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聖女編
175 お嬢様の周りは変わり始める
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ソルティアーノの騒動が終わり、私はいつものように王都の屋敷で過ごしていた。
毎週のように、メルからは提案していた計画の進行具合や、寝れないなどの文句が寄せられている。
屋敷の執務室で報告書を眺めつつ、メルの苦労している顔が目に浮かび笑いがこみ上げていた。
あのお金の使い道がなかったのは確かだけど、メルたちであれば平民が利用できる銭湯を作ってくれると思っていた。
それらの制作にかかる費用は、公爵家から支払われるお金でまかなっている。
屋敷のある浴場であれば、利用できる人が少ないためあのまま使うことは出来ない。その他にも、様々な問題が浮上してくるが私は全て丸投げをしている。
メルが文句を言いつつも従っているのは、公爵様がサインをしてことで無下に扱うことも出来ない。
「相変わらず苦戦しているみたいね。たまには何か送ってあげようかしらね」
「それは良いと思います。お姉さまには、何が良いのかしら?」
私の独り言に割って入ってくる。クレアは学園の帰りにほぼ毎日のように屋敷に来ていた。
夕食前になると、メイドたちの使う浴場で入浴を済ませてから、自分の家に帰るのが定番となってしまっている。
私が使っている方でも良かったのだけど、恐れ多くて使えないってどういうことかしらね。
婚約パーティー開始前の様子からして、貴族たちの間でも話題になっているらしい。この王都でも、銭湯が開店できればクレアのような令嬢たちも押しかけるだろう。
何時でもすぐに入れるというのは、私達元日本人にとってもかなりありがたい話でもある。
「クレア様、そろそろ行きますか?」
「ええ、行きましょうか」
私の浴場を使えない理由の一つが、ティアが原因なのかもしれないわね。
ティアとクレアは一緒に入浴しているのだが……あの子は私の護衛になりたいと言ってなかったかしら? と、疑問に思ってしまうわね。
仲が良いのは悪い話ではないのだけど。
このままというわけにも行かないと思うのよね。
クレアはあまりにも近くなりすぎてしまっている。今となってはここにいるのが当たり前で、使用人たちも奴隷たちも、彼女がいることに違和感というものを持たなくなっている。
私は執務室で報告書を提案書を眺めていることが多いので、ティアは話し相手になってくれるクレアの方に行ってしまった。
まだまだ、遊び足りない子供のようだった。
ルキアもそれを見越しているのか、ティアに対しては特に咎める様子は見られない。
だけど、このまま一緒には居られないということを、何時打ち明ければ良いのか私は悩み始めている。
「クロのやつ……全く、何をやらかしているのよ」
「イクミ殿、クロの奴が何か?」
報告書をルキアに渡すと、ぐしゃっと握りつぶしている。
クロとチロは私から離れている。チロの奴隷紋も開放し、二人は何を思ったのか、山賊や盗賊と言った輩を狩り始めている。
きっと前回のことが相当気に入らなかったのだろうけど、いくら何でもやりすぎだと思うのよね。
ただ、内容に関しては悪いことをしているというわけではない。
私も強くは言えないのだが……問題なのは、そこに貯められていた盗んだ物を私の所へと持ってくることだ。
「どうせ盗まれた物なのですから、くすねればよいのでは?」
「そういう訳にもいかないでしょ」
お金ははどうしようもない話だが、装飾が施された宝石などには大抵持ち主が居たりする。
襲われた貴族たちがそれなりにいるから、また衛兵の所に行くとなるのが面倒な話だ。
三度目辺りには、私が頭目かと疑われもしたのよね。わからない話ではないのだけど、もう少しぐらい私の話を聞いてくれてもいいのに……
「私が代わりに行きますか?」
「それが出来ないのも困るのよ。今は、ソルティアーノ公爵様の後ろ盾がある私なら、これ以上疑われるようなことはないわ」
後ろ盾というのも恥ずかしい話だが……疑わしいということで、一度は投獄された。
それを見ていたルキアは、クレアを頼ったことでソルティアーノ公爵様自ら詰め所まで来てもらうことになり、その助力のおかげで助けられるというのは何とも情けない話よね。
まあ、その時の公爵様の怒りようは凄まじいものだったけどね。
それだけで済まないのが私なのよね。
公爵様から話を聞いたのか一緒にやってきた、ライオが私に対して頭を下げるから、衛兵たちは私にかなりビビっているのよね。
その後の対応は、見ていて気分のいいものではなかつた。私の言葉一つにビクビクされ、誰もが床に頭を擦り付けていた。
それも全てはライオのせいでもあるのだけどね。
「それにしても、あの二人は今は何をしているのかしらね」
「きっと、女将の所でしょう。後でお礼に伺います」
「そうして頂戴」
この短期間に、複数の根城を潰しているところから考えて、裏にはトパーズがいて情報を集めているというわけね。
何を考えたらそうなるのかしらね。
今は随分とマシになったものの、始めて置かれていた箱の中に、連れ去られていた人が入っているなんて想像もしていなかったわよ。
あの時は本当に平謝りするしかなったのよね。
「色々と合ったけど、もう少しでここに来て一年になるのね」
「お嬢様、そろそろ休憩に致しましょう」
「ありがとう、ルビー」
年末には王宮でパーティーが開かれたが、二度に渡りろくでもない事に巻き込まれたということもあって、私は参加をしていない。
ルビーとルキアによって不参加になっている。
