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5、女王家の神器
〈聖婚〉の意義
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恭親王の問いに、メイローズは紺碧の瞳を煌めかせ、答えた。
「わが主よ、陰陽の調和は何よりも優先すべきものですよ。今、世界は平和に満ちていると思われるかもしれませんが、陰と陽が均衡を保っているとは言えません。この不均衡が進めば、一気に崩壊に至ります。ですが、世俗の王権は、なかなか陰陽の調和のために動いてはくれません。小さな平和を守るために調和を犠牲にして、すべてが失われてしまうことになりかねません。多少の荒療治は必要と考えております」
恭親王はメイローズを見つめる。
「何故、たかだか〈聖婚〉がそんな物騒な話になるのだ?」
メイローズも溜息をつく。
「全くです。皇子も王女もたくさんいる時代ならば、何の問題もないのです。ですが今は、〈王気〉を持つ王女はもう、一人しか残されていないのです。あの美しい〈王気〉が!もしこの一人が失われてしまえば、陰陽を調和する機会は永遠に失われてしまうのに、愚かな者たちはあろうことか、自らのつまらぬ権力欲のために、この王女の命すら狙っているのですよ。一刻も早く、〈聖婚〉を行わねばなりません。わが主には山ほど王女を生んでいただかねばなりませんので、そのおつもりでよろしくお願いします」
恭親王が首を傾げる。
「……子供を作る作業に関してならば、まあ、姫は美人ということだし努力はするが……生むのは私じゃないから、こればっかりはな。というより、アデライード姫には〈聖婚〉だけさせ、女王位はアルベラ姫に渡せば、イフリート公爵もひとまず面子を保って、丸く収まるのではないか?」
「アルベラ姫には〈王気〉がございませんので、女王にはなれません」
「この際、そんなこと言ってる場合じゃないだろう。どうせお前たち一部の者にしか見えやしないんだから」
「〈王気〉がないということは、龍種ではないということですよ。龍種でない女王なんて、それこそ存在意味がありませんよ。公にはできませんが、女王には〈王気〉がないとできない役割があります。たとえ戦争になろうが、そこは譲れませんね。言っておきますが、我々〈禁苑〉の立場から見れば、女王になる資格があるのはアデライード姫ただお一人なのですよ。〈王気〉のないアルベラ姫を女王にしようなんて、イフリート公爵の要求が無茶なのです。西の女王は月の精靈ディアーヌの血を受け、その〈王気〉を受け継いだ龍種の女王でなければなりません。これが〈禁苑〉の正義であり、天と陰陽の意思です」
メイローズの熱弁に、恭親王が半ば呆れたように言った。
「そこまで言うならば、〈聖婚〉などさせずとも女王にすればいいじゃないか。西にだって、女王を守れるくらいの甲斐性のある男はいるだろう。王都ナキアはイフリート公爵に握られていても、地方にはイフリート家や元老院の専横に反発する勢力があるだろう。そういう奴等の支持を取り付けて、アデライードを女王に担ぎ上げる一派を糾合すればいい。というか、それができないならアデライードを女王にするのは諦めろ。戦争は国内だけでやれ。わざわざ外国の皇子を夫にして、外国の軍隊を引き込む必要があるのか?いくら〈禁苑〉の支持があるとはいえ、他国の軍隊に守られた女王を民衆は支持しないだろう」
恭親王は冷静に言うと、葡萄酒を一気に呷った。メイローズはそれを冷徹な瞳で見ながら、噛みしめるように言う。
「〈禁苑〉にとって、最も重要なのが〈聖婚〉です。殿下も〈聖婚〉の意義は学ばれましたでしょう?東西皇王家の龍種は、〈番〉として天より遣わされた至上の一対です。この広き世界を治めるために、普段は二つの国に別れて暮らしていますが、生粋の龍種を生むために、定期的に〈聖婚〉が必要なのです。龍種である女王家の者が孕むには、魔力の強い陽の精が必要で、また子の〈王気〉の強弱は女王の〈王気〉だけでなく夫の魔力の多寡に比例すると言われています。二百年〈聖婚〉が行われないうちに、女王の持つ〈王気〉はどんどんと弱まってしまい、現在、西の女王家にはとうとう、〈王気〉を持つ王女が一人しかいなくなってしまった。とにかくまず〈聖婚〉を実現させ、調和を失った陰陽の気を整え、一人でも多くの陰の龍種を増やすことが急務なのです。陰の龍種が滅べば、〈番〉である陽の龍種も遠からず滅び、この世界は再び〈混沌〉の闇に呑み込まれてしまうでしょう」
