紡ぐ赤い糸

クッキーバニラ

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今日の予定

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ジリリリリッ...ブツッ


朝日がカーテンも隙間から差し込む中、鳴り響く目覚まし時計を止める

静かになった空間に少しの間、何もせずボーッと壁を見つめる


「...眩しい」


もう朝か...

働かない頭でようやく理解し、のそのそとベットから這い出でると、キッチンへと向かう

冷蔵庫を覗き、昨日の夕飯の残りである唐揚げを出し、レンジで温めている間に顔を洗いに行く


少し目が覚めた状態でラップに包んでおいたご飯と温め終わった唐揚げを持ち、リビングにある小さな机へと向かう


「いただきます」


手を合わせ、ご飯を食べながら時計を見る

今日は依頼されたデザインを見せる為に取引先の会社に11時、その後は別の取引先である所から頼まれた衣装のサンプル品の製作...フリルをもう少し増やして欲しいって言ってたから裾とかに増やすか


今日の予定を頭の中で組み立てながら食事を終え、食器を洗った後、自室...最早作業部屋となっている部屋へと向かう


「あらら...昨日片付け忘れてたなぁ」


扉を開けた瞬間崩れた糸や紙の束を見て、ため息をつく

確か昨日はサンプル品を作り終わったものの、二徹してたものだからそのままベットに入ったけ?

そういえば服装も昨日のままだし、何となく体も臭う気がする...これは気のせいかもしれないが、多少潔癖な部分もある為気にしてしまう

こんな状況でも目覚ましをかけた自分に花丸を送ってやりたい


そう自分を鼓舞しながら部屋を少し整え、クローゼットから着替えを取り出すと風呂場へと向かった


さっと洗い、服を着替えてついでに歯を磨く


鏡を見ると所々髪がはねている自分が映るが、これは寝癖ではなくくせっ毛なだけなので手で軽く整えて作業部屋へと戻る


「とりあえず準備だけは終わらせるか」


肩がけカバンを片手に先週くらいに書き終えたデザインの紙を探す


「確かこの辺に...あった」


筒状に巻いて立ててある紙の束の中から目的のものを見つけファイルに入れた後、筆記用具やメモ用紙などと一緒にカバンへとしまう

後は水分と財布と...念の為に抑制剤も入れておく


この抑制剤は粒状のもので、オメガが何かの拍子にヒートになってしまった際、応急手当としてこれを服用すれば一時的にヒートが抑えられるという優れものだ

その代わりに頭痛や吐き気など副作用が激しいことが欠点にもなるが、アルファやベータに襲われるリスクに比べれば安いものだ

最近ではこの抑制剤のおかげで性犯罪の被害も減ってはいるものの、ヒート中のオメガを犯してしまい、妊娠させてしまった、仕舞いにはうなじを噛んで強制的につがいとさせてしまったというニュースも少なくない

その為、この抑制剤の他にもうなじを守る為の首輪や、襲われた際に抵抗する用の防犯グッズなども売られるようになった。もちろん俺も所持しているし外出の際には忘れないようにしている


オメガの性質を妬ましく思いながらも防犯グッズの一つである催涙スプレーも入れ、忘れないうちに首輪も付ける


「こんなもんか」


一通り準備を終え、時間を確認すると9時を少し過ぎていた

10時過ぎくらいに出れば十分に間に合う為少しばかり余裕がある

服のアイデアや製作途中のものに手をつけてもいいんだが、一度集中すると一区切りがつくまで時間を忘れてのめり込んでしまう為、それは帰ってきてから行いたい


「...片付けるか」


作業部屋の状態を思い出し、片付けに向かう

部屋に入り、糸や針はケースに入れ、布は種類や色別の系統に分けてしまい、紙類は箱の中にしまう

その中で部屋の床にホコリがあるのを見つけ掃除機もついでにかけておく

そんなこんなで見違える程...とまではいかなくても整えられた空間に満足し、時計を見てみる


「やば、10時だ」


掃除にのめり込み過ぎたのか既に1時間近く過ぎていたのに気づき、カバンを片手に急いで家を出る

ちなみに自分が住んでいるのはマンションの3階の角部屋の間取りは1LDKだ


エレベーターで下までおり、駅に向かう

駅に着くと改札を通り、ホームへと向かう


ホームについて掲示板を見ると、電車が来るまであと数分しかなく、ほっと一息を着いた

念の為にカバンの中を覗いて見たが、忘れ物も特になく、とりあえず一安心だと無意識に張っていた肩をおろした

電車が来たので乗り込むと通勤ラッシュからは時間がズレているので人は数人しかおらず、ドアのすぐ横にある席が空いていたのでそこに座る

そして電車に揺られて10分ほどで目的の駅に到着し、そこでおりる

改札を通り駅を出ると、高層ビルだらけの街並みに上を見上げた


自分が住んでいるマンションの近くは住宅街と言われる場所で、一軒家やマンションがちらほらとたっている以外だとコンビニや飲食店くらいしかない

それに俺の職業は基本的に自宅で行い、こうやって実物を見せに行く以外、つまり依頼を受けたりするのは電話やメールが多いため、ここには何回も来ているのだが、毎回上を向いてしまう

こういう所で上を向くのは田舎に住んでいる証拠だと前に会社勤めの友人に言われた事があるが、別に田舎に住んでいるわけではないし、例えそう認識されても興味がないので気にしていない


「じゃあ、行くか」


肩にかけてあるカバンを背負い直し、目的の場所に足を向けた
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