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番外編
贈り物*
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十二日間続く降誕節が終わって、明日は公現節という日の夜。
実は降誕節の間、生真面目な二人は禁欲を守っていた。一つの寝台の上で眠るから、ラファエルは時折辛そうな溜息をついては、「これは神が俺に与え給うた試練……」とか何とか、ブツブツ呟いて必死に堪えていた。不穏な気配を背後にビンビン感じるから、ジュスティーヌも落ち着かない気分で過ごすことになった。
だが、今宵はもう、禁欲しなくていい。ラファエルは当然、自分を求めてくるだろうと、ジュスティーヌも心なし念入りに身体を洗い、新年に相応しく新調したガウンに袖を通し、ラファエルの訪れを待った。
ラファエルもまた、ジュスティーヌが手ずから縫った新しいガウンを纏って、その手首には降誕節の贈り物を飾った、ジュスティーヌが刺繍した紫色のリボンが巻かれていた。
ジュスティーヌがリボンに目を止めて不思議そうに首を傾げるけれど、ラファエルは構わずに寝台に上がり、ジュスティーヌに言う。
「新年ですので、年頭の誓いをさせていただきたいと思います。――今年一年と言わず、未来永劫、姫を命をかけてお守りし、全身全霊で! 姫を愛することを誓います!」
その堅苦しい上に暑苦しい誓いにジュスティーヌが一瞬、怯むけれど、即座に切り替えて穏やかに微笑んだ。
「わたくしもあなたの妻として相応しくありたいと思います。お互い、節度ある態度を心掛けたいですわね」
「節度など! 夫婦の間で必要ありません! 姫はしたい放題、好き放題、してください! 姫のためなら、何でもしますから!」
「いえ、わたくしはあなたに、節度を心得て欲しくてよ」
禁欲に入る前の最後の夜、翌朝起き上がれなくなるほど、ラファエルに貪られたことを思い出して、ジュスティーヌは遠回しに釘を刺す。――ジュスティーヌはまだ、遠回しではラファエルには通じないことを、理解していなかった。
ラファエルがでは、とおもむろにジュスティーヌを抱き寄せ、その唇を奪う。ジュスティーヌも従順にそれを受け入れ、長い口づけが続く。いい加減、酸素が足りなくなって、ジュスティーヌがバシバシとラファエルの肩を叩いて、ようやく唇が解放される。必死に呼吸を整えているジュスティーヌの、ガウンの紐をラファエルはするりと解き、肩からガウンを滑り落として裸の肌を抱き寄せる。
ジュスティーヌはまだ、肌をさらすことに躊躇う風を見せるけれど、しかしラファエルはそれに構うことなく、ジュスティーヌを寝台に横たえ、双丘の谷間に顔を埋めて、唇で優しく柔肉を食む。蝋燭のほのかな光の下でもわかるほど、ジュスティーヌの胸から腹にかけては、点々と火傷の痕が広がっている。この傷がつけられた時のジュスティーヌの痛みを思えば、ラファエルは脳が沸騰しそうなほどの怒りに駆られるけれど、だが、ジュスティーヌはその痛みに耐え抜いたのだ。
「ジュスティーヌ……」
ふと、顔をあげて、ラファエルがジュスティーヌを見つめる。
「俺は、あなたが俺を受け入れてくれたことを、本当に感謝しているのです。俺に触れられる恐怖を克服してくれて、本当に……」
「ラファエル……」
ラファエルの唇がジュスティーヌの赤く色づいた頂点の蕾を咥え、軽く吸い上げる。
「はっ……ああっ……」
ジュスティーヌの声がつい、甘くなり、枕の上で頭を捩って悶える。ラファエルの唇は腹を通り過ぎて臍をベロリと舌で舐め、掌と唇、舌でくまなく愛撫を続けて、やがて太ももに唇を這わせる。左の内股には例の、ラファエルが噛みちぎってしまった焼き印があって、今は傷は塞がったけれど、紋章は噛み傷で歪んで、どこの家の紋章かは、ぱっと見ただけではわからなくなっていた。
