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番外編
隠密カイトのデバガメ日記②*
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さんざん、舐めて舐めて舐め捲ってから、はくはくと声なき悲鳴をあげているアデライードに気づいて、男がやっと顔を上げた。
「すまない、アデライード、夢中になってしまって……愛しているよ」
(でたよ。毎晩毎晩、馬鹿の一つ覚えみたいに愛している、愛している、って壊れた魔導蓄音機じゃあるまいし)
カイトの心の呟きなど知らない恭親王は、アデライードの白く滑らかな腹から二つの脹らみの間を唇を這わせて辿り、白い双丘の頂点に赤く色づいている蕾を片方、口に含んで吸い上げた。
「ああっ……」
アデライードが白い身体をしならせるのを、恭親王は切れ長の目を眇めて見下し、両手で二つの膨らみを優しく揉み込みながら言う。
「可愛い、アデライード……可愛い、可愛い、可愛い、可愛い、可愛い、可愛い、可愛い……」
(出ました! 秘技、「可愛い」連呼攻撃! 連呼する意味あるんか? 可愛いって連呼したいだけちゃうんか?)
だいたい、可愛い×二十回連呼攻撃が、一晩につき平均三回は発せられているな、とカイトは冷静に分析する。
「ああっはあっ……でん、かぁ……」
アデライードが甘い喘ぎ声をあげる。銀色の龍が金色の龍に絡みつく。普段、おっとりと感情を見せないアデライードがベッドの上だけで見せる痴態が、いっそう男を煽り立てる。
「ああ、可愛いアデライード……んんっ」
「んんっ……んんんっ」
男が覆いかぶさるようにして唇を塞ぐ。舌で咥内を掻き回し、唾液を吸い上げ、蹂躙する。片方の手はいつの間にかアデライードの脚の間に下りて、先ほど舌で散々に嬲られて蕩けた秘所を掻き回していた。二か所で、淫靡な水音が響く。手技だけでアデライードがもう一度達したのか、銀の龍が光の粉となって弾け散った。
男がアデライードの細く、形の良い片脚を肩に担ぐようにして、おそらくは痛いほど昂っている剛直を女の蜜口に宛がう。担ぎ上げられた細い足首で、金鎖のアンクレットがしゃらりと音を立て、翡翠の花飾りが揺れる。
「アデライード、愛している……挿れるよ……」
「ん……あああああっ」
アデライードが顔を左右に振って、挿入の衝撃に耐える。達したばかりの敏感な肉壁を割り入るように侵入されて、美しい眉根を寄せ、目をギュッとつぶって顔を逸らす。細く白い喉のラインが艶めかしい。最奥まで分け入って、男がほっと息をついた。
「ああ……すごい……アデライード……悦すぎて……すぐに出そうだ……」
嘘をつけ! とカイトは心の中で悪態をつく。
この男はここからが長いのだ。
何しろ、ローティーンから〈素女の道〉のエキスパートである閨女の手ほどきを受け、女をイかしにイかしまくるまで射精しない、という過酷な訓練に耐えたのだ。女が絶頂に至った時に放つ陰の〈気〉を自らの体内に取り込み、射精を堪えて循環させることでその〈気〉を吸収する。それこそが陰陽の〈気〉を合一させる房中術の神髄である。循環の回数――つまり女がイった回数――が多ければ多いほど、〈気〉は練られて純化される。少なくとも三回、平均で五回くらいは練らないといけない。
「アデライード、……動くぞ……」
「ああっ、あっ……あああっ」
男がゆっくり腰を動かす。ギシっギシっと寝台が規則正しく軋む音を立て、蜂蜜を練るような音が響く。アデライードの息が荒くなり、白い指先で男の肩に取りすがり、ぎゅっと爪を立てる。
「あっあああっ……あんっあっあっ」
「アデライード……締めすぎだ……もう、イきそうなのか?」
「だっ……やっ……ああっ」
「何度でもイっていい……ほら……」
中だけではまだ上手くイけないアデライードのために、恭親王が結合部の上の秘玉を指で押しつぶすようにすると、アデライードが白い身体を大きく仰け反らせて達した。
「ああっあああああっああ――――っ」
そしてそのイった状態のアデライードを見下して、恭親王は満足そうに形のよい唇の口角をあげる。
「可愛い、アデライード、まだまだ、こんなものじゃ終わらないぞ」
「ああっ? あっあああっあああっ」
恭親王は肩に担いだ片脚をぐっと抱きしめるようにして抽挿の角度を変えた。最も深い部分を抉るようにぐりっと腰を動かすと、アデライードが悲鳴のような嬌声をあげる。
