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学園編
72 お嬢様の優秀な冒険部隊
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私の方で対処するにしても、ダンジョンがどういった物かを調べる必要が出てくる。
だからと言って、王都にすらまともに出られない私が、同行は絶対に許可が降りるとは思えない。
また彼等に危険なことをさせて、私一人だけ安全な所で見ているだけということになりそうね。
皆の申し出にはこれまでも賛同してきたけど、今回ばかりは即答できる話でもない。
「私の方からも、よろしくお願いします。グセナーレ様、彼に力を貸して頂けませんか?」
「今は難しいところですね……」
「せめて一階層だけでいい、頼む。報酬も増やす」
報酬が出るのは有り難いところだけど、決めるのは私ではなくて皆に決めて貰いたい。
なんとなく、結果は見えているけど、こういう事を容易に決めてしまえば、今後何かがある度に私を利用してくるだろうしね。
「そういう事を言ったのではないのです。現段階として、各地にいる冒険部隊の報告がまだ上がっていないのです。ですので、この街にどれだけの戦力が居るのかを把握できていません。それを踏まえて、今この場において決断するのは難しいのです。すみません」
ギルドマスターの様子からして、ダンジョンというのはそれなりに脅威なだろう。
学園長からも申し出があるみたいだし、これはある意味チャンスなのかもしれない。
「仮の話をしてもよろしいですか?」
「ああ、勿論だ」
「学園長からのお願いということでしたら、ダンジョンを攻略する代わりに、私をFクラスに移動は可能ですか? 私のような、武術も魔法もダメな人間を、Aクラスというのはおかしいでしょう? 学園長はどう思いますか?」
何も出来ていないのに、評価に値しない私がAクラスというおかしな点についてだ。
Aクラスがあれだけ人が少ないのは、誰もが優秀であり、あの校舎の中にある設備からしても特別に場所だと言える。
つまり、Aクラスというのはその人数からも分かるように、特別な生徒たちが集められている。家柄よりもその個人の能力によって選出されている。
一度だけ遠巻きに武術授業を見に行ったことがあるのだけど、どの生徒たちも冒険部隊の上位にいる、銀と良い丈夫になりそうだった。
だからこそ、あのクラスに私自身納得していない。
「わ、私ですか?」
「出来の悪い生徒が、あのような場所に居ていいはずがありません。他の生徒が到底納得できるものではありませんし、あまりにもおかしいのですよ。クラスメイトの皆様は大変優秀で、誰もが認める存在です。では、私はどうでしょう?」
「しかし、それは……」
二人は私の言葉に、目くばせを始めている。
私は手を叩き視線をこちらへと戻させる。
何でかわからないが、二人共表情が引き攣っているようにも思える。
「いいですか? 私はこれと言って何の才もない人間です。それなのに、Aクラスの一員です。これに納得する生徒が本当にいるとお思いでしょうか? 私が落ちこぼれのクラスに転落すれば、丸く収まるとは思いませんか?」
「そ、それは……ですが」
「いえいえ、今のは仮の話です。もし私の意向を汲み取っていただけるのなら、私は全力を出す……かもしれません」
私がダンジョンを探索の許可を出せば、危険だろうともあの狂人たちは全力で突き進みそうね。
あれだけ無茶をやってきたにも拘らず、未だに死亡者が居ないのは救いだけど、今回ばかりはそうとも言ってられないわよね。
こんな事で利用されるとなれば、皆は怒るかもしれないけど……私だって好き好んで無視されたいわけじゃないよ。
「私に貴方様のクラスを変えろと?」
「誰も損のない話。そうは思いませんか?」
実力のない私にはあのクラスはどうなのかと毎日思っていた。
実技の授業時間は、一人残って教室で自習。最近では、図書室で借りた本をただ読むだけの毎日。何処のクラスに行っても同じだとは思うけど、問題が起きる前に対処をしておきたい。
「貴方様には、ぜひとも部隊を派遣していただきたい。ですが、クラス変更は出来ません。私がその責を取って辞職いたしますので、それで手打ちにしていただけませんか?」
「は? いやいや、何を言っているのですか?」
「グセナーレ嬢。俺からも頼む。貴方様の意向は受け取れないが、俺に出来ることがあれば、何でも言って欲しい」
「ギルドマスターまで!? 二人共頭を上げてください」
さっきの私のように土下座で懇願をしている。
マスターに至っては何度も頭を床に叩きつけている。
さっきとまるで逆の立場へと立たされていた。
「分かった分かったやります。やらせていただきます」
「そうですか。では私はまず辞職の準備をいたしましょう」
何でそんなに意気揚々と言っているのよ……こんな事が知られたら、ますますこれから生活しづらいわよ!
「もういいよ。わかったから、ちゃんと冒険者の依頼として受けるから。そんなことしなくていいから」
「本当によろしいのですか? 私はグセナーレ様のご期待にそえられないのですよ?」
「そんなことされても私が困るよ。私の我儘はなしでいいです。ダンジョンの件引き受けました。こちらも部隊の調整が済み次第、向かわせます。ですが、期待に答えれる結果が得られる保証はないので、過度な期待はしないでください」
「それで十分だ。感謝する」
私は屋敷に戻りバナンたちにダンジョン攻略を進めるように告げた。
多くの冒険部隊は、最近暇を持て余していたのか、やる気になっているのは良いことだと思う……というかね、殲滅だの駆逐だの、物騒なことを言うのはどうなのかしら?