ラファエルは焼き印を消す方法がないかと調べてはみたが、どんな方法であれ、医者か誰かにジュスティーヌの肌をさらさなければならない。それはジュスティーヌも、またラファエルにとっても耐えがたいことであった。
ラファエルは、自らがつけたその傷に口づける。
「……ん、ラファエル?……もう、噛まないでよ?」
ジュスティーヌが言うと、ラファエルがふっと笑う。
「そうだ、思いついたことがあったのです」
ラファエルが身を起こし、手首に巻いていた紫色のリボンを外して、それを傷口の周囲に巻き付ける。
「何をするのです?」
驚いたジュスティーヌが半ば身を起こして尋ねると、ラファエルが言った。
「残念ですが、この傷を完全に消すことは不可能のようです。隠すだけなら、上から別の何かを刺青するとか、そういう方法もあるらしいですが、結局あなたの肌を傷つけることに変わりはない。――それで、このリボンを見た時に、思ったのですよ。俺にとって、あなた本人に勝る贈りものはないって」
ジュスティーヌが目を見開く。
――愛するラファエルへ、あなたの妻、ジュスティーヌより――
ジュスティーヌの太ももに結ばれて、揺れる紫色のリボンを見下ろして、ラファエルが満足気に微笑む。
「ほら、こうすると、俺への贈りもの、って感じでしょう?――今夜は、いえ、これから先ずっと、俺は神様からの贈りものである姫の、すべてを食べつくすんです」
「ラファエル、それは――」
ラファエルの顔には妖艶な、そして情欲にギラついた微笑みが浮かんでいて、それを見たジュスティーヌは息を飲む。
ラファエルはリボンを巻いた太ももに口づけると、そのまま唇を這わせ、時折強く吸い上げて痕をつけながら、ジュスティーヌの秘所に至る。
「ラファエル! それは……」
ジュスティーヌがはっとしてラファエルの銀色の髪を掴み、制止しようとするが、少しだけ身体を起こし、ラファエルが笑う。
「性急に過ぎましたか? でも、もう、我慢できません……」
そう言って、長い指で秘裂を割って中をゆっくり穿ちながら、ラファエルは立ち上がりつつある陰核を唇で含み、優しく舌で転がす。ジュスティーヌの腰が自然に動いて、小さな悲鳴が上がった。包皮を剥くようにして、舌先で陰芽を愛撫すれば、ジュスティーヌの蜜口からはしとどに蜜が溢れ、悩まし気な声が絶え間なく零れ出る。二本に増やした指で内部の一点をひっかくように責めながら、ラファエルが赤く膨れて立ち上がった陰核に軽く歯を立てる。ジュスティーヌの腰がびくりと震え、甲高い悲鳴をあげて、ジュスティーヌが達したのがわかった。
ラファエルは身体を起こし、すでに昂った肉楔に手を添えて、絶え間なく蜜を零す蜜口に宛がう。
「ジュスティーヌ、挿れます……」
「ああ……」
ゆっくりとラファエルの凶悪な楔を飲み込みながら、ジュスティーヌが甘い溜息を漏らす。絡みつく内壁の感触を味わうようにゆっくりと腰を進めて、ラファエルも快楽に端麗な眉をぎゅっと寄せる。すべてを中に収め切って、ラファエルは喉ぼとけをさらして寝台の天蓋を仰いで、はあ、と溜息をついた。ジュスティーヌの熱い内部がラファエルの雄に絡みついて、すべてを搾り取られてしまいそうだ。
「くっ……久しぶりだから、保たないかもしれません……」
奥歯を噛みしめて、高まる射精感をやり過ごしながら、ラファエルがつぶやく。ジュスティーヌの両膝の裏を掴んで、胸に届くほど折り曲げ、ゆっくりと抽挿を開始する。淫靡な水音と肌のぶつかる音が響き、さらにラファエルの視界の中で、ジュスティーヌの太ももに結ばれた、紫色のリボンがひらひらと揺れる。
一針一針、ジュスティーヌ自身によって運ばれ、綴られた文字を、ラファエルが反芻する。
――愛するラファエルへ、あなたの妻、ジュスティーヌより――
「ああ、ジュスティーヌ、あなたは、俺の、俺のものです――。……はあっ……ああっ」
