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66、〈妻のつとめ〉*
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夜、寝台に現れたラファエルを、ジュスティーヌは緊張に身を固くして迎えた。ラファエルはジュスティーヌに微笑みかけると、当然のように羽織っていたガウンを脱ぎ捨てる。現れたのは昨夜と同じ、鍛えられた美しい肉体と、しかしすでに彼の中心にそそり立つ例の、赤黒い雄茎――。
思わず赤くなって目を逸らすジュスティーヌに、ラファエルが照れ笑いを零す。
「あなたの部屋に来ただけで、もう、こんなになってしまいました。昨夜のことを思い出して……」
「その……いきなり、そんな風にされると……その、困ります」
「眠る時、皆、一糸まとわないでしょう?」
「それは――でも、今までは着ておられたのに」
「それは姫に気を遣ったからですよ?」
ラファエルは寝台の上で胡坐をかいて座ると、顔を背けているジュスティーヌに手を伸ばし、その手首を優しく掴んだ。
「もう少し、こちらに来ていただけませんか? それでは口づけもできません」
少しためらう風はあったものの、ジュスティーヌは素直に、彼の方ににじり寄る。
「俺の、膝の上に乗ってください。その方が近づける」
言うが早いか、ラファエルの両手がジュスティーヌの脇の下に差し込まれ、やすやすと持ち上げられて、向かい合いに膝の上に跨るように座らせられる。いつものように、ジュスティーヌは下着(シュミーズ)の上に毛織のガウンを羽織って、足を開いて座ったために膝から下が露わになっていた。それを気にする様子に気づいたラファエルは、羽毛の上掛けをジュスティーヌの膝にかけて、脚を覆った。
「これなら、あなたの脚は見えません」
紫色の瞳に至近距離で見つめられて、ジュスティーヌは真っ赤になって頷く。ラファエルの鍛えた胸板がすぐそばにあり、ジュスティーヌは両手を彼の肩において、その硬さにも驚く。――そう言えば、前の夫には自分から触れたことなどなかったなと、思い出しながら。
ラファエルが片手でジュスティーヌの背中を支え、もう片方の手を彼女の顎に添えた。
「口づけしても?」
ジュスティーヌがこくんと頷くと、ラファエルの端麗な顔が近づき、唇を唇で塞がれる。昼間の失敗から、ジュスティーヌはすぐに唇を開いて、彼の舌を受け入れた。ラファエルの大きな手が、ジュスティーヌのうなじをとらえ、口づけが噛みつくように深くなる。舌が咥内を蹂躙し、じゅるりと唾液を吸われ、ジュスティーヌは背骨からじわじわとせり上がる奇妙な疼きに、無意識に腰をくねらせる。口蓋の裏を舐めあげられて、びくんとして思わず、鼻から甘い息を漏らしてしまう。
「んっ……んふっ……」
さんざん、好きに蹂躙して、ラファエルがようやく、ジュスティーヌの唇を解放する。舌と舌の間を、唾液が糸を引いて橋をかけ、それが蝋燭の明かりに煌く。猛烈な羞恥が襲ってきて、ジュスティーヌはラファエルを突き飛ばして逃れようとしたが、ラファエルは素早くジュスティーヌの手首を捕え、それを許さなかった。
「なぜ、逃げるのです?」
「それは……」
「俺が、怖いですか?」
じっと見つめてくる紫色の瞳に真摯に問いかけられ、ジュスティーヌは首を振る。
「怖い、わけでは……ただ、その……恥ずかしい……」
「怖くないなら、もう少しここにいてください。恥じらうあなたはとても美しいけれど、逃げられるのは辛いのです」
「その……昼間は口づけを、いろんな場所にすると……」
「いいのですか?……口づけたい場所が、たくさんある」
ジュスティーヌはその返答に一瞬、目を見開く。
「その……いったい、どこに?」
「あなたが許してくれる場所、すべてに」
ラファエルの長い指が、ジュスティーヌが必死に顔を逸らしている、白い首筋に触れる。その折れそうな首筋を辿り、浮き出た鎖骨に触れる。
「……ここに、しても?」
「そこまで、なら……」
「これ以上は駄目ですか?」
「これ以上は、見せられません……どうか……」
「服の上からなら?」
「それなら……」
極限まで逸らされて下を向いたジュスティーヌの、露わになった首筋にラファエルが顔を埋める。唇でわずかに吸い、舌を這わせれば、ジュスティーヌが与えられた刺激にびくんと震えた。
「怖くはないですか?」
「だい……じょうぶ……」
ゆっくりと唇を滑らせ、鎖骨のくぼみに舌を走らせ、そのまま膨らんだ白い胸の上辺に触れる。いったん唇を離して絹の部屋着の上から、柔らかな胸の谷間に顔を埋めた。
「ああ……幸せだ……こんな日が来るなんて、夢のようだ……」
