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参、幽囚深宮
五、
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皇帝が新たに冊命した「徳妃」蔡氏。
彼女が、皇長子にして魏王伯祥の妃であった事実に、心ある者は眉を顰めた。
入宮した三日後の早朝には、不遇の皇子魏王の邸第は火に包まれ、焼け跡から黒焦げの死体が発見された。
魏王は父親に妻を奪われ、自ら死を選んだのでは――
当たり前に出てくる疑い。だが絶対的な権力者である皇帝の醜聞に、世間は口を閉ざすしかなかった。
後宮の正殿とも言える、皇后の住まう長秋宮に、甲高い怒号が響き渡る。
「どういうことなの! あの女は伯祥の妻! 謀反人の妻子は連座で死罪に処すか、遠く辺境に流刑に処すかでしょう! せめて宮中に没入して奴隷にするならばともかく! 一足飛びに徳妃ですって? 皇上は何を考えていらっしゃるの!」
手足を振り回し、手当たり次第に物を投げて暴れる皇后を、おつきの宦官と女官たちが必死になだめようとする。
「娘娘! お鎮まりを! どうか――」
「ええい! うるさい! うるさい! せっかくあの、伯祥を追い払ったのに! なんだってあんな……」
「母上!」
母に呼び出されて掖庭宮にやってきた皇太子が、荒れ狂う母を目にして、大声で窘める。
「落ち着いてください! こんなことが外に漏れたら大恥ですよ!」
「これが落ち着いていられるとでも? ああ! 怒りで頭が沸騰しそうだわ!」
「いったい何に怒っていらっしゃるのです? 新しい女の出現なら、今さらでしょう? もう、ここ何年も、母上に夜のお召はないのですから」
「そういう問題じゃないわ!」
バリーン! 皇后が投げつけた扇がひゅんッと皇太子の顔スレスレに飛んで、背後の花瓶をぶち抜く。
「母上……焼け跡から出た遺体が、兄上だと確認されました。不幸な火災で幕引きを図っています。今、取り乱せば、人の耳目を集めます。冷静になってください」
息子の言葉に、はあはあと荒い呼吸を繰り返していた皇后の動きが止まる。
「……本当に? 伯祥が、死んだ?……つまり、お前が?」
ギロリとにらまれ、皇太子は眉尻を下げる。
「しー。壁に耳ありと申しますから」
息子に窘められて、皇后はようやく少し、落ち着いてきたらしい。
皇太子は、陶器の破片があちこちに散らばった部屋の惨状を見回し、部屋の隅で怯えている侍女や女官に言いつける。
「悪いがここを片付け、中庭の亭にお茶を運んでくれないか」
侍女頭がハッと我に返り、頭を下げた。
「仰せの通りに」
長秋宮の後殿は皇后の私的な居住空間であり、広大な庭には池に面して、小さな建物がいくつもつながる、複雑な造りになっていた。池に張り出した八角形の亭は、他から隔絶されているために密談には持ってこいである。
侍女頭が茶と菓子を置いて下がると、皇后と皇太子の外は、長秋宮太監である李公公の三人だけになる。李公公がお茶を淹れ、少しだけ背後に下がる。
「――今回のはお前の差し金?」
白磁の茶杯を手に取り、一口だけ啜って、皇太子は茶杯を茶托に戻す。
「兄上を密告したのは母上でしょう? いつもの、というべきかもしれませんが」
息子の指摘に、皇后は眉を顰めた。
「今までは気にもされなかったのに、急に……」
「私は何もしていませんよ。ただ――一言父上の前で囁いただけです」
皇太子が穏やかに微笑む。
「兄上がいなければ、蔡氏を後宮に入れることもできますのにね、と」
邪気のなさそうな笑顔の裏に、黒い靄が立ち込めてきそうだった。皇后は内心、ゾッとする。
「どうしてそんな!」
父親に女をけしかけるような真似を!