「んっ……ああっ……あっ……ああっ……」
久しぶりの交接にジュスティーヌが首を振って、快楽に耐えようと、枕の端を両手で懸命に握りしめる。
真上から貫くように幾度も最奥を突かれて、ジュスティーヌは内部からせり上がる快感に、だんだんと何も考えられなくなっていく。見上げれば、銀色の髪を振り乱し、ジュスティーヌを蹂躙するラファエルの姿。銀の髪から飛び散る汗が、蝋燭の光に煌く。その獣じみた荒い息遣いと、快楽に歪んだ美しい顔を見て、ジュスティーヌは思う。
ラファエルも感じている――わたくしを……。
こうして一つになって、お互いを貪りあっている。愛されて求められている。すべてを――。
最奥をぐりっと抉られて、さらなる快楽にジュスティーヌの脳裏にはチカチカとした光が走り、絶頂に頭の中が真っ白に焼き切れる。
「あああっ……ああっ……」
白い身体を反らして、ジュスティーヌの全身が硬直し、ラファエルの楔を締め付ける。
「ああっ、ジュスティーヌ……俺も、もう……」
内部の蠕動に耐えられなくなったラファエルの欲望も弾け、最奥にたたきつけられた熱い滾りの刺激で、ジュスティーヌは、さらに深い快楽に引きずり込まれる。
脳裏に過るのは、白い白い、月の光――。
水面に映る月影よりも、さらに輝く銀色の夢に囚われて、ジュスティーヌは意識を手放す。
愛しい人の腕に抱かれて、その温もりを感じながら――。
夜半から降り積もった雪が、ボーモン城を白く染めていく。
ジュスティーヌがこの夜に神から授かった贈りものに気づくのは、二か月ほど先のこと。
その年秋の満月の夜、二代目ボーモン伯の誕生に、ラファエルは歓喜の雄たけびを上げた。
実は降誕節の間、生真面目な二人は禁欲を守っていた。一つの寝台の上で眠るから、ラファエルは時折辛そうな溜息をついては、「これは神が俺に与え給うた試練……」とか何とか、ブツブツ呟いて必死に堪えていた。不穏な気配を背後にビンビン感じるから、ジュスティーヌも落ち着かない気分で過ごすことになった。
だが、今宵はもう、禁欲しなくていい。ラファエルは当然、自分を求めてくるだろうと、ジュスティーヌも心なし念入りに身体を洗い、新年に相応しく新調したガウンに袖を通し、ラファエルの訪れを待った。
ラファエルもまた、ジュスティーヌが手ずから縫った新しいガウンを纏って、その手首には降誕節の贈り物を飾った、ジュスティーヌが刺繍した紫色のリボンが巻かれていた。
ジュスティーヌがリボンに目を止めて不思議そうに首を傾げるけれど、ラファエルは構わずに寝台に上がり、ジュスティーヌに言う。
「新年ですので、年頭の誓いをさせていただきたいと思います。――今年一年と言わず、未来永劫、姫を命をかけてお守りし、全身全霊で! 姫を愛することを誓います!」
その堅苦しい上に暑苦しい誓いにジュスティーヌが一瞬、怯むけれど、即座に切り替えて穏やかに微笑んだ。
「わたくしもあなたの妻として相応しくありたいと思います。お互い、節度ある態度を心掛けたいですわね」
「節度など! 夫婦の間で必要ありません! 姫はしたい放題、好き放題、してください! 姫のためなら、何でもしますから!」
「いえ、わたくしはあなたに、節度を心得て欲しくてよ」
禁欲に入る前の最後の夜、翌朝起き上がれなくなるほど、ラファエルに貪られたことを思い出して、ジュスティーヌは遠回しに釘を刺す。――ジュスティーヌはまだ、遠回しではラファエルには通じないことを、理解していなかった。
ラファエルがでは、とおもむろにジュスティーヌを抱き寄せ、その唇を奪う。ジュスティーヌも従順にそれを受け入れ、長い口づけが続く。いい加減、酸素が足りなくなって、ジュスティーヌがバシバシとラファエルの肩を叩いて、ようやく唇が解放される。必死に呼吸を整えているジュスティーヌの、ガウンの紐をラファエルはするりと解き、肩からガウンを滑り落として裸の肌を抱き寄せる。
