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六竅
1、気の合わない婚約者
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その年秋の巡検は西方辺境に赴いた。
西方辺境騎士団の砦は、帝都より北西の方角、聖地と大陸とを距てる西の海辺にある。
大陸の西岸はのこぎりの歯のようなリアス式海岸が続き、入り組んだ入り江には小さな港がいくつもあり、漁業や養殖などが盛んである。急峻な谷間に小さな集落がいくつも営まれ、海産物が豊かで、干し鮑、フカヒレ、干し海鼠などの高級食材の産地でもある。
その一方で入り江は海賊の根城ともなっていて、漁港や集落、南方の港との交易船を襲うことも多い。
聖地から近いために魔物の発生は見られない。西方辺境騎士団の仮想敵はもっぱら、海賊や、大陸北部のアイリオス山脈の高地に住む山岳民族や、北部の海浜に住む異民族であった。
一月弱の巡検の間、戦闘狂の廉郡王に付き合って幾度か海賊退治に繰り出したりと、昨年とは違って大きな問題もなく十一月の初旬には帝都に帰還した。
恭親王を待っていたのは、鴛鴦宮でやたら開かれる婚約者のユリア姫を招いたお茶会、観劇会、晩餐会であった。皇后や周囲の者が、何とか頑なな恭親王の心を解そう、ユリア姫との仲を円滑にしようと、頼んでもいないお節介を焼いた結果なのだが、西方辺境にいる間はほとんど失念していた忌々しい結婚のことを、否が応でも突き付けられて恭親王の苛立ちは募る一方である。
数度顔を合わせて感じることは、ただ、「この女とは合わない」という明確な「事実」であった。
何しろ香水臭いのだ。
これについては恭親王の方から、匂いに敏感であること、気分が悪くなることを伝え、鴛鴦宮に来る時は香水の使用を控えて欲しいと頼んだ。かなり下手に出て、である。
だがユリアの方は、「この香りはお気に召しませんでしたか」と言って、次回は異なる香りを身に纏ってやってくる。匂いが変わっただけで、相変わらず臭いのだ。そうではなくて香水の香り自体が苦手なのだと言っても、おそらく香水をつけすぎて鼻が馬鹿になっているのか、まるで理解しない。日替わりで違う強烈な香りを嗅がされ、恭親王はほとほと参ってしまった。
「香水をつけないと貴女は死ぬのですか?それとも香水の匂いで私を殺すつもりか?」
そうきつく言い捨てても、そもそも香水が「臭い」ということを理解しないユリアは、乱暴な物言いに不快げに眉を顰めるだけだ。香水を止めなければ、もう二度と会わないとマナシル家側にはっきりと宣告して、ユリアの父親の太常卿が間に入る騒ぎになった。真剣に気分が悪そうにする恭親王を見て、太常卿がユリアに命じて香水の使用を止めさせた。もちろん、ユリアはそれについて不平満々であったのは言うまでもない。皇后も皇帝も、そしてユリアの両親も、香水一つですでに揉めている二人の結婚に不安を感じなくはなかったが、今さら取りやめることもできない事情があった。
皇帝としては、愛児の恭親王に帝位を譲りたいという希望があった。
しかし、現状、やや身体が弱いとはいえ皇太子もおり、理由もなく太子を交代させるのには、群臣の反発を招く。皇帝は折に触れて愛児に意のあることを知らしめ、恭親王の成長を待った。もうすぐ十七歳とはいえ、まだ十七歳である。四十を越した皇太子の安定感には、ほど遠い。
そこで、皇后位に就けるほどの血筋の正室を娶せ、いずれ皇太子にとの意を明らかにする。
そのための、十二貴嬪家筆頭のマナシル家のユリアとの婚姻であった。
