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学園編
150 お嬢様の願い
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音を聞きつけ、多くのメイドたちがやって来た。
普段とは違い、皆メイド服を着ていない。私と同行することはないが、皆は皆で街に繰り出すつもりなのだ。
「貴方達、少し聞きたいことがあるのだけど」
「何でございましょうか?」
「私達はこんなにも着飾っているというのに、一人だけメイド服で行こうとするものが居るのをどう思うのかしら?」
そういうと、集まったメイドたちの視線は一斉にルビーへ向けられる。
その状況に納得したのか、クレアがルビーの腕を掴む。
私は、自己防衛のために新たな獲物を差し出すことにした。
「お、お嬢様、何かなされるおつもりですか! クレアローズ様も、お嬢様に感化されてはなりません」
「貴方達、よろしくお願いします」
そう言って私が頭を下げると、メイドたちはルビーを連れて部屋から出て行った。
これで私へと攻撃は収まったわね。ルビーだっていつも同じ服なのだから、たまにはメイドではなくてもいいと思うのだけどね。
「イクミ様。こちらは全て整いました」
「ありがとう、クロ。その服装、似合っているわよ」
「正直言えば、こんな装いは初めてでかなりの違和感ですよ」
普段のクロならそれもそうよね。
一番似合っているのはルキアなのだけど……「そうか」の一言で終わったのよね。
ルキアは私の護衛よりも、王国で騎士をやっているとかなり似合いそうね。そうなれば、隊長に選ばれて……兵士の山が積まれていくのが目に浮かぶ。
「イクミ様。フェルが未だ戻っていないのですが、どう致しましょう?」
「ああ、そうだった。ソルティアーノに残していたわね。メルはまだ向こうにいるみたいだし、問題はないと思うけど……クレアも特に何も言ってなかったわね。けど、貴方達が居ないとなると少し不安ね」
「イクミ様のペットとは言え、魔獣ですからね」
「クロには悪いのだけど、フェルの様子を見に行ってくれる? 明日に……」
「わかりました。護衛はルキアとティアだけでも大丈夫ですよね?」
そう言い残し、床には脱ぎ捨てられた服だけが残っている。
あの子、逃げたわね。
ついでに私も連れて行ってくれても構わないのに……追手が恐ろしいことになるから絶対にそれはないわね。
「なぜ私のこのような……」
「すごく似合っているわよ」
赤いドレスに黒いボレロを着ている辺り、私の色に合わせているのだろうか?
いつもとは違うようなさせてみたいものの、これはこれでなんか腹立たしいわね。
私もルビーと同じように、赤い髪だと言うのに、そんなスラッとした格好にはならない。
なんで私だけこんなにも身長が伸びないのかしらね。
「広場の方もそろそろ終わって落ち着いたと思うから、私達も行こうか」
「はい、イクミ様」
「私は本当にこのような格好で良いのでしょうか?」
馬車に乗り込み、私達三人は大通りの近くまで行く。
王都には、六本の大きな通りがある。城壁で囲まれた大きな城からは真っ直ぐに一本。
それを基準として斜めにクロスする二つの通りで繋がっている。この通りが商店街が立ち並び、女将さんの店のこの通りの一つにある。
遠くの外門近辺では、商業よりも居住区域になっている。
私達が向かうのは、その中央ある中央広場の噴水だ。
間近で見るのは初めてだが……思っていたのよりかなり大きいわね。
「イクミ様。そのような所を見てますと落ちてしまいますよ?」
止水に願いを託す。
夜にもなればここの止水に空に輝く星々が映し出される。
上から見るものだと思っていたのだけど、外枠から中枠まで橋がかけられ、最上段の皿の部分に願いの書いた紙を沈める。
「お嬢様は一体何をお願いされたのですか?」
クレアから聞いてくるとは思っていたのだけど、ルビーからとは珍しいわね。
私の願いは皆が平穏に暮らせること。とはいえ、屋敷とは違って冒険部隊の皆にはそんなものがないのに、こんな事を願ってもあまり意味はない。
願い事と言うよりも、祈りのようなものに近いわね。
「そう言うルビーはどうなのよ?」
