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学園編
127 お嬢様は寛大です
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ご自由にと言われたが、外にいる者たちまでこの場所にこのままというわけには行かないよね。配置はバナンとドゥルグに任せようかと思っていたのだけど、ドラ……とかげ退治をするらしく。意気揚々と出かけていった。
ここに来た目的は、アイツラだけ違って見えたのは気のせいなの?
あのバカは全く何を考えているのだか……
「最初からそのつもりでいたわね。メル、怒る気持ちも分からなくはないよ。けどいい加減自分でもわかっているのなら、諦めるじゃなくて覚悟を決めなさい」
「分かっているわよ。でも、これだけは約束して!」
「何かしら?」
「いつかお茶会を開くから絶対に参加をすること、いいわね!」
「それぐらい別にいいよ」
たかがお茶ぐらいと思っていたのだが……メイドたちからは歓声が巻き起こる。給仕が出来る機会が増えるのが楽しみというわけね。
メルはクレアと一緒に屋敷へと入っていくのだけど、勝手にそんな事をしても大丈夫なの?
クレア兄の影響かメルもかなり魔法石に興味を持っている。今では、色々と思案を巡らせているが、ルキアには魔法石のことについてメルに何も教えないように指示をしている。
仲良くなるきっかけを無くしてしまいかねないからってだけで、ルキアの知識が必要になれば教えてもらえばいいと思っている。
昨日も、魔法石を使ったおもちゃとかを考えていたみたいだけど……なぜこの世界にオセロや将棋と言った遊具がないのかをようやく理解することになる。
今でこそそれなりに平和な時間を過ごせているが、それはここ最近の話であり、これまでは魔物の驚異と度重なる戦争が続いていた。
だから、人々には遊ぶという時間のゆとりはなく、楽しみといえば、夜に酒を飲むことぐらいなものだったらしい。
その、魔物の驚異というのを私の奴隷たちが鎮圧していた。
そこまで大規模な話ではないと思っていたのだけど、クレアの話ではそうでもないらしい。
「最近では、奴隷市場に並ぶ奴隷たちが減ったのも、これが関係しているのかもしれないわね」
奴隷市場には、定期的に見てもらっているが、連れてくる人は少なくなっている。
特に少なくなっているのは子供。口減らしをするよりも、奴隷商人に売ってなんとかしのごうとする人や、村のような小さな集落に魔物の被害が少なくなったというのも考えられる。
それだというのに、なんで私の奴隷たちはもう少しぐらい贅沢をしようとしないものか?
「お嬢様。一緒に行動するのはクロとルキアで構いませんか?」
「二人が居てくれれば心強いしね」
選ばれたことで、嬉しそうに私の後ろへとつく。
あとは……アレをどうしたものか?
「少し手伝って欲しいのよ。二人に」
「おまかせくださーい」
「何なりと」
私はのんびりと日向ぼっこをしてくつろいでいる。フェルの元へとやってきた。
現況であるにも関わらずいいご身分だこと。
「フェル。少し良いかしら」
「フン、小娘か……儂は、走り回っていたのでな。こうしていると心地よいのだ。邪魔をするな」
「おい! 犬」
「イクミ殿のお話を蔑ろにするつもりか?」
ルキアは巨大な剣を振り下ろしと剣先が鼻先のギリギリで止まる。
私の隣では、クロが両手に剣を持ちギラつかせていた。
「お話、良いかしら?」
「もちろんです、主様」
「それで、クレア達を何んでここまで連れてきたのかしら?」
「アレはですね、アイツラが行っても大丈夫だというものでしたから、それで」
「それで? 私の所に来るときは、なんでいつも箱に入っているのか知っているよね?」
フェルだって馬鹿じゃない。ぶつくさ言いながらも、ちゃんと私の指示に従ってくれている。
理由も仕方がないと理解を示してくれていた。
だから、私に対する暴言も、気に入らない動きをする尻尾も見逃してきていた。
「フェルもクレアたちもご機嫌だったのは分かるけど、次やったらお仕置きするからね?」
「は、はい。分かりました主様」
「それじゃ、ルキア、クロ。躾をお願いね」
「は? へ?」
逃げ出そうとするフェルだったが、クロに首根っこを捕まれ地面へと叩きつけられる。
大剣を肩に乗せたルキアは、背中を蹴り上げるとフェルの体は上空へと飛ばされる。
「よっと……それじゃ、ちゃんと反省しようね」
上空にも関わらずクロがキャッチをする。
ニッコリ笑うクロの顔に、驚愕するフェル。
「しますというかしてます。反省してまーーす!!」
「そっか、それじゃあ……しねぇぇぇぇえ!!」
クロはそう言い放ち、力いっぱい投げつけると砂埃が舞うものの、ルキアは魔法を使って私のホコリがかぶらないように前に立つ。
またしても地面に叩きつけられたことで、仰向けのまま意識を失ったみたいね。
クレアが言うには竜並みにしぶといから、あの程度では死にはしないだろうけど……気絶させられるこの二人ってなんなの?
