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ラカトリア学園 高等部
45 もしかして逃げられない? 2
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なんだが、俺が思っていた学園生活と大きく変わってしまったな。
「よく言うわよ。アンタが一人で入っているのを知っているんだから。それより、二人は何で睨み合っているの?」
「そんなの、俺が知りたい。レフ……ルーヴィア嬢。もしかしてだが、二階層に行くつもりなのか?」
一番気にするのは何処まで行くつもりなのかということだ。
この一週間で四人はそれなりには戦えるようになっているとは思えない。しかし、二階層にもなれば当然魔物の種類も変わる。今まで以上に苦戦する可能性や、大怪我だってありえる。
ゲームのように、苦戦をしたのなら逃げた後に、回復をしたりすることもできる。だけど、現実は逃げても魔物は実在しているので当然追ってくる。
怪我はポーションや回復魔法である程度なら回復できる。そんな気軽な話にならないのは、この世界にはゲームで存在していた帰還用のアイテムがなかったからだ。どんな危機的な状況だとしても、気軽に戻ることが出来ないため、生存率がぐんと下がってくる。
生徒が毎年亡くなっているのは、これが大きな要因だろうな。
「ええ、そのつもりよ。それで少しでも戦力が欲しいから、アンタを呼んだわけ」
いくら何でもその発想はありえない。
あまりにも無謀すぎるからだ。危険だと分かっているのに、なぜ現時点で飛び込む必要があると言うんだ?
「いい迷惑だ。俺は二階層に行くつもりはなかったのだけどな」
「そうはいうけどさ、いつかは行かないとこれから先、学園に居られなくなるんだよ? それは困るでしょ?」
「それはどうなんだろうな……」
今の俺なら、初等部を出ている段階で冒険者としても活動は出来る。
ミーアの事を完全に無視して影から見守ることもなくただ目的を果たす。
そんなことは俺自身が望んでいることじゃない。
きっと、俺がアレスだから、ミーアのことを自然と気にかけてしまう。
一人でラスボスを倒して……それで終わるのならいいのだけど。いくら生徒よりかは強いとは言え、それでも俺の実力はたかが知れている。
そのためにも多くの魔物を討伐する必要がある。
だけど、学園の生徒たちの強さからしても、ミーア達はかなり危険だ。俺が一緒にいるのなら問題はないのだろうけど、それではいつまでも目的が果たせそうにもない。そのため、この三人にもそれなりに強くなって貰う必要がある。
離れたいけど、離れられない。けど一緒にいることは俺の精神的に辛い。
それに加えて、パメラというイレギュラーも参加するという異常な状態にもなっている。
王子が攻略対象だと言うのに、なぜ俺にアプローチを仕掛けてくるんだ?
「アレス様。今日はよろしくお願いします」
お願いするのは分かったけど、何で腕に……腕が腕がーー!!
ミーアはまた俺の腕を両手で掴んでいる。その魅惑的な攻撃に俺の思考は別のことを考えていた。
どうする。押すか? このまま引けば手に? いや違う、回転させつつ引けばあの膨らみが俺の手のひらに!?
「あれ、絶対に碌なこと考えていないわよ。ミーアも何であんなのがいいのよ」
「シルラーン様。止めてください!」
何をしているんだ。パメラお前というやつは俺から幸福を奪う……そうじゃない。いや、よくやったパメラ。よく戻してくれた……無心で手を引き、数歩後ろに下がった。
あぶない……この俺ともあろうものが、この程度のハニートラップにかかるところだった。
パメラはともかく、ミーアにこれ以上近寄られるのは危険すぎるな。
そういえば……ミーアがアレスに抱きつくシーンがあったよな? アレスがミーアに落とされたのは、桃のように甘い香りがするアレが原因だというのか?
それに引き換え、はんぺんのような膨らみは俺に正気を取り戻してくれる。
「我に返ったようね。ほんと馬鹿なんだから」
「リア。抑えて、ね?」
「むぅーーー!」
「またむくれているのか? はいはい、可愛い顔が台無しになるんだから、止めておけって」
パメラは勝ち誇ったかのように、ミーアを嘲笑う。
ダンジョンの前だと言うのに、二人に手を引っ張られることになってしまう。
「やっぱり馬鹿だったわ」
「今のは、僕も否定しづらいな……あはは」
とりあえず、なぜかレフリアの一撃により場はなんとか収まったが左頬が痛い。
というか、俺ってこのまま連行されるのか?