「私のことをお聞きに成りたいと?」
聞かれるのは嫌なのに聞いてくるとかどういうつもりなのよ。
クレアの場合は、なんとなく予想はできるけど。ライオは好かれているわね。
今度ライオにあったら、文句の一つでも言いたいところね。
「クレアローズ様。このお願いは一人一つなのでしょうか?」
「はい、そうですよ。年に一度のお願いなのですから、そんなに欲張ってはダメですよ」
「やはり、そうでしたか……」
「一体何をそんなにお願いをすることがあるのですか?」
「私はお嬢様のご無事を願ったのですが……私達がいる状況の中で、お嬢様に危害が及ぶことはまず無いに等しいのです」
「確かに、護衛の方々も優秀ですからね」
ルビーの言いたいこともよく分かる。
でも私に隠すようなことでもないよね? クレアに言っているのだし……なんでさっきは言ってくれなかったのかしらね。
「今思えば、お嬢様に殿方とのご縁をお願いするべきかと思った次第です」
「あ……なるほど。それは、そうですね。イクミ様にはそのような方はおられませんですし」
ちょっと、クレアさん?
私のことを知っているわよね?
二人してなんでそんな楽しそうな顔を浮かべているのかしら?
「もう一枚頂けるか、私から説得してみます」
公爵家のご令嬢が何を考えているのよ!?
「やめて! 絶対ダメ!」
「今です。クレアローズ様」
ルビーに抱きかかえられてしまい、スタスタとさっきの所へと向かうが、くるりとこっちを向いて楽しそうに笑っているが、こちらとしては笑える状況にないのですけど!?
当然といえば当然だが、もう一枚はもらえることはなく、「残念でした」と肩を落としている。
神頼みに近い願いだが、本人が望まない願いは勘弁して欲しい。
まあ、クレアが思い悩んでいるよりは良いのだけど……なんて考えていたら、二人は来年にはきっとなんていい出している。
冗談よねそれは?
夜になればもう一度来るとは言っていたけど……それまで私の精神が持つのかしらね?
普段とは違い、皆メイド服を着ていない。私と同行することはないが、皆は皆で街に繰り出すつもりなのだ。
「貴方達、少し聞きたいことがあるのだけど」
「何でございましょうか?」
「私達はこんなにも着飾っているというのに、一人だけメイド服で行こうとするものが居るのをどう思うのかしら?」
そういうと、集まったメイドたちの視線は一斉にルビーへ向けられる。
その状況に納得したのか、クレアがルビーの腕を掴む。
私は、自己防衛のために新たな獲物を差し出すことにした。
「お、お嬢様、何かなされるおつもりですか! クレアローズ様も、お嬢様に感化されてはなりません」
「貴方達、よろしくお願いします」
そう言って私が頭を下げると、メイドたちはルビーを連れて部屋から出て行った。
これで私へと攻撃は収まったわね。ルビーだっていつも同じ服なのだから、たまにはメイドではなくてもいいと思うのだけどね。
「イクミ様。こちらは全て整いました」
「ありがとう、クロ。その服装、似合っているわよ」
「正直言えば、こんな装いは初めてでかなりの違和感ですよ」
普段のクロならそれもそうよね。
一番似合っているのはルキアなのだけど……「そうか」の一言で終わったのよね。
ルキアは私の護衛よりも、王国で騎士をやっているとかなり似合いそうね。そうなれば、隊長に選ばれて……兵士の山が積まれていくのが目に浮かぶ。
「イクミ様。フェルが未だ戻っていないのですが、どう致しましょう?」
「ああ、そうだった。ソルティアーノに残していたわね。メルはまだ向こうにいるみたいだし、問題はないと思うけど……クレアも特に何も言ってなかったわね。けど、貴方達が居ないとなると少し不安ね」
「イクミ様のペットとは言え、魔獣ですからね」
「クロには悪いのだけど、フェルの様子を見に行ってくれる? 明日に……」
「わかりました。護衛はルキアとティアだけでも大丈夫ですよね?」
そう言い残し、床には脱ぎ捨てられた服だけが残っている。
あの子、逃げたわね。
ついでに私も連れて行ってくれても構わないのに……追手が恐ろしいことになるから絶対にそれはないわね。
「なぜ私のこのような……」
「すごく似合っているわよ」
赤いドレスに黒いボレロを着ている辺り、私の色に合わせているのだろうか?