ラファエルがぽつりと呟く。ジュスティーヌはただ、ラファエルの肩に縋りついている。しばらく飽きもせず、ラファエルは衣服の上からジュスティーヌの胸や腹に唇を這わせていたが、ついに我慢できなくなったのか、彼女の耳元に唇を寄せて、言った。
「我慢、できなくなりました。その……また昨夜のように……見ていただけますか?」
つまり、ラファエルは今夜も、ジュスティーヌの目の前で自慰するつもりらしい。
真っ赤になって頷くと、ラファエルはジュスティーヌと彼の下半身を覆っていた、上掛けを剥ぎ取る。天を突きあげるように完全に立ち上がった雄茎に、ジュスティーヌは思わず目をつぶった。
「目を閉じないで、見ていてください。俺が……イくのを……」
ラファエルの大きな手が、それを握って上下に動き始める。ラファエルの端麗な眉が歪み、息遣いが荒くなる。二つに割れた先端から、透明な汁が雫のように溢れ、零れる。それを塗り込めててらてら光る赤黒い肉竿は、しっかりと笠も張り、血管も浮いて今にも弾けそうだ。ジュスティーヌは身じろぎもせず、それをじっと見下ろしていて、その視線を感じて、ジュスティーヌの腰を抑えているラファエルの手に力が籠る。やや下に滑らせてジュスティーヌの小ぶりの尻の片側を包むようにし、ぎゅうっと力を込めて指を柔肉に喰い込ませた。
「ううっ……姫っ……ああっ……もうっ、い、いくっ……」
ラファエルの手の動きが早くなり、極限まで膨張したそれが弾ける。白い飛沫が飛び散り、ジュスティーヌの頬にまで飛んだ。
「はあっはあっ……ああっ……姫……うううっ」
ドロリとした白い液体を出しきり、ラファエルが大きく肩で息をする。寝台脇の小卓に置いておいた、白いリネンを手にとって、ラファエルが自身の精をふき取っている間も、ジュスティーヌはラファエルから目を離さなかった。
「お見苦しいところを……」
「いいえ……もともと、わたくしが無理を言ったのですから」
ジュスティーヌは事務的に答えながら、だが視線は萎えてしまったそれに釘づけだ。
「気になりますか?」
「ええ……その状態だと、あの人と同じですね。いつも大きいわけではないのですね。……その、触っても?」
「え?……でも今は出したばかりで……」
「その小さい時の感触を知りたいのです」
「それは……」
だがジュスティーヌはラファエルの返事も聞かずに白い手を伸ばし、くったりと萎えたそれに触れる。
「うん、一緒だわ。……これなら触ったこともあります」
それからふと、何かを思い出したようにジュスティーヌはラファエルの顔を見た。その顔が喜びに輝いている。
「わたくし、〈妻のつとめ〉ならできましてよ! 何度も命じられて……でも、その、下手くそだと、いつも叱られてばかりだったのですけど!」
「つ、妻のつとめ?」
思わず赤くなって目を逸らすジュスティーヌに、ラファエルが照れ笑いを零す。
「あなたの部屋に来ただけで、もう、こんなになってしまいました。昨夜のことを思い出して……」
「その……いきなり、そんな風にされると……その、困ります」
「眠る時、皆、一糸まとわないでしょう?」
「それは――でも、今までは着ておられたのに」
「それは姫に気を遣ったからですよ?」
ラファエルは寝台の上で胡坐をかいて座ると、顔を背けているジュスティーヌに手を伸ばし、その手首を優しく掴んだ。
「もう少し、こちらに来ていただけませんか? それでは口づけもできません」
少しためらう風はあったものの、ジュスティーヌは素直に、彼の方ににじり寄る。
「俺の、膝の上に乗ってください。その方が近づける」
言うが早いか、ラファエルの両手がジュスティーヌの脇の下に差し込まれ、やすやすと持ち上げられて、向かい合いに膝の上に跨るように座らせられる。いつものように、ジュスティーヌは下着(シュミーズ)の上に毛織のガウンを羽織って、足を開いて座ったために膝から下が露わになっていた。それを気にする様子に気づいたラファエルは、羽毛の上掛けをジュスティーヌの膝にかけて、脚を覆った。
「これなら、あなたの脚は見えません」
紫色の瞳に至近距離で見つめられて、ジュスティーヌは真っ赤になって頷く。ラファエルの鍛えた胸板がすぐそばにあり、ジュスティーヌは両手を彼の肩において、その硬さにも驚く。――そう言えば、前の夫には自分から触れたことなどなかったなと、思い出しながら。
ラファエルが片手でジュスティーヌの背中を支え、もう片方の手を彼女の顎に添えた。
「口づけしても?」
ジュスティーヌがこくんと頷くと、ラファエルの端麗な顔が近づき、唇を唇で塞がれる。昼間の失敗から、ジュスティーヌはすぐに唇を開いて、彼の舌を受け入れた。ラファエルの大きな手が、ジュスティーヌのうなじをとらえ、口づけが噛みつくように深くなる。舌が咥内を蹂躙し、じゅるりと唾液を吸われ、ジュスティーヌは背骨からじわじわとせり上がる奇妙な疼きに、無意識に腰をくねらせる。口蓋の裏を舐めあげられて、びくんとして思わず、鼻から甘い息を漏らしてしまう。
