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62、実演*
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「別に、たいしたことではありません。その……男の欲望は日々、新たに作られていて、あまりにため込むと体に悪いですから、時々発散してやるだけのことで……」
「発散……」
「その……こうして、自分の手で……」
じっと見られているのを意識しながら、ラファエルは大きな右手で自身を握り込むと、ゆるゆると上下に動かし始めた。ちらりと視線をジュスティーヌに向ければ、ジュスティーヌは瞬きもせず、一心不乱にラファエルの手のうちの肉茎を見つめている。
とたんに、身の内が焼けるような興奮がラファエルを襲う。普段、一人の寝台でするのとは、比較にならないほどの快感に、ラファエルは息を荒げる。見られている。恥ずかしい。なぜ、俺は姫の目の前でこんなことを――。だがあまりの気持ちよさに、手の動きを止めることはできない。
「ううっ……はっ……はあっ……」
ついに、肺腑の底から唸るような声が零れ出て、必死に奥歯を噛みしめ、眉を顰める。全身が燃えるように熱く、汗が噴き出す。先端の鈴口から先走りの滴が零れ落ち、ラファエルはそれを塗り込めるようにして、いっそうぐにぐにと自身を苛んでいく。
「はあっ……ううっ……」
「もしかして、苦しいのですか?」
ジュスティーヌに声をかけられ、ラファエルは思わず首を振る。
「違い、ます……あなたに、見られて興奮して……ああっ……こんな、見苦しい、さまを……」
「でも苦しそうです! 辛いなら、おやめになって! ごめんなさい、ひどいことを……」
いつの間にか側に寄ってきていたジュスティーヌが、至近距離でラファエルを見上げ、肉茎を扱いている右の手首に手を触れて、止めようとした。
「ちが……気持ち……よくて……」
ラファエルは思わず、左手でジュスティーヌの手を掴むとそれを自身の男根に導いて、それを握らせていた。
「!!」
「触って……触って、ください。あなたの……あなたの手で……」
「こんな……硬い……」
ジュスティーヌに無理矢理それを握らせ、上から大きな手で握り込むと、激しく上下に動かし始める。
「はっはあっ……ああっ……気持ちいい……あなたの手が……俺のを握って……くうっ……ああああっもう、我慢、できな……あああっ!」
とうとう、ラファエルは達して、喉ぼとけの浮いた喉をさらし、快感に全身を震わせる。先端から、勢いよく彼の精が迸り、飛び散る。むわっとする精の匂いと、ラファエルの荒い息遣い。その情景を、信じられないものを目にしたような表情で、ジュスティーヌが茫然と見ていた。
「ごめんなさい、……嫌なことをさせてしまいました。まさか、こんなことだと想像もしなくて……」
申し訳なさそうに目を伏せるジュスティーヌを見て、ラファエルは奇妙な気持ちになる。
「いえ、俺こそ、見てもらうだけでは我慢ができなくなって、あなたに無理に触れてもらったりして……嫌ではなかったですか?」
「わたくしは、大丈夫です。あなたの方こそ、辛くはなかったですか?」
「辛くはありません。恥ずかしかったですけど……でも、見られているだけで興奮して、すごく、気持ちよかった」
「気持ち……いい?」
ジュスティーヌが何とも複雑そうな表情で、ラファエルを見る。
「ええ、とても気持ちよかった。……もしよければ、またいつか、見てもらえますか?その時は、無理に握らせたりはしませんから」
ラファエルとしてはかなり勇気のいる頼み事だ。なんとも変態じみている。
「あんな風に、わたくしに触られて、あなたこそ嫌ではなくて?」
「なぜ? あなたが触れてくれるのに。――ああ、あなたは、俺には触れて欲しくないと言っていましたね。俺も、誰彼構わず触って欲しいわけじゃありませんよ。あなたは特別です。あなたには、触れて欲しい」
戸惑ったように視線を泳がせるジュスティーヌに、ラファエルが言う。
「手を――握っても?」
「ええ――」
ラファエルの大きな手が、ジュスティーヌの細い手を握り込む。
