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聖女編
173 お嬢様、おはようございます
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「お嬢様、そろそろ起きてください。朝ですよ」
「ううーん?」
なんだコレ?
私はルビーの声に目を覚ますと、手から感じるふにふにと柔らかい感触は一体?
「あん♪ 朝からだなんて、私なら何時でも準備万端ですよ?」
そのありえない言葉に、私の意識は一気に覚醒していく。
私のベッドの中にトパーズが下着姿で寝ていたのだ。
「な、何をやっているのよ!」
とっさに手が出てしまい、トパーズの胸にビンタをしてしまう。
自分がやったことに後悔をしたものの、トパーズの顔を見てげんなりしてしまう。
「なるほど、お嬢様はそういった趣向の御方だったのですね」
「違う、違うから! 一体ルビーは何処なの?」
「あの子でしたら、少し用事を頼みましたので、今日は私がお嬢様の側でお仕えします」
部屋を見渡すが、ルキアの姿も見当たらない。昨日に引き続きこれはどういうことなのよ?
トパーズは一体いつから私の隣で……やけに寒く感じると思って自分の体に視線を向けると、布切れ一枚すら付けていないことに気がついた。
「な……なんで? トパーズ、私に何をしたの?」
「お体には何もしておりません。ですが、あれだけでは少々物足りなかったものでして」
こいつは一体何の話をしているのかわからない……ド変態なトパーズではあるのだが、嘘をついたことがないから厄介な話よね。
信用できるのかと聞かれると何も答えられないが、特に違和感らしいものもないから何もしていないのは確か、だと思いたい。
そもそも服を脱がせている段階で、何もしていないとも言い切れないような?
今更体を見られた所で、あまり気にはしないけど、あの気持ちの悪い行動だけは勘弁して欲しいわね。
「まだかなり早い時間よね。こんな時間に私を起こしてどうしたの?」
「それでしたら、ささ、どうぞ私の胸の中に」
「話をする気がないのなら、ルビーかルキアを探してくるわ」
ベッドから降りて、着替えをしようにも服が何処にあるのだか……脱がされた服は何処にもないし。
このままトパーズに頼むのも無理そうよね。
「まって、待ってください。何をしているのですか!?」
「着替えをしたいのだけど? トパーズはそんな気がないのだから仕方がないでしょ?」
「やります。ちゃんとやりますので、そのような格好で部屋から出ようとはしないでください」
トパーズは私が裸のまま外へと行こうとしたことで、慌てふためき急いで着替えを済ませていくのだが……不思議なことにルビーと同じように手際が良い。
普通にできるのなら、なんで昨日はあんな変態みたいな行動に出たというのかしらね。
少しは覚悟をしていたことだったが、トパーズは一切の変態な行動もなく着替えを済ませるものだから拍子抜けをしてしまう。
「それで、話って何なのかしら?」
「お嬢様はもう少しぐらい、余韻に浸らせてくれてもよろしいのに」
やっぱりいつものトパーズに変わりがないわね。
余韻って、私には何も残したくはないよ。
「少しは真面目に話をしてよね」
「はいはい、分かりましたよ。それでは、お嬢様」
トパーズはふざけているいつもの顔を変え、少しだけ真剣な顔つきへと変わる。
普段からこれだといいのだけどね。
「決闘での相手と、ここソルティアーノ公爵家で、お嬢様の襲撃に加担をしていた一味が判明し、壊滅させました」
事後報告と言っていたのはこれのことね。
学園長の言葉といい、ルビーの様子からしてもよくない連中だと思っていたけど……判明と同時に壊滅とはね。
いくら犯罪者といえど……どう壊滅させたかが問題よね。
「私がここに留まらせていたのは、やっぱりそれが原因ということ?」
「はい。王都のお屋敷へと移動して頂いても良かったのですが、それだとソルティアーノ公爵家としては心苦しくなると思いました」
「確かに……ね」
それ以外にも裏があるのだとは思うけど、分からなくない話でもあるのかな?