皇后家と言われるのはマナシル家とブライエ家の二家あるが、皇帝の母親もブライエ家の出であり、恭親王の母皇后もブライエ家の出身である。さらにここでブライエ家の娘を恭親王が娶ると、いくら何でも血が濃すぎる。そもそも皇帝が最初にマナシル家の故皇后――皇太子ロウリンの母である――を冊立したのは、ブライエ家の皇后独占への反発を恐れてのことだ。
実は、ユリアとの婚約は彼らが生まれたころからほぼ決まっていた。ほぼ、というのは、ユリアとその妹たちのどれにするかが不確定であったに過ぎない。結局、結婚を急がせる皇帝の意向に沿い、長女のユリアに決定されただけである。それらのことを、恭親王だけが知らされていなかった。
帝位に対して一かけらの野心もない恭親王としては、父皇帝の画策は迷惑でしかない。この結婚に対する皇帝の意図に気づいた皇太子側も、必死の妨害工作を行う。期せずして、実は恭親王と皇太子の利害は完全に一致していて、恭親王の女遊びの噂が尋常ならざる勢いで広まったのには、皇太子の工作が一役買っていたからでもある。しかし、皇太子と恭親王の懸命な工作も虚しく、恭親王とユリアの婚約は公にされた。婚姻は翌年の春と決まり、恭親王の新邸の敷地も設定され、急ピッチで建設が進む。皇子は正室との婚姻を機に後宮の母の宮を出て、帝都に邸第を構えて独立するのだ。この結婚にメリットがあるとすれば、口やかましい母親の元から離れられることだけだと、恭親王は考えていた。
相変わらず憂さ晴らしにもならぬ夜遊びを繰り返すうちに年が明け、恭親王は十七歳になった。彼の憂鬱をよそに、春に予定される婚礼の準備は着々と進んでいく。
「もういっそ、出家したいくらい、嫌です」
皇宮の鴛鴦宮の自室で、訪問してきた兄の賢親王を睨みつけるようにして、恭親王は言った。実際、太陽神殿に駆け込もうとしてメイローズに止められたことも一度や二度ではなかった。信仰への傾倒と自棄っぱちのような女遊びという、ちぐはぐで相反する行動に、側仕えも賢親王も頭を悩ませる。
「ユエリン、我儘を申すな。正妻が気に入らなければ、好きな女を何人でも側室に迎えればよい。お前の精に耐えうるならば、身分も問わぬ」
賢親王は薦められた椅子に腰かけ、メイローズが淹れたお茶を優雅な手つきで飲みながら、頑固なところのある異母弟を窘める。
槐花改めレイナに恭親王の側夫人の称号を賜うことは、賢親王のとりなしでようやく認められ、この二月に叶うことになっている。それでも、マナシル家やとくにユリア自身がそれに難色を示したことに、恭親王はひどく気分を害していた。皇子は結婚と同時に母の宮を出るにあたり、宮の秀女は全て儲秀宮に返さねばならない決まりであった。槐花を側室に上げるならば、婚姻前でなければ無理なのである。要するにマナシル家とユリアは、理由をつけて側夫人号の賜与を引き延ばし、時間切れを狙っていたのである。この姑息なやり方は恭親王の最も嫌うところである。
「あんな性格の女が、複数の側室たちを許容すると思いますか?レイナ一人であれだけ文句をつけてきたのに。気にいらないならいつでも結婚自体をやめると私は何度も言っているのに!」
恭親王は長椅子に腰かけて長い脚を優雅に組んでいるが、表情は引き攣っていた。彼の苛立ちを代弁するかのように、その肩に止まる愛鷹が、バサバサと落ち着かない様子で羽を動かしている。
「全く。不愉快極まりないが、同居しなくてもいいというなら、不本意ながら結婚してもいいです」
恭親王府となる予定の邸は、すでに内装の段階に入っていた。四つの棟が中庭を挟んで向き合う四合院を複数繋げた壮麗な屋敷で、門を入って南側に大きな池と四阿、奇岩を配した庭園も設えられる。その新邸に関して、マナシル家側からあれこれと口を出されるのが不愉快でたまらない。いや、百歩譲って正妻が住まう予定の棟についてだけならばまだ我慢もできるのだが、来客用の応接室とか、使用人棟に関してまでも何かと言ってくるのだ。