「この手がさっき、俺のに触れたのですね――感動だな。そんな日が来るとは思わなかった」
ラファエルがその指先に軽く口づけて言う。ジュスティーヌはその仕草と、ラファエルの整った顔をじっと見る。その視線に気づいたラファエルが、ジュスティーヌを熱を孕んだ目で見つめる。
「その――厚かましいお願いだとは重々承知しているのですが――」
「……わたくしのできることでしたら」
「もう、一度、してもらうことは――?」
ジュスティーヌの瞳が丸く見開かれる。
「その……きっと上手くできません」
「あなたが握ってくれるだけでいいのです。それだけで、俺にとっては天国のような快楽だ」
「本当に……?」
ジュスティーヌの手が恐る恐る、彼の肉茎に触れる。一度精を放ったそれは、萎えてぐにゃりと柔らかい。それに触れて、指を絡める。途端に腰に疼きが走り、興奮が彼に漲って肉茎はたちまち力を取り戻す。
「……!!もう、こんなに……!」
「恥ずかしいな、あなたに触れられただけで、こんなに――」
うっとりと言うラファエルの瞳が、欲情で煌いている。ジュスティーヌが硬く立ち上がったそれを握り、ゆるゆると動かす。繊細な指によってもたらされる快感に、ラファエルの唇から甘い吐息が漏れる。
ラファエルが両腕をジュスティーヌの背中に回し、腰を抱き込む。
「口づけを……しても……?……ジュス、ティーヌ……」
しっかりと抱え込まれたジュスティーヌは逃げることもできず、近づいてきたラファエルの唇を唇で受け止める。上下に手を動かし続けるジュスティーヌの、唇をラファエルの舌が割り入って、その口腔を犯す。舌を絡め取られ、唾液を吸われる。
「んっ……んふっ……んんん……」
角度を変えて長く長く続けられる口づけに、ジュスティーヌの脳が溶けていく。それでも、なぜだが手を動かすことはやめられなくて、ジュスティーヌは必死だった。
「ああ……ジュスティーヌ……愛している……ああっ……」
ついに、唇を離したラファエルが、荒い呼吸の合間に切なげに喘いで、全身を震わせる。熱い、飛沫がジュスティーヌの手を汚す。しばらく、快感に震えていたラファエルが、再びジュスティーヌの唇を奪う。
お互いにただ、身体を寄せあい、ずいぶんと長い間口づけを交わしていた。
「発散……」
「その……こうして、自分の手で……」
じっと見られているのを意識しながら、ラファエルは大きな右手で自身を握り込むと、ゆるゆると上下に動かし始めた。ちらりと視線をジュスティーヌに向ければ、ジュスティーヌは瞬きもせず、一心不乱にラファエルの手のうちの肉茎を見つめている。
とたんに、身の内が焼けるような興奮がラファエルを襲う。普段、一人の寝台でするのとは、比較にならないほどの快感に、ラファエルは息を荒げる。見られている。恥ずかしい。なぜ、俺は姫の目の前でこんなことを――。だがあまりの気持ちよさに、手の動きを止めることはできない。
「ううっ……はっ……はあっ……」
ついに、肺腑の底から唸るような声が零れ出て、必死に奥歯を噛みしめ、眉を顰める。全身が燃えるように熱く、汗が噴き出す。先端の鈴口から先走りの滴が零れ落ち、ラファエルはそれを塗り込めるようにして、いっそうぐにぐにと自身を苛んでいく。
「はあっ……ううっ……」
「もしかして、苦しいのですか?」
ジュスティーヌに声をかけられ、ラファエルは思わず首を振る。
「違い、ます……あなたに、見られて興奮して……ああっ……こんな、見苦しい、さまを……」
「でも苦しそうです! 辛いなら、おやめになって! ごめんなさい、ひどいことを……」
いつの間にか側に寄ってきていたジュスティーヌが、至近距離でラファエルを見上げ、肉茎を扱いている右の手首に手を触れて、止めようとした。
「ちが……気持ち……よくて……」
ラファエルは思わず、左手でジュスティーヌの手を掴むとそれを自身の男根に導いて、それを握らせていた。
「!!」
「触って……触って、ください。あなたの……あなたの手で……」
「こんな……硬い……」
ジュスティーヌに無理矢理それを握らせ、上から大きな手で握り込むと、激しく上下に動かし始める。