「んっ……んふっ……」
さんざん、好きに蹂躙して、ラファエルがようやく、ジュスティーヌの唇を解放する。舌と舌の間を、唾液が糸を引いて橋をかけ、それが蝋燭の明かりに煌く。猛烈な羞恥が襲ってきて、ジュスティーヌはラファエルを突き飛ばして逃れようとしたが、ラファエルは素早くジュスティーヌの手首を捕え、それを許さなかった。
「なぜ、逃げるのです?」
「それは……」
「俺が、怖いですか?」
じっと見つめてくる紫色の瞳に真摯に問いかけられ、ジュスティーヌは首を振る。
「怖い、わけでは……ただ、その……恥ずかしい……」
「怖くないなら、もう少しここにいてください。恥じらうあなたはとても美しいけれど、逃げられるのは辛いのです」
「その……昼間は口づけを、いろんな場所にすると……」
「いいのですか?……口づけたい場所が、たくさんある」
ジュスティーヌはその返答に一瞬、目を見開く。
「その……いったい、どこに?」
「あなたが許してくれる場所、すべてに」
ラファエルの長い指が、ジュスティーヌが必死に顔を逸らしている、白い首筋に触れる。その折れそうな首筋を辿り、浮き出た鎖骨に触れる。
「……ここに、しても?」
「そこまで、なら……」
「これ以上は駄目ですか?」
「これ以上は、見せられません……どうか……」
「服の上からなら?」
「それなら……」
極限まで逸らされて下を向いたジュスティーヌの、露わになった首筋にラファエルが顔を埋める。唇でわずかに吸い、舌を這わせれば、ジュスティーヌが与えられた刺激にびくんと震えた。
「怖くはないですか?」
「だい……じょうぶ……」
ゆっくりと唇を滑らせ、鎖骨のくぼみに舌を走らせ、そのまま膨らんだ白い胸の上辺に触れる。いったん唇を離して絹の部屋着の上から、柔らかな胸の谷間に顔を埋めた。
「ああ……幸せだ……こんな日が来るなんて、夢のようだ……」
ラファエルがぽつりと呟く。ジュスティーヌはただ、ラファエルの肩に縋りついている。しばらく飽きもせず、ラファエルは衣服の上からジュスティーヌの胸や腹に唇を這わせていたが、ついに我慢できなくなったのか、彼女の耳元に唇を寄せて、言った。
「我慢、できなくなりました。その……また昨夜のように……見ていただけますか?」
つまり、ラファエルは今夜も、ジュスティーヌの目の前で自慰するつもりらしい。
真っ赤になって頷くと、ラファエルはジュスティーヌと彼の下半身を覆っていた、上掛けを剥ぎ取る。天を突きあげるように完全に立ち上がった雄茎に、ジュスティーヌは思わず目をつぶった。
「目を閉じないで、見ていてください。俺が……イくのを……」
ラファエルの大きな手が、それを握って上下に動き始める。ラファエルの端麗な眉が歪み、息遣いが荒くなる。二つに割れた先端から、透明な汁が雫のように溢れ、零れる。それを塗り込めててらてら光る赤黒い肉竿は、しっかりと笠も張り、血管も浮いて今にも弾けそうだ。ジュスティーヌは身じろぎもせず、それをじっと見下ろしていて、その視線を感じて、ジュスティーヌの腰を抑えているラファエルの手に力が籠る。やや下に滑らせてジュスティーヌの小ぶりの尻の片側を包むようにし、ぎゅうっと力を込めて指を柔肉に喰い込ませた。
「ううっ……姫っ……ああっ……もうっ、い、いくっ……」
ラファエルの手の動きが早くなり、極限まで膨張したそれが弾ける。白い飛沫が飛び散り、ジュスティーヌの頬にまで飛んだ。
「はあっはあっ……ああっ……姫……うううっ」
ドロリとした白い液体を出しきり、ラファエルが大きく肩で息をする。寝台脇の小卓に置いておいた、白いリネンを手にとって、ラファエルが自身の精をふき取っている間も、ジュスティーヌはラファエルから目を離さなかった。
「お見苦しいところを……」
「いいえ……もともと、わたくしが無理を言ったのですから」
ジュスティーヌは事務的に答えながら、だが視線は萎えてしまったそれに釘づけだ。
「気になりますか?」
「ええ……その状態だと、あの人と同じですね。いつも大きいわけではないのですね。……その、触っても?」
「え?……でも今は出したばかりで……」
「その小さい時の感触を知りたいのです」
「それは……」
だがジュスティーヌはラファエルの返事も聞かずに白い手を伸ばし、くったりと萎えたそれに触れる。
「うん、一緒だわ。……これなら触ったこともあります」
それからふと、何かを思い出したようにジュスティーヌはラファエルの顔を見た。その顔が喜びに輝いている。
「わたくし、〈妻のつとめ〉ならできましてよ! 何度も命じられて……でも、その、下手くそだと、いつも叱られてばかりだったのですけど!」
「つ、妻のつとめ?」
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