「あっ奥はっ……だめっ……ああああっ」
「何がだめなんだ?イイだろう?」
「ああっ……いあっ……あああああっ」
白い魚が跳ねるように、アデライードの白い身体がのたうつ。もはや、アデライードの身体は恭親王の完全なる支配下にあった。もともと、房中術を仕込まれた恭親王と、無垢なままに育てられたアデライードでは勝負にならない。そのまま、何度もイかされたアデライードが息も絶え絶えに慈悲を請う。
「ああっ……もう、許して……ああっ」
「許さないよ……愛しているんだもの……愛してる、愛してる、愛してる……」
そろそろ男も追い上げられてきたようだ。
(「愛している」攻撃が始まったな。そろそろイくことにしたらしい……)
だいたい一回平均二百から二百二十回くらい「愛してる」って言い続けてから、果てる。
そういう新しい閨の作法でも確立するつもりなのか。というか、二百回も言わなくても見てりゃわかる。
男の動きが激しく、速くなる。黒い髪から汗を飛び散らせ、荒い息を吐きながら強く腰を打ち付ける。悲鳴のようなアデライード嬌声と、水音、そして肌と肌のぶつかる音が寝室に響く。
「ああっ、あっあっああ――――――っ」
アデライードの白い爪先がぎゅっと丸まり、肩に掲げられた片脚が突っ張られる。女が達して、恭親王の肉楔をぎゅるぎゅると締め上げ、全てを搾り取ろうと蠕動する動きにそのまま身を委ね、男も自身の欲を解放した。
「くっ……ああっ……アデライード……愛してる……あなただけ……あなただけだ……」
金銀の龍がほぼ同時に、光の粉となって弾け散る。一瞬、寝台の天蓋の中が金銀で明るくなったかのように見えた。
二人の男女は身体を繋いだまま、しばらく動かずに荒い息をはきながら抱き合っていた。
(ふむ、今日は「愛してる」二百十八回……結構頑張ったな。それに……「あなただけ」とは、新しい攻撃だ)
ちょっと前のブームは「私のもの」攻撃だったようだが、今一つ受けがよくないと感じたのかやめたようだ。
再び金と銀の龍の形が現れ、小さく飛び回りながらじゃれ合っている。
男はアデライードの中から出ていく気配もなく、彼女を腕に抱き込んだまま、額や髪やこめかみや首筋にちゅっちゅっと口づけを落としている。男の首筋にアデライードの細い腕が絡みつく。
「殿下……」
「どうした……アデライード……」
「……すき……」
がばっと恭親王が身体を起こし、アデライードを正面から見つめる。
「え……殿下……?」
「アデライード、あなたは私を煽って、最後の一滴まで搾り取るつもりなのか?」
「え?……あ? ああああっ? ちょと待って……今は……む、り……」
「今のはあなたのせいだぞ? 今日はもう、あなたの身体のことを考えて、やめるつもりだったのに……もう、止まらないじゃないかっ……」
「あっやあっ、あっあっああっ」
再び激しく腰を突き上げ始めた恭親王に、アデライードが狼狽の声をあげる。
(ウソをつけ! 一回で終わったためしなんか、一度もないだろうがっ)
そんなことよりも、二百回以上の「愛している」攻撃が、たった一回の「すき」攻撃にあっさり陥落するとは。情けなくて涙が出る。
虚しさと同時に空腹を覚えたカイトは、ちょっとだけ席を外して、腹ごしらえに行くことにした。
(汁麺一杯食って帰ってきても、まだヤってるだろうな……)
カイトは念のため、隣室で仮眠を取っていた宦官のシャオトーズを起こし、一言言い置いてから、夜の闇に消えていった。
観戦者の消えた総督の寝室では、金と銀の二匹の龍が、果てもない交わりを続けていくのであった。
「すまない、アデライード、夢中になってしまって……愛しているよ」
(でたよ。毎晩毎晩、馬鹿の一つ覚えみたいに愛している、愛している、って壊れた魔導蓄音機じゃあるまいし)
カイトの心の呟きなど知らない恭親王は、アデライードの白く滑らかな腹から二つの脹らみの間を唇を這わせて辿り、白い双丘の頂点に赤く色づいている蕾を片方、口に含んで吸い上げた。
「ああっ……」
アデライードが白い身体をしならせるのを、恭親王は切れ長の目を眇めて見下し、両手で二つの膨らみを優しく揉み込みながら言う。
「可愛い、アデライード……可愛い、可愛い、可愛い、可愛い、可愛い、可愛い、可愛い……」
(出ました! 秘技、「可愛い」連呼攻撃! 連呼する意味あるんか? 可愛いって連呼したいだけちゃうんか?)
