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初めての...
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挨拶の後、奏と共に奏の友人兼デザイナーとして挨拶回りをした
奏と同じく社長の人もいればデザイナーやランウェイを歩いたモデルもいて、数人とは連絡を交換する事も出来た
ちなみに俺がオメガという事は言っていない。わざわざ言うことでもないし、多分そんなに関わらないから教える必要も無いだろう
「大体こんなもんか」
「挨拶終わったか?」
「あぁ、ただTRICKってとこの社長がいないんだよ。あそこも参加していたはずなんだが」
これだけの数の人がいるのにどこの誰がいないのか分かるのか
「すげぇな」
「ん?何が?」
「誰がいないのか分かるのが」
「全部を覚えてるわけじゃないけどイベントの顔合わせとかで会ったからな。それに会う機会も結構あるし、社長や代表となる人は大抵覚える」
「なるほど」
なんか、大変そうだな
まぁ俺には関係ない話だし、別にいいけど
会話をしながら元の机へと戻り、適当に飲み物を飲んでいると、飲みすぎたのかトイレに行きたくなったので、一言奏に告げ、会場の外に出る
「さぁて...どこだ」
廊下をうろつきながら探す
こうなるなら奏に聞いとけば良かった。知ってるかはしらないけど
数分歩き続けた結果、無事見つける事に成功した俺は用を済ませ、手を洗った
その時だった
「...ッ...この感じ...」
徐々に鼓動が激しくなっていく
この感じはヒートの時に似ているが、ヒートの場合、もっと辛いし、その...あそこも辛くなる
それにヒートは基本的に1ヶ月に一度の頻度で起こり、俺がヒートになるには1週間程猶予がある
1日や2日ズレた事もあったが、1週間もズレた事はない
だからこれはヒートではないと思うんだが...?
それでも一応抑制剤を飲んでおこうと思い、出しっぱなしだった水をとめ、先に手を拭こうとポケットへと手を伸ばした時、ガチャっと扉が開いた
誰か入ってきたのか
気になって視線を動かすと、丁度向こうもこちらを見ていて、視線が合った
その瞬間体がかっと熱くなって呼吸も荒く、体から力が抜ける
俺が床に座り込む寸前、そいつが俺の腕をつかみあげたと思いきや、抱きしめながら顎を掴み、無理矢理上を向けられて、キスされた
唐突の事で呆けて空いていた俺の口に容赦なくそいつの舌が入ってきて、まるで意志を持っているかのような動きにゾワゾワと変な感覚に包まれる
「はッ...おま...やッ...」
「ふッ...くッ...」
クチュクチュと音を鳴らしながら口の中を掻き回され、頭が白くなっていく
なんだよコレ...知らない、こんなの...!
実はこれが俺の初めてのキス
息の仕方も分からずただただ口の中を荒らされ、段々と苦しくなっていく
何とか唇を離せないのかと胸を叩いたり、スーツを引っ張ったりしたものの離れる気配もなく、それどころかこちらに体を押し付けるように屈みながら強く抱きしめてきた
(これ以上は...やばい)
キスしているうちに、俺の体も反応し、意志とは関係なく体がビクッと震える
どれくらい経ったかは分からない
最後に名残惜しいとでも言うように上唇を舐められて、唇が離れる
二人の間に1本の線が糸を引き、プツンと切れた
(やばい...体が熱い...)
キスの余韻で体に熱が残り、体重をそいつに預けた状態で息を整える
なんで、こんな、急に...
