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第三章
新しい年
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殿下の機嫌が急降下したのを感じ取り、シャーロット嬢がビクっと身を震わせる。
「いいのよ、シャーロット嬢、あなたが言ったわけじゃないんだから。でも、もっと嫌なことがあったのではなくて?」
わたしはシャーロット嬢の隣に座っていたけれど、彼女の肩を抱き寄せるようにすると、榛色の瞳に涙を溜めて言った。
「ジョナサン様が……殿下の愛人に夢中なのは、わたしに魅力がなくて当然だって……」
その発言は知らなかったらしく、カーティス大尉が慌てて否定する。
「馬鹿な! 僕とミス・エルスペスが何でもないのは、わかってるだろう! 殿下の思い人となんて、そんな恐ろしいこと、あるわけないじゃないか!」
「でも――ジョナサン様がワインを被ってしまったのは、ミス・エルスペスを庇ったためで。ビルツホルンでもずっと側にいて、あの二人は単なる護衛じゃないって。……昨晩の夜会も、わたしはいいダシにされただけだって――」
わたしと殿下は顔を見合わせる。
「ミス・パーマー。ジョナサンは俺が最も信頼する配下だ。俺の大切なエルシーを守るために、護衛についてもらっている。ジョナサンが俺を裏切るなんてありえん」
同じ護衛のラルフ・シモンズ大尉は平民なので、例えばアイザック・グレンジャー卿のような貴族に絡まれた時に対応できないし、貴族出身のジェラルド・ブルック中尉はやや腕が劣る上に、殿下とわたしの関係に内心、批判的なのだ。
「ジェラルドを側につけると、エルシーが不快な思いをするかもしれないと考え、ジョナサンに頼り過ぎた。でも、常に身近について、ワインから身を挺して守るのは、護衛としては当たり前のことだ」
「そうですわ。カーティス大尉はあなたを大切に思っていらっしゃるわよ。そこは信じて差し上げないと」
シャーロット嬢がめそめそと泣く姿に、カーティス大尉もどうしたらいいかわからないのか、はあっと溜息をつく。
「……僕も、デイジーの発言のいくつかは耳にして、殿下やミス・アシュバートンの悪口は慎むようにと、何度か注意はしたんです。ただ、常にデイジーにくっついているわけにもいかないので。……殿下とミス・アシュバートンの関係は、王都でも噂になっていますから、昨夜のマールバラ公爵家の夜会の話も聞きたがる者が多くて……」
カーティス大尉が釘を刺しても、その場に居合わせたデイジーに、昨夜の話を強請る者はいる。デイジーに対して、カーティス家として距離を置くつもりでも、招待している以上、表だって邪険にはできない。デイジーは昨夜の醜態などおくびにも出さず、大尉のいない場所で好き放題に噂を撒き散らした。
「ミス・アシュバートンについては、僕もいろいろな人に聞かれます。殿下はけして愛人としてではなく、真剣なお気持ちで交際しておられるとだけ、伝えているのですが、やはり面白可笑しい噂に惑わされている者も多い。僕もまたミス・アシュバートンの魔性に魅入られているだなんて、デイジーの言葉に納得する者もいて、シャーロットに余計なことを言うらしいのです。今回、僕がシャーロットを伴うことで、僕とミス・アシュバートンの間に何もないと、シャーロットや周囲の者にも理解してもらえると思ったのですが……」
殿下は不機嫌そうに紙巻煙草をふかし、眉間に皺を寄せて聞いていた。
マールバラ公爵邸に連れ立って赴くことで、噂になるのは折り込み済みだったが、カーティス大尉と婚約者の関係に、余計な波風を立てるつもりはなかった。たしかに、旅の間もずっと、カーティス大尉がわたしに貼り付いていたわけで、彼の婚約者の視点に立てば不安に違いない。――そもそも、カーティス大尉とシャーロット嬢、そしてその従姉のデイジーの間は、どうやら以前から微妙だったようなのだから。
