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17 繋がる
貪りあう*
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しばらく繋がった状態でアデライードの身体を掻き抱き、首筋や鎖骨、胸のあわいについばむように口づけ、アデライードもまた男の背中を確かめるように掌で撫でる。
《もっと……ぎゅっとして……抱きしめて……わたしが、消えてしまうくらい、強く――》
男が、腕に力を込める。これ以上抱きしめればきっと折れてしまう。でも、まだ足りない。二人の間を隔てる皮膚すら邪魔だと思う。結合部からじんじんと湧き上がってくる性の快楽など不要だと思えるほど、肌と肌を合わせて抱き合う歓びが全身に満ち溢れていく。
《すき……なの……ずっと、こうしてほしくて……》
「ああ……私も……ただこうしていられるだけで……」
淫らな技巧を尽くし、二人で快楽の淵に墜ちる。そんな努力など必要ないと思えるほど、ただ、互いの肌を寄せ合うだけで満ち足りていく。循環する〈王気〉に、脳が痺れる。腰の奥底から疼きが立ち上り、腰が自然に揺れ始める。
「……動い、ても……?」
《動いて……好きに、して……食べて……全部、わたしが……なくなるまで……ぜんぶ……》
「ばっ……煽、るな……っ」
男は身体を起こし、アデライードの太ももを掴んで埋め込んだ肉茎をゆっくりと引き抜く。喪失感に、女が首を振って吐息を漏らす。抜け落ちるギリギリで大きく息を吸い込むと、一気にずん、と奥まで貫いた。男の動きに、首にかけた指輪が大きく揺れた。
荒い、呼吸が女の口から洩れる。普段なら絶え間なく零れる嬌声が、声にならずに呼吸音だけが聞こえる。大きく腰を動かしながら、男は女の細い脚を肩に載せ、掌で優しく足先の方へ撫でていく。履いたままの革のサンダルの紐を解き、丁寧に脱がせ、下に落とす。
首を曲げて肩に担いだ脚に口づけを落とし、そのまま足先へと唇を滑らせる。足首を飾るアンクレットについた翡翠の透かし彫りを口に含むと、そこに魔力を込める。男が腰を突き上げるたびに、足の甲で踊る翡翠が足に当たり、そこから魔力がじんわりとアデライードを侵食する。ほんのわずかずつ末端から駆け上がる快感に、アデライードが身体を震わす。快楽など必要ないと思った側から、全身を蕩かす甘い痺れに抗えず、アデライードは敷布を握りしめてそれに耐える。足先から再びゆっくりと唇は太ももへと降りていき、もう一つの脚も肩に担がれて、同じように唇を這わされる。気持ちよくて蕩けそうなのに、喘ぎ声すらあげることができず、ただ激しい呼吸だけが唇から零れていく。ぐっと眉を絞り、目を瞑り、首を振って堪える。目尻から、涙が溢れ、流れ落ちる。
もう片方のサンダルも丁寧に脱がされ、足の親指を口に含まれて敏感な指の間を舌で責められ、アデライードは思わずびくりと身体を反らせる。男が抜き差しする足の付け根はもうどろどろになって、さっきから淫靡な水音が響いてアデライードの羞恥を煽っている。男が両の足首を握って大きく脚を広げ、激しく腰を突き動かす。凄まじい快感がアデライードの背骨から脳へと駆け上がり、白い喉をさらし、声なき声で叫んだ。
《ああっあああああっ》
「すごい……もう、蕩けそうだ……ああっ……気持ちよすぎて……ああっああっ……」
男が狂ったように腰を突き動かすと、ぐずぐずに蕩けた結合部から掻き出される蜜がアデライードの太ももを汚し、丸い尻を伝って敷布に流れ落ちる。淫猥な水音と肌をぶつけ合う音、男女の荒い息遣いと、時折漏れる男の低い呻き声が寝台の紗幕の中に響く。男の脚衣は膝の上まで下ろされ、長靴は履いたままで寝台に膝をついている。端麗な眉を快楽に絞り、男はアデライードの中を激しく穿ち続ける。