ジュスティーヌはまだ、肌をさらすことに躊躇う風を見せるけれど、しかしラファエルはそれに構うことなく、ジュスティーヌを寝台に横たえ、双丘の谷間に顔を埋めて、唇で優しく柔肉を食む。蝋燭のほのかな光の下でもわかるほど、ジュスティーヌの胸から腹にかけては、点々と火傷の痕が広がっている。この傷がつけられた時のジュスティーヌの痛みを思えば、ラファエルは脳が沸騰しそうなほどの怒りに駆られるけれど、だが、ジュスティーヌはその痛みに耐え抜いたのだ。
「ジュスティーヌ……」
ふと、顔をあげて、ラファエルがジュスティーヌを見つめる。
「俺は、あなたが俺を受け入れてくれたことを、本当に感謝しているのです。俺に触れられる恐怖を克服してくれて、本当に……」
「ラファエル……」
ラファエルの唇がジュスティーヌの赤く色づいた頂点の蕾を咥え、軽く吸い上げる。
「はっ……ああっ……」
ジュスティーヌの声がつい、甘くなり、枕の上で頭を捩って悶える。ラファエルの唇は腹を通り過ぎて臍をベロリと舌で舐め、掌と唇、舌でくまなく愛撫を続けて、やがて太ももに唇を這わせる。左の内股には例の、ラファエルが噛みちぎってしまった焼き印があって、今は傷は塞がったけれど、紋章は噛み傷で歪んで、どこの家の紋章かは、ぱっと見ただけではわからなくなっていた。
ラファエルは焼き印を消す方法がないかと調べてはみたが、どんな方法であれ、医者か誰かにジュスティーヌの肌をさらさなければならない。それはジュスティーヌも、またラファエルにとっても耐えがたいことであった。
ラファエルは、自らがつけたその傷に口づける。
「……ん、ラファエル?……もう、噛まないでよ?」
ジュスティーヌが言うと、ラファエルがふっと笑う。
「そうだ、思いついたことがあったのです」
ラファエルが身を起こし、手首に巻いていた紫色のリボンを外して、それを傷口の周囲に巻き付ける。
「何をするのです?」
驚いたジュスティーヌが半ば身を起こして尋ねると、ラファエルが言った。
「残念ですが、この傷を完全に消すことは不可能のようです。隠すだけなら、上から別の何かを刺青するとか、そういう方法もあるらしいですが、結局あなたの肌を傷つけることに変わりはない。――それで、このリボンを見た時に、思ったのですよ。俺にとって、あなた本人に勝る贈りものはないって」
ジュスティーヌが目を見開く。
――愛するラファエルへ、あなたの妻、ジュスティーヌより――
ジュスティーヌの太ももに結ばれて、揺れる紫色のリボンを見下ろして、ラファエルが満足気に微笑む。
「ほら、こうすると、俺への贈りもの、って感じでしょう?――今夜は、いえ、これから先ずっと、俺は神様からの贈りものである姫の、すべてを食べつくすんです」
「ラファエル、それは――」
ラファエルの顔には妖艶な、そして情欲にギラついた微笑みが浮かんでいて、それを見たジュスティーヌは息を飲む。
ラファエルはリボンを巻いた太ももに口づけると、そのまま唇を這わせ、時折強く吸い上げて痕をつけながら、ジュスティーヌの秘所に至る。
「ラファエル! それは……」
ジュスティーヌがはっとしてラファエルの銀色の髪を掴み、制止しようとするが、少しだけ身体を起こし、ラファエルが笑う。
「性急に過ぎましたか? でも、もう、我慢できません……」
そう言って、長い指で秘裂を割って中をゆっくり穿ちながら、ラファエルは立ち上がりつつある陰核を唇で含み、優しく舌で転がす。ジュスティーヌの腰が自然に動いて、小さな悲鳴が上がった。包皮を剥くようにして、舌先で陰芽を愛撫すれば、ジュスティーヌの蜜口からはしとどに蜜が溢れ、悩まし気な声が絶え間なく零れ出る。二本に増やした指で内部の一点をひっかくように責めながら、ラファエルが赤く膨れて立ち上がった陰核に軽く歯を立てる。ジュスティーヌの腰がびくりと震え、甲高い悲鳴をあげて、ジュスティーヌが達したのがわかった。