だが、皇太子はクスクスといかにも楽し気に笑うばかりだ。
「まさか、ここまで図に当たるとは。確かに、蔡氏は父上のお好みだとは思いましたがね。……想像以上の執心ぶりだ」
「孟祥、お前は……」
皇太子はもう一度、白磁の茶杯を手にし、美味そうに茶を喫した。
「父上にとって、自分以外の者などどうでもいいのですよ。子供に興味などない。後継ぎは必要だと理屈ではわかっていても、心の底では不要だと思っている。あの人は、自分の命が永遠だとでも、考えているのです」
東の海の彼方に童男童女二千人を遣わし、仙人の島に不死の薬を探しに行かせた古の皇帝のように、絶大な権力は永遠に続くと思っている。
「興味があるのは自身のことだけ。政治にも厭いて、後宮には不満を覚えていた」
皇后が、その言葉に柳眉を逆立てた。
「まだ足りないとでも? 即位してからかれこれもう、寝所に召した女は、優に百人を超えているのに!」
皇后王氏は、今上帝が皇太子時代に正妻として後宮に入った。――もう、三十年以上昔のことだ。
今上即位とともに皇后に立てられたものの、数年、子ができなかった。
皇后に子がないのを理由に、皇帝は何人もの女に手をつけ、長秋宮から足は遠のいていく。数少ない皇帝のお渡りに、だが障りがあって閨に侍ることができない。
他の女に機会を譲るくらいならと、皇后は尻込みする婢の連氏を閨に送り込んだところ、その一夜で身ごもり、伯祥を生んだ。
自身の召使いが皇帝の長男を生む。――これが、皇后王氏の自尊心を大いに傷つけ、伯祥に対する憎しみの源になっている。
「母上ももう、御年なのですから、表立って嫉妬などを見せず、できた妻として父上に女を世話するくらいでなければ」
「バカ仰い! 何が悲しくてあたくしが女衒の真似事をしなければならないの!」
皇后はピシャリと吐き捨てると、綺麗に手入れされた長い爪を誇示しながら、白磁の茶杯を手に取る。
「悋気は損気ですよ。皇后は天下の母。もっと堂々としておられればよいのに」
皇太子はそういうと、話を元に戻す。
「とにかく父上の不満は、気に入った女に巡り会えないことです。帝王として、国を傾けるほどの女に出会いたい――そんな風に零しておられるのを耳にしました」
北方に佳人あり、絶世にして独り立つ。
ひとたび顧みては人の城を傾け、再び顧みては人の国を傾く。
寧んぞ知らず、傾城と傾国とを
佳人再びは得難し
皇太子が有名な古詩を諳んじてみせれば、皇后は呆れたような表情をした。
「国を傾けるほどの女なんて……天子が何を言うのよ」
「まあそのくらい、女に飢えていた。後宮に湧いてくるどこにでもいる女ではなく、滅多に巡り合えない、理想の傾国を求めていた。そこに、蔡氏が現れた」
清明節の宴で蔡氏を見て、皇太子は確信を抱く。
蔡氏の美しさは、後宮にひしめく女とは違う。容貌が整っているだけでなく、清楚で可憐で、何とも言い難い艶がある。
まさに国色とも言うべき美女だ。
これだけの美しさがありながら、これまで人の口に上らなかったのは、蔡氏が没落しかかった儒門の家で、堅苦しい礼法に囚われていたこと、さらに、本人にも親にも、娘の容色を出世の糸口にしようという野心が端からなかったせいだろう。
一歩間違えれば、崩れかかった小さな家で、あたら美貌を無駄に腐らせていた。そのくらい、紫玲の父親は娘の価値に気づいていなかった。
ただ、その清廉な家風と家柄のおかげで、たまたま皇子妃の選に入った。
皇太子妃の選は希望者が殺到したが、およそ栄達の見込めない劣り腹の皇長子の妃は、辞退が相次いだ。紫玲の父親は、事態をよく理解せず、おそらくはぼうっとしていたうちに、決まってしまったのだろう。そうなればもう、断ることなどできない。
もともと、後宮入りも女としての出世も求めていない。つまり、本来なら後宮に入らない女。それが、皇帝の目には新鮮に映ったのかもしれない。
「父上は、そういう女を求めていると私は思った。だから、あえて舟遊びを薦めて父上の目に彼女が止まるように仕向けたのです」
息子の言葉に、皇后は絶句した。
「そこまでの深謀を……? でも、仮にも息子の妻を……」
皇后が眉を顰めるが、皇太子はクスクスと嗤うばかりだ。
