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ラカトリア学園 高等部
57 禁断の魔法は人を選ぶ 2
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レフリアの表情が一気に険しいものへと変わっていた。
このメンバーで唯一俺のことを信用していない。
剣ばかりを使うことなんてやったこともないから、本気で掛ければどれぐらい持つのかもわからない。
「ふっ、引っ掛かったな。本気でやったとして十五分が限界だ。それで俺の魔力は空っぽだ」
「ふーん。じゃあさ、何で目をそらすかな? ほーらこっちを見なさいよ」
「こら、二人共。手を離すんだ」
レフリアは目を細め確実に疑いの眼差しを向けている。何たる誘導尋問。
余計なことを考えててついボロが……というか、ボロが出すぎてないか? 考え事は一人の時だけにしておいたほうがいいな。
俺の後ろで喧嘩するなよ。原因はコイツだよな。コイツを助けてからというもの余計なことばかりついてまわる。疫病神パメラか?
あれ以来付きまとわれるし、ミーアとも何故か仲が良くない。原因が分からない訳でもないが、理解は出来ない。
「レフリアの言いたいことは分かった。明日からは余裕があれば氷の大剣を使用する。今はそれでいいだろう」
「何回?」
「み、南の海がどうした……」
「ちゃんと答えて。皆の……ミーアの命も掛かっているのよ」
「随分と嫌な言い方をしてくるな。皆の命がかかっているだけにしてくれよ。最大でなら十五分。それか、五分程度だと、四・五回がいいところだろう」
「ふーん。まあいいわ。今はそれで納得してあげる」
絶対に納得していませんって顔だな。
俺一人でなら、そんな無駄魔法を使うぐらいなら、風魔法を使ったほうがよっぽど効果的なんだよな。
そういや、最初に行く街は……ミーカトだったな。
ギルドから手に入る金額も調べておく必要がでてきた。初級ダンジョンが終われば、来月からは授業パートへと変わる。
その期間を使えばなんとかなるのかもしれない。
「いいか、目安として覚えておけよ。リーダーさん」
「アレス様。その、私にも付与をできたりするのでしょうか?」
「レイピアに氷魔法をか?」
出来ない事はないだろうが、今のミーアは氷魔法を使うことができるのか?
俺がアレスが使う魔法以外にも使えるのだから、使えないというわけでもないか。
「いえ、氷ではなく火を付与できれば、弱い私の攻撃でも少しは良くなるのではないかと」
「あまり実用的ではないかもな」
「そうですか……」
「発想は悪くないが。氷の大剣は、切れ味や強度を魔力である程度調整できるからな。だけどミーアが使えるのは、剣に火を纏わせるぐらいだろ? 火は個体の状態を保てないから、切り口から火傷を負わせるものだろう」
「アレス様からして、私にはどうようなものが良いのでしょうか?」
「レイピアに……火魔法か、爆裂なら……い、いや。ミーアにはあまりおすすめできない」
レイピアの基本攻撃は刺突だ。
その状態で何が一番効果的か……俺はラティファが使っていた魔法を思い出していた。
試したことのないものだったが……女の子いや、超絶美少女があんな物を使う所を見たくはない。
「だめだ。ミーアには教えられない。ミーアがやるようなものじゃないんだ」
「一体何なのよ? ミーアなら出来ないの?」
「なら私は? 私ならそれ出来ますか? 火魔法は少しなら使えます」
今度はパメラがこの話に食いついてきた。
槍だとその長さを生かして、内部からの爆裂は十分に効果があると思う。
「パメラは……べつにいいか。可愛いけど美女じゃないからな」
「美女じゃないから、別にいいとは?」
「可愛いとはどういうことなのですか?」
二人はずいっと俺の目の前に顔を近づけてくるがどう見ても怒っているご様子。
レフリアは「馬鹿ね」といい、ハルトは「そうだね」と、俺を助けるつもりがない。
何故二人が怒っているのかを考え、自分の失言に気がついた俺は、二人に土下座をしていた。
言葉の綾と言ったらまた怒られる。
二人共俺に対しての怒りは少し理不尽すぎないか?