あまり働かない頭で考え込んでいると、腰あたりを優しく撫でられ、そのまま下へと手が降りてきた
「なッ、お前...流石に、止めろッ」
必死に手を止めようとするも、普段運動をしない俺に比べ、筋肉がしっかりとついていて力の強いそいつに勝てる訳もなく、シャツの下から肌に触れられる
「うッ...あ...やめッ...ッ」
背筋を辿るように撫でられながら手が這い上がり、胸に手を当てられる
服の中で好きに触られ、息が乱れてしまう
下も反応してしまい、随分と固くなっている
どうにかこいつには気づかれないようにと腰を引くと、足の間にそいつの足がはいり、押し上げられた
「ぅあ!...くッ...ふッ...」
そいつはいわゆる高身長と言うもので足も長く、そいつの足に跨った状態の俺は自然とつま先立ちになってしまう
正直、つま先立ちでいるのは辛いが、ここで力を抜いてしまうとそいつの足に体重をかけることになり、必然的にあそこにかかる力も大きくなる
今はこんな事をしている状況でもないし、名前も声も、何もかも知らないこいつに好きにされるのだけは嫌だった
しかし、そんな思いとは裏腹に体は快楽に包まれ、もっと、もっとと願っている
そんな自分に嫌になりながらも自分が出来る最大限の抵抗をしていると、抑制剤の事を思い出した
あれを飲めばこいつも止まるのか!?
この状況、俺のヒートに当てられたアルファの可能性が高い
何故こんなにも早くヒートになったのかは分からないが、この仮説が合っているなら抑制剤を飲んでこいつの目を覚まさせれば何とかなるんじゃ...
善は急げと胸ポケットに入っている抑制剤を飲み込む
すると、さっきまでの感覚が嘘のように引いていき、頭が覚めていく
ある程度力も入るようになったので、藁にもすがる思いで一度身を動かしてみるも、ギュッと力強く抱きしめられ動きが封じられた
ならばこれしかないかと、頭を出来るだけ後ろに引いたあと、勢いよく頭突きをぶつけた
高さの関係で顎に当たってしまったのは申し訳ないが、上手く成功したようで、そいつが俺から離れ、後ろに下がったタイミングでトイレを飛び出す
一心不乱にトイレから離れようと、とにかく廊下を走る
しかし、未だになおっていない下の現状のまま会場に入るわけにもいかず、近くにあった広めの掃除用具室に入り、扉の鍵を閉めた
しばらくは扉を抑えながら立っていたが、どうやら追ってきてはいないようで、ホッとしたと同時に扉に背を預けて座り込む
「何なんだよ...あいつ」
奏と同じく社長の人もいればデザイナーやランウェイを歩いたモデルもいて、数人とは連絡を交換する事も出来た
ちなみに俺がオメガという事は言っていない。わざわざ言うことでもないし、多分そんなに関わらないから教える必要も無いだろう
「大体こんなもんか」
「挨拶終わったか?」
「あぁ、ただTRICKってとこの社長がいないんだよ。あそこも参加していたはずなんだが」
これだけの数の人がいるのにどこの誰がいないのか分かるのか
「すげぇな」
「ん?何が?」
「誰がいないのか分かるのが」
「全部を覚えてるわけじゃないけどイベントの顔合わせとかで会ったからな。それに会う機会も結構あるし、社長や代表となる人は大抵覚える」
「なるほど」
なんか、大変そうだな
まぁ俺には関係ない話だし、別にいいけど
会話をしながら元の机へと戻り、適当に飲み物を飲んでいると、飲みすぎたのかトイレに行きたくなったので、一言奏に告げ、会場の外に出る
「さぁて...どこだ」
廊下をうろつきながら探す
こうなるなら奏に聞いとけば良かった。知ってるかはしらないけど
数分歩き続けた結果、無事見つける事に成功した俺は用を済ませ、手を洗った
その時だった
「...ッ...この感じ...」
徐々に鼓動が激しくなっていく
この感じはヒートの時に似ているが、ヒートの場合、もっと辛いし、その...あそこも辛くなる
それにヒートは基本的に1ヶ月に一度の頻度で起こり、俺がヒートになるには1週間程猶予がある
1日や2日ズレた事もあったが、1週間もズレた事はない
だからこれはヒートではないと思うんだが...?
