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学園編
126 お嬢様とバカ娘
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昼過ぎには、ソルティアーノ公爵家へと私が寝ている間に到着していた。
ルビーに起こされ、メイドたちが用意してくれたタオルで顔を拭き、乱れた服装を整え挨拶へと向かうのだけど……
「クレアローズ! これは一体どういうことだ!」
クレアを叱り飛ばす声が、広い庭全体へと響き渡る。
私は慌てて、声の所へと向かうが……クレアだけではなく、メルもルルさえも地べたにも関わらず正座をさせられていた。
見るからに、あの人がクレアのお父さんだと思われるが……なぜ叱られていたのかを私はすぐに理解できていた。
「も、申し訳ございません」
「すみませんでした」
「ごめんなさい」
こうなってしまった原因は私にもあるのだろうけど、私が謝る必要はどう考えてもないよね?
クレアのお父さんの後ろでは、そこに居るはずのないフェルが大きな欠伸をしている。
なんでフェルに乗ったままここまで来たのよ。
「お初にお目にかかります。イクミ・グセナーレです。私の魔獣がなにか粗相を?」
「これはこれは、グセナーレ様。ロキュモーアン・ソルティアーノにございます。この度は私のバカ娘が大変お世話になりました」
そう言って、クレアを睨みつけると、体をビクリと震わせていた。
「あの魔獣であれば、何も問題はありません。しかし……」
「クレア。貴方、フェルに乗ったままここに来たと言うの? フェルを知らない人からすれば、驚異になると普通は思うわよね?」
プルートの街でやったことをやらかしたというわけね。
私のような変わり者ならまだしも、公爵家のご令嬢がやることではないわね。
「全く仰るとおりです。グセナーレ様が使役しているとはいえ、このような愚行に走るとは……」
「ですが、こちらとしても、容認をしていたとはいえ、このようなことになるとは。今後このようなことにならないよう、躾をさせます」
そう言って頭を下げるが、クレアからは助けてとばかりに目で訴えられる。
私が頷くとホッとしたのか、緊張がほぐれたかのように表情が変わる。全く何を勘違いしているのやら……メルとルルを立たせ、メイドの所へと向かわせ服装を整えるように指示をする。
「公爵様。クレアのことは後にして、お見せしたい物があるのですが、少しだけよろしいですか?」
「わかりました。クレアローズ、お前はそのままそこで反省をしていなさい」
「なっ、お父様!?」
父親がそう決めたのなら私から特に何も言うつもりはない。
公爵を連れて、荷物が積まれた馬車の所へと向かう。ソルティアーノ公爵領では、例年にないほどの晴れの日が続き、水不足に悩まされていたのはすでに把握している。
クレアがどうしても私を呼び寄せたいと思う理由を、調べていたためこれらはきっと役に立つだろう。
「これは……いや、しかし、私にこれをどうしろと?」
「私のお願いを聞いてくださるのでしたら、これらを全て差し上げます。全てです」
箱の中には大量の魔石がぎっしりと詰め込まれている。
魔石は、魔法石の材料でありダンジョンに潜む特定の魔物から手に入れることがある。
バナンたちが行っているダンジョンだけではなく、以前から集められていたものもあるので正直に言えば処分に困っていた。
なぜなら、ルキアが言うには、『イクミ殿のために使うには、こんなものはゴミです』というのだ。
「ありがたいお話ではありますが、これだけの魔石をどう売りさばくか……」
「クレアのお兄さんは、魔法石の研究をされているとか……そして、私の友人であるメルティアも魔法石に興味があり、二人は懇意な関係にあるとかないとか」
公爵の顔つきが変わり、魔石をじっと見つめ何かを考えているみたいね。
私の言い方からすれば、これを上げるから二人を認めろと言っているようなもの。事実そうなんだけど……
「ですので、魔法石の研究にメルティアを加えることで、今起こっている領地のトラブルにも役立つはずです」
「まさか……グセナーレ様は我が領地のことを知っておられるのですか?」
「差し出がましいのは重々承知の上です。ですが、苦しむ領民を助けるのは領主として当然なのではありませんか? そして、その手助けとなってくれるのが、私ではなく公爵様のご子息なのです」
「ジェドルトが?」
魔法石は加工が難しく、ルキアもこれまでに何個も失敗をしている。
ダンジョンから得られる魔石は、大半はギルドで買取り王宮の機関へと送られ、その多くが街頭などの光源として使われることが多い。
その他の利用価値としては戦争のためにと、魔法のような攻撃を目的とした開発に使われている。
「彼は、生活のために魔法石の研究をされているそうですね」
「私にはただ、魔法石の研究とだけしか……ですが、いくらグセナーレ様のお言葉でも、あれでもこの公爵家の嫡男。素性の分からぬものを、嫁に迎えることは慎重になる」
「だそうよ、メルはこれから頑張ることね」
支度が終わったメルは私達の話を聞いていたようね。
顔を赤くし、公爵が居なかったら確実に私に説教を、抗議というべきかな?
気にしていない相手なら、慌てたり顔を赤くするはずもない。であるのなら、もっと素直になればいいのに。
「先程の……グセナーレ様。そのお話は、息子から直接聞いてから返答することにします」
「それと、もう一つお願いがあるのですが、屋敷の外れで構わないのですが私の奴隷たち野営をする許可を頂きたいのです」
「それはもちろん、ご自由にお使いください。不安がございましたら、数名であればそばに居てもらっても構いません」
「ありがとうございます」
お礼を言った所で、公爵は慌てて屋敷の中へと入っていった。今の様子からして、クレアは眼中に入らなかったようね……そんなわけで、クレアからすっごく睨まれている。
だから、私が悪いわけじゃないでしょ?