――早くも正妻面して、鬱陶しい女だ。いっそ居室に鉄格子でも入れて、出られなくしてやろうか――。
プライドの高いユリアは親王の正室として妙に張り切ってしまい始末に負えない。万事に贅沢を嫌う恭親王が屋敷に無駄な装飾を施したくないというのを、それでは親王の格式に見合わない、と実家を通じて内装に文句をつけてくる。簡素で装飾の少ない内装を好む恭親王と、豪華で手の込んだ装飾の入った家具を好むユリアとで、全く話がかみ合っていないのである。
「ユリア嬢はゴテゴテとした家具や内装を好むようで、私はそんな部屋では寛げないし、いっそ一緒に暮らすのをやめようと提案したのですがね」
涼しい顔で告げられた賢親王は呆れて深い溜息をついた。
「そんな理屈が通るわけがなかろう。側室を別宅に囲うならともかく、正室を追い出すなど、外聞が悪いにも程がある」
「やはり結婚自体をやめましょう」
「ユエリン!」
結婚だけは何があろうと覆せないから悪あがきはやめろ、と賢親王は繰り返し釘をさして帰っていったが、恭親王の眉間の皺は深くなるばかりだ。
年の離れた異母兄が帰ると、恭親王はエールライヒを肩に止まらせたまま、棚に置いてある餌箱のところまで歩いていき、中から肉を取り出して、エールライヒに食べさせてやる。エールライヒが満腹するのを見て、さて、と一つ息をついた。
今夜は夜遊びの予定を入れていなかった。女遊びにはとっくの昔に飽きているのだが、半ば意地になって続けていて、さすがにウンザリしていた。廉郡王も父親の皇太子からあれこれ言われてしまい、今日は小休止といったところである。一人でゆっくりと本でも読むつもりだったが、このところ夜遊び続きでレイナを放ったらかしにしていることに気づき、小宦官をレイナの元に呼びに遣らせた。
西方辺境騎士団の砦は、帝都より北西の方角、聖地と大陸とを距てる西の海辺にある。
大陸の西岸はのこぎりの歯のようなリアス式海岸が続き、入り組んだ入り江には小さな港がいくつもあり、漁業や養殖などが盛んである。急峻な谷間に小さな集落がいくつも営まれ、海産物が豊かで、干し鮑、フカヒレ、干し海鼠などの高級食材の産地でもある。
その一方で入り江は海賊の根城ともなっていて、漁港や集落、南方の港との交易船を襲うことも多い。
聖地から近いために魔物の発生は見られない。西方辺境騎士団の仮想敵はもっぱら、海賊や、大陸北部のアイリオス山脈の高地に住む山岳民族や、北部の海浜に住む異民族であった。
一月弱の巡検の間、戦闘狂の廉郡王に付き合って幾度か海賊退治に繰り出したりと、昨年とは違って大きな問題もなく十一月の初旬には帝都に帰還した。
恭親王を待っていたのは、鴛鴦宮でやたら開かれる婚約者のユリア姫を招いたお茶会、観劇会、晩餐会であった。皇后や周囲の者が、何とか頑なな恭親王の心を解そう、ユリア姫との仲を円滑にしようと、頼んでもいないお節介を焼いた結果なのだが、西方辺境にいる間はほとんど失念していた忌々しい結婚のことを、否が応でも突き付けられて恭親王の苛立ちは募る一方である。
数度顔を合わせて感じることは、ただ、「この女とは合わない」という明確な「事実」であった。
何しろ香水臭いのだ。
これについては恭親王の方から、匂いに敏感であること、気分が悪くなることを伝え、鴛鴦宮に来る時は香水の使用を控えて欲しいと頼んだ。かなり下手に出て、である。