「息子の妻だからこそ、余計に」
物の数でもないと思っていた息子。何より――
「伯祥の顔は陛下に瓜二つ。自分によく似た男が、自分の理想に近い女を妻にしている。どんな手段を用いても欲しいと思うかもしれない。父上のような性格の人は特に」
「孟祥、お前……」
皇后は我が子の言葉にゾッとする。
「母上、私だってずっと目障りだと思っていたのですよ。父上にソックリな、劣り腹の兄を」
皇太子は微笑む。
「こんなにすべてが図に当たったのに、父上は兄上を釈放して家に帰してしまった。だから――」
皇太子は声を潜める。
「母上、あの火事のほとぼりが冷めるまでは、兄上の死に疑問を持たれたくはない。だから騒がないでください」
彼女が、皇長子にして魏王伯祥の妃であった事実に、心ある者は眉を顰めた。
入宮した三日後の早朝には、不遇の皇子魏王の邸第は火に包まれ、焼け跡から黒焦げの死体が発見された。
魏王は父親に妻を奪われ、自ら死を選んだのでは――
当たり前に出てくる疑い。だが絶対的な権力者である皇帝の醜聞に、世間は口を閉ざすしかなかった。
後宮の正殿とも言える、皇后の住まう長秋宮に、甲高い怒号が響き渡る。
「どういうことなの! あの女は伯祥の妻! 謀反人の妻子は連座で死罪に処すか、遠く辺境に流刑に処すかでしょう! せめて宮中に没入して奴隷にするならばともかく! 一足飛びに徳妃ですって? 皇上は何を考えていらっしゃるの!」
手足を振り回し、手当たり次第に物を投げて暴れる皇后を、おつきの宦官と女官たちが必死になだめようとする。
「娘娘! お鎮まりを! どうか――」
「ええい! うるさい! うるさい! せっかくあの、伯祥を追い払ったのに! なんだってあんな……」
「母上!」
母に呼び出されて掖庭宮にやってきた皇太子が、荒れ狂う母を目にして、大声で窘める。
「落ち着いてください! こんなことが外に漏れたら大恥ですよ!」
「これが落ち着いていられるとでも? ああ! 怒りで頭が沸騰しそうだわ!」
「いったい何に怒っていらっしゃるのです? 新しい女の出現なら、今さらでしょう? もう、ここ何年も、母上に夜のお召はないのですから」
「そういう問題じゃないわ!」
バリーン! 皇后が投げつけた扇がひゅんッと皇太子の顔スレスレに飛んで、背後の花瓶をぶち抜く。
「母上……焼け跡から出た遺体が、兄上だと確認されました。不幸な火災で幕引きを図っています。今、取り乱せば、人の耳目を集めます。冷静になってください」
息子の言葉に、はあはあと荒い呼吸を繰り返していた皇后の動きが止まる。
「……本当に? 伯祥が、死んだ?……つまり、お前が?」
ギロリとにらまれ、皇太子は眉尻を下げる。
「しー。壁に耳ありと申しますから」
息子に窘められて、皇后はようやく少し、落ち着いてきたらしい。
皇太子は、陶器の破片があちこちに散らばった部屋の惨状を見回し、部屋の隅で怯えている侍女や女官に言いつける。
「悪いがここを片付け、中庭の亭にお茶を運んでくれないか」
侍女頭がハッと我に返り、頭を下げた。
「仰せの通りに」
長秋宮の後殿は皇后の私的な居住空間であり、広大な庭には池に面して、小さな建物がいくつもつながる、複雑な造りになっていた。池に張り出した八角形の亭は、他から隔絶されているために密談には持ってこいである。
侍女頭が茶と菓子を置いて下がると、皇后と皇太子の外は、長秋宮太監である李公公の三人だけになる。李公公がお茶を淹れ、少しだけ背後に下がる。
「――今回のはお前の差し金?」
白磁の茶杯を手に取り、一口だけ啜って、皇太子は茶杯を茶托に戻す。
「兄上を密告したのは母上でしょう? いつもの、というべきかもしれませんが」
息子の指摘に、皇后は眉を顰めた。
「今までは気にもされなかったのに、急に……」
「私は何もしていませんよ。ただ――一言父上の前で囁いただけです」
皇太子が穏やかに微笑む。
「兄上がいなければ、蔡氏を後宮に入れることもできますのにね、と」
邪気のなさそうな笑顔の裏に、黒い靄が立ち込めてきそうだった。皇后は内心、ゾッとする。
「どうしてそんな!」
父親に女をけしかけるような真似を!
