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「ひっ……痛い、もうやめて……」
「まだ、半分も入ってない……くっ……」

 そこから強引に腰を押し付けられ、奥まで押し切られる。ジンジンした痛みにこわごわ目をやると、彼の腰とわたしの腰がぴったりくっついている。

「な……なんで、こんな……」
「夫婦だからだろ……」
「愛することはないって……」
「俺は罵られると燃えるタイプらしい……」

 彼はわたしの背中に腕を回し、身体を倒して唇を塞ぐ。ねっとりと舌で咥内をかき回され、息も絶え絶えになって首を振る。

「まだ、痛いか」
「痛い……もう、抜いて」
「もう少し我慢しろ。今やめると無駄に痛いだけだ」
 
 しばらくそうしてじっと身を寄せ合っていて、これが夫婦になると言うことなのか、とわたしは彼の肩越しに天井を見上げていた。

 罵られたので罵り返したのに、どうしてこんなことに……

「そろそろ動くぞ」
「え……」

 彼が身体を起こし、膝の裏に手をかけて大きく脚を開かせると、ゆっくりと抜け出ていく。やっと終わるのね、とホッとしたのもつかの間、ギリギリ抜け落ちる寸前から一気に奥まで貫かれて、わたしは衝撃で悲鳴を上げた。

「きゃああ!」

 それからギシギシと寝台を軋ませて彼は何度もわたしの中を穿つ。奥を突かれると鈍い痛みがあり、また両脚を極限まで開かれた体勢が辛くて、わたしは半ば無意識に逃げ腰になっていたが、ずり上がっていくわたしを彼はぐいっと強引に引き寄せ、さらに奥を突いてくる。

「い……」
「まだ痛い?」
「う……少し……」
「でも、だんだんよくなってきただろう?」
「よくなるって、なにが……」

 確かに痛みは遠ざかり、ぞわぞわした感覚が大きくなりつつあるが、わたしはただ、ギュッと目を閉じて嵐が過ぎ去るのを待っていた。
 愛さない、って言ったくせにこんなことをするのは、身体だけの夫婦になるつもりだから?
 そっと目を上げれば、彼もまたぐっと眉を寄せ、天を仰ぐようにして荒い息を吐いている。見上げた首筋にくっきりとした喉ぼとけがゴクリと動いた。

「はあ、すごくいい……」

 がっちりした体つき――よく覚えてないけど、昔デブだったとは思えないほど、均整の取れた鍛えられた肉体。わたしの視線に気づいたのか、見下ろしてくる視線と目が合った。

 睨まれてる……!

「トリクシー……」

 そんな呼び方をするのは家族と、以前の婚約者だけだ。

「エドウィン卿……その……」
「エディだ」
「エディ……、いつまでこれ……」

 早く終わってほしくて身を捩れば、ぐっとさらに深くを抉られ、わたしは内臓が突き上げられる感覚に思わず身体を反らす。

「うう……」
「処女だから、まだ中だけではイけないか……」

 彼は腰を突き上げながら、大きな両手でわたしの胸を鷲掴みにした。

「や……何を……!」

 ぐにぐにと揉み込まれれば、指の間から赤く色づいた乳首が顔を覗かせ、あまりの淫らな光景にわたしは恥ずかしくて目を逸らす。彼の顔が降りて来て、その一つを咥えて吸い上げた。

「ああっ……」

 舌で圧し潰すように執拗に愛撫されれば、わたしのお腹の中がきゅっと締まるのがわかった。

「くっ……そんなに締められると……」

 彼の動きが激しさを増し、ガツガツと穿つように突き上げられて、ぞわぞわする感覚がだんだんと大きくなる。これが快感だと気づくころにはそれは制御できないほど大きくなり、わたしは気づけば淫らな声を堪えきれなくなっていた。

「ああっ、あっ……んっ……んんっ……ああっ……」
「ああっ……すごいっ……中が……うねって……くぅっ……」

 大きく開かれた脚をわたしは無意識に彼の腰に回し、爪先を丸めるようにして懸命に耐えていたが、とうとう膨れ上がった快感のうねりに負けて、両手で彼の肩に縋りついて達した。

「あああっ……ああっ……」
「トリクシー、俺もっ……」

 ほぼ同時に彼も限界を迎えたのか、わたしをグッと抱きしめて果てた。体内に熱い飛沫を感じながら、わたしは気を失うように目を閉じた。
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