恭親王とて、陰陽の教義を幼少より学び、陰陽理論を骨の髄まで叩き込まれている。しかし、その彼でさえ、陰陽を調和させるため、東の皇子である彼と西の王女との結婚が必要だと言われて、全く納得できていない。確かに強い魔力と強い精を持ち、彼自身には視えないながら、金龍の〈王気〉を持つ彼だが、自身は二十二歳のただの若者だ。
そもそも、東の皇家の皇子は〈王気〉を纏い強い魔力を持つが、彼らはその魔力を体外に放出することができない。転移門を発動させることも、念話も、念動も、できない。せいぜいが口中に玉を含んでそこに魔力を籠めたり、玉を振動させたりできる程度。その強力な魔力は全て体内を循環させて体内で消費されるのみ。
故に彼らは魔力で肉体を強靭化し、運動能力を強化し、体力を増強し、高い耐毒性と自己治癒能力を持つ。自分の怪我ならあっという間に治せるから、その気になれば肉弾戦では他を圧倒する。そのくせ、身近な者の擦り傷一つ癒やすことができない。何とも役立たずで、無駄に強いだけの魔力なのである。
(たしかに、どいつもこいつも丈夫で長生き、情豪揃いではあるがな……)
基本的に、皇家の者は長命である。皆、五十を過ぎても若々しく、精力的だ。今上帝の皇子は二十人を優に超え、その皇子たちは皆な底なしの絶倫ときている。――唯一、皇太子が体調を崩しているようだが、それも怪しげな淫薬の飲み過ぎのせいだと言われているから、普通にしていれば健康体だったはずだ。
一方、陰の龍種である女王家は〈王気〉を持つ王女がアデライードただ一人、もう一人は王女のくせに〈王気〉を持たぬアルベラと、寂しい限りである。
「龍種と交わって〈王気〉の強い子を生ませる、魔力の強い男が西にはいないということか?」
恭親王がメイローズに尋ねると、メイローズが頷いた。
「それもございますが、あちらの家は少し厄介でしてね。女王家の王女たちは、〈王気〉が強いほど、身体が弱いのです。また、夫の魔力と釣り合わぬと子ができません。必然的に、〈王気〉の弱い王女が継承の上では有利となるのです。どんどんと弱っていく女王の〈王気〉を、〈聖婚〉によって得られた生粋の龍種である皇子や王女が補完していたのですよ。二百年にわたって〈聖婚〉を拒否し続けた西の女王家は、まさに自らの首を絞めているのと同じです」
女王家の者は王女しか生まないと言われるが、それは夫の精が彼女の陰の〈王気〉に耐えないせいで、〈聖婚〉によって東の皇子と婚姻すれば、当然皇子も生まれる。そうして生まれた皇子やその子が再び女王家の婿に迎えられ、女王家に強い〈王気〉をもたらす。そうして、二千年にわたって陰陽の皇王家は維持されてきたのだ。
「今は東の皇家も隆盛を誇っていますが、このまま〈聖婚〉が行われなければジリ貧ですよ。むしろ元老院やイフリート公爵はそれを狙っているフシすらあります。強い龍種の力など、彼らの傀儡である女王には邪魔ですからね」
「西は女王の力を削ぐために、〈聖婚〉を拒んでいたというのか?」
恭親王が眉を顰める。女王の弱体化を狙うなど、自滅の道を突き進んでいるとしか思えない。
「西では聖俗差別化どころでなく、現在は〈禁苑〉を排除して王権を完全に世俗化しようという思想がじわじわと広がっています。イフリート公爵がその急先鋒だとの、もっぱらの噂です」
「〈禁苑〉を排除した王権など、正気の沙汰とも思えぬ」
全てが陰陽の調和の上に成り立っていると考える世界で、聖地の〈禁苑三宮〉はその調和を護るバランスの要だ。世俗の王権は〈禁苑〉の加護の下、太陽と月(太陰)の地上における代理人として世界を統治する。〈禁苑〉を排除した王権など、天と陰陽に歯向かうのも等しい暴挙である。
「西では、元老院とイフリート公爵を中心とする有力諸侯たちによって、弱い女王を傀儡とし、実力主義と称する政治が蔓延っています。龍種だけでなく、始祖女王ディアーヌの眷属である貴種の血族も衰退の一途をたどり、もはや魔物に対応する力などありません。西の辺境で魔物が出没するのは噂ではありません。まさに一刻の猶予もならぬ状態です。西の政治を正しき道に戻さねば、西だけでなく、世が滅びます」
メイローズの言葉に、恭親王は黒曜石の瞳で鋭い一瞥をくれて言う。
「メイローズ、お前、〈禁苑〉のために私と帝国を利用するつもりだな」
「私ではなく、天と陰陽が、それを望まれ、わが主は、そのために選ばれたのです。どうか、わが主のお力を、世界と、天と陰陽とにお捧げください」
メイローズはソファを下りて恭親王の前に膝をつき、両手を額の前で組んで深く頭を下げた。