ラファエルは身体を起こし、すでに昂った肉楔に手を添えて、絶え間なく蜜を零す蜜口に宛がう。
「ジュスティーヌ、挿れます……」
「ああ……」
ゆっくりとラファエルの凶悪な楔を飲み込みながら、ジュスティーヌが甘い溜息を漏らす。絡みつく内壁の感触を味わうようにゆっくりと腰を進めて、ラファエルも快楽に端麗な眉をぎゅっと寄せる。すべてを中に収め切って、ラファエルは喉ぼとけをさらして寝台の天蓋を仰いで、はあ、と溜息をついた。ジュスティーヌの熱い内部がラファエルの雄に絡みついて、すべてを搾り取られてしまいそうだ。
「くっ……久しぶりだから、保たないかもしれません……」
奥歯を噛みしめて、高まる射精感をやり過ごしながら、ラファエルがつぶやく。ジュスティーヌの両膝の裏を掴んで、胸に届くほど折り曲げ、ゆっくりと抽挿を開始する。淫靡な水音と肌のぶつかる音が響き、さらにラファエルの視界の中で、ジュスティーヌの太ももに結ばれた、紫色のリボンがひらひらと揺れる。
一針一針、ジュスティーヌ自身によって運ばれ、綴られた文字を、ラファエルが反芻する。
――愛するラファエルへ、あなたの妻、ジュスティーヌより――
「ああ、ジュスティーヌ、あなたは、俺の、俺のものです――。……はあっ……ああっ」
「んっ……ああっ……あっ……ああっ……」
久しぶりの交接にジュスティーヌが首を振って、快楽に耐えようと、枕の端を両手で懸命に握りしめる。
真上から貫くように幾度も最奥を突かれて、ジュスティーヌは内部からせり上がる快感に、だんだんと何も考えられなくなっていく。見上げれば、銀色の髪を振り乱し、ジュスティーヌを蹂躙するラファエルの姿。銀の髪から飛び散る汗が、蝋燭の光に煌く。その獣じみた荒い息遣いと、快楽に歪んだ美しい顔を見て、ジュスティーヌは思う。
ラファエルも感じている――わたくしを……。
こうして一つになって、お互いを貪りあっている。愛されて求められている。すべてを――。
最奥をぐりっと抉られて、さらなる快楽にジュスティーヌの脳裏にはチカチカとした光が走り、絶頂に頭の中が真っ白に焼き切れる。
「あああっ……ああっ……」
白い身体を反らして、ジュスティーヌの全身が硬直し、ラファエルの楔を締め付ける。
「ああっ、ジュスティーヌ……俺も、もう……」
内部の蠕動に耐えられなくなったラファエルの欲望も弾け、最奥にたたきつけられた熱い滾りの刺激で、ジュスティーヌは、さらに深い快楽に引きずり込まれる。
脳裏に過るのは、白い白い、月の光――。
水面に映る月影よりも、さらに輝く銀色の夢に囚われて、ジュスティーヌは意識を手放す。
愛しい人の腕に抱かれて、その温もりを感じながら――。
夜半から降り積もった雪が、ボーモン城を白く染めていく。
ジュスティーヌがこの夜に神から授かった贈りものに気づくのは、二か月ほど先のこと。
その年秋の満月の夜、二代目ボーモン伯の誕生に、ラファエルは歓喜の雄たけびを上げた。
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感想ありがとうございます!
途中でめっちゃギャグになってなんでwww
ってなってしまいました😂
だいぶ前に書いたのですが、イメージぴったりの表紙をつけていただいて感激でした。
こちらでも、感想書かせていただきます!
やー無憂さまの作品はどストライクですわ
ヒーローがクズ味あっても魅力的です❤️ちゃんとヒロインは幸せになるところ…好きです…
ラファエル様は単純に野暮天だったのかもですが、好きです…
ありがとうございます!
古いのも読んでいただけて嬉しいです!
感想ありがとうございます!
前に書いた作品ですが、改めて表紙をご依頼して、こうして読んでいただけて幸いです!