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番外編
アドベント
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待降節の時期に入るころ、ボーモン領に初雪が降った。やがて降誕節に向け、城の周辺は真っ白な雪で覆われ始める。
庭園の噴水も凍り、木々の梢も雪化粧したある夜、ジュスティーヌはラファエルに夜の散歩を強請(ねだ)る。
「寒いですし、風邪を引かれるのでは……」
ためらうラファエルに、ジュスティーヌは少し唇を尖らせる。
「わたくしが月を見たいと言った夜は、いつでも護衛すると誓ったくせに」
ラファエルが慌てて言う。
「別に、俺は寒さは気にしませんが、姫がお辛いのではと思ったのです。雪も積もっていますから、足元も暖かくしてください。姫に風邪を引かせては、俺がお乳母殿に叱られます」
侍女に指図して毛皮の裏打ちをしたマントと、やはり毛皮でできたマフを準備し、毛皮を内張した革のブーツを履く。ラファエルも分厚いマントを着て、念のために腰には愛用の剣を佩いて、ラファエルはジュスティーヌと二人、夜の庭園へと降りた。侍女は連れず、護衛の騎士二人には離れて着いてくるように命じる。
昼間降っていた雪は夕方に止んで、藍色の冬空に煌々と月が輝いていた。月を見上げ、ジュスティーヌが漏らす溜息も白く、吐くそばから凍りそうだ。ぎゅ、ぎゅ、と新雪を踏みしめて、樹氷の森を遠目に見ながら、噴水の池へと歩く。
「やっぱり寒い……」
はあと、白い息を手に吹きかけて、ジュスティーヌが呟けば、ラファエルが笑う。
「だから寒いと申し上げたでしょう」
「だって月が見たいのですもの」
ジュスティーヌがむくれたように言い、ラファエルはマフに両手を入れたジュスティーヌが転ばぬよう、その肩を抱くようにして、ジュスティーヌにマントのフードを被らせる。
噴水の池は凍って、その上に雪が降り積もっていた。
「……月が映らないわ」
「予想されていたことですが」
「凍った池に映る月がどんなのか、見たかったのに……」
しゅんと項垂れるジュスティーヌを、ラファエルが宥めるように言う。
「でも、冬の夜空の月はまた、格別ですね。せっかくですから、本物の月を見ましょう」
「それもそうですわね」
すぐに気を取り直したジュスティーヌが、ラファエルに微笑みかける。
「寒い中、着いてきてくれてありがとう」
「いいえ、俺は姫の騎士ですから。いつ、どこへでもお伴させていただきます」
ジュスティーヌがラファエルの大きな胸にもたれ、月を見上げる。それを後ろから抱き込むようにして、ラファエルがジュスティーヌの頭頂部に口づけた。
「俺にとって、あなたは水に映った月のように手に入らぬ人だと思い込んでいました。……でも、俺は本物の月を手に入れた。世界一の果報者です」
その言葉にジュスティーヌがラファエルを振り仰ぐ。
「月と言うなら――あなたの銀の髪の方が、月の精には相応しくてよ? ラファエル」
月の光を弾いたラファエルの銀の髪がジュスティーヌの顔に落ちかかり、そのまま唇を塞ぐ。月光の下で、二人は長いこと、抱き合っていた。
待ちに待った降誕節の日、ラファエルはジュスティーヌを日当たりのいいサロンに誘う。
ラファエルが準備していた降誕節の贈りものは、撥弦鍵盤楽器だった。
もともとはラファエルの母の嫁入り道具で、ラファエルの実家で埃をかぶっていたのを、ラファエルが兄からもらい受けて王都の職人に命じて修理させていたのだ。精巧な文様や絵画で装飾された豪華なそれは、冬の日差しを浴びて金彩がキラキラと輝いていた。
「まあ……!」
それを見て、ジュスティーヌは驚きで両手を口に当てる。
「どうして……! わたくし、ずっとこの楽器は弾いていませんでしたのに!」
隣国に嫁ぐ前は、ジュスティーヌはこの楽器を好んで、教師にもついて学んでいたのだが、嫁いでからはすっかり遠ざかっていた。ラファエルはその話を聞いて、だが王宮のものを譲り受けるのは気が引けていた時に、亡き母が昔弾いていたものが実家に眠っているのを思い出したのだった。
「もう、ずっと弾いていないので自信がないわ」