わたしは少し考えて、言った。
「……要するに、シャーロット嬢はミセス・デイジーが苦手なのでしょう。そう言えば、デビューの時も押されてワインを零してしまったとか、言っていたわね? わたしの見た感じ、あの人はシャーロット嬢の自信を削いで、不安にさせているんです。ミセス・デイジーと離れて暮らせればいいのだけれど」
シャーロット嬢にとって、ミセス・デイジーは王都に住む数少ない親族だ。接触を絶つのは難しいだろう。カーティス大尉との結婚後、シャーロット嬢は王都に暮らすことになるわけで――。
「王都への滞在はいつまでのご予定で?」
「シャーロットは特に用もないので、王都に慣れるまで、僕の家で暮らすという案もあったのですが――」
王都のロックウィル伯爵邸で暮らせないとなれば、下手をすれば結婚自体が暗礁に乗り上げてしまう。
「あのデイジーという女は、ダグラス・アシュバートンと関係があった要注意人物だ。俺の護衛やその婚約者の周囲を、うろつかれたくはないな」
「でも、ミセス・デイジーをカーティス家から排除するわけにもいかないでしょう」
わたしの懸念に対し、カーティス大尉は言った。
「以前からの招待でしたので、今日の催しには招かざるを得ませんでしたが、今後は距離を置くと思います。母はもともと、デイジーをあまり好いていなかったので」
パーマー家との関係上、デイジーと付き合ってきたけれど、不倫騒動を起こしていたとなれば、話は別である。
「ただ、今日、こんな形でシャーロットが姿を消し、僕が捜索のために家を空けたことで、今頃、デイジーは好き放題に噂を撒き散らしているでしょうね。……一応、客人には僕もシャーロットも、殿下のお宅に招待されている、と誤魔化してはきましたが……」
カーティス大尉は溜息をつく。シャーロット嬢は身の置き所もないと言う風に、項垂れている。積もり積もったものが爆発したとはいえ、行き先も告げず、一人で街に飛び出すなんて、貴族令嬢にあるまじき軽挙だ。
殿下はしばらく煙草をふかしながら考えていたが、やがて灰皿に煙草を擦りつけて火を消しながら言った。
「……シャーロット嬢はしばらく、ここに滞在するしかなかろう。ということは、ジョナサン、お前もこちらに寝泊まりしろ。婚約者の令嬢だけ、俺が預かるわけにはいかないから。ここは上級メイドを置いていないから、お前の家から一人、シャーロット嬢の身の周りの世話をするメイドと、彼女の荷物を明日、持ってくるように。……ったく。俺は年末年始をエルシーと二人っきりで過ごすつもりだったんだぞ? その計画をぶちこわしやがって」
苦々しい表情で、新しい煙草に火を点ける殿下に、カーティス大尉が恐縮して頭を下げる。
「申し訳ありません、殿下」
「でも、カーティス大尉のご家族の方には、ご心配をおかけしているのではなくて?」
わたしが言えば、殿下は肩を竦める。
「俺のワガママってことにしておけ。エルシーに話し相手が欲しいとか、何とか」
「本当に重ね重ね……」
わたしはシャーロット嬢に笑いかける。
「そういうことなら、しばらくよろしくね。……お話は終わったかしら。そろそろユールが退屈しているわ。シャーロット嬢は犬はお好き?」
「え、ええ。こちらこそ、よろしくお願いします。……犬は、その……大きくなければ……」
「将来はともかく、今はまだ仔犬なの」
わたしが立ちあがって、控えていたヴァルタ―さんにユールの居場所を聞けば、すぐにジュリアンがユールを抱いて現れた。
「きゃん、きゃん! きゃん!」
ジュリアンの腕の中でわきわきと暴れ、ぴょんと飛び降りてわたしに駆け寄ってくる。
「ごめんね、ユール、寂しかったわね?」
わたしが撫でていると、シャーロット嬢もおずおずと近寄ってくるので、ユールを撫でられるように差し出してやる。シャーロット嬢が恐る恐る背中を撫でてやると、ユールはピコピコと嬉しそうに尻尾を振った。