このメンバーで唯一俺のことを信用していない。
剣ばかりを使うことなんてやったこともないから、本気で掛ければどれぐらい持つのかもわからない。
「ふっ、引っ掛かったな。本気でやったとして十五分が限界だ。それで俺の魔力は空っぽだ」
「ふーん。じゃあさ、何で目をそらすかな? ほーらこっちを見なさいよ」
「こら、二人共。手を離すんだ」
レフリアは目を細め確実に疑いの眼差しを向けている。何たる誘導尋問。
余計なことを考えててついボロが……というか、ボロが出すぎてないか? 考え事は一人の時だけにしておいたほうがいいな。
俺の後ろで喧嘩するなよ。原因はコイツだよな。コイツを助けてからというもの余計なことばかりついてまわる。疫病神パメラか?
あれ以来付きまとわれるし、ミーアとも何故か仲が良くない。原因が分からない訳でもないが、理解は出来ない。
「レフリアの言いたいことは分かった。明日からは余裕があれば氷の大剣を使用する。今はそれでいいだろう」
「何回?」
「み、南の海がどうした……」
「ちゃんと答えて。皆の……ミーアの命も掛かっているのよ」
「随分と嫌な言い方をしてくるな。皆の命がかかっているだけにしてくれよ。最大でなら十五分。それか、五分程度だと、四・五回がいいところだろう」
「ふーん。まあいいわ。今はそれで納得してあげる」
絶対に納得していませんって顔だな。
俺一人でなら、そんな無駄魔法を使うぐらいなら、風魔法を使ったほうがよっぽど効果的なんだよな。
そういや、最初に行く街は……ミーカトだったな。
ギルドから手に入る金額も調べておく必要がでてきた。初級ダンジョンが終われば、来月からは授業パートへと変わる。
その期間を使えばなんとかなるのかもしれない。
「いいか、目安として覚えておけよ。リーダーさん」
「アレス様。その、私にも付与をできたりするのでしょうか?」
「レイピアに氷魔法をか?」
出来ない事はないだろうが、今のミーアは氷魔法を使うことができるのか?
俺がアレスが使う魔法以外にも使えるのだから、使えないというわけでもないか。
「いえ、氷ではなく火を付与できれば、弱い私の攻撃でも少しは良くなるのではないかと」
「あまり実用的ではないかもな」
「そうですか……」
「発想は悪くないが。氷の大剣は、切れ味や強度を魔力である程度調整できるからな。だけどミーアが使えるのは、剣に火を纏わせるぐらいだろ? 火は個体の状態を保てないから、切り口から火傷を負わせるものだろう」
「アレス様からして、私にはどうようなものが良いのでしょうか?」
「レイピアに……火魔法か、爆裂なら……い、いや。ミーアにはあまりおすすめできない」
レイピアの基本攻撃は刺突だ。
その状態で何が一番効果的か……俺はラティファが使っていた魔法を思い出していた。
試したことのないものだったが……女の子いや、超絶美少女があんな物を使う所を見たくはない。
「だめだ。ミーアには教えられない。ミーアがやるようなものじゃないんだ」
「一体何なのよ? ミーアなら出来ないの?」
「なら私は? 私ならそれ出来ますか? 火魔法は少しなら使えます」
今度はパメラがこの話に食いついてきた。
槍だとその長さを生かして、内部からの爆裂は十分に効果があると思う。
「パメラは……べつにいいか。可愛いけど美女じゃないからな」
「美女じゃないから、別にいいとは?」
「可愛いとはどういうことなのですか?」
二人はずいっと俺の目の前に顔を近づけてくるがどう見ても怒っているご様子。
レフリアは「馬鹿ね」といい、ハルトは「そうだね」と、俺を助けるつもりがない。
何故二人が怒っているのかを考え、自分の失言に気がついた俺は、二人に土下座をしていた。
言葉の綾と言ったらまた怒られる。
二人共俺に対しての怒りは少し理不尽すぎないか?
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