怪我の療養としてここに居させて貰った。私の安全は、私自信が余計なことをしない限りに置いて約束されているようなものよね。
トパーズなら、ソルティアーノ公爵家が加担をしていると考えたのかもしれないわね。
違う場合だとしても、貴族として私への配慮を考えるのなら離れるよりも、ここに居て監視と対応の両方を見定めることも出来るが……この考えは、クレアがいる時点でその話はまずないわね。
公爵様としても、あのバカ娘を制御できそうにもないし。
奴隷たちがその気にでもなれば、この程度の屋敷は一瞬でなくなることを容易に想像もできるわよね。
「ソルティアーノ公爵家は関係がなかったというわけね。それだけでも少しは気が楽になるよ。加担していたのは、一体どうゆう連中なの?」
「暗殺集団、黒の狼」
また嫌な名前をつけているわね。
私の頭の中で、一人の護衛が目に浮かんでくるわよ。
「お嬢様に危害を加えただけでなく、そのようなふざけた名前に、ブチギレた者が弟子と一緒になって壊滅させることとなりました」
あ、やっぱり。
そんな名前が、しかも暗殺集団として名前が出ていれば普通に怒るよね。
「壊滅ってどういう……」
「どうか、彼女たちを悪く思わないように。名前だけでなく、お嬢様に危害を加えた。それが何よりも重要なのですよ」
トパーズは、察して理解しろと言っているのね。
クロは……私のために人を殺したことになる。弟子、あの子にそんな事をさせたくはなかったわね。
「そうね。帰ったらお礼を言うわ」
「それが良いと思います。それと今回のことですが……」
なるほどね。ソルティアーノ公爵にどうやって侵入したのか。
少し疑問にはなっていたけど、クレアと友人であることを当然知っていて、このパーティーに私が呼ばれる。
私の前に現れたあの男は、貴族。その暗殺集団は御者に紛れたり、箱の中に潜んでいたらしい。
「ううーん?」
なんだコレ?
私はルビーの声に目を覚ますと、手から感じるふにふにと柔らかい感触は一体?
「あん♪ 朝からだなんて、私なら何時でも準備万端ですよ?」
そのありえない言葉に、私の意識は一気に覚醒していく。
私のベッドの中にトパーズが下着姿で寝ていたのだ。
「な、何をやっているのよ!」
とっさに手が出てしまい、トパーズの胸にビンタをしてしまう。
自分がやったことに後悔をしたものの、トパーズの顔を見てげんなりしてしまう。
「なるほど、お嬢様はそういった趣向の御方だったのですね」
「違う、違うから! 一体ルビーは何処なの?」
「あの子でしたら、少し用事を頼みましたので、今日は私がお嬢様の側でお仕えします」
部屋を見渡すが、ルキアの姿も見当たらない。昨日に引き続きこれはどういうことなのよ?
トパーズは一体いつから私の隣で……やけに寒く感じると思って自分の体に視線を向けると、布切れ一枚すら付けていないことに気がついた。
「な……なんで? トパーズ、私に何をしたの?」
「お体には何もしておりません。ですが、あれだけでは少々物足りなかったものでして」
こいつは一体何の話をしているのかわからない……ド変態なトパーズではあるのだが、嘘をついたことがないから厄介な話よね。
信用できるのかと聞かれると何も答えられないが、特に違和感らしいものもないから何もしていないのは確か、だと思いたい。
そもそも服を脱がせている段階で、何もしていないとも言い切れないような?