「……女好きなんですかね、あの犬」
カーティス大尉が殿下に尋ねれば、殿下がぶすっとした声で答える。
「……メスだ」
「じゃあ、女子会……?」
前途は多難だったが、嵐の大晦日は更けていく。やがて新年が近づいたので、ヴァルタ―さんが新しい発泡ワインをクーラーに冷やし、グラスとともに運んできた。ポンっと小気味よい音とともに栓が開けられて、シュワシュワとした黄金色の液体がグラスに注ぎ分けられる。
「……図らずもダブル・デートみたいになってしまったが、新しい年はたぶん、もっと大変なことになる。ジョナサンにも苦労をかけることになるが……」
「とりあえず、戦争でないだけで僕はとてもありがたいと思っているので。……勝手に亡命するのだけ、やめていただければ、できる限りのことはさせていただきます」
四人でそれぞれグラスを持ち、殿下が腕時計を見ながら時間を計る。
「三、二、一、……発射!」
「大砲じゃないんですから! 新年おめでとうございます! 乾杯!」
「おめでとうございます、大尉、シャーロット嬢……それから、リジー?」
わたしが言えば、殿下からは無言でキスが降りた。その様子を間近で見て、シャーロット嬢が真っ赤になる。
「おめでとう、新しい年に乾杯! ジョナサンも、ミス・パーマーも」
「お、お、お……おめでとうございます……」
よく考えたら、田舎の子爵令嬢であるシャーロット嬢が、王子の邸に押しかけた上に一緒に新年を祝っているなんて、十年前なら考えられないことだろう。時代も変わったと言うべきか。
四人で乾杯する横で、ユールはわたしの膝の上で眠ってしまった。――外の嵐はまだ続いている。
その時、呼び鈴が鳴って、ジュリアンが応対に走る。こんな時刻に?
戻ってきたジュリアンの背後には、外套を着た、人品卑しからぬ人物がいた。
「アルバート殿下、王宮からの使者です。――昨日の昼過ぎに、第二王子、ジョージ殿下がご逝去なさいました。アルバート殿下におかれましては、速やかに王宮に参上なさいますよう、国王陛下の召命が下っております」
「いいのよ、シャーロット嬢、あなたが言ったわけじゃないんだから。でも、もっと嫌なことがあったのではなくて?」
わたしはシャーロット嬢の隣に座っていたけれど、彼女の肩を抱き寄せるようにすると、榛色の瞳に涙を溜めて言った。
「ジョナサン様が……殿下の愛人に夢中なのは、わたしに魅力がなくて当然だって……」
その発言は知らなかったらしく、カーティス大尉が慌てて否定する。
「馬鹿な! 僕とミス・エルスペスが何でもないのは、わかってるだろう! 殿下の思い人となんて、そんな恐ろしいこと、あるわけないじゃないか!」
「でも――ジョナサン様がワインを被ってしまったのは、ミス・エルスペスを庇ったためで。ビルツホルンでもずっと側にいて、あの二人は単なる護衛じゃないって。……昨晩の夜会も、わたしはいいダシにされただけだって――」
わたしと殿下は顔を見合わせる。
「ミス・パーマー。ジョナサンは俺が最も信頼する配下だ。俺の大切なエルシーを守るために、護衛についてもらっている。ジョナサンが俺を裏切るなんてありえん」
同じ護衛のラルフ・シモンズ大尉は平民なので、例えばアイザック・グレンジャー卿のような貴族に絡まれた時に対応できないし、貴族出身のジェラルド・ブルック中尉はやや腕が劣る上に、殿下とわたしの関係に内心、批判的なのだ。
「ジェラルドを側につけると、エルシーが不快な思いをするかもしれないと考え、ジョナサンに頼り過ぎた。でも、常に身近について、ワインから身を挺して守るのは、護衛としては当たり前のことだ」
「そうですわ。カーティス大尉はあなたを大切に思っていらっしゃるわよ。そこは信じて差し上げないと」
シャーロット嬢がめそめそと泣く姿に、カーティス大尉もどうしたらいいかわからないのか、はあっと溜息をつく。