だいたい、可愛い×二十回連呼攻撃が、一晩につき平均三回は発せられているな、とカイトは冷静に分析する。
「ああっはあっ……でん、かぁ……」
アデライードが甘い喘ぎ声をあげる。銀色の龍が金色の龍に絡みつく。普段、おっとりと感情を見せないアデライードがベッドの上だけで見せる痴態が、いっそう男を煽り立てる。
「ああ、可愛いアデライード……んんっ」
「んんっ……んんんっ」
男が覆いかぶさるようにして唇を塞ぐ。舌で咥内を掻き回し、唾液を吸い上げ、蹂躙する。片方の手はいつの間にかアデライードの脚の間に下りて、先ほど舌で散々に嬲られて蕩けた秘所を掻き回していた。二か所で、淫靡な水音が響く。手技だけでアデライードがもう一度達したのか、銀の龍が光の粉となって弾け散った。
男がアデライードの細く、形の良い片脚を肩に担ぐようにして、おそらくは痛いほど昂っている剛直を女の蜜口に宛がう。担ぎ上げられた細い足首で、金鎖のアンクレットがしゃらりと音を立て、翡翠の花飾りが揺れる。
「アデライード、愛している……挿れるよ……」
「ん……あああああっ」
アデライードが顔を左右に振って、挿入の衝撃に耐える。達したばかりの敏感な肉壁を割り入るように侵入されて、美しい眉根を寄せ、目をギュッとつぶって顔を逸らす。細く白い喉のラインが艶めかしい。最奥まで分け入って、男がほっと息をついた。
「ああ……すごい……アデライード……悦すぎて……すぐに出そうだ……」
嘘をつけ! とカイトは心の中で悪態をつく。
この男はここからが長いのだ。
何しろ、ローティーンから〈素女の道〉のエキスパートである閨女の手ほどきを受け、女をイかしにイかしまくるまで射精しない、という過酷な訓練に耐えたのだ。女が絶頂に至った時に放つ陰の〈気〉を自らの体内に取り込み、射精を堪えて循環させることでその〈気〉を吸収する。それこそが陰陽の〈気〉を合一させる房中術の神髄である。循環の回数――つまり女がイった回数――が多ければ多いほど、〈気〉は練られて純化される。少なくとも三回、平均で五回くらいは練らないといけない。
「アデライード、……動くぞ……」
「ああっ、あっ……あああっ」
男がゆっくり腰を動かす。ギシっギシっと寝台が規則正しく軋む音を立て、蜂蜜を練るような音が響く。アデライードの息が荒くなり、白い指先で男の肩に取りすがり、ぎゅっと爪を立てる。
「あっあああっ……あんっあっあっ」
「アデライード……締めすぎだ……もう、イきそうなのか?」
「だっ……やっ……ああっ」
「何度でもイっていい……ほら……」
中だけではまだ上手くイけないアデライードのために、恭親王が結合部の上の秘玉を指で押しつぶすようにすると、アデライードが白い身体を大きく仰け反らせて達した。
「ああっあああああっああ――――っ」
そしてそのイった状態のアデライードを見下して、恭親王は満足そうに形のよい唇の口角をあげる。
「可愛い、アデライード、まだまだ、こんなものじゃ終わらないぞ」
「ああっ? あっあああっあああっ」
恭親王は肩に担いだ片脚をぐっと抱きしめるようにして抽挿の角度を変えた。最も深い部分を抉るようにぐりっと腰を動かすと、アデライードが悲鳴のような嬌声をあげる。
「あっ奥はっ……だめっ……ああああっ」
「何がだめなんだ?イイだろう?」
「ああっ……いあっ……あああああっ」
