかったな」
アレだけの事をしたのだ、今までのような対応はないと思っていた。
レアリアもハルトも、これまでと何も変わらず接してくれたのが、嬉しいと思えるのなら二人は俺にとってやはり友人なのだろう。
レフリアに剣を向け、恐怖さえ植え付けたようなものだ。
今回のことがあの二人にバレると少し気が滅入ってくる。
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