「天と、陰陽が望む……か」
聖地でよく使われるその表現を、恭親王はぽつりと繰り返した。
「わが主よ、陰陽の調和は何よりも優先すべきものですよ。今、世界は平和に満ちていると思われるかもしれませんが、陰と陽が均衡を保っているとは言えません。この不均衡が進めば、一気に崩壊に至ります。ですが、世俗の王権は、なかなか陰陽の調和のために動いてはくれません。小さな平和を守るために調和を犠牲にして、すべてが失われてしまうことになりかねません。多少の荒療治は必要と考えております」
恭親王はメイローズを見つめる。
「何故、たかだか〈聖婚〉がそんな物騒な話になるのだ?」
メイローズも溜息をつく。
「全くです。皇子も王女もたくさんいる時代ならば、何の問題もないのです。ですが今は、〈王気〉を持つ王女はもう、一人しか残されていないのです。あの美しい〈王気〉が!もしこの一人が失われてしまえば、陰陽を調和する機会は永遠に失われてしまうのに、愚かな者たちはあろうことか、自らのつまらぬ権力欲のために、この王女の命すら狙っているのですよ。一刻も早く、〈聖婚〉を行わねばなりません。わが主には山ほど王女を生んでいただかねばなりませんので、そのおつもりでよろしくお願いします」
恭親王が首を傾げる。
「……子供を作る作業に関してならば、まあ、姫は美人ということだし努力はするが……生むのは私じゃないから、こればっかりはな。というより、アデライード姫には〈聖婚〉だけさせ、女王位はアルベラ姫に渡せば、イフリート公爵もひとまず面子を保って、丸く収まるのではないか?」
「アルベラ姫には〈王気〉がございませんので、女王にはなれません」
「この際、そんなこと言ってる場合じゃないだろう。どうせお前たち一部の者にしか見えやしないんだから」
「〈王気〉がないということは、龍種ではないということですよ。龍種でない女王なんて、それこそ存在意味がありませんよ。公にはできませんが、女王には〈王気〉がないとできない役割があります。たとえ戦争になろうが、そこは譲れませんね。言っておきますが、我々〈禁苑〉の立場から見れば、女王になる資格があるのはアデライード姫ただお一人なのですよ。〈王気〉のないアルベラ姫を女王にしようなんて、イフリート公爵の要求が無茶なのです。西の女王は月の精靈ディアーヌの血を受け、その〈王気〉を受け継いだ龍種の女王でなければなりません。これが〈禁苑〉の正義であり、天と陰陽の意思です」
メイローズの熱弁に、恭親王が半ば呆れたように言った。
「そこまで言うならば、〈聖婚〉などさせずとも女王にすればいいじゃないか。西にだって、女王を守れるくらいの甲斐性のある男はいるだろう。王都ナキアはイフリート公爵に握られていても、地方にはイフリート家や元老院の専横に反発する勢力があるだろう。そういう奴等の支持を取り付けて、アデライードを女王に担ぎ上げる一派を糾合すればいい。というか、それができないならアデライードを女王にするのは諦めろ。戦争は国内だけでやれ。わざわざ外国の皇子を夫にして、外国の軍隊を引き込む必要があるのか?いくら〈禁苑〉の支持があるとはいえ、他国の軍隊に守られた女王を民衆は支持しないだろう」
恭親王は冷静に言うと、葡萄酒を一気に呷った。メイローズはそれを冷徹な瞳で見ながら、噛みしめるように言う。
「〈禁苑〉にとって、最も重要なのが〈聖婚〉です。殿下も〈聖婚〉の意義は学ばれましたでしょう?東西皇王家の龍種は、〈番〉として天より遣わされた至上の一対です。この広き世界を治めるために、普段は二つの国に別れて暮らしていますが、生粋の龍種を生むために、定期的に〈聖婚〉が必要なのです。龍種である女王家の者が孕むには、魔力の強い陽の精が必要で、また子の〈王気〉の強弱は女王の〈王気〉だけでなく夫の魔力の多寡に比例すると言われています。二百年〈聖婚〉が行われないうちに、女王の持つ〈王気〉はどんどんと弱まってしまい、現在、西の女王家にはとうとう、〈王気〉を持つ王女が一人しかいなくなってしまった。とにかくまず〈聖婚〉を実現させ、調和を失った陰陽の気を整え、一人でも多くの陰の龍種を増やすことが急務なのです。陰の龍種が滅べば、〈番〉である陽の龍種も遠からず滅び、この世界は再び〈混沌〉の闇に呑み込まれてしまうでしょう」
恭親王とて、陰陽の教義を幼少より学び、陰陽理論を骨の髄まで叩き込まれている。しかし、その彼でさえ、陰陽を調和させるため、東の皇子である彼と西の王女との結婚が必要だと言われて、全く納得できていない。確かに強い魔力と強い精を持ち、彼自身には視えないながら、金龍の〈王気〉を持つ彼だが、自身は二十二歳のただの若者だ。