メイドたちはドレス姿が拝めなくて残念そうにしていたけど、私だけで開いた宴会では着飾られたのよね。
アレさえなければ本当に良かったのだけどね。
毎週のように、メルからは提案していた計画の進行具合や、寝れないなどの文句が寄せられている。
屋敷の執務室で報告書を眺めつつ、メルの苦労している顔が目に浮かび笑いがこみ上げていた。
あのお金の使い道がなかったのは確かだけど、メルたちであれば平民が利用できる銭湯を作ってくれると思っていた。
それらの制作にかかる費用は、公爵家から支払われるお金でまかなっている。
屋敷のある浴場であれば、利用できる人が少ないためあのまま使うことは出来ない。その他にも、様々な問題が浮上してくるが私は全て丸投げをしている。
メルが文句を言いつつも従っているのは、公爵様がサインをしてことで無下に扱うことも出来ない。
「相変わらず苦戦しているみたいね。たまには何か送ってあげようかしらね」
「それは良いと思います。お姉さまには、何が良いのかしら?」
私の独り言に割って入ってくる。クレアは学園の帰りにほぼ毎日のように屋敷に来ていた。
夕食前になると、メイドたちの使う浴場で入浴を済ませてから、自分の家に帰るのが定番となってしまっている。
私が使っている方でも良かったのだけど、恐れ多くて使えないってどういうことかしらね。
婚約パーティー開始前の様子からして、貴族たちの間でも話題になっているらしい。この王都でも、銭湯が開店できればクレアのような令嬢たちも押しかけるだろう。
何時でもすぐに入れるというのは、私達元日本人にとってもかなりありがたい話でもある。
「クレア様、そろそろ行きますか?」
「ええ、行きましょうか」
私の浴場を使えない理由の一つが、ティアが原因なのかもしれないわね。
ティアとクレアは一緒に入浴しているのだが……あの子は私の護衛になりたいと言ってなかったかしら? と、疑問に思ってしまうわね。
仲が良いのは悪い話ではないのだけど。
このままというわけにも行かないと思うのよね。
クレアはあまりにも近くなりすぎてしまっている。今となってはここにいるのが当たり前で、使用人たちも奴隷たちも、彼女がいることに違和感というものを持たなくなっている。
私は執務室で報告書を提案書を眺めていることが多いので、ティアは話し相手になってくれるクレアの方に行ってしまった。
まだまだ、遊び足りない子供のようだった。
ルキアもそれを見越しているのか、ティアに対しては特に咎める様子は見られない。
だけど、このまま一緒には居られないということを、何時打ち明ければ良いのか私は悩み始めている。
「クロのやつ……全く、何をやらかしているのよ」
「イクミ殿、クロの奴が何か?」
報告書をルキアに渡すと、ぐしゃっと握りつぶしている。
クロとチロは私から離れている。チロの奴隷紋も開放し、二人は何を思ったのか、山賊や盗賊と言った輩を狩り始めている。
きっと前回のことが相当気に入らなかったのだろうけど、いくら何でもやりすぎだと思うのよね。
ただ、内容に関しては悪いことをしているというわけではない。
私も強くは言えないのだが……問題なのは、そこに貯められていた盗んだ物を私の所へと持ってくることだ。
「どうせ盗まれた物なのですから、くすねればよいのでは?」
「そういう訳にもいかないでしょ」
お金ははどうしようもない話だが、装飾が施された宝石などには大抵持ち主が居たりする。
襲われた貴族たちがそれなりにいるから、また衛兵の所に行くとなるのが面倒な話だ。
三度目辺りには、私が頭目かと疑われもしたのよね。わからない話ではないのだけど、もう少しぐらい私の話を聞いてくれてもいいのに……
「私が代わりに行きますか?」
「それが出来ないのも困るのよ。今は、ソルティアーノ公爵様の後ろ盾がある私なら、これ以上疑われるようなことはないわ」
後ろ盾というのも恥ずかしい話だが……疑わしいということで、一度は投獄された。
それを見ていたルキアは、クレアを頼ったことでソルティアーノ公爵様自ら詰め所まで来てもらうことになり、その助力のおかげで助けられるというのは何とも情けない話よね。
まあ、その時の公爵様の怒りようは凄まじいものだったけどね。
それだけで済まないのが私なのよね。
公爵様から話を聞いたのか一緒にやってきた、ライオが私に対して頭を下げるから、衛兵たちは私にかなりビビっているのよね。
その後の対応は、見ていて気分のいいものではなかつた。私の言葉一つにビクビクされ、誰もが床に頭を擦り付けていた。
それも全てはライオのせいでもあるのだけどね。
「それにしても、あの二人は今は何をしているのかしらね」
「きっと、女将の所でしょう。後でお礼に伺います」
「そうして頂戴」
この短期間に、複数の根城を潰しているところから考えて、裏にはトパーズがいて情報を集めているというわけね。
何を考えたらそうなるのかしらね。
今は随分とマシになったものの、始めて置かれていた箱の中に、連れ去られていた人が入っているなんて想像もしていなかったわよ。
あの時は本当に平謝りするしかなったのよね。
「色々と合ったけど、もう少しでここに来て一年になるのね」
「お嬢様、そろそろ休憩に致しましょう」
「ありがとう、ルビー」
年末には王宮でパーティーが開かれたが、二度に渡りろくでもない事に巻き込まれたということもあって、私は参加をしていない。
ルビーとルキアによって不参加になっている。
メイドたちはドレス姿が拝めなくて残念そうにしていたけど、私だけで開いた宴会では着飾られたのよね。
アレさえなければ本当に良かったのだけどね。
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