「よく言うわよ。アンタが一人で入っているのを知っているんだから。それより、二人は何で睨み合っているの?」
「そんなの、俺が知りたい。レフ……ルーヴィア嬢。もしかしてだが、二階層に行くつもりなのか?」
一番気にするのは何処まで行くつもりなのかということだ。
この一週間で四人はそれなりには戦えるようになっているとは思えない。しかし、二階層にもなれば当然魔物の種類も変わる。今まで以上に苦戦する可能性や、大怪我だってありえる。
ゲームのように、苦戦をしたのなら逃げた後に、回復をしたりすることもできる。だけど、現実は逃げても魔物は実在しているので当然追ってくる。
怪我はポーションや回復魔法である程度なら回復できる。そんな気軽な話にならないのは、この世界にはゲームで存在していた帰還用のアイテムがなかったからだ。どんな危機的な状況だとしても、気軽に戻ることが出来ないため、生存率がぐんと下がってくる。
生徒が毎年亡くなっているのは、これが大きな要因だろうな。
「ええ、そのつもりよ。それで少しでも戦力が欲しいから、アンタを呼んだわけ」
いくら何でもその発想はありえない。
あまりにも無謀すぎるからだ。危険だと分かっているのに、なぜ現時点で飛び込む必要があると言うんだ?
「いい迷惑だ。俺は二階層に行くつもりはなかったのだけどな」
「そうはいうけどさ、いつかは行かないとこれから先、学園に居られなくなるんだよ? それは困るでしょ?」
「それはどうなんだろうな……」
今の俺なら、初等部を出ている段階で冒険者としても活動は出来る。
ミーアの事を完全に無視して影から見守ることもなくただ目的を果たす。
そんなことは俺自身が望んでいることじゃない。
きっと、俺がアレスだから、ミーアのことを自然と気にかけてしまう。
一人でラスボスを倒して……それで終わるのならいいのだけど。いくら生徒よりかは強いとは言え、それでも俺の実力はたかが知れている。
そのためにも多くの魔物を討伐する必要がある。
だけど、学園の生徒たちの強さからしても、ミーア達はかなり危険だ。俺が一緒にいるのなら問題はないのだろうけど、それではいつまでも目的が果たせそうにもない。そのため、この三人にもそれなりに強くなって貰う必要がある。
離れたいけど、離れられない。けど一緒にいることは俺の精神的に辛い。
それに加えて、パメラというイレギュラーも参加するという異常な状態にもなっている。
王子が攻略対象だと言うのに、なぜ俺にアプローチを仕掛けてくるんだ?
「アレス様。今日はよろしくお願いします」
お願いするのは分かったけど、何で腕に……腕が腕がーー!!
ミーアはまた俺の腕を両手で掴んでいる。その魅惑的な攻撃に俺の思考は別のことを考えていた。
どうする。押すか? このまま引けば手に? いや違う、回転させつつ引けばあの膨らみが俺の手のひらに!?
「あれ、絶対に碌なこと考えていないわよ。ミーアも何であんなのがいいのよ」
「シルラーン様。止めてください!」
何をしているんだ。パメラお前というやつは俺から幸福を奪う……そうじゃない。いや、よくやったパメラ。よく戻してくれた……無心で手を引き、数歩後ろに下がった。
あぶない……この俺ともあろうものが、この程度のハニートラップにかかるところだった。
パメラはともかく、ミーアにこれ以上近寄られるのは危険すぎるな。
そういえば……ミーアがアレスに抱きつくシーンがあったよな? アレスがミーアに落とされたのは、桃のように甘い香りがするアレが原因だというのか?
それに引き換え、はんぺんのような膨らみは俺に正気を取り戻してくれる。
「我に返ったようね。ほんと馬鹿なんだから」
「リア。抑えて、ね?」
「むぅーーー!」
「またむくれているのか? はいはい、可愛い顔が台無しになるんだから、止めておけって」
パメラは勝ち誇ったかのように、ミーアを嘲笑う。
ダンジョンの前だと言うのに、二人に手を引っ張られることになってしまう。
「やっぱり馬鹿だったわ」
「今のは、僕も否定しづらいな……あはは」
とりあえず、なぜかレフリアの一撃により場はなんとか収まったが左頬が痛い。
というか、俺ってこのまま連行されるのか?
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