「……僕も、デイジーの発言のいくつかは耳にして、殿下やミス・アシュバートンの悪口は慎むようにと、何度か注意はしたんです。ただ、常にデイジーにくっついているわけにもいかないので。……殿下とミス・アシュバートンの関係は、王都でも噂になっていますから、昨夜のマールバラ公爵家の夜会の話も聞きたがる者が多くて……」
カーティス大尉が釘を刺しても、その場に居合わせたデイジーに、昨夜の話を強請る者はいる。デイジーに対して、カーティス家として距離を置くつもりでも、招待している以上、表だって邪険にはできない。デイジーは昨夜の醜態などおくびにも出さず、大尉のいない場所で好き放題に噂を撒き散らした。
「ミス・アシュバートンについては、僕もいろいろな人に聞かれます。殿下はけして愛人としてではなく、真剣なお気持ちで交際しておられるとだけ、伝えているのですが、やはり面白可笑しい噂に惑わされている者も多い。僕もまたミス・アシュバートンの魔性に魅入られているだなんて、デイジーの言葉に納得する者もいて、シャーロットに余計なことを言うらしいのです。今回、僕がシャーロットを伴うことで、僕とミス・アシュバートンの間に何もないと、シャーロットや周囲の者にも理解してもらえると思ったのですが……」
殿下は不機嫌そうに紙巻煙草をふかし、眉間に皺を寄せて聞いていた。
マールバラ公爵邸に連れ立って赴くことで、噂になるのは折り込み済みだったが、カーティス大尉と婚約者の関係に、余計な波風を立てるつもりはなかった。たしかに、旅の間もずっと、カーティス大尉がわたしに貼り付いていたわけで、彼の婚約者の視点に立てば不安に違いない。――そもそも、カーティス大尉とシャーロット嬢、そしてその従姉のデイジーの間は、どうやら以前から微妙だったようなのだから。
わたしは少し考えて、言った。
「……要するに、シャーロット嬢はミセス・デイジーが苦手なのでしょう。そう言えば、デビューの時も押されてワインを零してしまったとか、言っていたわね? わたしの見た感じ、あの人はシャーロット嬢の自信を削いで、不安にさせているんです。ミセス・デイジーと離れて暮らせればいいのだけれど」
シャーロット嬢にとって、ミセス・デイジーは王都に住む数少ない親族だ。接触を絶つのは難しいだろう。カーティス大尉との結婚後、シャーロット嬢は王都に暮らすことになるわけで――。
「王都への滞在はいつまでのご予定で?」
「シャーロットは特に用もないので、王都に慣れるまで、僕の家で暮らすという案もあったのですが――」
王都のロックウィル伯爵邸で暮らせないとなれば、下手をすれば結婚自体が暗礁に乗り上げてしまう。
「あのデイジーという女は、ダグラス・アシュバートンと関係があった要注意人物だ。俺の護衛やその婚約者の周囲を、うろつかれたくはないな」
「でも、ミセス・デイジーをカーティス家から排除するわけにもいかないでしょう」
わたしの懸念に対し、カーティス大尉は言った。
「以前からの招待でしたので、今日の催しには招かざるを得ませんでしたが、今後は距離を置くと思います。母はもともと、デイジーをあまり好いていなかったので」
パーマー家との関係上、デイジーと付き合ってきたけれど、不倫騒動を起こしていたとなれば、話は別である。
「ただ、今日、こんな形でシャーロットが姿を消し、僕が捜索のために家を空けたことで、今頃、デイジーは好き放題に噂を撒き散らしているでしょうね。……一応、客人には僕もシャーロットも、殿下のお宅に招待されている、と誤魔化してはきましたが……」
カーティス大尉は溜息をつく。シャーロット嬢は身の置き所もないと言う風に、項垂れている。積もり積もったものが爆発したとはいえ、行き先も告げず、一人で街に飛び出すなんて、貴族令嬢にあるまじき軽挙だ。
殿下はしばらく煙草をふかしながら考えていたが、やがて灰皿に煙草を擦りつけて火を消しながら言った。