だけど、最低クラスということにも出来なかったけど、学園長があそこまで下手に出るというのが、色々と裏がありそうで少し怖いのよね。
だからと言って、王都にすらまともに出られない私が、同行は絶対に許可が降りるとは思えない。
また彼等に危険なことをさせて、私一人だけ安全な所で見ているだけということになりそうね。
皆の申し出にはこれまでも賛同してきたけど、今回ばかりは即答できる話でもない。
「私の方からも、よろしくお願いします。グセナーレ様、彼に力を貸して頂けませんか?」
「今は難しいところですね……」
「せめて一階層だけでいい、頼む。報酬も増やす」
報酬が出るのは有り難いところだけど、決めるのは私ではなくて皆に決めて貰いたい。
なんとなく、結果は見えているけど、こういう事を容易に決めてしまえば、今後何かがある度に私を利用してくるだろうしね。
「そういう事を言ったのではないのです。現段階として、各地にいる冒険部隊の報告がまだ上がっていないのです。ですので、この街にどれだけの戦力が居るのかを把握できていません。それを踏まえて、今この場において決断するのは難しいのです。すみません」
ギルドマスターの様子からして、ダンジョンというのはそれなりに脅威なだろう。
学園長からも申し出があるみたいだし、これはある意味チャンスなのかもしれない。
「仮の話をしてもよろしいですか?」
「ああ、勿論だ」
「学園長からのお願いということでしたら、ダンジョンを攻略する代わりに、私をFクラスに移動は可能ですか? 私のような、武術も魔法もダメな人間を、Aクラスというのはおかしいでしょう? 学園長はどう思いますか?」
何も出来ていないのに、評価に値しない私がAクラスというおかしな点についてだ。
Aクラスがあれだけ人が少ないのは、誰もが優秀であり、あの校舎の中にある設備からしても特別に場所だと言える。
つまり、Aクラスというのはその人数からも分かるように、特別な生徒たちが集められている。家柄よりもその個人の能力によって選出されている。
一度だけ遠巻きに武術授業を見に行ったことがあるのだけど、どの生徒たちも冒険部隊の上位にいる、銀と良い丈夫になりそうだった。
だからこそ、あのクラスに私自身納得していない。
「わ、私ですか?」
「出来の悪い生徒が、あのような場所に居ていいはずがありません。他の生徒が到底納得できるものではありませんし、あまりにもおかしいのですよ。クラスメイトの皆様は大変優秀で、誰もが認める存在です。では、私はどうでしょう?」
「しかし、それは……」
二人は私の言葉に、目くばせを始めている。
私は手を叩き視線をこちらへと戻させる。
何でかわからないが、二人共表情が引き攣っているようにも思える。
「いいですか? 私はこれと言って何の才もない人間です。それなのに、Aクラスの一員です。これに納得する生徒が本当にいるとお思いでしょうか? 私が落ちこぼれのクラスに転落すれば、丸く収まるとは思いませんか?」
「そ、それは……ですが」
「いえいえ、今のは仮の話です。もし私の意向を汲み取っていただけるのなら、私は全力を出す……かもしれません」
私がダンジョンを探索の許可を出せば、危険だろうともあの狂人たちは全力で突き進みそうね。
あれだけ無茶をやってきたにも拘らず、未だに死亡者が居ないのは救いだけど、今回ばかりはそうとも言ってられないわよね。
こんな事で利用されるとなれば、皆は怒るかもしれないけど……私だって好き好んで無視されたいわけじゃないよ。
「私に貴方様のクラスを変えろと?」
「誰も損のない話。そうは思いませんか?」
実力のない私にはあのクラスはどうなのかと毎日思っていた。
実技の授業時間は、一人残って教室で自習。最近では、図書室で借りた本をただ読むだけの毎日。何処のクラスに行っても同じだとは思うけど、問題が起きる前に対処をしておきたい。
「貴方様には、ぜひとも部隊を派遣していただきたい。ですが、クラス変更は出来ません。私がその責を取って辞職いたしますので、それで手打ちにしていただけませんか?」
「は? いやいや、何を言っているのですか?」
「グセナーレ嬢。俺からも頼む。貴方様の意向は受け取れないが、俺に出来ることがあれば、何でも言って欲しい」
「ギルドマスターまで!? 二人共頭を上げてください」
さっきの私のように土下座で懇願をしている。
マスターに至っては何度も頭を床に叩きつけている。
さっきとまるで逆の立場へと立たされていた。
「分かった分かったやります。やらせていただきます」
「そうですか。では私はまず辞職の準備をいたしましょう」
何でそんなに意気揚々と言っているのよ……こんな事が知られたら、ますますこれから生活しづらいわよ!
「もういいよ。わかったから、ちゃんと冒険者の依頼として受けるから。そんなことしなくていいから」
「本当によろしいのですか? 私はグセナーレ様のご期待にそえられないのですよ?」
「そんなことされても私が困るよ。私の我儘はなしでいいです。ダンジョンの件引き受けました。こちらも部隊の調整が済み次第、向かわせます。ですが、期待に答えれる結果が得られる保証はないので、過度な期待はしないでください」
「それで十分だ。感謝する」
私は屋敷に戻りバナンたちにダンジョン攻略を進めるように告げた。
多くの冒険部隊は、最近暇を持て余していたのか、やる気になっているのは良いことだと思う……というかね、殲滅だの駆逐だの、物騒なことを言うのはどうなのかしら?
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