「また、学び直せばよいでしょう。王都から教師を呼んでもいい」
実際、年老いて宮廷を退いた老楽士を一人、ジュスティーヌの教師兼、ボーモン領の楽士として招聘する交渉を、すでに進めていた。
ジュスティーヌは嬉しそうに小走りに楽器に歩みより、人差し指でポロンと鍵盤を弾く。甲高い独特の音色が響いて、歓びに顔を紅潮させたジュスティーヌが、ラファエルを振り返る。
「ありがとう、ラファエル! でも、お母様のものを、わたくしが弾いてしまってもよろしいの?」
「俺も兄も無骨者で楽器はからっきしなんです。兄嫁も弾きませんし、あの家は乱暴者の甥っ子二人が走り回って、いつ壊してしまうかと、奥に片付けていたのですよ。ですから喜んで譲ってくれました。楽器だって、弾いてもらった方が、嬉しいに決まっています」
言うそばから簡単な曲を弾き始めて、だが思うように指が動かず、ジュスティーヌが笑う。
「すっかり指が言うことを聞かないわ」
「すぐには無理でも、ゆっくりと思い出せばいいのですよ」
微笑むラファエルに、ジュスティーヌが抱き着く。
「ありがとう、ラファエル。……わたくしからも、贈りものがあるの」
そう言うと、背後から乳母のアンナが紫色の天鵞絨のリボンをかけた、白い布包みを差し出す。
「姫様からでございます」
ラファエルは受け取って、蝶結びされたリボンを解こうとして、ふとそこに施された刺繍に目を止める。
――愛するラファエルへ、あなたの妻、ジュスティーヌより――
白い糸で刺繍された文字に、ラファエルが紫色の瞳を見開く。
「これは――このリボンは俺の瞳の色ですね」
「ええ……早く中身をご覧になって」
現れたのは茶色い乗馬用の革の手袋で、縁どりや甲の部分に、精巧な刺繍が施されていた。
「革に刺したのは初めてで、予想よりも時間がかかってしまって……マリーやアンナに手伝ってもらったのです。だから、彼女たちにもお礼を言ってくださいね」
少し、照れくさそうに微笑むジュスティーヌに、ラファエルが感激したように礼を言う。
「ありがとうございます。手袋も、リボンも、どちらもとても嬉しいです」
「リボン? リボンはおまけよ?」
「いえ、今、閃いたことがありまして……」
首を傾げるジュスティーヌに、ラファエルが意味ありげな微笑みを返した。
庭園の噴水も凍り、木々の梢も雪化粧したある夜、ジュスティーヌはラファエルに夜の散歩を強請(ねだ)る。
「寒いですし、風邪を引かれるのでは……」
ためらうラファエルに、ジュスティーヌは少し唇を尖らせる。
「わたくしが月を見たいと言った夜は、いつでも護衛すると誓ったくせに」
ラファエルが慌てて言う。
「別に、俺は寒さは気にしませんが、姫がお辛いのではと思ったのです。雪も積もっていますから、足元も暖かくしてください。姫に風邪を引かせては、俺がお乳母殿に叱られます」
侍女に指図して毛皮の裏打ちをしたマントと、やはり毛皮でできたマフを準備し、毛皮を内張した革のブーツを履く。ラファエルも分厚いマントを着て、念のために腰には愛用の剣を佩いて、ラファエルはジュスティーヌと二人、夜の庭園へと降りた。侍女は連れず、護衛の騎士二人には離れて着いてくるように命じる。
昼間降っていた雪は夕方に止んで、藍色の冬空に煌々と月が輝いていた。月を見上げ、ジュスティーヌが漏らす溜息も白く、吐くそばから凍りそうだ。ぎゅ、ぎゅ、と新雪を踏みしめて、樹氷の森を遠目に見ながら、噴水の池へと歩く。
「やっぱり寒い……」
はあと、白い息を手に吹きかけて、ジュスティーヌが呟けば、ラファエルが笑う。
「だから寒いと申し上げたでしょう」
「だって月が見たいのですもの」
ジュスティーヌがむくれたように言い、ラファエルはマフに両手を入れたジュスティーヌが転ばぬよう、その肩を抱くようにして、ジュスティーヌにマントのフードを被らせる。
噴水の池は凍って、その上に雪が降り積もっていた。
「……月が映らないわ」
「予想されていたことですが」
「凍った池に映る月がどんなのか、見たかったのに……」
しゅんと項垂れるジュスティーヌを、ラファエルが宥めるように言う。
「でも、冬の夜空の月はまた、格別ですね。せっかくですから、本物の月を見ましょう」
「それもそうですわね」