ルビーに起こされ、メイドたちが用意してくれたタオルで顔を拭き、乱れた服装を整え挨拶へと向かうのだけど……
「クレアローズ! これは一体どういうことだ!」
クレアを叱り飛ばす声が、広い庭全体へと響き渡る。
私は慌てて、声の所へと向かうが……クレアだけではなく、メルもルルさえも地べたにも関わらず正座をさせられていた。
見るからに、あの人がクレアのお父さんだと思われるが……なぜ叱られていたのかを私はすぐに理解できていた。
「も、申し訳ございません」
「すみませんでした」
「ごめんなさい」
こうなってしまった原因は私にもあるのだろうけど、私が謝る必要はどう考えてもないよね?
クレアのお父さんの後ろでは、そこに居るはずのないフェルが大きな欠伸をしている。
なんでフェルに乗ったままここまで来たのよ。
「お初にお目にかかります。イクミ・グセナーレです。私の魔獣がなにか粗相を?」
「これはこれは、グセナーレ様。ロキュモーアン・ソルティアーノにございます。この度は私のバカ娘が大変お世話になりました」
そう言って、クレアを睨みつけると、体をビクリと震わせていた。
「あの魔獣であれば、何も問題はありません。しかし……」
「クレア。貴方、フェルに乗ったままここに来たと言うの? フェルを知らない人からすれば、驚異になると普通は思うわよね?」
プルートの街でやったことをやらかしたというわけね。
私のような変わり者ならまだしも、公爵家のご令嬢がやることではないわね。
「全く仰るとおりです。グセナーレ様が使役しているとはいえ、このような愚行に走るとは……」
「ですが、こちらとしても、容認をしていたとはいえ、このようなことになるとは。今後このようなことにならないよう、躾をさせます」
そう言って頭を下げるが、クレアからは助けてとばかりに目で訴えられる。
私が頷くとホッとしたのか、緊張がほぐれたかのように表情が変わる。全く何を勘違いしているのやら……メルとルルを立たせ、メイドの所へと向かわせ服装を整えるように指示をする。
「公爵様。クレアのことは後にして、お見せしたい物があるのですが、少しだけよろしいですか?」
「わかりました。クレアローズ、お前はそのままそこで反省をしていなさい」
「なっ、お父様!?」
父親がそう決めたのなら私から特に何も言うつもりはない。
公爵を連れて、荷物が積まれた馬車の所へと向かう。ソルティアーノ公爵領では、例年にないほどの晴れの日が続き、水不足に悩まされていたのはすでに把握している。
クレアがどうしても私を呼び寄せたいと思う理由を、調べていたためこれらはきっと役に立つだろう。
「これは……いや、しかし、私にこれをどうしろと?」
「私のお願いを聞いてくださるのでしたら、これらを全て差し上げます。全てです」
箱の中には大量の魔石がぎっしりと詰め込まれている。
魔石は、魔法石の材料でありダンジョンに潜む特定の魔物から手に入れることがある。
バナンたちが行っているダンジョンだけではなく、以前から集められていたものもあるので正直に言えば処分に困っていた。
なぜなら、ルキアが言うには、『イクミ殿のために使うには、こんなものはゴミです』というのだ。
「ありがたいお話ではありますが、これだけの魔石をどう売りさばくか……」
「クレアのお兄さんは、魔法石の研究をされているとか……そして、私の友人であるメルティアも魔法石に興味があり、二人は懇意な関係にあるとかないとか」
公爵の顔つきが変わり、魔石をじっと見つめ何かを考えているみたいね。
私の言い方からすれば、これを上げるから二人を認めろと言っているようなもの。事実そうなんだけど……
「ですので、魔法石の研究にメルティアを加えることで、今起こっている領地のトラブルにも役立つはずです」
「まさか……グセナーレ様は我が領地のことを知っておられるのですか?」
「差し出がましいのは重々承知の上です。ですが、苦しむ領民を助けるのは領主として当然なのではありませんか? そして、その手助けとなってくれるのが、私ではなく公爵様のご子息なのです」
「ジェドルトが?」
魔法石は加工が難しく、ルキアもこれまでに何個も失敗をしている。
ダンジョンから得られる魔石は、大半はギルドで買取り王宮の機関へと送られ、その多くが街頭などの光源として使われることが多い。
その他の利用価値としては戦争のためにと、魔法のような攻撃を目的とした開発に使われている。
「彼は、生活のために魔法石の研究をされているそうですね」
「私にはただ、魔法石の研究とだけしか……ですが、いくらグセナーレ様のお言葉でも、あれでもこの公爵家の嫡男。素性の分からぬものを、嫁に迎えることは慎重になる」
「だそうよ、メルはこれから頑張ることね」
支度が終わったメルは私達の話を聞いていたようね。
顔を赤くし、公爵が居なかったら確実に私に説教を、抗議というべきかな?
気にしていない相手なら、慌てたり顔を赤くするはずもない。であるのなら、もっと素直になればいいのに。
「先程の……グセナーレ様。そのお話は、息子から直接聞いてから返答することにします」
「それと、もう一つお願いがあるのですが、屋敷の外れで構わないのですが私の奴隷たち野営をする許可を頂きたいのです」
「それはもちろん、ご自由にお使いください。不安がございましたら、数名であればそばに居てもらっても構いません」
「ありがとうございます」
お礼を言った所で、公爵は慌てて屋敷の中へと入っていった。今の様子からして、クレアは眼中に入らなかったようね……そんなわけで、クレアからすっごく睨まれている。
だから、私が悪いわけじゃないでしょ?
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