いつもとは違うようなさせてみたいものの、これはこれでなんか腹立たしいわね。
私もルビーと同じように、赤い髪だと言うのに、そんなスラッとした格好にはならない。
なんで私だけこんなにも身長が伸びないのかしらね。
「広場の方もそろそろ終わって落ち着いたと思うから、私達も行こうか」
「はい、イクミ様」
「私は本当にこのような格好で良いのでしょうか?」
馬車に乗り込み、私達三人は大通りの近くまで行く。
王都には、六本の大きな通りがある。城壁で囲まれた大きな城からは真っ直ぐに一本。
それを基準として斜めにクロスする二つの通りで繋がっている。この通りが商店街が立ち並び、女将さんの店のこの通りの一つにある。
遠くの外門近辺では、商業よりも居住区域になっている。
私達が向かうのは、その中央ある中央広場の噴水だ。
間近で見るのは初めてだが……思っていたのよりかなり大きいわね。
「イクミ様。そのような所を見てますと落ちてしまいますよ?」
止水に願いを託す。
夜にもなればここの止水に空に輝く星々が映し出される。
上から見るものだと思っていたのだけど、外枠から中枠まで橋がかけられ、最上段の皿の部分に願いの書いた紙を沈める。
「お嬢様は一体何をお願いされたのですか?」
クレアから聞いてくるとは思っていたのだけど、ルビーからとは珍しいわね。
私の願いは皆が平穏に暮らせること。とはいえ、屋敷とは違って冒険部隊の皆にはそんなものがないのに、こんな事を願ってもあまり意味はない。
願い事と言うよりも、祈りのようなものに近いわね。
「そう言うルビーはどうなのよ?」
「私のことをお聞きに成りたいと?」
聞かれるのは嫌なのに聞いてくるとかどういうつもりなのよ。
クレアの場合は、なんとなく予想はできるけど。ライオは好かれているわね。
今度ライオにあったら、文句の一つでも言いたいところね。
「クレアローズ様。このお願いは一人一つなのでしょうか?」
「はい、そうですよ。年に一度のお願いなのですから、そんなに欲張ってはダメですよ」
「やはり、そうでしたか……」
「一体何をそんなにお願いをすることがあるのですか?」
「私はお嬢様のご無事を願ったのですが……私達がいる状況の中で、お嬢様に危害が及ぶことはまず無いに等しいのです」
「確かに、護衛の方々も優秀ですからね」
ルビーの言いたいこともよく分かる。
でも私に隠すようなことでもないよね? クレアに言っているのだし……なんでさっきは言ってくれなかったのかしらね。
「今思えば、お嬢様に殿方とのご縁をお願いするべきかと思った次第です」
「あ……なるほど。それは、そうですね。イクミ様にはそのような方はおられませんですし」
ちょっと、クレアさん?
私のことを知っているわよね?
二人してなんでそんな楽しそうな顔を浮かべているのかしら?
「もう一枚頂けるか、私から説得してみます」
公爵家のご令嬢が何を考えているのよ!?
「やめて! 絶対ダメ!」
「今です。クレアローズ様」
ルビーに抱きかかえられてしまい、スタスタとさっきの所へと向かうが、くるりとこっちを向いて楽しそうに笑っているが、こちらとしては笑える状況にないのですけど!?
当然といえば当然だが、もう一枚はもらえることはなく、「残念でした」と肩を落としている。
神頼みに近い願いだが、本人が望まない願いは勘弁して欲しい。
まあ、クレアが思い悩んでいるよりは良いのだけど……なんて考えていたら、二人は来年にはきっとなんていい出している。
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