それでも一応抑制剤を飲んでおこうと思い、出しっぱなしだった水をとめ、先に手を拭こうとポケットへと手を伸ばした時、ガチャっと扉が開いた
誰か入ってきたのか
気になって視線を動かすと、丁度向こうもこちらを見ていて、視線が合った
その瞬間体がかっと熱くなって呼吸も荒く、体から力が抜ける
俺が床に座り込む寸前、そいつが俺の腕をつかみあげたと思いきや、抱きしめながら顎を掴み、無理矢理上を向けられて、キスされた
唐突の事で呆けて空いていた俺の口に容赦なくそいつの舌が入ってきて、まるで意志を持っているかのような動きにゾワゾワと変な感覚に包まれる
「はッ...おま...やッ...」
「ふッ...くッ...」
クチュクチュと音を鳴らしながら口の中を掻き回され、頭が白くなっていく
なんだよコレ...知らない、こんなの...!
実はこれが俺の初めてのキス
息の仕方も分からずただただ口の中を荒らされ、段々と苦しくなっていく
何とか唇を離せないのかと胸を叩いたり、スーツを引っ張ったりしたものの離れる気配もなく、それどころかこちらに体を押し付けるように屈みながら強く抱きしめてきた
(これ以上は...やばい)
キスしているうちに、俺の体も反応し、意志とは関係なく体がビクッと震える
どれくらい経ったかは分からない
最後に名残惜しいとでも言うように上唇を舐められて、唇が離れる
二人の間に1本の線が糸を引き、プツンと切れた
(やばい...体が熱い...)
キスの余韻で体に熱が残り、体重をそいつに預けた状態で息を整える
なんで、こんな、急に...
あまり働かない頭で考え込んでいると、腰あたりを優しく撫でられ、そのまま下へと手が降りてきた
「なッ、お前...流石に、止めろッ」
必死に手を止めようとするも、普段運動をしない俺に比べ、筋肉がしっかりとついていて力の強いそいつに勝てる訳もなく、シャツの下から肌に触れられる
「うッ...あ...やめッ...ッ」
背筋を辿るように撫でられながら手が這い上がり、胸に手を当てられる
服の中で好きに触られ、息が乱れてしまう
下も反応してしまい、随分と固くなっている
どうにかこいつには気づかれないようにと腰を引くと、足の間にそいつの足がはいり、押し上げられた
「ぅあ!...くッ...ふッ...」
そいつはいわゆる高身長と言うもので足も長く、そいつの足に跨った状態の俺は自然とつま先立ちになってしまう
正直、つま先立ちでいるのは辛いが、ここで力を抜いてしまうとそいつの足に体重をかけることになり、必然的にあそこにかかる力も大きくなる
今はこんな事をしている状況でもないし、名前も声も、何もかも知らないこいつに好きにされるのだけは嫌だった
しかし、そんな思いとは裏腹に体は快楽に包まれ、もっと、もっとと願っている
そんな自分に嫌になりながらも自分が出来る最大限の抵抗をしていると、抑制剤の事を思い出した
あれを飲めばこいつも止まるのか!?
この状況、俺のヒートに当てられたアルファの可能性が高い
何故こんなにも早くヒートになったのかは分からないが、この仮説が合っているなら抑制剤を飲んでこいつの目を覚まさせれば何とかなるんじゃ...
善は急げと胸ポケットに入っている抑制剤を飲み込む
すると、さっきまでの感覚が嘘のように引いていき、頭が覚めていく
ある程度力も入るようになったので、藁にもすがる思いで一度身を動かしてみるも、ギュッと力強く抱きしめられ動きが封じられた
ならばこれしかないかと、頭を出来るだけ後ろに引いたあと、勢いよく頭突きをぶつけた
高さの関係で顎に当たってしまったのは申し訳ないが、上手く成功したようで、そいつが俺から離れ、後ろに下がったタイミングでトイレを飛び出す
一心不乱にトイレから離れようと、とにかく廊下を走る
しかし、未だになおっていない下の現状のまま会場に入るわけにもいかず、近くにあった広めの掃除用具室に入り、扉の鍵を閉めた
しばらくは扉を抑えながら立っていたが、どうやら追ってきてはいないようで、ホッとしたと同時に扉に背を預けて座り込む
「何なんだよ...あいつ」
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