白い魚が跳ねるように、アデライードの白い身体がのたうつ。もはや、アデライードの身体は恭親王の完全なる支配下にあった。もともと、房中術を仕込まれた恭親王と、無垢なままに育てられたアデライードでは勝負にならない。そのまま、何度もイかされたアデライードが息も絶え絶えに慈悲を請う。
「ああっ……もう、許して……ああっ」
「許さないよ……愛しているんだもの……愛してる、愛してる、愛してる……」
そろそろ男も追い上げられてきたようだ。
(「愛している」攻撃が始まったな。そろそろイくことにしたらしい……)
だいたい一回平均二百から二百二十回くらい「愛してる」って言い続けてから、果てる。
そういう新しい閨の作法でも確立するつもりなのか。というか、二百回も言わなくても見てりゃわかる。
男の動きが激しく、速くなる。黒い髪から汗を飛び散らせ、荒い息を吐きながら強く腰を打ち付ける。悲鳴のようなアデライード嬌声と、水音、そして肌と肌のぶつかる音が寝室に響く。
「ああっ、あっあっああ――――――っ」
アデライードの白い爪先がぎゅっと丸まり、肩に掲げられた片脚が突っ張られる。女が達して、恭親王の肉楔をぎゅるぎゅると締め上げ、全てを搾り取ろうと蠕動する動きにそのまま身を委ね、男も自身の欲を解放した。
「くっ……ああっ……アデライード……愛してる……あなただけ……あなただけだ……」
金銀の龍がほぼ同時に、光の粉となって弾け散る。一瞬、寝台の天蓋の中が金銀で明るくなったかのように見えた。
二人の男女は身体を繋いだまま、しばらく動かずに荒い息をはきながら抱き合っていた。
(ふむ、今日は「愛してる」二百十八回……結構頑張ったな。それに……「あなただけ」とは、新しい攻撃だ)
ちょっと前のブームは「私のもの」攻撃だったようだが、今一つ受けがよくないと感じたのかやめたようだ。
再び金と銀の龍の形が現れ、小さく飛び回りながらじゃれ合っている。
男はアデライードの中から出ていく気配もなく、彼女を腕に抱き込んだまま、額や髪やこめかみや首筋にちゅっちゅっと口づけを落としている。男の首筋にアデライードの細い腕が絡みつく。
「殿下……」
「どうした……アデライード……」
「……すき……」
がばっと恭親王が身体を起こし、アデライードを正面から見つめる。
「え……殿下……?」
「アデライード、あなたは私を煽って、最後の一滴まで搾り取るつもりなのか?」
「え?……あ? ああああっ? ちょと待って……今は……む、り……」
「今のはあなたのせいだぞ? 今日はもう、あなたの身体のことを考えて、やめるつもりだったのに……もう、止まらないじゃないかっ……」
「あっやあっ、あっあっああっ」
再び激しく腰を突き上げ始めた恭親王に、アデライードが狼狽の声をあげる。
(ウソをつけ! 一回で終わったためしなんか、一度もないだろうがっ)
そんなことよりも、二百回以上の「愛している」攻撃が、たった一回の「すき」攻撃にあっさり陥落するとは。情けなくて涙が出る。
虚しさと同時に空腹を覚えたカイトは、ちょっとだけ席を外して、腹ごしらえに行くことにした。
(汁麺一杯食って帰ってきても、まだヤってるだろうな……)
カイトは念のため、隣室で仮眠を取っていた宦官のシャオトーズを起こし、一言言い置いてから、夜の闇に消えていった。
観戦者の消えた総督の寝室では、金と銀の二匹の龍が、果てもない交わりを続けていくのであった。
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