だが、皇太子はクスクスといかにも楽し気に笑うばかりだ。
「まさか、ここまで図に当たるとは。確かに、蔡氏は父上のお好みだとは思いましたがね。……想像以上の執心ぶりだ」
「孟祥、お前は……」
皇太子はもう一度、白磁の茶杯を手にし、美味そうに茶を喫した。
「父上にとって、自分以外の者などどうでもいいのですよ。子供に興味などない。後継ぎは必要だと理屈ではわかっていても、心の底では不要だと思っている。あの人は、自分の命が永遠だとでも、考えているのです」
東の海の彼方に童男童女二千人を遣わし、仙人の島に不死の薬を探しに行かせた古の皇帝のように、絶大な権力は永遠に続くと思っている。
「興味があるのは自身のことだけ。政治にも厭いて、後宮には不満を覚えていた」
皇后が、その言葉に柳眉を逆立てた。
「まだ足りないとでも? 即位してからかれこれもう、寝所に召した女は、優に百人を超えているのに!」
皇后王氏は、今上帝が皇太子時代に正妻として後宮に入った。――もう、三十年以上昔のことだ。
今上即位とともに皇后に立てられたものの、数年、子ができなかった。
皇后に子がないのを理由に、皇帝は何人もの女に手をつけ、長秋宮から足は遠のいていく。数少ない皇帝のお渡りに、だが障りがあって閨に侍ることができない。
他の女に機会を譲るくらいならと、皇后は尻込みする婢の連氏を閨に送り込んだところ、その一夜で身ごもり、伯祥を生んだ。
自身の召使いが皇帝の長男を生む。――これが、皇后王氏の自尊心を大いに傷つけ、伯祥に対する憎しみの源になっている。
「母上ももう、御年なのですから、表立って嫉妬などを見せず、できた妻として父上に女を世話するくらいでなければ」
「バカ仰い! 何が悲しくてあたくしが女衒の真似事をしなければならないの!」
皇后はピシャリと吐き捨てると、綺麗に手入れされた長い爪を誇示しながら、白磁の茶杯を手に取る。
「悋気は損気ですよ。皇后は天下の母。もっと堂々としておられればよいのに」
皇太子はそういうと、話を元に戻す。
「とにかく父上の不満は、気に入った女に巡り会えないことです。帝王として、国を傾けるほどの女に出会いたい――そんな風に零しておられるのを耳にしました」
北方に佳人あり、絶世にして独り立つ。
ひとたび顧みては人の城を傾け、再び顧みては人の国を傾く。
寧んぞ知らず、傾城と傾国とを
佳人再びは得難し
皇太子が有名な古詩を諳んじてみせれば、皇后は呆れたような表情をした。
「国を傾けるほどの女なんて……天子が何を言うのよ」
「まあそのくらい、女に飢えていた。後宮に湧いてくるどこにでもいる女ではなく、滅多に巡り合えない、理想の傾国を求めていた。そこに、蔡氏が現れた」
清明節の宴で蔡氏を見て、皇太子は確信を抱く。
蔡氏の美しさは、後宮にひしめく女とは違う。容貌が整っているだけでなく、清楚で可憐で、何とも言い難い艶がある。
まさに国色とも言うべき美女だ。
これだけの美しさがありながら、これまで人の口に上らなかったのは、蔡氏が没落しかかった儒門の家で、堅苦しい礼法に囚われていたこと、さらに、本人にも親にも、娘の容色を出世の糸口にしようという野心が端からなかったせいだろう。
一歩間違えれば、崩れかかった小さな家で、あたら美貌を無駄に腐らせていた。そのくらい、紫玲の父親は娘の価値に気づいていなかった。
ただ、その清廉な家風と家柄のおかげで、たまたま皇子妃の選に入った。
皇太子妃の選は希望者が殺到したが、およそ栄達の見込めない劣り腹の皇長子の妃は、辞退が相次いだ。紫玲の父親は、事態をよく理解せず、おそらくはぼうっとしていたうちに、決まってしまったのだろう。そうなればもう、断ることなどできない。
もともと、後宮入りも女としての出世も求めていない。つまり、本来なら後宮に入らない女。それが、皇帝の目には新鮮に映ったのかもしれない。
「父上は、そういう女を求めていると私は思った。だから、あえて舟遊びを薦めて父上の目に彼女が止まるように仕向けたのです」
息子の言葉に、皇后は絶句した。
「そこまでの深謀を……? でも、仮にも息子の妻を……」
皇后が眉を顰めるが、皇太子はクスクスと嗤うばかりだ。
「息子の妻だからこそ、余計に」
物の数でもないと思っていた息子。何より――
「伯祥の顔は陛下に瓜二つ。自分によく似た男が、自分の理想に近い女を妻にしている。どんな手段を用いても欲しいと思うかもしれない。父上のような性格の人は特に」
「孟祥、お前……」
皇后は我が子の言葉にゾッとする。
「母上、私だってずっと目障りだと思っていたのですよ。父上にソックリな、劣り腹の兄を」
皇太子は微笑む。
「こんなにすべてが図に当たったのに、父上は兄上を釈放して家に帰してしまった。だから――」
皇太子は声を潜める。
「母上、あの火事のほとぼりが冷めるまでは、兄上の死に疑問を持たれたくはない。だから騒がないでください」
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