だがユリアの方は、「この香りはお気に召しませんでしたか」と言って、次回は異なる香りを身に纏ってやってくる。匂いが変わっただけで、相変わらず臭いのだ。そうではなくて香水の香り自体が苦手なのだと言っても、おそらく香水をつけすぎて鼻が馬鹿になっているのか、まるで理解しない。日替わりで違う強烈な香りを嗅がされ、恭親王はほとほと参ってしまった。
「香水をつけないと貴女は死ぬのですか?それとも香水の匂いで私を殺すつもりか?」
そうきつく言い捨てても、そもそも香水が「臭い」ということを理解しないユリアは、乱暴な物言いに不快げに眉を顰めるだけだ。香水を止めなければ、もう二度と会わないとマナシル家側にはっきりと宣告して、ユリアの父親の太常卿が間に入る騒ぎになった。真剣に気分が悪そうにする恭親王を見て、太常卿がユリアに命じて香水の使用を止めさせた。もちろん、ユリアはそれについて不平満々であったのは言うまでもない。皇后も皇帝も、そしてユリアの両親も、香水一つですでに揉めている二人の結婚に不安を感じなくはなかったが、今さら取りやめることもできない事情があった。
皇帝としては、愛児の恭親王に帝位を譲りたいという希望があった。
しかし、現状、やや身体が弱いとはいえ皇太子もおり、理由もなく太子を交代させるのには、群臣の反発を招く。皇帝は折に触れて愛児に意のあることを知らしめ、恭親王の成長を待った。もうすぐ十七歳とはいえ、まだ十七歳である。四十を越した皇太子の安定感には、ほど遠い。
そこで、皇后位に就けるほどの血筋の正室を娶せ、いずれ皇太子にとの意を明らかにする。
そのための、十二貴嬪家筆頭のマナシル家のユリアとの婚姻であった。
皇后家と言われるのはマナシル家とブライエ家の二家あるが、皇帝の母親もブライエ家の出であり、恭親王の母皇后もブライエ家の出身である。さらにここでブライエ家の娘を恭親王が娶ると、いくら何でも血が濃すぎる。そもそも皇帝が最初にマナシル家の故皇后――皇太子ロウリンの母である――を冊立したのは、ブライエ家の皇后独占への反発を恐れてのことだ。
実は、ユリアとの婚約は彼らが生まれたころからほぼ決まっていた。ほぼ、というのは、ユリアとその妹たちのどれにするかが不確定であったに過ぎない。結局、結婚を急がせる皇帝の意向に沿い、長女のユリアに決定されただけである。それらのことを、恭親王だけが知らされていなかった。
帝位に対して一かけらの野心もない恭親王としては、父皇帝の画策は迷惑でしかない。この結婚に対する皇帝の意図に気づいた皇太子側も、必死の妨害工作を行う。期せずして、実は恭親王と皇太子の利害は完全に一致していて、恭親王の女遊びの噂が尋常ならざる勢いで広まったのには、皇太子の工作が一役買っていたからでもある。しかし、皇太子と恭親王の懸命な工作も虚しく、恭親王とユリアの婚約は公にされた。婚姻は翌年の春と決まり、恭親王の新邸の敷地も設定され、急ピッチで建設が進む。皇子は正室との婚姻を機に後宮の母の宮を出て、帝都に邸第を構えて独立するのだ。この結婚にメリットがあるとすれば、口やかましい母親の元から離れられることだけだと、恭親王は考えていた。
相変わらず憂さ晴らしにもならぬ夜遊びを繰り返すうちに年が明け、恭親王は十七歳になった。彼の憂鬱をよそに、春に予定される婚礼の準備は着々と進んでいく。
「もういっそ、出家したいくらい、嫌です」
皇宮の鴛鴦宮の自室で、訪問してきた兄の賢親王を睨みつけるようにして、恭親王は言った。実際、太陽神殿に駆け込もうとしてメイローズに止められたことも一度や二度ではなかった。信仰への傾倒と自棄っぱちのような女遊びという、ちぐはぐで相反する行動に、側仕えも賢親王も頭を悩ませる。
「ユエリン、我儘を申すな。正妻が気に入らなければ、好きな女を何人でも側室に迎えればよい。お前の精に耐えうるならば、身分も問わぬ」