「はっはあっ……ああっ……気持ちいい……あなたの手が……俺のを握って……くうっ……ああああっもう、我慢、できな……あああっ!」
とうとう、ラファエルは達して、喉ぼとけの浮いた喉をさらし、快感に全身を震わせる。先端から、勢いよく彼の精が迸り、飛び散る。むわっとする精の匂いと、ラファエルの荒い息遣い。その情景を、信じられないものを目にしたような表情で、ジュスティーヌが茫然と見ていた。
「ごめんなさい、……嫌なことをさせてしまいました。まさか、こんなことだと想像もしなくて……」
申し訳なさそうに目を伏せるジュスティーヌを見て、ラファエルは奇妙な気持ちになる。
「いえ、俺こそ、見てもらうだけでは我慢ができなくなって、あなたに無理に触れてもらったりして……嫌ではなかったですか?」
「わたくしは、大丈夫です。あなたの方こそ、辛くはなかったですか?」
「辛くはありません。恥ずかしかったですけど……でも、見られているだけで興奮して、すごく、気持ちよかった」
「気持ち……いい?」
ジュスティーヌが何とも複雑そうな表情で、ラファエルを見る。
「ええ、とても気持ちよかった。……もしよければ、またいつか、見てもらえますか?その時は、無理に握らせたりはしませんから」
ラファエルとしてはかなり勇気のいる頼み事だ。なんとも変態じみている。
「あんな風に、わたくしに触られて、あなたこそ嫌ではなくて?」
「なぜ? あなたが触れてくれるのに。――ああ、あなたは、俺には触れて欲しくないと言っていましたね。俺も、誰彼構わず触って欲しいわけじゃありませんよ。あなたは特別です。あなたには、触れて欲しい」
戸惑ったように視線を泳がせるジュスティーヌに、ラファエルが言う。
「手を――握っても?」
「ええ――」
ラファエルの大きな手が、ジュスティーヌの細い手を握り込む。
「この手がさっき、俺のに触れたのですね――感動だな。そんな日が来るとは思わなかった」
ラファエルがその指先に軽く口づけて言う。ジュスティーヌはその仕草と、ラファエルの整った顔をじっと見る。その視線に気づいたラファエルが、ジュスティーヌを熱を孕んだ目で見つめる。
「その――厚かましいお願いだとは重々承知しているのですが――」
「……わたくしのできることでしたら」
「もう、一度、してもらうことは――?」
ジュスティーヌの瞳が丸く見開かれる。
「その……きっと上手くできません」
「あなたが握ってくれるだけでいいのです。それだけで、俺にとっては天国のような快楽だ」
「本当に……?」
ジュスティーヌの手が恐る恐る、彼の肉茎に触れる。一度精を放ったそれは、萎えてぐにゃりと柔らかい。それに触れて、指を絡める。途端に腰に疼きが走り、興奮が彼に漲って肉茎はたちまち力を取り戻す。
「……!!もう、こんなに……!」
「恥ずかしいな、あなたに触れられただけで、こんなに――」
うっとりと言うラファエルの瞳が、欲情で煌いている。ジュスティーヌが硬く立ち上がったそれを握り、ゆるゆると動かす。繊細な指によってもたらされる快感に、ラファエルの唇から甘い吐息が漏れる。
ラファエルが両腕をジュスティーヌの背中に回し、腰を抱き込む。
「口づけを……しても……?……ジュス、ティーヌ……」
しっかりと抱え込まれたジュスティーヌは逃げることもできず、近づいてきたラファエルの唇を唇で受け止める。上下に手を動かし続けるジュスティーヌの、唇をラファエルの舌が割り入って、その口腔を犯す。舌を絡め取られ、唾液を吸われる。
「んっ……んふっ……んんん……」
角度を変えて長く長く続けられる口づけに、ジュスティーヌの脳が溶けていく。それでも、なぜだが手を動かすことはやめられなくて、ジュスティーヌは必死だった。
「ああ……ジュスティーヌ……愛している……ああっ……」
ついに、唇を離したラファエルが、荒い呼吸の合間に切なげに喘いで、全身を震わせる。熱い、飛沫がジュスティーヌの手を汚す。しばらく、快感に震えていたラファエルが、再びジュスティーヌの唇を奪う。
お互いにただ、身体を寄せあい、ずいぶんと長い間口づけを交わしていた。
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