「……シャーロット嬢はしばらく、ここに滞在するしかなかろう。ということは、ジョナサン、お前もこちらに寝泊まりしろ。婚約者の令嬢だけ、俺が預かるわけにはいかないから。ここは上級メイドを置いていないから、お前の家から一人、シャーロット嬢の身の周りの世話をするメイドと、彼女の荷物を明日、持ってくるように。……ったく。俺は年末年始をエルシーと二人っきりで過ごすつもりだったんだぞ? その計画をぶちこわしやがって」
苦々しい表情で、新しい煙草に火を点ける殿下に、カーティス大尉が恐縮して頭を下げる。
「申し訳ありません、殿下」
「でも、カーティス大尉のご家族の方には、ご心配をおかけしているのではなくて?」
わたしが言えば、殿下は肩を竦める。
「俺のワガママってことにしておけ。エルシーに話し相手が欲しいとか、何とか」
「本当に重ね重ね……」
わたしはシャーロット嬢に笑いかける。
「そういうことなら、しばらくよろしくね。……お話は終わったかしら。そろそろユールが退屈しているわ。シャーロット嬢は犬はお好き?」
「え、ええ。こちらこそ、よろしくお願いします。……犬は、その……大きくなければ……」
「将来はともかく、今はまだ仔犬なの」
わたしが立ちあがって、控えていたヴァルタ―さんにユールの居場所を聞けば、すぐにジュリアンがユールを抱いて現れた。
「きゃん、きゃん! きゃん!」
ジュリアンの腕の中でわきわきと暴れ、ぴょんと飛び降りてわたしに駆け寄ってくる。
「ごめんね、ユール、寂しかったわね?」
わたしが撫でていると、シャーロット嬢もおずおずと近寄ってくるので、ユールを撫でられるように差し出してやる。シャーロット嬢が恐る恐る背中を撫でてやると、ユールはピコピコと嬉しそうに尻尾を振った。
「……女好きなんですかね、あの犬」
カーティス大尉が殿下に尋ねれば、殿下がぶすっとした声で答える。
「……メスだ」
「じゃあ、女子会……?」
前途は多難だったが、嵐の大晦日は更けていく。やがて新年が近づいたので、ヴァルタ―さんが新しい発泡ワインをクーラーに冷やし、グラスとともに運んできた。ポンっと小気味よい音とともに栓が開けられて、シュワシュワとした黄金色の液体がグラスに注ぎ分けられる。
「……図らずもダブル・デートみたいになってしまったが、新しい年はたぶん、もっと大変なことになる。ジョナサンにも苦労をかけることになるが……」
「とりあえず、戦争でないだけで僕はとてもありがたいと思っているので。……勝手に亡命するのだけ、やめていただければ、できる限りのことはさせていただきます」
四人でそれぞれグラスを持ち、殿下が腕時計を見ながら時間を計る。
「三、二、一、……発射!」
「大砲じゃないんですから! 新年おめでとうございます! 乾杯!」
「おめでとうございます、大尉、シャーロット嬢……それから、リジー?」
わたしが言えば、殿下からは無言でキスが降りた。その様子を間近で見て、シャーロット嬢が真っ赤になる。
「おめでとう、新しい年に乾杯! ジョナサンも、ミス・パーマーも」
「お、お、お……おめでとうございます……」
よく考えたら、田舎の子爵令嬢であるシャーロット嬢が、王子の邸に押しかけた上に一緒に新年を祝っているなんて、十年前なら考えられないことだろう。時代も変わったと言うべきか。
四人で乾杯する横で、ユールはわたしの膝の上で眠ってしまった。――外の嵐はまだ続いている。
その時、呼び鈴が鳴って、ジュリアンが応対に走る。こんな時刻に?
戻ってきたジュリアンの背後には、外套を着た、人品卑しからぬ人物がいた。
「アルバート殿下、王宮からの使者です。――昨日の昼過ぎに、第二王子、ジョージ殿下がご逝去なさいました。アルバート殿下におかれましては、速やかに王宮に参上なさいますよう、国王陛下の召命が下っております」
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