その光景に慣れたメイド達は、フェルの足を掴み何処かへと運んでいく。
いつか逃げ出すのではと想いつつも……逃げた後の事はちゃんと考えられるみたいね。
ここに来た目的は、アイツラだけ違って見えたのは気のせいなの?
あのバカは全く何を考えているのだか……
「最初からそのつもりでいたわね。メル、怒る気持ちも分からなくはないよ。けどいい加減自分でもわかっているのなら、諦めるじゃなくて覚悟を決めなさい」
「分かっているわよ。でも、これだけは約束して!」
「何かしら?」
「いつかお茶会を開くから絶対に参加をすること、いいわね!」
「それぐらい別にいいよ」
たかがお茶ぐらいと思っていたのだが……メイドたちからは歓声が巻き起こる。給仕が出来る機会が増えるのが楽しみというわけね。
メルはクレアと一緒に屋敷へと入っていくのだけど、勝手にそんな事をしても大丈夫なの?
クレア兄の影響かメルもかなり魔法石に興味を持っている。今では、色々と思案を巡らせているが、ルキアには魔法石のことについてメルに何も教えないように指示をしている。
仲良くなるきっかけを無くしてしまいかねないからってだけで、ルキアの知識が必要になれば教えてもらえばいいと思っている。
昨日も、魔法石を使ったおもちゃとかを考えていたみたいだけど……なぜこの世界にオセロや将棋と言った遊具がないのかをようやく理解することになる。
今でこそそれなりに平和な時間を過ごせているが、それはここ最近の話であり、これまでは魔物の驚異と度重なる戦争が続いていた。
だから、人々には遊ぶという時間のゆとりはなく、楽しみといえば、夜に酒を飲むことぐらいなものだったらしい。
その、魔物の驚異というのを私の奴隷たちが鎮圧していた。
そこまで大規模な話ではないと思っていたのだけど、クレアの話ではそうでもないらしい。
「最近では、奴隷市場に並ぶ奴隷たちが減ったのも、これが関係しているのかもしれないわね」
奴隷市場には、定期的に見てもらっているが、連れてくる人は少なくなっている。
特に少なくなっているのは子供。口減らしをするよりも、奴隷商人に売ってなんとかしのごうとする人や、村のような小さな集落に魔物の被害が少なくなったというのも考えられる。
それだというのに、なんで私の奴隷たちはもう少しぐらい贅沢をしようとしないものか?
「お嬢様。一緒に行動するのはクロとルキアで構いませんか?」
「二人が居てくれれば心強いしね」
選ばれたことで、嬉しそうに私の後ろへとつく。
あとは……アレをどうしたものか?
「少し手伝って欲しいのよ。二人に」
「おまかせくださーい」
「何なりと」
私はのんびりと日向ぼっこをしてくつろいでいる。フェルの元へとやってきた。
現況であるにも関わらずいいご身分だこと。
「フェル。少し良いかしら」
「フン、小娘か……儂は、走り回っていたのでな。こうしていると心地よいのだ。邪魔をするな」
「おい! 犬」
「イクミ殿のお話を蔑ろにするつもりか?」
ルキアは巨大な剣を振り下ろしと剣先が鼻先のギリギリで止まる。
私の隣では、クロが両手に剣を持ちギラつかせていた。
「お話、良いかしら?」
「もちろんです、主様」
「それで、クレア達を何んでここまで連れてきたのかしら?」
「アレはですね、アイツラが行っても大丈夫だというものでしたから、それで」
「それで? 私の所に来るときは、なんでいつも箱に入っているのか知っているよね?」
フェルだって馬鹿じゃない。ぶつくさ言いながらも、ちゃんと私の指示に従ってくれている。
理由も仕方がないと理解を示してくれていた。
だから、私に対する暴言も、気に入らない動きをする尻尾も見逃してきていた。
「フェルもクレアたちもご機嫌だったのは分かるけど、次やったらお仕置きするからね?」
「は、はい。分かりました主様」
「それじゃ、ルキア、クロ。躾をお願いね」
「は? へ?」
逃げ出そうとするフェルだったが、クロに首根っこを捕まれ地面へと叩きつけられる。
大剣を肩に乗せたルキアは、背中を蹴り上げるとフェルの体は上空へと飛ばされる。
「よっと……それじゃ、ちゃんと反省しようね」
上空にも関わらずクロがキャッチをする。
ニッコリ笑うクロの顔に、驚愕するフェル。
「しますというかしてます。反省してまーーす!!」
「そっか、それじゃあ……しねぇぇぇぇえ!!」
クロはそう言い放ち、力いっぱい投げつけると砂埃が舞うものの、ルキアは魔法を使って私のホコリがかぶらないように前に立つ。
またしても地面に叩きつけられたことで、仰向けのまま意識を失ったみたいね。
クレアが言うには竜並みにしぶといから、あの程度では死にはしないだろうけど……気絶させられるこの二人ってなんなの?
その光景に慣れたメイド達は、フェルの足を掴み何処かへと運んでいく。
いつか逃げ出すのではと想いつつも……逃げた後の事はちゃんと考えられるみたいね。
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