今更体を見られた所で、あまり気にはしないけど、あの気持ちの悪い行動だけは勘弁して欲しいわね。
「まだかなり早い時間よね。こんな時間に私を起こしてどうしたの?」
「それでしたら、ささ、どうぞ私の胸の中に」
「話をする気がないのなら、ルビーかルキアを探してくるわ」
ベッドから降りて、着替えをしようにも服が何処にあるのだか……脱がされた服は何処にもないし。
このままトパーズに頼むのも無理そうよね。
「まって、待ってください。何をしているのですか!?」
「着替えをしたいのだけど? トパーズはそんな気がないのだから仕方がないでしょ?」
「やります。ちゃんとやりますので、そのような格好で部屋から出ようとはしないでください」
トパーズは私が裸のまま外へと行こうとしたことで、慌てふためき急いで着替えを済ませていくのだが……不思議なことにルビーと同じように手際が良い。
普通にできるのなら、なんで昨日はあんな変態みたいな行動に出たというのかしらね。
少しは覚悟をしていたことだったが、トパーズは一切の変態な行動もなく着替えを済ませるものだから拍子抜けをしてしまう。
「それで、話って何なのかしら?」
「お嬢様はもう少しぐらい、余韻に浸らせてくれてもよろしいのに」
やっぱりいつものトパーズに変わりがないわね。
余韻って、私には何も残したくはないよ。
「少しは真面目に話をしてよね」
「はいはい、分かりましたよ。それでは、お嬢様」
トパーズはふざけているいつもの顔を変え、少しだけ真剣な顔つきへと変わる。
普段からこれだといいのだけどね。
「決闘での相手と、ここソルティアーノ公爵家で、お嬢様の襲撃に加担をしていた一味が判明し、壊滅させました」
事後報告と言っていたのはこれのことね。
学園長の言葉といい、ルビーの様子からしてもよくない連中だと思っていたけど……判明と同時に壊滅とはね。
いくら犯罪者といえど……どう壊滅させたかが問題よね。
「私がここに留まらせていたのは、やっぱりそれが原因ということ?」
「はい。王都のお屋敷へと移動して頂いても良かったのですが、それだとソルティアーノ公爵家としては心苦しくなると思いました」
「確かに……ね」
それ以外にも裏があるのだとは思うけど、分からなくない話でもあるのかな?
怪我の療養としてここに居させて貰った。私の安全は、私自信が余計なことをしない限りに置いて約束されているようなものよね。
トパーズなら、ソルティアーノ公爵家が加担をしていると考えたのかもしれないわね。
違う場合だとしても、貴族として私への配慮を考えるのなら離れるよりも、ここに居て監視と対応の両方を見定めることも出来るが……この考えは、クレアがいる時点でその話はまずないわね。
公爵様としても、あのバカ娘を制御できそうにもないし。
奴隷たちがその気にでもなれば、この程度の屋敷は一瞬でなくなることを容易に想像もできるわよね。
「ソルティアーノ公爵家は関係がなかったというわけね。それだけでも少しは気が楽になるよ。加担していたのは、一体どうゆう連中なの?」
「暗殺集団、黒の狼」
また嫌な名前をつけているわね。
私の頭の中で、一人の護衛が目に浮かんでくるわよ。
「お嬢様に危害を加えただけでなく、そのようなふざけた名前に、ブチギレた者が弟子と一緒になって壊滅させることとなりました」
あ、やっぱり。
そんな名前が、しかも暗殺集団として名前が出ていれば普通に怒るよね。
「壊滅ってどういう……」
「どうか、彼女たちを悪く思わないように。名前だけでなく、お嬢様に危害を加えた。それが何よりも重要なのですよ」
トパーズは、察して理解しろと言っているのね。
クロは……私のために人を殺したことになる。弟子、あの子にそんな事をさせたくはなかったわね。
「そうね。帰ったらお礼を言うわ」
「それが良いと思います。それと今回のことですが……」
なるほどね。ソルティアーノ公爵にどうやって侵入したのか。
少し疑問にはなっていたけど、クレアと友人であることを当然知っていて、このパーティーに私が呼ばれる。
私の前に現れたあの男は、貴族。その暗殺集団は御者に紛れたり、箱の中に潜んでいたらしい。
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