アデライードは両手で顔の横の枕を握りしめ、快楽に翻弄されながら、自分を貫き、揺すり続ける男を見上げる。普段の冴えた氷のような美しさは影を潜め、凶暴な美しい獣となって黒い髪を振り乱し、荒々しい情欲を露わにアデライードを貪っている。肩越しに蠢く金色の龍が形を失い、金色に輝く光の帯になって、銀色の光の帯と絡み合い、二重螺旋となって輝く。彼も快楽に溺れているのだ。アデライードと一つに繋がり、肉欲の楔でアデライードの最奥を暴き、抉り、犯している。
もっと、もっと、食べて欲しい。
あの美しい唇で自分の喉を引き裂き、白い歯で食いちぎって、骨も残さずに飲み込んで欲しい。
もっと、もっと求めて、荒れ狂う欲望のままに蹂躙し、貪って欲しい。
ああ、違う。貪っているのは、自分だ。
この男しか知らない身体の最も奥深い場所に彼の欲望を飲み込み、締めあげて全てを搾り取ろうしている。奥を突かれるたびに、溶けてなくなりそうな快感がアデライードを襲い、激流のように荒れ狂う。
もっと求めて――、犯して、いっそ、壊して。ぜんぶ、あなたのものだから――。
突き上げられるたびに揺れる白い胸の、頂点で物欲しげに赤く膨れている蕾を、身体を倒して寄せてきた男の唇が含んで、強く吸い上げた。
瞬間、アデライードの目の奥が白く蕩けて、灼けつくような絶頂が襲ってきた。
「あっあああっああ――――っ」
白い身体を仰け反らせ、アデライードが快楽の波にもまれてのたうつ。
「ああああっ……くっ……まだっ……一緒だ……」
搾り取るような内部の動きに耐えて、男が奥歯を噛みしめてやり過ごし、頂点を極めて身体を弛緩させたアデライードをさらに責め立てる。
「ああっ……ああああっ……ああっ……あっあっ…」
「はあっはあっ……いいっ……ああっアデライード、アデライード……」
男が抱えていた脚から手を放すと、女はそれを男の腰に回して逃がすまいとするかのようにさらに締め付ける。両手で乱暴に乳房を揉みしだき、半ば開いたままの唇を唇で塞ぎ、舌を咥内にねじ込む。男の楔がアデライードの最奥を幾度も幾度も突きあげれば、再び絶頂がアデライードの中を荒れ狂い、内部が大きくうねって彼の楔を搾り取るように蠢いた。その蠕動に耐え切れず、男はついに欲望を弾けさせ、熱い滾りを中に放った。
《もっと……ぎゅっとして……抱きしめて……わたしが、消えてしまうくらい、強く――》
男が、腕に力を込める。これ以上抱きしめればきっと折れてしまう。でも、まだ足りない。二人の間を隔てる皮膚すら邪魔だと思う。結合部からじんじんと湧き上がってくる性の快楽など不要だと思えるほど、肌と肌を合わせて抱き合う歓びが全身に満ち溢れていく。
《すき……なの……ずっと、こうしてほしくて……》
「ああ……私も……ただこうしていられるだけで……」
淫らな技巧を尽くし、二人で快楽の淵に墜ちる。そんな努力など必要ないと思えるほど、ただ、互いの肌を寄せ合うだけで満ち足りていく。循環する〈王気〉に、脳が痺れる。腰の奥底から疼きが立ち上り、腰が自然に揺れ始める。
「……動い、ても……?」
《動いて……好きに、して……食べて……全部、わたしが……なくなるまで……ぜんぶ……》
「ばっ……煽、るな……っ」
男は身体を起こし、アデライードの太ももを掴んで埋め込んだ肉茎をゆっくりと引き抜く。喪失感に、女が首を振って吐息を漏らす。抜け落ちるギリギリで大きく息を吸い込むと、一気にずん、と奥まで貫いた。男の動きに、首にかけた指輪が大きく揺れた。
荒い、呼吸が女の口から洩れる。普段なら絶え間なく零れる嬌声が、声にならずに呼吸音だけが聞こえる。大きく腰を動かしながら、男は女の細い脚を肩に載せ、掌で優しく足先の方へ撫でていく。履いたままの革のサンダルの紐を解き、丁寧に脱がせ、下に落とす。