そもそも、東の皇家の皇子は〈王気〉を纏い強い魔力を持つが、彼らはその魔力を体外に放出することができない。転移門を発動させることも、念話も、念動も、できない。せいぜいが口中に玉を含んでそこに魔力を籠めたり、玉を振動させたりできる程度。その強力な魔力は全て体内を循環させて体内で消費されるのみ。
故に彼らは魔力で肉体を強靭化し、運動能力を強化し、体力を増強し、高い耐毒性と自己治癒能力を持つ。自分の怪我ならあっという間に治せるから、その気になれば肉弾戦では他を圧倒する。そのくせ、身近な者の擦り傷一つ癒やすことができない。何とも役立たずで、無駄に強いだけの魔力なのである。
(たしかに、どいつもこいつも丈夫で長生き、情豪揃いではあるがな……)
基本的に、皇家の者は長命である。皆、五十を過ぎても若々しく、精力的だ。今上帝の皇子は二十人を優に超え、その皇子たちは皆な底なしの絶倫ときている。――唯一、皇太子が体調を崩しているようだが、それも怪しげな淫薬の飲み過ぎのせいだと言われているから、普通にしていれば健康体だったはずだ。
一方、陰の龍種である女王家は〈王気〉を持つ王女がアデライードただ一人、もう一人は王女のくせに〈王気〉を持たぬアルベラと、寂しい限りである。
「龍種と交わって〈王気〉の強い子を生ませる、魔力の強い男が西にはいないということか?」
恭親王がメイローズに尋ねると、メイローズが頷いた。
「それもございますが、あちらの家は少し厄介でしてね。女王家の王女たちは、〈王気〉が強いほど、身体が弱いのです。また、夫の魔力と釣り合わぬと子ができません。必然的に、〈王気〉の弱い王女が継承の上では有利となるのです。どんどんと弱っていく女王の〈王気〉を、〈聖婚〉によって得られた生粋の龍種である皇子や王女が補完していたのですよ。二百年にわたって〈聖婚〉を拒否し続けた西の女王家は、まさに自らの首を絞めているのと同じです」
女王家の者は王女しか生まないと言われるが、それは夫の精が彼女の陰の〈王気〉に耐えないせいで、〈聖婚〉によって東の皇子と婚姻すれば、当然皇子も生まれる。そうして生まれた皇子やその子が再び女王家の婿に迎えられ、女王家に強い〈王気〉をもたらす。そうして、二千年にわたって陰陽の皇王家は維持されてきたのだ。
「今は東の皇家も隆盛を誇っていますが、このまま〈聖婚〉が行われなければジリ貧ですよ。むしろ元老院やイフリート公爵はそれを狙っているフシすらあります。強い龍種の力など、彼らの傀儡である女王には邪魔ですからね」
「西は女王の力を削ぐために、〈聖婚〉を拒んでいたというのか?」
恭親王が眉を顰める。女王の弱体化を狙うなど、自滅の道を突き進んでいるとしか思えない。
「西では聖俗差別化どころでなく、現在は〈禁苑〉を排除して王権を完全に世俗化しようという思想がじわじわと広がっています。イフリート公爵がその急先鋒だとの、もっぱらの噂です」
「〈禁苑〉を排除した王権など、正気の沙汰とも思えぬ」
全てが陰陽の調和の上に成り立っていると考える世界で、聖地の〈禁苑三宮〉はその調和を護るバランスの要だ。世俗の王権は〈禁苑〉の加護の下、太陽と月(太陰)の地上における代理人として世界を統治する。〈禁苑〉を排除した王権など、天と陰陽に歯向かうのも等しい暴挙である。
「西では、元老院とイフリート公爵を中心とする有力諸侯たちによって、弱い女王を傀儡とし、実力主義と称する政治が蔓延っています。龍種だけでなく、始祖女王ディアーヌの眷属である貴種の血族も衰退の一途をたどり、もはや魔物に対応する力などありません。西の辺境で魔物が出没するのは噂ではありません。まさに一刻の猶予もならぬ状態です。西の政治を正しき道に戻さねば、西だけでなく、世が滅びます」
メイローズの言葉に、恭親王は黒曜石の瞳で鋭い一瞥をくれて言う。
「メイローズ、お前、〈禁苑〉のために私と帝国を利用するつもりだな」
「私ではなく、天と陰陽が、それを望まれ、わが主は、そのために選ばれたのです。どうか、わが主のお力を、世界と、天と陰陽とにお捧げください」
メイローズはソファを下りて恭親王の前に膝をつき、両手を額の前で組んで深く頭を下げた。
「天と、陰陽が望む……か」
聖地でよく使われるその表現を、恭親王はぽつりと繰り返した。
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