賢親王は薦められた椅子に腰かけ、メイローズが淹れたお茶を優雅な手つきで飲みながら、頑固なところのある異母弟を窘める。
槐花改めレイナに恭親王の側夫人の称号を賜うことは、賢親王のとりなしでようやく認められ、この二月に叶うことになっている。それでも、マナシル家やとくにユリア自身がそれに難色を示したことに、恭親王はひどく気分を害していた。皇子は結婚と同時に母の宮を出るにあたり、宮の秀女は全て儲秀宮に返さねばならない決まりであった。槐花を側室に上げるならば、婚姻前でなければ無理なのである。要するにマナシル家とユリアは、理由をつけて側夫人号の賜与を引き延ばし、時間切れを狙っていたのである。この姑息なやり方は恭親王の最も嫌うところである。
「あんな性格の女が、複数の側室たちを許容すると思いますか?レイナ一人であれだけ文句をつけてきたのに。気にいらないならいつでも結婚自体をやめると私は何度も言っているのに!」
恭親王は長椅子に腰かけて長い脚を優雅に組んでいるが、表情は引き攣っていた。彼の苛立ちを代弁するかのように、その肩に止まる愛鷹が、バサバサと落ち着かない様子で羽を動かしている。
「全く。不愉快極まりないが、同居しなくてもいいというなら、不本意ながら結婚してもいいです」
恭親王府となる予定の邸は、すでに内装の段階に入っていた。四つの棟が中庭を挟んで向き合う四合院を複数繋げた壮麗な屋敷で、門を入って南側に大きな池と四阿、奇岩を配した庭園も設えられる。その新邸に関して、マナシル家側からあれこれと口を出されるのが不愉快でたまらない。いや、百歩譲って正妻が住まう予定の棟についてだけならばまだ我慢もできるのだが、来客用の応接室とか、使用人棟に関してまでも何かと言ってくるのだ。
――早くも正妻面して、鬱陶しい女だ。いっそ居室に鉄格子でも入れて、出られなくしてやろうか――。
プライドの高いユリアは親王の正室として妙に張り切ってしまい始末に負えない。万事に贅沢を嫌う恭親王が屋敷に無駄な装飾を施したくないというのを、それでは親王の格式に見合わない、と実家を通じて内装に文句をつけてくる。簡素で装飾の少ない内装を好む恭親王と、豪華で手の込んだ装飾の入った家具を好むユリアとで、全く話がかみ合っていないのである。
「ユリア嬢はゴテゴテとした家具や内装を好むようで、私はそんな部屋では寛げないし、いっそ一緒に暮らすのをやめようと提案したのですがね」
涼しい顔で告げられた賢親王は呆れて深い溜息をついた。
「そんな理屈が通るわけがなかろう。側室を別宅に囲うならともかく、正室を追い出すなど、外聞が悪いにも程がある」
「やはり結婚自体をやめましょう」
「ユエリン!」
結婚だけは何があろうと覆せないから悪あがきはやめろ、と賢親王は繰り返し釘をさして帰っていったが、恭親王の眉間の皺は深くなるばかりだ。
年の離れた異母兄が帰ると、恭親王はエールライヒを肩に止まらせたまま、棚に置いてある餌箱のところまで歩いていき、中から肉を取り出して、エールライヒに食べさせてやる。エールライヒが満腹するのを見て、さて、と一つ息をついた。
今夜は夜遊びの予定を入れていなかった。女遊びにはとっくの昔に飽きているのだが、半ば意地になって続けていて、さすがにウンザリしていた。廉郡王も父親の皇太子からあれこれ言われてしまい、今日は小休止といったところである。一人でゆっくりと本でも読むつもりだったが、このところ夜遊び続きでレイナを放ったらかしにしていることに気づき、小宦官をレイナの元に呼びに遣らせた。
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