首を曲げて肩に担いだ脚に口づけを落とし、そのまま足先へと唇を滑らせる。足首を飾るアンクレットについた翡翠の透かし彫りを口に含むと、そこに魔力を込める。男が腰を突き上げるたびに、足の甲で踊る翡翠が足に当たり、そこから魔力がじんわりとアデライードを侵食する。ほんのわずかずつ末端から駆け上がる快感に、アデライードが身体を震わす。快楽など必要ないと思った側から、全身を蕩かす甘い痺れに抗えず、アデライードは敷布を握りしめてそれに耐える。足先から再びゆっくりと唇は太ももへと降りていき、もう一つの脚も肩に担がれて、同じように唇を這わされる。気持ちよくて蕩けそうなのに、喘ぎ声すらあげることができず、ただ激しい呼吸だけが唇から零れていく。ぐっと眉を絞り、目を瞑り、首を振って堪える。目尻から、涙が溢れ、流れ落ちる。
もう片方のサンダルも丁寧に脱がされ、足の親指を口に含まれて敏感な指の間を舌で責められ、アデライードは思わずびくりと身体を反らせる。男が抜き差しする足の付け根はもうどろどろになって、さっきから淫靡な水音が響いてアデライードの羞恥を煽っている。男が両の足首を握って大きく脚を広げ、激しく腰を突き動かす。凄まじい快感がアデライードの背骨から脳へと駆け上がり、白い喉をさらし、声なき声で叫んだ。
《ああっあああああっ》
「すごい……もう、蕩けそうだ……ああっ……気持ちよすぎて……ああっああっ……」
男が狂ったように腰を突き動かすと、ぐずぐずに蕩けた結合部から掻き出される蜜がアデライードの太ももを汚し、丸い尻を伝って敷布に流れ落ちる。淫猥な水音と肌をぶつけ合う音、男女の荒い息遣いと、時折漏れる男の低い呻き声が寝台の紗幕の中に響く。男の脚衣は膝の上まで下ろされ、長靴は履いたままで寝台に膝をついている。端麗な眉を快楽に絞り、男はアデライードの中を激しく穿ち続ける。
アデライードは両手で顔の横の枕を握りしめ、快楽に翻弄されながら、自分を貫き、揺すり続ける男を見上げる。普段の冴えた氷のような美しさは影を潜め、凶暴な美しい獣となって黒い髪を振り乱し、荒々しい情欲を露わにアデライードを貪っている。肩越しに蠢く金色の龍が形を失い、金色に輝く光の帯になって、銀色の光の帯と絡み合い、二重螺旋となって輝く。彼も快楽に溺れているのだ。アデライードと一つに繋がり、肉欲の楔でアデライードの最奥を暴き、抉り、犯している。
もっと、もっと、食べて欲しい。
あの美しい唇で自分の喉を引き裂き、白い歯で食いちぎって、骨も残さずに飲み込んで欲しい。
もっと、もっと求めて、荒れ狂う欲望のままに蹂躙し、貪って欲しい。
ああ、違う。貪っているのは、自分だ。
この男しか知らない身体の最も奥深い場所に彼の欲望を飲み込み、締めあげて全てを搾り取ろうしている。奥を突かれるたびに、溶けてなくなりそうな快感がアデライードを襲い、激流のように荒れ狂う。
もっと求めて――、犯して、いっそ、壊して。ぜんぶ、あなたのものだから――。
突き上げられるたびに揺れる白い胸の、頂点で物欲しげに赤く膨れている蕾を、身体を倒して寄せてきた男の唇が含んで、強く吸い上げた。
瞬間、アデライードの目の奥が白く蕩けて、灼けつくような絶頂が襲ってきた。
「あっあああっああ――――っ」
白い身体を仰け反らせ、アデライードが快楽の波にもまれてのたうつ。
「ああああっ……くっ……まだっ……一緒だ……」
搾り取るような内部の動きに耐えて、男が奥歯を噛みしめてやり過ごし、頂点を極めて身体を弛緩させたアデライードをさらに責め立てる。
「ああっ……ああああっ……ああっ……あっあっ…」
「はあっはあっ……いいっ……ああっアデライード、アデライード……」
男が抱えていた脚から手を放すと、女はそれを男の腰に回して逃がすまいとするかのようにさらに締め付ける。両手で乱暴に乳房を揉みしだき、半ば開いたままの唇を唇で塞ぎ、舌を咥内にねじ込む。男の楔がアデライードの最奥を幾度も幾度も突きあげれば、再び絶頂がアデライードの中を荒れ狂い、内部が大きくうねって彼の楔を搾り取るように蠢いた。その蠕動に耐え切れず、男はついに欲望を弾けさせ、熱い滾りを中に放った。
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