すぐに気を取り直したジュスティーヌが、ラファエルに微笑みかける。
「寒い中、着いてきてくれてありがとう」
「いいえ、俺は姫の騎士ですから。いつ、どこへでもお伴させていただきます」
ジュスティーヌがラファエルの大きな胸にもたれ、月を見上げる。それを後ろから抱き込むようにして、ラファエルがジュスティーヌの頭頂部に口づけた。
「俺にとって、あなたは水に映った月のように手に入らぬ人だと思い込んでいました。……でも、俺は本物の月を手に入れた。世界一の果報者です」
その言葉にジュスティーヌがラファエルを振り仰ぐ。
「月と言うなら――あなたの銀の髪の方が、月の精には相応しくてよ? ラファエル」
月の光を弾いたラファエルの銀の髪がジュスティーヌの顔に落ちかかり、そのまま唇を塞ぐ。月光の下で、二人は長いこと、抱き合っていた。
待ちに待った降誕節の日、ラファエルはジュスティーヌを日当たりのいいサロンに誘う。
ラファエルが準備していた降誕節の贈りものは、撥弦鍵盤楽器だった。
もともとはラファエルの母の嫁入り道具で、ラファエルの実家で埃をかぶっていたのを、ラファエルが兄からもらい受けて王都の職人に命じて修理させていたのだ。精巧な文様や絵画で装飾された豪華なそれは、冬の日差しを浴びて金彩がキラキラと輝いていた。
「まあ……!」
それを見て、ジュスティーヌは驚きで両手を口に当てる。
「どうして……! わたくし、ずっとこの楽器は弾いていませんでしたのに!」
隣国に嫁ぐ前は、ジュスティーヌはこの楽器を好んで、教師にもついて学んでいたのだが、嫁いでからはすっかり遠ざかっていた。ラファエルはその話を聞いて、だが王宮のものを譲り受けるのは気が引けていた時に、亡き母が昔弾いていたものが実家に眠っているのを思い出したのだった。
「もう、ずっと弾いていないので自信がないわ」
「また、学び直せばよいでしょう。王都から教師を呼んでもいい」
実際、年老いて宮廷を退いた老楽士を一人、ジュスティーヌの教師兼、ボーモン領の楽士として招聘する交渉を、すでに進めていた。
ジュスティーヌは嬉しそうに小走りに楽器に歩みより、人差し指でポロンと鍵盤を弾く。甲高い独特の音色が響いて、歓びに顔を紅潮させたジュスティーヌが、ラファエルを振り返る。
「ありがとう、ラファエル! でも、お母様のものを、わたくしが弾いてしまってもよろしいの?」
「俺も兄も無骨者で楽器はからっきしなんです。兄嫁も弾きませんし、あの家は乱暴者の甥っ子二人が走り回って、いつ壊してしまうかと、奥に片付けていたのですよ。ですから喜んで譲ってくれました。楽器だって、弾いてもらった方が、嬉しいに決まっています」
言うそばから簡単な曲を弾き始めて、だが思うように指が動かず、ジュスティーヌが笑う。
「すっかり指が言うことを聞かないわ」
「すぐには無理でも、ゆっくりと思い出せばいいのですよ」
微笑むラファエルに、ジュスティーヌが抱き着く。
「ありがとう、ラファエル。……わたくしからも、贈りものがあるの」
そう言うと、背後から乳母のアンナが紫色の天鵞絨のリボンをかけた、白い布包みを差し出す。
「姫様からでございます」
ラファエルは受け取って、蝶結びされたリボンを解こうとして、ふとそこに施された刺繍に目を止める。
――愛するラファエルへ、あなたの妻、ジュスティーヌより――
白い糸で刺繍された文字に、ラファエルが紫色の瞳を見開く。
「これは――このリボンは俺の瞳の色ですね」
「ええ……早く中身をご覧になって」
現れたのは茶色い乗馬用の革の手袋で、縁どりや甲の部分に、精巧な刺繍が施されていた。
「革に刺したのは初めてで、予想よりも時間がかかってしまって……マリーやアンナに手伝ってもらったのです。だから、彼女たちにもお礼を言ってくださいね」
少し、照れくさそうに微笑むジュスティーヌに、ラファエルが感激したように礼を言う。
「ありがとうございます。手袋も、リボンも、どちらもとても嬉しいです」
「リボン? リボンはおまけよ?」
「いえ、今、閃いたことがありまして……」
首を傾げるジュスティーヌに、ラファエルが意味ありげな微笑みを返した。
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